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<ミャンマーで今、何が?> Vol.149
2015.06.17

http://www.fis-net.co.jp/Myanmar

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■ミャンマーの今を、概観

 ・01:15年の歳月

 ・02:今も生きている鬼畜・米英

 ・03:大統領への道

 ・04:そこで、しつこくボートピープル問題

 ・05:人口100億に挑戦

 ・06:ロヒンジャーに市民権を与えないのは非人道的

 ・07:ラカイン村から関係四カ国に問題発展

 ・08:白人社会に対する有色人社会

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01:15年の歳月

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ヤンゴンに15年も住んでいると、前半のミャンマーは時間がゆったりと大河のよ
うに流れていた。だが、最近は激流のように時が流れ、流れが変化していく。と
てもではないが、この激変にはついてゆけない。

2012年7月はじめに「ミャンマーで今、何が?」「センチメンタル・ジャーニー
 ザ・レディ」の二本をメルマガ創刊のご案内版として立ち上げた。

そして同年7月10日に第一号「駐ミャンマー米国新任大使“デレック・ミッチェ
ル”とは?」を創刊し、7月17日から第二号「ビルマ or ミャンマー」へと続
いていく。

読者の皆さまの叱咤激励に背中を押されて、細々と第149号にまでなんとか辿り
ついたようである。これも、皆さまのご支援の賜物と厚く御礼申し上げます。

当初、メルマガ創刊のお話をしたときに、翌年2013年はアセアンのオリンピック、
すなわちSEAGAMEのホスト国をミャンマーが務め、同様に2014年は注目のアセア
ン首脳会議のホスト国も決定していた。そして、2015年末には大望の国内総選挙
で、スーチーさんの出馬も視野に入れると、天下分け目の年になるかかもしれな
い。したがって、新大統領以降は読めないが、2015年末までのメルマガ話題には
事欠かないと、大法螺を吹いた記憶がある。

その約束した2015年も残り半分となってきた。ウィスキーのコマーシャルではな
いが、もう半分過ぎてしまったと見るか、まだ半分あると見るか、その人それぞ
れである。



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02:今も生きている鬼畜・米英

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実は告白すると、ワタシの本籍はノンポリ学生のはしりで、政治ほどこの世でつ
まらないものはなく、政治に巻き込まれるのは人生の無駄だと、今でもそう思っ
ている。

その元ノンポリ学生が、残り少ない人生で、異常な執念を燃やしているのが「英
語」というとらえようのない巨大な風車である。学生時代そして現役時代に痛め
つけられた「英語」という奇怪な言語には生涯恨みがある。敵討ちは生きてるう
ちに果たさねばならない。そこで「英語」に対するリベンジを決意した。だが。
ワタシにはロシナンテというよぼよぼの馬も、サンチョパンサという頼りがいの
ない助っ人もいない。素手で闘うしかない。だが、日本の伝統技のほとんどは素
手で闘ってきた。柔道も、空手も、相撲もそうだ。それなら自己を鍛えるしかな
い。そこに活路はないだろうか?

そこで、片っ端からミャンマーに関する英文ニュースをネット・新聞などのメデ
ィアから拾ううちに生まれたのが、「ミャンマーで今、何が?」という副産物で
ある。もうひとつ見えてきた副産物がある。それは、世界のメディアは欧米の利
益に有利な思想に汚染されてきたのではないかという漠然とした疑問である。
「英語」による情報は、即座に世界中を駆け巡る。影響力という点では残念なが
ら「日本語」など犬の遠吠えにもならない。

今回のミャンマー発「ボートピープル」を巡る欧米報道は、白人主導のエゴの考
えをチェックする格好のケーススタディとなる。と同時にテインセイン大統領の、
真骨頂を見極める非常におもしろい題材とも思える。メルマガ読者にはしつっこ
いと思われるかもしれないが、今年後半はたっぷりと、年末までしつっこくこの
「ボートピープル問題」を追求していきたい。そのしつっこさに耐えられない読
者には、最近の日本語情報誌が充実してきたので、そちらへの変更をお勧めした
い。



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03:大統領への道

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かなり前のことだが、反体制派のスーチー党首にとっての2015年は、現役・旧軍
人グループないしは保守頑迷派の陰謀でエネルギー消耗戦に追い込まれると書い
た。今年11月といわれている国民総選挙ギリギリまで、そのネチネチは続くもの
と思われる。

1990年の総選挙で反体制派のNLDが圧勝したという事実は、軍事政権の悪夢とい
うかトラウマとしてしっかりと刻印されている。だから2015年の総選挙でまった
く同じ雪崩現象が再現することを彼らは極度に恐れている。彼らにとり、その唯
一の防波堤が憲法改正問題である。

与党USDPは、NLDへの雪崩現象を薄めるために少数地方政党の乱立および登録を
勧誘し、票の分散を図ろうとしている。GNLM紙には選挙委員会が認証した新政党
の名前とエンブレムが毎日のように掲載されている。

日本の毎日新聞英語版がミャンマー国防三軍の総帥ミンアウンライン上級大将と
の独占インタビュー記事を掲載したと最近ウワサになっている。このメルマガで
も、この人物のGNLM英字日刊紙への登場回数が大統領並みに目立って多くなった
と紹介した。

このメルマガの判断は、同大将にはたして大統領の職が勤まるか否かを闇将軍は
テスト中だと書いた。すなわち、テインセイン大統領を上回る能力があるか、こ
れは外国首脳の捌き方、あるいは外国メディアへの発言・対応でポカはないか、
外国の受けはどうか、国内の舵取りがカテゴリー別にすばやく対処できるか、す
なわちボールが飛んできたら正当な理由をつけてすばやく相手コートに打ち返せ
るかなどのテストである。

確かに闇将軍の忠実なスタッフではあるが、テインセイン大統領の過去3年半の
パフォーマンスを超えることは、メディアの行間から読み取る限り難しいと見た。
仮に軍服を脱いで市民服に着替えたところで、外国のマスメディアおよび欧米政
府の批判は厳しく、民主化の大幅後退としか映らない、次期大統領の可能性はほ
とんどないと見ている。

では、シュエマン下院議長はどうだろう。確かに現在与党USDPの党首でその議員
数からしても、常識的には次期大統領に一番近い位置にある。本人が大統領職に
意欲満々なところが、逆に闇将軍からは敬遠されるているような気がしてならな
い。与党USDPの党首をテインセイン大統領から禅譲されているが、今年テインセ
イン大統領がカムバックするとのウワサが党員・議員たちの間で、真剣に囁かれ
た。
逆に、テインセイン大統領は権勢欲を絶対に表に出さない人物である。



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04:そこで、しつこくボートピープル問題

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ボートピープル問題が地方ネタから、最近は確実に国際ネタに昇格した。ミャン
マーにとってはというよりも、テインセイン大統領にとって、行動を起こす環境
が整ってきたように思える。あとはいつ仕掛けるかのタイミングだけだ。その命
運は大統領の采配ひとつに掛かっている。

ミャンマー北西部のラカイン州は本来敬虔な仏教王国であった。その北隣りはム
スレム国のバングラデシュ。ひと昔前はムスレム国の東パキスタン、そしてもう
一つ前は英国植民地下インドのヒンドゥー国としてのベンガル州であった。

1947年に主にヒンドゥー教徒の国インドは英国の支配下から独立したが、同時に
イスラム共和国として東パキスタンと西パキスタンという新しい兄弟国も誕生し
た。そしてこの東と西で内輪もめが続き1971年に東パキスタンはバングラデシュ
として再び独立した。もちろんイスラム教徒の国で大半はベンガル人である。

だが、一番の問題はバングラデシュが世界有数の人口過剰国で、しかも世界有数
の貧乏国ということにある。余剰労働力は当然国外を目指すことになる。金持ち
ならば、海外旅行気分でバジェット航空券を購入するのに問題はないが、なんせ
職にあぶれた連中である。手許不如意である。

国外で手っ取り早いのは隣国だが、東北西の国境を接するインドは歴史的にムス
レム教徒に厳しいところがある。そこで南東国境を接するミャンマーがもっとも
近い外国となる。しかも夜陰にまぎれて忍び込むのもそう難しいことではない。
しかも、仏教徒は優しい性格だ。それだけでなく、英国の植民地時代労働力確保
で多くの西ベンガル人が多数ミャンマーに移植させられた。親族や友人を頼って
いけば何とか食っていくことができるだろう。バングラで夢のない失業生活を送
るよりずっと良い。



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05:人口100億に挑戦

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これは現在世界中で発生している現象だが、ムスレム教徒の人口製造能力は世界
でもずば抜けたパワーをもっている。金持ちならおカミさんを四人まで持てるし、
しかも公平に愛してあげねばならない。だから、地球の人口爆発に寄与している
のは理屈で分かる。

だが、失礼ながら、貧乏人のムスレムが居住して地域は地球上でも電気がない村々
が非常に多い。日本人が居酒屋で酔っ払っている時間帯。そしてミャンマー人が
フットボールゲームをテレビで観戦している時間帯、彼らは暗闇の中で夜のスポー
ツに専念せざるを得ない。ほかに楽しみがないのだから、それは同情せざるを得
ない。

問題なのは、聞いた話だが、彼らは計画出産とか産児制限をしないというという
ことにありそうだ。それとも、夫婦ともに身体能力にずば抜けて優れているせい
なのだろうか、その辺りは東西南北研究所にも資料がない。

G7とか、リッチな金持ち国が、品のない経済成長率で競い合うのであれば、ム
スレム国の貧しい友人たちが、オレたちのスーパーパワーで競って、地球の人口
をまもなく100億突破してやるぞと、いきまいて何が悪いのであろう、と話は脱
線したが、これが「ボートピープル」のひとつの大きな問題点である。



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06:ロヒンジャーに市民権を与えないのは非人道的

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もともとは仏教国であったラカイン州でも、気がつくと、最初は少人数のベンガ
リ族だったのが、あるいはロヒンジャーの家族が雪だるま式に増えていく。気が
つくと、コーランを学習する子供たちの寺子屋が、そして大人たちが一日5回祈
りを捧げるモスクがあちこちに建ちはじめ、朝っぱらから格調の高い祈りがスピー
カーで増幅され周辺一帯に流される。気がつくと、敬虔な仏教国がアラビアンナ
イトの世界に変わっている。そこで危機感を抱いた仏教徒の僧侶が、このままで
は仏教は消滅し、コーランの世界になってしまうと、信者に訴える。

イスラム教の始祖自身が商人出身で、ムスレム商人のテクニックは兄弟格である
ユダヤ人とともに世界中でも卓抜したものがある。だから、最初は片足の爪先だ
けをラカイン州に忍び込ませ、時間を掛けてじわじわとラカイン領土に入り込む、
おっとりした仏教徒が気がついたころにはもう一方の片足もラカイン州内に収まっ
ているという感じだろうか。

仏教徒の気がつくのも遅かったが、危機感は募り、モスクの焼き討ちなどが始ま
り、双方の鍔迫り合いは過激化していく。そのころから、欧米メディアが着目し、
欧米の人権問題活動家が入り込み、国連機関の一部まで、大騒ぎするようになる。
そしてオバマ大統領やクリントン国務長官まで、テインセイン大統領に、早急に
問題を解決しろと言う。

テインセイン大統領は、もともとは英国の植民地時代にその芽は発芽したもので、
ミャンマー固有の問題ではない。しかも、最近の違法入国者は隣国の経済難民で
あり、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)などが、国外に難民非難キャンプを
設置するのであれば、ミャンマー政府は喜んで送還する協力を行う。さらに、ミ
ャンマーにはビルマ族以外に135の少数民族が居住しているが、ロヒンジャーと
いうのはもともとのミャンマー少数民族ではないと海外首脳および国連から非難
されるたびに正式に回答している。

日本の歴代首脳とは違い、米国のオバマ大統領から非難されても、オタオタする
ことなく堂々とこのように回答できるテインセイン大統領の説明を東西南北は理
があると見ている。

米国政府も国連機関も、当初はロヒンジャー問題をミャンマーの国内問題として
閉じ込める強い意図があった。それで、欧米系メディアを総動員して、ミャンマー
政府が、軍事政権がと非難の大コーラスであった。



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07:ラカイン村から関係四カ国に問題発展

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なお、ベンガリ語では正確には“ロヒンギャ”と呼ぶらしいが、欧米報道が“ロ
ヒンジャー”と呼び、これが現在は大勢を占めているので、このメルマガでもそ
れを採用している。しかし、ミャンマー政府が認める135の少数民族には“ロヒ
ンジャー”と呼ぶ人種は存在せず、英国植民地の時代に移住してきたベンガリ族
およびその子孫はミャンマー市民として認めているというのが、正式見解である。


そのロヒンジャーを含めて、イスラム教徒にとってミャンマーは虐待を受け住み
にくくなったとのウワサで、ボートピープルは一気にミャンマーをパスしてタイ・
マレーシアを目指すようになった。ところがタイもボートピープルに厳しくなり、
難民ボートは沖合いに曳航されるようになった。

それならば、やっぱりイスラム教徒の国であるマレーシア・インドネシアを目指
す以外にないと、危険を承知で、食料も飲料水もなく、オンボロ木造船で航海を
続ける。人権擁護団体によれば、常時2500名がアンダマン海からマラッカ海峡を
漂流しているという。

特に人権問題の大好きな欧米メディアにとってこれは格好のニュースである。世
界中のニュースチャネルが、そして一流日刊紙までがトップで取上げるようになっ
た。米国大統領には何とかしろと世界中の有名人権団体から圧力が掛かる。オバ
マ大統領としても関係各国、すなわちミャンマー・タイ・マレーシア・インドネ
シア(関係四カ国)の米国大使館を通じて各国政府にプレッシャーが掛かる。お
前たちで何とかしろと言うわけである。ミャンマー政府にとってのひとつの成功
は、ラカイン村へのプレッシャーが今は、関係四カ国に拡散されたわけだ。だが、
オバマさんを含めて欧米の頭は問題を関係四カ国に閉じ込めてお前たちで解決し
ろというところに、彼らの陰険さがある。
案の定、四カ国だけでは解決できない。東西南北が指摘するとおり、奥の深い歴
史的な、そして人種不平等に関する蔑視が西欧社会に蔓延しているからだ。



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08:白人社会に対する有色人社会

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むかし、三等国か四等国の日本が、非白人国家(あるいは有色人種)として唯一
Gセブンのメンバーとなっている。おさらいすると、Gセブンとは米・英・独・仏・
伊・加・日本の七カ国である。モシ日本代表が非白人国家の代表としての気概を
見せてくれれば、向こう正面から「待ってましたアベチャン」と声が掛かるだろ
うが、モシ考え違いをしているのであれば、逆に非白人国家からブーイングを食
らうことになるだろう。大東亜戦争がそうであったように。

何を言いたいかというと、前にお伝えしたが、白人国家であるオーストラリアも、
NZもこのボートピープルには漂着してほしくないのが本音であり、彼らの議会で
もその方針で考えがまとまっている。

これも前に書いたが、ヨーロッパでも同じボートピープルが地中海をボロ舟で渡
り、イタリアへ、フランスへと危険を冒している。そして、人権問題に敏感な欧
州諸国でも、ボート難民の受け入れは絶対に反対だと議会でも真剣に討議されて
いる。

繰り返すが、アンダマン海・マラッカ海峡のボート難民に対しては非人道的だと
わめきながら、自国への受け入れは絶対反対を主張しているのが西洋社会である。


一方で、若年労働力の枯渇に悩む先進国は多い。労働力は欲しい。だが、犯罪が
増えるのは困る。自国の伝統に悪影響である。などなど、討議する問題は山ほど
ある。

要領が悪いせいか、またまた紙数が尽きてしまった。と言いながら、今年末まで
は何とかメルマガ連載を持続させたい。


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