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<ミャンマーで今、何が?> Vol.129
2015.01.21

http://www.fis-net.co.jp/Myanmar

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■ザ・インタビュー

 ・01:ハリウッド映画

 ・02:VCD/DVDショップ

 ・03:DVD“ザ・インタビュー”

 ・04:何が問題とされるのか?

 ・05:欧米メディアの視点

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01:ハリウッド映画

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欧米では年末から年初にかけて、騒がしくなるのがアカデミー賞の下馬評だ。第87回アカデミー授賞式は2015年2月22日午後4時からLAハリウッドのドルビー劇場で行われる。

その受賞候補はベバリーヒルのサミュエル・ゴールドウィン劇場で今月1月15日にノミネートされた。

「ザ・グランド・ブタペスト・ホテル」、「バードマン」、「セルマ」など話題作が候補作品となっているが、今年は主演男優・主演女優とも候補者は白人のみということで別の意味での注目を集めている。

話をミャンマーに戻そう。当地でも映画は最大の娯楽で、2013年に製作されたミャンマー映画のオスカー賞授賞式が2014年12月27日ヤンゴンの会場で発表された。年末ぎりぎりの華やかな恒例行事だ。だが、年初ならまだしも、年末になって前年の作品というところが、スロー・イズ・ビューティフルのミャンマーらしいところだ。

だが、今回はアカデミー賞の話ではない。



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02:VCD/DVDショップ

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今回はヤンゴン路上で販売されているDVD映画の話である。

一枚300チャット、二枚で500チャット、4枚で1,000チャット。当然海賊版だが、品質が2-3年前に比較して格段とよくなった。昔は、購入品の5割がなんとかOKで、5割が不良品だった。だが、最も信頼置ける品質は路上のVCD/DVD屋ではなく、ちゃんとした店舗を構えたVCD/DVDショップだ。ここだと一枚1,500チャット(百円換算で150円)するが、これだと鑑賞途中でフリーズしたり、パソコンで認識されないということはほとんどない。

DVD原版は上得意である日本人向け日本語字幕がオプションとしてついているのが普通である。だが、中国製海賊版は、最近の日中友好を反映してなのか、日本語の字幕をわざわざデリートして、台湾語やビルマ語が新たに挿入されている。これだと、DVDで英語を勉強しようとする日本人の学徒には、日本語に頼ることが出来ないので、非常に効果的な英語DVDとして重宝させてもらっている。

ハリウッド作品だと、映画が上演される前に、FBIの海賊版に対する警告文が表示され、英語の分かる後ろめたい視聴者はチョットばかり驚く。だが、このVCD/DVDショップには明らかに欧米系大使館職員の家族と思われる人たちが頻繁に訪れる。

だが、これだけは言っておきたい。ヤンゴンだといって、馬鹿にしてもらっては困る。今年のアカデミー賞にノミネートされた作品のほとんどがNYやLAの封切りとほとんど同時に手にいれることができたし、作品によっては日本よりもはるかに早く入手できるのに驚かされる。



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03:DVD“ザ・インタビュー”

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最近ヤンゴンの映画ファンの間で人気を呼んでいるハリウッド作品がある。“ザ・インタビュー”だ。今年1月の第一週から出回ったが、それが突然ヤンゴンの路上VCD/DVD屋のみならず、VCD/DVD店舗からも消えてしまった。手入れ前はボージョー市場近くの路上でも一日約20枚は捌いたという。中華街の大手DVD店舗だと一日最低100枚は販売したという。
VCD/DVD屋の主人によれば、この数日間、北朝鮮の大使館員がヤンゴン市内のVCD/DVD屋を片っ端から訪れ、“ザ・インタビュー”の海賊版DVDを販売していないか尋問して歩いたという。その後で、警官がヤンゴン全域でこの海賊版DVDを厳しく取り締まった。北朝鮮の大使館員が監視していたこともあるという。

このDVDは最近のベストセラーだったが、路上からもDVD屋からも完全に姿を消してしまったという。

警察官の裏情報に詳しい中国街のDVD屋によれば、“ザ・インタビュー”の海賊版を販売しているDVD屋のリストを北朝鮮大使館が警察に提供したとのことである。



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04:何が問題とされるのか?

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日本でも話題を呼び、ご存知の方も多いと思うが、この映画は2014年の作品で、北朝鮮の若き領袖を皮肉った政治パロディである。

北朝鮮の領袖がアメリカのトークショウがお気に入りだと聞きつけ、その人気番組のホストが領袖にインタビュウを試みるという企画が持ち上がった。そこにCIAが介入し、このホストが領袖と握手をすれば手に貼った細いバンドからリシンが領袖の手に皮膚注入され、領袖を暗殺できるという筋書きだ。

この映画はバンクーバーで2013年10月10日に撮影開始、12月20日に撮影は完了した。2014年6月、北朝鮮政府はこの映画をコロンビア映画がリリースすれば、米国に対して容赦のない攻撃を加えると脅した。コロンビア映画社は10月10から、12月25日に封切りを延期し、北朝鮮に受入れられるように編集し直した。コロンビアの親会社であるソニー映画社は米国内で劇場封切りし、インターネットでの配信も行ったが、DVDの発売は控えている。しかし、その海賊版は北朝鮮を含めて世界中で手にいれることができる。

1983年に北朝鮮の秘密機関は韓国の大統領一行を狙ってヤンゴンの殉難者霊廟で爆破事件を起こした。ミャンマー政府と北朝鮮政府は国交を断絶したが、2007年に国交は修復された。しかし、米国政府は、両国は秘密の関係を続けており、武器の供与、地下の軍事施設建設などで、北朝鮮はミャンマーを援助していると見做している。



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05:欧米メディアの視点

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通常は海賊版ということが問題とされるが、そんなことは一顧だにせずに、NYタイムズの上記の記事は、北朝鮮の領袖をおちょくったとされるDVDを、北朝鮮の意向に従ってミャンマー政府がヤンゴンから完全に払拭したことをニュースとして取上げている。

VOA(ボイス・オブ・アメリカ)も同様の趣旨で、ミャンマー政府は北朝鮮の圧力に屈し、同DVDの販売中止と流通を禁止したと報じている。





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