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<ミャンマーで今、何が?> Vol.138
2015.03.25

http://www.fis-net.co.jp/Myanmar

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■果物の王様

 ・01:目くそ鼻くそ作戦

 ・02:小人閑居して不善を為す

 ・03:真夜中の大雨

 ・04:ドリアンを試したことありますか?

 ・05:大停電の理由

 ・06:セクレタリアートビルでの誕生パーティ

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01:目くそ鼻くそ作戦

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一昔前なら、朋あり遠方より来たるだが、最近は直行便で年に数回訪れ、遠方の友ではなくなった。その友人がさらに新しい友人を連れてくる。しかもローカルの友人まで帯同して。ヤンゴンに閑居したつもりが、友達の輪が、どんどん広がっていく。これもミャンマーで今、何が?の異変のひとつだろう。

その夜も、また楽しからずやと、ローカルの友人を含めてブレーン・ストーミングの大宴会となった。そして翌朝、旧友と新しい友人は植林事業、甲殻類などのフィールド・ワークへと旅立っていった。その新しい友人が、3月17日付朝日新聞を置いていってくれた。翌日の午前中は、久しぶりの日本語に広告欄も含めて隅々まで、たっぷりと耽読させてもらった。実にありがたかった。

こんなことが日本では話題になっているのかと新発見は尽きない。その中でもっとも興味を惹いたのが社会面である。女優アンジェリーナ・ジョリー監督の新作映画「アンブロークン」が旧日本軍の捕虜虐待を描き、反日映画だとしてネットなどで上映ボイコット運動が起きているという。しかも、映画を見ないで反対というから、最近の日本人は予知能力まで身につけてしまったのかと感心してしまった。

前にもお伝えしたが、ヤンゴンは海賊版DVDの宝庫である。その海賊版焼き直し作業は中国の商売人が独占している模様だ。ハリウッドにとって上得意とされる、極東の島国言葉、日本語の字幕スーパーが、まちがいなくデリートされ、ご丁寧にも簡体字と繁体字の二つの中国語に、置き換えられている。実にありがたいことで、これが英語のヒアリング練習に最高の教材となっている。中華人民共和国に改めて感謝したい。

という訳で、「アンブロークン」を早速ゲットして英語の勉強、そして現代史の勉強に集中的に取り掛かった。最近、太平洋戦争のころの現代史に凝っており、もう古典的な名作となった「戦場に架ける橋“The Bridge on the River Kwai”」、「鉄道員“The Railway Man”」、「クワイ川からの帰還・実録“Return from the River Kwai”」,その他にも“Empire of the Sun”、“To End All War”などなど、DVD天国のヤンゴンでは、おもしろいほどに欧米で製作された戦争捕虜虐待映画が手に入る。

中国製海賊版なので、日本語の字幕が入っていない。だが、読書百篇で何度も繰り返し見ていると英語のヒアリング能力が向上し、とくに欧米の第二次世界大戦史観がかなり明瞭に見えてくる。もちろん東洋的史観と大きく異なる。さあ、それをどう料理するかが後世の世代に残された課題である。

それを最近の中国や韓国と同じような手法、すなわち“目くそ鼻くそ作戦”で反論すれば、中国や韓国と同じように、世界のマスコミからは、とくに欧米からは12歳の少年並みに扱ってもらえることは間違いない。昔の中国や韓国には教えを乞いたいホンモノの大人が綺羅星のごとくいた筈なのだが。

それとも、これらは反日映画だから日本人が不愉快にならないよう、日本語字幕を最初からデリートする気配りが、あるいは大人の態度が、最近の中国人にもあるのかと、ミャンマービールを飲りながら、思案している今日この頃である。



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02:小人閑居して不善を為す

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東京からは桜便りとか。だが、ヤンゴンはすでに真夏到来である。東京では真夏でも太陽が45度の角度で照り付けるが、ここヤンゴンでは天頂から直下型で頭上に照りつける。アスファルトが溶け、空気が焼け焦げる。日本では真っ赤な太陽だが、ここでは真っ黄色の太陽が白熱化している。

心頭滅却できなければ、凡人に日中の仕事は無理である。このメルマガ原稿も東京時間で明日25日早朝が最終締め切りだが、まったく取り組む気力がなく、約束を守れるかまったく自信がない。日が西に傾き、ヤンゴン川の川風が吹き始めるころ、冷えた生ビールを求めて、出かけようと思う。ホロ酔い気分で蚊帳の中に飛び込み、真夜中に起きる。

アルコールが消え、気力が戻れば、そして停電でなければ、このメルマガも続行となるが、保証のほどではない。すべては真夏の夜の夢次第。



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03:真夜中の大雨

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いつもの通り、午前一時ぴったりに目が醒めた。アルコール分はとっくに消え去っている。朝までたっぷり時間はある。電気も大丈夫だ。だが、何か可笑しい。

大いに気になるので、二重になったカーテンを開け、外の様子を窺おうと窓を開け放つ。季節外れのドシャ降りである。水祭りを来月に控えての大雨とは珍しい。この分だと、明日は街中のパダウが一斉に黄色い花を咲かせ、女性たちが黄色い花を後ろ髪に挿すことだろう。街中がこの芳しいパダウの匂いで包まれるはずだ。

屋根の補修ができていない家々では、真夜中の雨漏りで、たたき起こされているはずだ。気まぐれ天気か、異常気象を恨むしかない。



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04:ドリアンを試したことありますか?

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こちらはこちらで、早朝までにメルマガの段取りをつけねばならない。この一週間の日刊紙を斜め読みする。話題集めだ。

路上の果物屋では、南国独特のフルーツがこれから最盛期を迎える。この強烈な日光と、UV光線が影響あるのかどうか、5月末の雨季突入直前が甘みがたっぷりと熟成するようだ。

その中でもお勧めは果物の王様ドリアンである。硬いとげのある殻に覆われ、大きめだと長さ30cm、直径15cm、重量3kgもある。今市場に出回っているのは隣国タイからの輸入品。大柄で値段も高い。出始めは5000チャットもする。だが、水祭りから5月にかけてはモーラミンから南のダウェイ・メイクで採れた国産が登場してくる。見た目は小柄だが、これが実にうまい。もちろん年によって当り外れがある。値段も最盛期には500チャット近くで賞味できるはずだ。

ジャックフルーツもそうだが、大木の幹にこの大柄の果実が直接ぶら下がっているのを見たときにはどういうわけか感激してしまった。小枝の先にぶら下がっているのではない。大木の幹に鈴なりなのだ。

バンコクの果物屋の店先に行けば、ドリアンに毒されたホンモノの通人が鼻先をこの果物のお尻にくっつけて恍惚状態となっている。まさにフェチ状態である。西洋人のように、スカンクの臭いだ、豚の糞だ、松脂と玉ねぎが混ざった臭いだ、下水の臭いだ、トイレの臭いだと大騒ぎするようではホンモノのグルメではない。いちどこの通過儀式を経験すれば、あのクリーミーな独特の旨さはカマンベールやブルーチーズにまさる絶品であることを発見するだろう。

だが、どうしてアルコール類との禁じ手が囁かれるのか、それが謎である。精がつきすぎるので、ウォッカ・ブランデーなど強い酒との飲み合わせ?は避けるべきだと言われている。脳の血管が破れるとの脅し文句も、まことしやかに囁かれている。ワタシはビールで口をゆすぐくらいのことはするが、まだブランデーは試したことがない。生来気が小さいのである。

考えてみると、ナポレオンでなくともジョセフィーヌ今夜はダメじゃと錯覚してしまいそうなブルーチーズもそうだし、ひと昔前に新橋のガード下で、焼いてもらった“くさや”など、近所迷惑だが、供されるほうにとってはあの独特の匂いが最高のもてなしである。このため、交通機関、空港、一流ホテルではドリアンの持ち込みは禁止となっている。いくら何重にも新聞紙で包んで、持ち込んでもその強烈な臭いで一発でばれてしまう。

このドリアンはジャコウネコの大好物でもあり、ジャコウネコを捕獲する場合の囮の餌としても使用される。やはり粋人の猫はホンモノのグルメを知っているようだ。最近の科学者たちは独特の匂いを消した新種に挑戦と聞いたが、それは邪道だといいたい。

地元の漢方医は、ドリアンは体温の急上昇を招くので妊婦と高血圧の人は控えるべし、同じ時期に最盛期となるマンゴスチンは体温を冷やすので、ドリアンを食したあとはマンゴスチンを食すべきだとしている。そして前者が「果物の王様」、後者が「果物の女王」と呼ばれるところに何となくトロピカルのロマンを感じる。



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05:大停電の理由

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いけない、いけない、「ミャンマーで今、何が?」を出稿する仕事が残っていた。

ミャンマーではテン・スタンダードといって、10年生が高校卒業の年となる。その卒業試験と大学入学資格試験を兼ねた統一テストが全国の各学校で年に一回おこなわれる。それが先週の何日だったかお昼に終了した。その途端にヤンゴン一帯では一斉に停電となった。

秘密調査員の聴いたところでは、卒業試験が終わったとなれば、学生たちは何も遠慮することはない。マンダレーの大学生たちがヤンゴンを目指してデモ行進を続けている。卒業生たちが兄貴分の大学生に同調してデモに加わることが予測される。

その気配を察した警察当局がヤンゴンへ通じる幹線道路を鉄条網でブロックし、厳戒態勢を敷き、その気勢を削ぐために全面的な停電策を講じたとのことだ。当局は何とか殺すに刃物は要らないという極意を熟知している。インターネットが通じず、夕飯の支度がすべてストップしたのが、高校卒業試験の修了したその日であった。



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06:セクレタリアートビルでの誕生パーティ

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ご存知アウンサン将軍とその閣僚が暗殺されたのがヤンゴン下町のど真ん中セクレタリアート・ビルディング。そこで私的なバースデー・パーティが3月21日おこなわれた。

それに出席した元独裁者ネウィンの孫がフェースブックに写真を流した。見るからにエリート然とした四人の若者が肩を組み合っている写真だ。誕生日の主役は汚職の疑いで罷免された元貿易大臣(将軍)の娘である。

問題の孫は二人の弟および父親とともに国家反逆罪で11年間収監されていたが、2013年に大統領特赦で釈放された。

今、ミャンマーではジャーナリストと政府が言論の自由をめぐって綱引きの真っ最中である。ヤンゴンの歴史的遺産となるこの由緒ある建物で私的なパーティを開くなど論外で、許可したほうも問題だとマスコミの攻撃が一斉に火を噴いた。

代わり映えのしない記事となりましたが、これは暑さのせいとご容赦願います。来月は水祭りの季節で、友人の訪緬も予定されています。多分飲んだくれることになると思いますので、有益な情報はヤンゴンのタウン誌で充填願います。





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