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<ミャンマーで今、何が?> Vol.131
2015.02.04

http://www.fis-net.co.jp/Myanmar

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■英語の実験教室

 ・01:英語の発音教室

 ・02:寺子屋式素読方式

 ・03:奇跡が起こる

 ・04:一寸の虫にも五分の屁理屈

 ・05:語尾をいやらしくチェックする英米人

 ・06:最初の授業

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01:英語の発音教室

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アッルファー、ブラッボー、チャアッリーで始まり、デッルター、エッコー、フォックストゥロットゥと続き・・・、エックスレイ、ヤッンキー、ズッウールーで終わる。

たったの26文字。その頭文字を拾っていくと英語のアルファベットA、B、C、D・・・である。

これを週3回、一回の練習時間は一時間弱。これを四週間繰り返す。

最初はゆっくりと発音する。正確な強・弱が身に付くまで繰り返す。英語は強・弱が‘命’である。すべての英単語には強・弱の命が宿っている。チェックすると第1音節にアクセントがあるのが21文字、第2音節が4文字、それ以外が1文字(クウィベックのQ)である。大半は第1音節にアクセントを置けばよい。残り5文字が落とし穴だ。

強アクセントの場所は太活字で、下線を施した部分である。もう一度“アッルファー”を見て欲しい。

10数名のミャンマー人生徒ひとりひとりの発音を注意深く聴き、おかしなところは修正していく。ポイントは強・弱を明確に付けられるかどうかだ。

一通り強・弱が付けられようになると、全員でA、B、C・・・X、Y、Zを通しで発声練習する。一回終われば、続けて二回目、三回目とくたばるまで続ける。だが、中には声に出さないズルもいる。あるいはアクセント個所を間違える生徒もいる。その都度、生徒全員に注意する。そしてまたアッルファー、ブラッボーから再開する。これは生徒とワタシの真剣勝負である。

スピードを上げていく。中継ぎの息も出来ぬほどスピードを上げる。ほとんどアスリート感覚だ。そして、最後のヤッンキー、ズッウールーまで一気に突っ走る。すりガラスを通して女性スタッフを盗み見していた生徒にそのスキを与えない。理屈抜きの法華の太鼓だ。ハーモナイズの声が教室内に響く。冷房がギンギンに効いた狭い教室で汗が出てくる。

これを10分間続けると、生徒はワン・ラウンド闘ったロッキーのようにくたばっている。ほんの三分間ほど世間話をし、次のセカンド・ラウンドに入る。単語の意味など考える暇も与えない。21世紀の今の時代、寺子屋の素読に新幹線のスピードを加味しただけだ。これを一時間繰り返し、一時間の授業は終了する。



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02:寺子屋式素読方式

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船員派遣会社から頼まれたボランティアだ。ワタシ自身のプロジェクトして引き受けた。英語学習の実験場としてである。

生徒はすべて船員の卵だ。ほとんどが貧しい家庭の出身で、ミャンマー脱出のわずかなチャンスを韓国・日本・シンガポールなどの船主・運航会社に賭けている。

だが、彼らの特徴は昔の日本人と同じくシャイで引っ込み思案なところだ。西洋人の自己主張と対極的なところで育ってきた。それを理屈で説明しても無駄だ。ワタシ自身の経験から寺子屋素読方式がベストと判断した。ミャンマーでも多くの店番が暇さえあれば仏典に目を通している。お坊さんと接する機会はここミャンマーでは非常に多い。難解だと思われるパーリー語でお坊さんが唱えると、ほぼ全員がそれに唱和する。すでに下地は出来上がっている。

これが上記の寺子屋式素読方式である。要諦は、声を出して読む。徐々にスピードを上げる。



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03:奇跡が起こる

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いまは先進国のバックパッカーが世界中を飛び回っている。大衆化したバジェット航空全盛の時代である。しかし、チョイ前までは船舶による海外渡航が本家本元であった(元祖は丸木舟だ)。渡航の航は航海の航である。チキンかエッグかを間違えてはいけない。20世紀に出現した航空業界は新参者だ。著作権も支払わずに、海運が延々と築いてきた専門用語をすべて海賊使用してきた。

エアポート(空の港だってよ!)、ヘリポート、何がパイロット(水先案内人)だ。アテンダント・クルー(乗組員)いい加減にしろ、エンジニア(機関士・整備士)、タラップ(これはオランダ語だ)、コンパス(羅針盤)、ナビゲーション・チャート(海図)、航空灯(航海灯)、ETD/ETA(発/着予定時間)などなど。

英語でも聞き間違いは起こる。だから、アサヒのあ、イロハのい、ウエノのう、と同じ調子で、A for Alpha, B for Bravo, C for Charlieと電話で言えば、間違いを回避できる。いろんな単語の組み合わせがあるが、世界中で最もポピュラーなのがNATOのアルファベットだ。国連の海運行政を指導するIMO(国際海事機関)を初めとして多くの国際機関でこれを採用している。

だから、船員の卵を養成するワタシのDream Come True English Clubでもそれを採用した。チイチイパッパのスタート段階である。

アウンサン(Aung San)という学生がいたとしよう。君の名前は?と初めて乗船する船長から聞かれる。外国人の名前は聞き取りにくい。アウンサンと答え、続いてAlpha, Uniform, November, Golf, one-space(一息空けて), Sierra, Alpha, November, もう一度アウンサンとダメ押しする。これならパーフェクトだ。外国航路の船長なら、NATOアルファベットを一発で分かる。外国人に分かりにくい地名など、すべてこの要領でやる。例えばKobeなら、Yesこうべ、Kilo, Oscar, Bravo, Echo, ダメ押しのコウベとやる。

「01:英語の発音教室」を徹底的に4週間やると、このリズムが身に染みてくる。体感して体得するのである。頭で理解するのではない。

だから、生徒には英語なんて学校で習うものではない。学校にも先生にも頼るな。自分で道を開け、自分で夢を実現しろ、と無責任な実験を繰り返している。実はワタシも英語学の生徒で、英語を教える能力はない。経験した英語の学び方だけを話しているだけだ、と生徒に話す。キミたちが自分で体験するかどうかが夢を実現できるかどうかの分かれ道である。

毎朝一時間、そして就寝前に一時間、NATOアルファベットを繰り返す。それを一週間、そして一ヶ月、さらに半年、そして一年。そうなると二年、三年なんて簡単だ。

そこで奇跡が起こる。ハリウッド映画でも、英国のジェームス・ボンド・シリーズでも構わない。とにかく英・米の本場モノの映画を覗いてみよう。DVDで鑑賞なら日本語の字幕を消して欲しい。不思議なことだが、ある日突然に、ネイティブ・スピーカーの英語がひとつひとつハッキリと耳に飛び込んでくる。もちろん知らない単語はいくらでもある。だが、流暢に早口で話しているその単語がひとつひとつ認識できるのだ。意味不明の単語は聞き流せばよい。今まで20%しか理解できなかった会話が30%に、50%が70%にと飛躍的に把握できる。



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04:一寸の虫にも五分の屁理屈

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を言わせて貰うと、ワタシが長いこと温めていた疑問にすべては起因する。どうして三歳の子供はどこの国でも母国語をネイティブ・スピーカー並みに流暢に操るのだろう? すべての母親がお茶大の児童心理学を学んだわけでもない。最高学府で学んだはずなのに東大の名誉教授やNHK海外レポーターの英語はどうしてお粗末なのだろう? 決してアナタのことではありません。そうマジに怒らないでください。例えばの話ですから。
 
屁理屈はこうだ。母親の胎内で過ごす約10ヶ月間というのは、未生以前の理想的な第一言語学習の教室ではないのか。それも言語学的にとか、音声学的にとか、チッポケな範囲ではない。むしろ古代ギリシャでいうAuditorium、すなわち音楽堂である。母親の声帯を通じて響いてくるバイブレーション、あるいは母親の鼓膜が受信した身の回りの音・声が羊水を震わすバイブレーション。例外なしにどのネイティブ・スピーカーもこの通過儀式を経験している。

ある禅僧が語った。「女とはげに恐ろしきものぞ、釈迦もキリストもひょいひょいと産み落とす」と。その恐れ多き女性殿の体内に、押し戻すところで英語学習が何とかならないかというのがワタシの実験教室である。すべては体感である。



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05:語尾をいやらしくチェックする英米人

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ミャンマー人は“サイカー”と発音する。“サイドゥ・カー”ではない。日本人は「聖しこの夜」を英語で歌うと“サイレン・ナイ、ホーリー・ナイ”と唄う。決して“サイレントゥ・ナイトゥ”ではない。英米人はこの最後の弱音を重箱の隅をほじくるように聞き耳を立て、ミャンマー人や日本人の発音を馬鹿にする。確かに、“ナイトゥ”と語尾まで発音しないと、一夜なのか千一夜なのか分別できない。だから、連中はガキの一つ覚えのように単数だ、複数だと区別するのだ。これだと最後まで手抜きしないで発音せざるを得ない。
それにしても、ミャンマー人と日本人はこのダメなところで、あるいは英語の弱者として、がっちりとスクラムを組めそうだ。

この単複しか計算できない彼らだと日本の数詞の多様さはエンサイクロペディアの如きであろう。オックスフォードの数学教師を殺すのに刃物は要らない。三味線とお琴の数詞の違いを述べてみよと初歩的な質問をするだけでよい。



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06:最初の授業

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生徒たちはすでに着席している。“グッドゥ・アフタヌーン”と大声で教室に入っていく。日本の大学にでもいそうな学生たちが、長い足を前に突き出したまま、ムニャムニャと口ごもる。先生が立ったまま、生徒が着席して行う、この欧米式授業がワタシはどうも腑に落ちない。習う生徒が起立して、教える教師が座るべきではないかというのが、ワタシの持論だ。公平に譲って、両者が座る傷み分けでどうだろう。

とにかく、ワタシは白板の前に着席して一同を見回し、再び“グッドゥ・アフタヌーン”とやる。今度はムニャムニャが“グッドゥ・アフタヌーン”で返ってくる。ニッコリ笑って、ワタシは起立する。そして一同を見渡し、もう一度“グッドゥ・アフタヌーン”とやる。長い足が引っ込んで生徒は慌てて起立する。そしてバラバラに“グッドゥ・アフタヌーン”が返ってくる。暫く沈黙して、大声で“グッドゥ・アフタヌーン”。すると今度はきちんと揃っている。上出来の“グッドゥ・アフタヌーン”が戻ってくる。

チンタラしていたおニイちゃんよ。やれば出来るじゃネェーか。


今週は刺激的なニュースもなく、まったく無意味な与太話でお耳を穢させてもらいました。






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