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<ミャンマーで今、何が?> Vol.109
2014.08.27

http://www.fis-net.co.jp/Myanmar

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■少数民族武装グループとの平和交渉

 ・01:ミャンマー国内の安定化

 ・02:今度の平和協定は本物か?

 ・03:テインセイン大統領の功績

 ・04:最近の動き

 ・05:そして今、何が起きているか?

 ・06:そしてアウンサンスーチー

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01:ミャンマー国内の安定化

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2011年3月のテインセイン大統領主導による新政権発足以来、最も重要な案件とされていたのが、少数民族武装集団との和解で、恒久的な平和協定の締結であった。これが多数民族国家であるミャンマーを安定させる最優先課題であった。

目立たない扱いではあるが、8月26日付NLM紙第3面にテインセイン大統領とシャン州少数民族武装集団代表十数名との記念写真が、同様に第4面にはミンアウンライン国防軍最高司令官との記念写真が掲載された。これら武装集団代表者たちは中央政府との平和協定について討議するために首都ネイピードに集結したものである。



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02:今度の平和協定は本物か?

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過去に、中央政府と少数民族武装集団との平和交渉は何度も開催された。お互いの不信感は相当根深いものがあり、会談場所も、隣国タイであったり、隣国中国の雲南省などの第三国であった。これは各武装集団が自分たちの本拠地に中央政府を招きいれるのを頑なに拒否し、中央政府の本拠地への参集も拒否していたためである。

そして両者で基本合意が成立しても、武装集団の本拠地周辺で中央政府軍が重火器で発砲したり、武装集団が応戦したりと平和協定が反故にされてきた。

したがって、両者の不信感が根底にあることは間違いなく、今回もその一環と見る向きもあるが、少し風向きが変わってきたようである。



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03:テインセイン大統領の功績

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2011年3月の新政府発足以来、大統領は国内各民族が協力して民主国家をつくりあげることが最重要課題であると口を酸っぱくして訴えてきた。だが、口先だけでは狼少年となる。実際に、大統領が3年半にわたって国内外にアピールしてきたことは絵に描いた餅ではなく、改革に次ぐ改革であった。まずは政府自身の改革、そして国会改革、そして海外投資環境の整備、言論統制の緩和、労働条件の改善と多岐にわたる。その改革も、今地方に及ぼうとしている。それは医療施設の新設であり、学校教育、図書館、銀行の開設と、徐々に国境地帯にまで波及しようとしている。

それを今、少数民族それぞれの武装集団がこれまでの軍事政権とは違うと感じ取り、評価し始めた証拠ではないだろうか。問題がそう簡単でないのは、武装集団といっても、統一された団体交渉の相手ではなく、各州に散在する独立したバラバラの集団である。

そして大統領府主導で、大臣クラスの作業委員会を設置して、過去の不信感を払拭するための地道な努力を重ねてきた。それは、これまでの武闘派による軍人の政府代表ではなく、民主化という旗印の下で、国民すべてが協力して一致団結することを説いてきた。それに3年半の年月を必要としたものと思われる。



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04:最近の動き

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今年6月はじめ、北シャン州のクットゥカイ町で政府軍の車がロケット砲で破壊され、チョーティンアウン少佐(36歳)が殺された。政府軍はカチン独立軍(KIA)と連携しているターアウン民族解放軍(TNLA)の仕業と見ており、TNLAはこの地区の村から25名の村民を強制徴募し、この地区だけで1000人の部隊を展開している。

TNLAによれば、この数年間、政府軍はこの地区で積極的な攻撃を開始していると、双方で非難しあっている。

一方、7月25-27日にはカチン独立軍(KIO)の本部があるカチン州の国境の町ライザに16の少数民族武装グループ(NCCT=全国停戦調整チーム16名)と中央政府代表の合計100名以上が集結し全国的な停戦交渉の原案について話し合った。

そして8月3日にも、カチン州の州都ミッチーナで会議は続行された。



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05:そして今、何が起きているか?

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今回の少数民族武装16グループは全国的なもので、もちろんカチン・カレン・チン・シャン州などもすべて含まれている。そして彼らの意見を統一させるための基本の基本は、中央政府に“連邦制”を認めさせることにある。すなわちアメリカの行政組織をモデルとしたもので、これらの武装グループを政治組織として認め、民族自決の自治権を与え、税収の応分の配分などが、次の課題となってくるだろう。

実は、アウンサン将軍が1947年1月にロンドンに飛び、一年以内にビルマの独立を保障する“アウンサン=アトリー協定書”を締結した。アウンサン将軍は帰国すると直ちにシャン州のパンロンに少数民族代表(一部)を招集し、この“アウンサン=アトリー協定書”を国内批准させるために連邦制と自治権を彼らに約束している。これがビルマの歴史上、有名な“パンロン会議”である。

このとき以来、連邦制と自治権は、中央政府を乗っ取った軍事政権によって反故にされてしまった。これが少数民族が中央政府に対して抱く不信感の始まりで、すべてである。
ところが、8月15日に場所をヤンゴンに移して行われた停戦交渉会議で中央政府と少数民族武装グループとの間で、この“連邦制”が基本的に合意されたのである。



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06:そしてアウンサンスーチー

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少数民族のリーダーたちは今回の停戦協定に楽観的で、この8月18日、ヤンゴンの私邸にアウンサンスーチーを訪ねた。そして協定成立の際には、調印式に出席してほしいと要望した。彼らにとっても今、アウンサン将軍の描いた夢を、実現しようとしている。スーチーも招待されるなら、是非出席したいと乗り気である。もちろん相手あってのことで、中央政府の了解も必要だろう。そしてリーダーたちは、米国、英国、日本、中国、フランス、ノルウェー、国連にもオブザーバーで参加してほしいと希望している。






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