●第四回・・・築地の足
築地市場に入ったことのある人ならわかると思うが、ここは時間帯によっては
非常に危険である。なぜか。それは、えたいの知れない乗り物が狭い道を猛スピー
ドで走り抜けているからである。写真を見ての通り、巨大なハンドルをそなえる、
謎の三輪自動車が、築地の市場の中、時には公道においてさえも我が物顔で走り
抜けているのである。人は、この乗り物を「ターレー」と呼ぶ。
この「ターレー」、正式名称のようなものは特になく、行政で分類される「大
型特殊運搬車両」、あるいは「小型特殊運搬車両」が、強いていうなら正式な名
前である。どうして「ターレー」などという名前になったかはわからないが、バ
イクの「ハーレー」と何らかの関係があることだけは確かであろう。少なくとも、
迫力は「ハーレー」にまったく引けを取らない。しかも、これが築地近辺で、約
3000台走り回っているのだから恐ろしい。同じ広さの場所で「ハーレー」が3000
台も走っている情景を、果たして諸君は想像できるであろうか。
ところで、私は、これをぱっと見たとき、どれも使い古している、つまり長持
ちするのだと思ったのだが、どうもそれは間違いのようである。扱っているもの
が塩水を含んでいるため、どうしても早くさびが出てしまうのである。そのため、
このなんともいえない趣が生まれるわけである。もっとも、石原慎太郎が知事に
なって始めて築地にきたとき、「ターレー」をみて、時代錯誤だから何とかしろ
と言ったそうであるが。
ところで、あぶないあぶないと言っているが、一応市場内でも交通ルールがあ
るそうである。道路のひき方は公道に準じており、ルールも公道でのルールに準
ずるのだそうである。ただ、信号もなく、歩道だってほとんどない。どうしても、
人と車とが接近してしまう。やはり、相当に危ない。
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