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<ミャンマーで今、何が?> Vol.141
2015.04.15

http://www.fis-net.co.jp/Myanmar

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■水祭り雑感その2

 ・01:水祭り今昔物語

 ・02:醜いアメリカ人

 ・03:目明き千人めくら千人?

 ・04:水祭りの休暇明けに外銀が営業開始

 ・05:朋あり、遠方より来る、また楽しからずや!!

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01:水祭り今昔物語

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ミャンマーの暦は土・日と祝日が赤字で、普通のウィークデーが青字で印刷してある。では2015年4月を改めて検分してみたい。4月11日から21日までの11日間が連続して赤字となっている。これに土・日の赤字を加えた4月一ヶ月間の星取勘定をしてみると、赤字が15日間、青字が15日間という五分五分の成績となっている。

ミャンマー新政府が制定した水祭り祝日が上記の連続11日間の赤字で、その中心となる天下御免の水祭りは13日から16日の4日間。これがミャンマー全土で祝われる。そして騒々しかった4日間が終了すると、翌17日はうって変わった静寂が街に戻る。新年の始まりである。新しいロンジーなどで気を引き締め、家族総出でパゴダや僧院に初詣し、今年一番の寄進をしたり、生け捕られた鳥を鳥篭から解放したり、生きた魚を川や湖に放流し、年初めの善行で新年をスタートする。

この水祭り期間中、主要大通りには話題の舞台(パンドール)が設えられ、有名歌手や芸人たち民族舞踏の合間に、おちょくり漫才が人気を呼んだ。鋭い舌鋒を隠語で包み、政府批判をおこなうのである。本来このおめでたい年末行事は天下御免であったが、そのうちに取り締まるほうの軍事政権が天下御免となり、コメディアンのひと言ひと言に神経を尖らし、次から次に刑務所にぶち込んでいった。しかも、何回も出入りを繰り返す猛者も現れた。すなわち確信犯である。ミャンマーにもタケシ&ヤスシはいたようだ。

政府も、この期間中の舵取りを間違えれば大変なことになる。だから、この期間中にミャンマー全土で停電は絶対に起こらない、そして水の供給には万全の対策を立てている。それぞれの担当大臣の頚がかかっているといっても大袈裟ではない。この二つが水祭りの生命線である。この期間中は、たまりにたまった国民の不満をうまくガス抜きせねばならない。だから、いつもは強面の秘密警察も、警察官も、交通事故や酔っ払いに優しく対応してくれる。

信じられないことだが、13日の夜に下町一帯で社停電が発生した。特別の意図があるのか、原因は不明だ。それとも、停電によって軍事時代の政権とは異なることを証明したのだろうか。

本来の典雅な水祭りはミャンマー全土から消えてしまった。銀の器に入れた聖水に樹木の枝葉を浸し、通行人の肩を優しく叩くように、振り掛けるのである。しかも、この聖水には妙なる香り付けがしてある。通行人も立ち止まってこの聖水をありがたく受けとめる。

だから、今でも政府首脳がネイピードーで外交団夫妻を招待する園遊会では、この優雅な古典方式が採用されているはずだ。

これこそシックに着飾った大人や年配者が楽しむ水祭りであった。だが、いつの頃からか、若者たちだけが楽しむ高水圧の消防ホースやガキ達の高性能水鉄砲に取って代わられた。ただ単に有為転変は世の習いと受け止めてよいものだろうか。



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02:醜いアメリカ人

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とは言え、メルマガ今週号は15日(水)の発行で、水祭りのど真ん中である。「水祭り雑感その二」と題してヤンゴンからお届けしたい。

アメリカ人は昔から、ジャズのスタンダード名曲と同じく、「On the Sunny Side of the Street」が大好きである。そして、このクラクラするような猛暑の中でも、超紫外線防止も施さず、肌の露出度満点に道路の陽の当たる側を歩いている。

彼らはここで初歩的な間違いを二つ起こしているが、まったくそれに気づいていない。だから、彼らは陽気なアメリカ人である。

太陽が頭上に達しても、道路の左右どちらかの壁に沿ってわずかな影を識別する。そしてタタミの縁に沿って歩く裏千家の流儀でその陰に隠れて歩行する。しかも、タナカでしっかりとUVカットを施している。そして肌は決して露出しない。これこそ、トロピカルの真夏の歩き方である。

そこで参考になるのが、ヤンゴン名物の野良犬である。彼らは日陰を識別するのみならず、わずかな風の流れを知っている。家の中では猫族に限る。彼らは真夏でも最も涼しい場所を知るプロ中のプロである。

今、アメリカ勢はエルドラドといわれるミャンマーに飛び込んで、おいしいところは日本勢に取られたと地団駄を踏んでいる。それは彼らが犬猫に学ぶ謙虚さに欠けているせいだろう。

そして、もうひとつ重要なことはアメリカ人が東洋の心を理解できずに攻めあぐねているあたりにも原因がありそうだ。1963年のハリウッド映画「醜いアメリカ人」でも鑑賞して東南アジアを、そしてミャンマーをじっくりと勉強することだ。

これはアメリカでベストセラーとなった同名の小説が下敷きとなっているが、映画ファンにとって興味を惹くのは、マーロン・ブランドが東南アジア某国の米国大使を演じ、姉のジョイスリン・ブランドも顔を見せていることである。そして岡田英次が流暢な英語で反政府民衆を煽る指導者を演じている。タイでもない、ベトナムでもない、ましてやビルマでもない東南アジアの某国が舞台となるフィクションだ。某国とはいえ、タイにもビルマにも当てはまる作品である。アメリカ人だけでなく日本人にもお勧めしたい映画である。このコピーはミャンマーの某所で手に入る。



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03:目明き千人めくら千人?

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スフィンクスの謎かけではないが、真夏のヤンゴンでも朝・昼・晩、気温は刻々と変化する。早朝は意外と涼しく、窓を開け放つと涼風が東西に吹きぬける。だが、それもせいぜい朝8時までだ。そして午前11時ともなると、外からムッとする熱風が部屋の中に入ってくる。その変化を感じる直前に東西の窓を閉め切る。

熱いトタンの屋根裏部屋でもない限り、暗い室内で何もせず昼寝でもして日中をやり過ごすのが、ヤンゴン下町での裏千家の流儀である。それを昨日今日来たばかりの外国人経営者が、ミャンマー人は怠け者だ、納期に間に合わないとばかりに、過剰な労働を押し付ける。それで失敗した中国や韓国の経営者もいる。トロピカルの実情を知らないのである。

リー・クワン・ユーがどうして偉大だったのか?
その答えは多々あるだろう。だが、彼の目の付け所は違っていた。他とはまったく異なっていた。リー・クワン・ユーはエアコンの設置を奨励したのである。赤道直下のシンガポールで、マレー人は怠惰であると外国人が結論付けるのは簡単だ。だが、リー・クワン・ユーは、マレー人が怠惰なのではなく、置かれた労働環境が適していないと、見抜いた。

ヤンゴンに話を戻そう。そして夕方になると、まだ西日は沈んでいないにもかかわらず、どこからともなく涼風が吹いてくる。ヤンゴン川の影響が多分にあるのだろう。そして再度、窓を開け放つ。涼風が室内を通り抜ける。見た目だけでアパートを賃借する外国人は多数いる。だが、一日の風の流れを調べる用意周到な外国人は少ない。

見た目は広い芝生が美しい大邸宅である。だが、雨季になると低地のため常に水没。しかも、蛇が出没するという。夜タクシーで戻ってくると、車内で革靴を脱ぎ、ズボンをたくし上げ、暗い邸内を裸足で恐る恐る歩き、玄関にたどり着く。もう二度と夜の宴会はお断り。一年の契約が切れると、早々に退散したという日本人もいる。



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04:水祭りの休暇明けに外銀が営業開始

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前回はウワサの範囲だったが、外銀の営業開始はホンモノのようだ。GNLM紙が伝えている。
東京三菱UFJ銀行、住友三井銀行、オーバーシーズ・チャイニーズ銀行の三行はミャンマー中央銀行の厳格な最終審査に合格し、水祭りの休暇が明けると同時に営業を開始するという。
そして年内11月ころにはヤンゴン株式市場もオープンされるという。

ミャンマーでは着実に改革が進行しているようだ。



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05:朋あり、遠方より来る、また楽しからずや!!

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ワタシが是非とも読みたいと思っていた書籍を何冊も、探し出してはゲットして、日本から駆けつけてくれた友人がいる。ワタシにとっては真夏のサンタクロースのような恩人だ。一冊一冊が貴重な書籍である。この水祭り休暇を利用して、シンガポールや、南半球のオーストラリアで過ごすリッチな友人もいる。だが、この騒々しいヤンゴンで、この貴重な書籍を一ページ一ページ読み耽るというリッチさは友人にも勝る贅沢である。

そして日中はこの友人とダウンタウンの特設パンドールを次から次に徘徊しながら、ミャンマーの世相を横目で眺め、そして新たな地元友人とも知り合い、水掛ならぬビールかけ祭りを二人で大いに楽しんでいる。

ミャンマーのゴールデンウィークはまだまだ続く大いに楽しんでいただきたい。
皆様のご健勝と、新しい年のご活躍をお祈りしたします。






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