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<ミャンマーで今、何が?> Vol.145
2015.05.20

http://www.fis-net.co.jp/Myanmar

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■ピジョン・ブラッド?

 ・01:ミャンマー原産“サンライズ・ルビー

 ・02:ルビーの最高級品はピジョン・ブラッド

 ・03:ルビー

 ・04:世界でもっとも有名なルビー

 ・05:オークション

 ・06:カルティエ

 ・07:2014年1月からクリントン夫妻が稼いだ所得は最低US$30百万

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01:ミャンマー原産“サンライズ・ルビー”

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先週のことである。2015年5月12日、スイスのジュネーブで「高貴で壮麗な宝飾品販売会」と銘打ったサザビーズのオークションが開催された。そこで “サンライズ・ルビー”と名付けられた25.59カラットのミャンマー原産ルビーがカルティエ宝飾コレクションから出品された。

そこで、ルビーとしては世界史上最高価格のUS$30.3百万の値が付いた。それはルビーだけではなく、ダイアモンドを含めての全宝石の史上最高価格となった。さらには、2014年11月11日のクリスティーズ・オークションで“アジアの青い貴婦人”と名付けられた392.52カラットのスリランカ産サファイアの史上最高値US$17.7百万もかるく上回った。

念のために、卓上計算機で@120円を掛けてみると、36億3千6百万円となる。ワタシの得意な何でも百円で換算しても、30億3千万円となる。

ミャンマー産というと、“安価で品質劣悪”と罰当たりなことをいう人がいるが、宝石の世界だとそれはまったく逆だ。よくご存知の通り、世界の上流社会では、ミャンマー原産というと、貴婦人方の目の輝きがガラリと変わる。

私事ながら、5月1日に猫の額のベランダで鳩の夫婦が小鳩を孵した。鳩の血は本当に真紅なのだろうか?



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02;ルビーの最高級品はピジョン・ブラッド

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日本人感覚としては、“鳴いて血を吐くホトトギス”なら分かる。だが、どうして鳩の血なのかそれが分からない。

ミャンマーには“ルビーの谷”と呼ばれる一帯がある。それが知る人ぞ知るモゴックである。
ほんの数年前にミャンマー政府は立入りを緩和したが、それまでは、何十年にもわたって外国人オフリミットの地域であった。マンダレーから北東200kmに位置し、現在は舗装道路でつながっている。ここでは高品質のルビーだけでなく、サファイア、スピネル、ムーンストーン、ジルコン、ガーネット、アメジストなどが採掘される。

数億年前にインド大陸とアジア大陸が大激突したときに、想像を絶する超高熱と超高圧がモゴックを中心とする一帯に影響を及ぼしたとの説を述べる地質学者もいる。

そこで産出される世界最高品質のルビーを世界中の宝石商が“ピジョン・ブラッド”と呼ぶ。安易に“鳩の血”のように真紅だからと紹介する日本語記事もあるが、どうして鳩の血なのかが、分からない。それを原典に基づいて説明してくれる情報が見つからない。どんな動物でも、血を流せばみな赤い。鳥類でも、みな同様に赤いはずだ。それをどうして鳩の血に絞ったのか、そのいわれが見つからない。もし読者でご存知の方がいらしたら、是非とも教えていただきたい。



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03:ルビー

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コランダムの一種で鋼玉ともいう。赤色宝石の代表として、古来珍重されている。7月の誕生石。赤色は微量に含まれるクロムによる。ミャンマー、タイ、スリランカ、インドなどが主産地とされる。世界最大のルビーはロシア皇帝の宝冠についていた414.3カラットといわれているが、ロシア革命以降はその行方が知れない。

モースの硬度表によれば、コランダムは硬度9.0の鉱物で、ルビーは10.0のダイアモンドについで硬い宝石とされている。

ダイアモンドの鑑定評価には四つのCが重要視される。すなわち、カラー、カット、クラリティ(透明さ)、カラット重量だが、ルビーの評価にはそれにプラスしてサイズと原産地が重要な要素となっている。それでミャンマー原産とくれば、世界第一級品の折り紙が付く。



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04:世界でもっとも有名なルビー

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041 ワシントンDCにあるスミソニアン自然史国立博物館は世でも珍しいルビーを寄贈された。実業家で慈善家のピーター・バックが亡くなった妻カルメン・ルチアの思い出にと寄贈したものだ。プラチナの台座にダイアモンドをあしらった23.1カラットのモゴック産ルビーの指輪である。

042 2011年12月13-14日、エリザベス・テーラーの全宝石コレクションと銘打ったオークションがクリスティーで開催された。その中には、何品かのルビーのセットも含まれていた。特に有名なのは、8.24カラットのルビーで、これはUS$4.2百万の値が付き、一カラット当りの単価のUS$512,925は史上最高となった。同時に、ルビーのネックレスもUS$3.7百万で売却された。

そして今回の“サンライズ・ルビー”の登場である。



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05:オークション

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オークションとは交易のための競売で、その歴史は古い。ギリシャの歴史家ヘロドトスによれば、紀元前500年のバビロンで、結婚のために女性をオークションにかけたとの記述がある。日本でいえば、築地の魚市場がまさにオークションである。最高価格をつけた業者にマグロが競り落とされていく。

今回の“サンライズ・ルビー”のような宝石のオークションは、美術品競売(アート・オークション)と呼ばれ、いまでは、サザビーズとクリスティーズが世界最大手の美術品競売会社といわれている。ともに、ロンドンで創業され、ロンドンとニューヨークを拠点に、世界各地に事業所を持ち、美術品の鑑定、修復、補修事業、不動産業など多角的な事業を展開している。

サザビーズは1744年にサミュエル・ベーカーが書籍商としてロンドンに創立し、愛蔵家の故人の書籍を扱った。現在はロンドンのニューボンド街34-35番地に本店を置いている。
クリスティーズは元海軍士官のジェームズ・クリスティーが1766年にロンドンのクラブ街パルマンに美術品の競売会社を創業し、本店は現在ロンドンのキング街8番地のセント・ジェームズ広場にある。1766年に世界初のオークション・カタログを発行している。

実は、このオークション競売は、ミャンマー政府が大好きな方式で、ある省庁が特別の資材を調達する場合、あるいは空港などのプロジェクトを、このオークション方式で請け負い業者を決定する。ミャンマーの新聞を見ていると、いろんな分野で、オークション参加者を呼びかけている。



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06:カルティエ

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カルティエは1847年に、ルイ・フランソワ・カルティエがフランスのパリで創業した時計・宝飾品の製造・販売業者で、特に宝石と腕時計で知れられ有名ブランドである。

これらの製品をロイヤル・ファミリーやセレブに納めてきた長い歴史がある。英国王のエドワード7世はカルティエを評して「王さまたちの宝石商人で、宝石商のキングである」と。1902年のエドワード7世の戴冠式には27個のティアラが発注され、1904年には、王室ご用達の特許が発行された。そのあと間もなく、スペイン、ポルトガル、ロシア、タイ、ギリシャ、セルビア、ベルギー、ルーマニア、エジプト、アルバニア、モナコ、オルレアンなどの王家・宮廷から、同様の王室ご用達が発行されている。

そして今では、世界の空港の免税店で、あるいは世界のブランド品の名店街で超高級品としてのブランド名を誇っている。



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07:2014年1月からクリントン夫妻が稼いだ所得は最低US$30百万

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これは5月17日付GNLM紙に掲載されたロイター通信の記事である。
米国元大統領夫妻が100回以上の演説会で稼いだUS$25百万を含めたもので、元ファースト・レディは2016年の大統領を狙う、民主党指名候補のトップを走る超有名人でもある。その彼女が書いた「厳しい選択」は昨年6月に発売されたが、その著作権料も含まれている。

この収入は全米人口のわずか0.1%という特権階級であるスーパーリッチ層にクリントン夫妻を押し上げた。

ヒラリー・クリントンは、2001年に夫妻がホワイト・ハウスを去ったときには、家計は破産状態であったと、昨年告白した。だが、ビル・クリントンは大統領辞任後、講演会に招かれて何百万ドルも稼ぎ出し、元トップ外交官・上院議員・ファーストレディであったヒラリー・クリントンは2013年に国務長官を退官後、一回の講演会でUS$250,000を稼ぎ出している。

政治的な話題は端折るとして、この超セレブである元米国大統領夫妻が働きに働いて、多分汗水たらして、稼ぎ出した金額がUS$30百万である。それを軽々と一回のオークションで稼ぎ出したのが、ミャンマー原産のルビー一個である。

落札者は電話で史上最高額を提示した匿名者となっている。


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