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<ミャンマーで今、何が?> Vol.151
2015.07.01

http://www.fis-net.co.jp/Myanmar

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■ヤンゴンの秘密クラブ

 ・01:ヤンゴンの秘密「クラブ60」

 ・02:まずは未知の読者に御礼

 ・03:往年の名画を思い出すゲストハウス

 ・04:アラビアン・ナイトの世界

 ・05:そこでテインセイン大統領にご相談

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01:ヤンゴンの秘密「クラブ60」

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ヤンゴン川近くに秘密の「クラブ60」がある。知る人ぞ知るだが、知らない人はまったく知らない。いまのところ、秘密警察とか国税庁から強制捜査とか、摘発を受けたというウワサは聞こえてこない。午後6時が開店時間だが、どうしても喉が渇いたという会員には、五時ごろから密かにドアを開けているようだ。

厳格な審査をパスした特別会員のみにドアはオープンされるという。アル・カポネ時代のシカゴと同じで、パスワードが通じないとドアは開かない。Speak EasyでSpeak Softlyの要領だ。飲み食い、つまみも、すべて自前の持ち込み制となっている。会費・利用代金その他の費用は一切徴収されない。したがって、ここは商売を営んでいるのではなく、創立時のロイズ保険のコーヒー・ハウスを髣髴させるというか、伝統的な英国式クラブを模倣したようなものだ。

ゲストブックを覗いてみると、ミャンマー人はもちろん、それもタクシーの運ちゃんから、ミャンマーのマハラジャと呼ばれるソオボアまで。それに英国人、米国人、カナダ人、スウェーデン人、各地のユダヤ人、インド人、中国人、この両国は奥行きが深く、インド・中国としてだけでくくると大事なものを見逃してしまう。それに韓国人、マレーシア・タイ人も、もちろん日本人も、国境を越えて、宗教・人種・職業・年齢・性別の偏見なしにやってくる。驚かされたのがウクライナの女性の名前まで記帳されていた。ここでは我をはらない個性がブレイン・ストーミングをやるラウンジでもある。

管理人らしき白いひげを生やしたむさくるしい老人がひとりいる。だが、シャイで無口で、世界中からやってくる皆さんの情報に聞き耳を立てるのが、どうも趣味らしい。どういうわけか、そこでの話題が、「ミャンマーでいま、何が?」にリークされるることもあるとのウワサだが、その証拠はまだ解明されていない。



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02:まずは未知の読者に御礼

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ケイさん、あるいはMr.K、「ミャンマーでいま、何が?」への応援歌ありがとうございます。
その他、ヤンゴン最高齢のNさん、あるいはIさん。そしてYさんも。それぞれに好意的なメールありがとうございます。実に励みになります。
機会があれば、雨の音でも聞きながら、そして運がよければ、ヤンゴン港からのあるいはヤンゴン港への出船・入船の汽笛を聞きながら、いちど「クラブ60」でゆっくりと語り合いたいものですね。

なお、クラブ名の“60”という数字が一人歩きし、ヤンゴン下街60番街を探したり、60歳以上でないと会員になれないと誤解される方がおられるようだが、両方ともに当たっていない。何時か、ついでの折にネーミングの由来を調べておきましょう。

このメルマガではバランス感覚も保ちたいので、オマエのあの記事はこれこれの理由でけしからんとかのご批判も大いに感謝いたします。



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03:往年の名画を思い出すゲストハウス

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まず名前からして、誰もが、ハリウッド名画を思い出すだろう。だが、ホテルではなくゲストハウスだ。古色蒼然とした、植民地スタイルの、歴史を感じさせる建物が、ヤンゴンのアルメニア教会の近くにあった。過去形で書いたのは、すでに取り壊し作業に入り、まもなく、何の取り柄もないただの高層ビルに建替えられるはずだからである。

オーナーはとっくの昔に本国でリタイアしたアイルランド人であった。ビルマでの投資を考えていたが、当時はこのゲストハウスだけであった。アイルランドの厳しい冬はヤンゴンで過ごし、ヤンゴンが暑くなると母国に帰っていった。名前はマックではじまる典型的なアイリッシュであった。

狭い階段を上がった二階が入口で、受付などなく、チークとマホガニーをふんだんに使ったゆったりとしたラウンジが印象的だった。天井まで届くガラス戸を引くと、ファサードの上にゆったりしたオープン・テラスが展開する。まず圧倒されるのが、大通りの街路樹であるローズウッドの大木が鬱蒼と生い茂り、この屋上ガーデンをパラソルのように蔽い、小雨でも、強い日差しでも。まったく気にせずにこのテラスで飲食・歓談できた。風雨が強くなると、中のラウンジに移ればよい。

月に一回、金曜日の夜に、ビジネス・フォーラムがここで開催された。テインセイン大統領が登場する何年か前の話だ。欧米人が主体だったが、人種も国籍も職種も雑多だった。何代か前にラングーンに定住して成功したインド人の二代目・三代目も混ざっていた。当時は、ビジネス環境が整備されていなかったので、ビジネス・フォーラムというよりも、むしろ情報交換の場であった。仲間と酒を酌み交わしながら、軍と手を握ったが最後は裏切られたなど、他人の失敗談に花を咲かしたり、たわいもない街のウワサ話で飲み食いを楽しんだ。

ピッチが上がると、それぞれにトイレが近くなる。年齢のせいかもしれない。マックも腹回りは普通の日本人の二倍はゆうにある巨大なビア樽型だ。後半は頻繁にトイレに立つ。せっかくび腹に納めたウィスキーだが、最初っからボトルをトイレの朝顔に流したほうが、トイレ往復の手間隙が省けるのじゃないかとからかうと、真面目な顔をして、たしなめられた。

だから日本人は面白くない。真面目すぎる。いつも、効率、効率、そしてさらに完璧を求め、最後には故障しない完成車をつくりあげてしまう。味も素っ気もないじゃないか。アメ車のように、ガソリンを大量に消費し、頻繁に故障する車をつくれば、ガソリンスタンドも儲かり、修理屋も仕事にありつける。人生とは無駄こそ、最高の贅沢なんだ。もっと飲め、そしてトイレに何度も往復するんだ。歩くことは健康にも良い。さあ飲め。貧乏人にはこんな贅沢はできないぞ。ノーブレス・オブリージだ。無駄は金持ちの特権で義務なんだとばかりに、人生を哲学をとうとうと語り、そしてまたトイレに立つ。

ほかにハワイに住むという風変わりなユダヤ人にもここで出会った。どういう訳か、海部俊樹、森喜朗、小泉純一郎など日本の歴代総理とツーショットで映った写真を何枚も見せてくれた。中曽根康弘もいたかもしれない。とにかく怪しげな日本語が印象的だった。

テキサスからきたという年輩のレディは、胸元を大きく開け、若い頃は、相当男を手玉に取ったのだろうと想像させる風情だった。テラスで夜風に吹かれながら、エリザベス・テーラーにも負けない結婚歴を聞かせてくれた。そして別れるたびに、離婚太りをしてきたという。体重のハナシではない。財産のハナシである。優秀な弁護士さえ見つければ簡単よと秘訣を教えてくれた。最後の被害者はテキサスの石油王の息子だったという。妖しい目つきでジッと見つめられたが、こちとらはポケットの1万チャットが全財産だ。半分の5千チャットをその優秀な弁護士に巻きあげられるかと思うと、気の弱い貧乏人は、そのゲームを途中で降りてしまった。

元王立海軍士官という英国紳士は、日本人に会えるということで、特別のネクタイを絞めて来てくれた。菊の葉っぱが一枚少ないという紋章で、皇居の園遊会で下賜されたという。

米国やロシアの非常に洗練された紳士にも出会った。まったくそのそぶりは見せなかったが、後で振り返ると、高度な政治の話し、頭の回転の鋭さから、ひょっとして007と同業ではないかと思えるフシがあった。

その他にも、中南米の軍人ゴロみたいなのが、戦闘訓練のカリキュラムをビルマ空軍に売り込みに来たといっていた。仲間は実践訓練を積んだ優秀なパイロットばかりだという。

ビルマは、そしてミャンマーは、昔も今も変わりなく、このような怪しげな連中を惹き寄せる魅力があるようだ。だが、そのほとんどが、テインセイン大統領誕生前に、ミャンマーを引き払い、いまはどこで新商売を開拓しているのか、まったくウワサにも伝わってこない。



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04:アラビアン・ナイトの世界

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本日は7月1日(水)。2015年も半分終わった。今日から中盤に入る。しかも、今日はミャンマー人の大好きな満月である。

ムスレム(イスラム教徒)にとっても、今はラマダン月の真っ最中。しかもど真ん中である。アト半月、断食を我慢せねばならない。ムスレムの子供たちにとっては、イード・デイが待ち遠しい。ムスレム陰暦の正月だからだ。ムスレムの女性にとっても、イード・デイを待ち焦がれる。新年の金銀宝飾、新しい衣服で身を飾れるからだ。

あの黒装束のムスレム女性の内側を覗いたことがおありだろうか。そこには原色を大胆に使い、まばゆいほど豊潤で色彩色豊かな世界が繰り広げられている。その魅入られる美しさを鑑賞できるのは兄弟などの親族に限られ、そしてその手で直接触れられるのは、法律上の夫に限られている。アラビアン・ナイトの世界である。

彼女たちは自分たちの魅力を、そしてその美しさを、あの黒装束ですっぽりと隠す術を充分に心得ている。そして唯一この世に開かれた、あの魅力的な目で男を殺す。

その黒装束の女性たちが、年端も行かない幼児たちを引っ張って、戦火の中を逃げまどう。黒煙があちこちから立ち上り、路上には手足を吹っ飛ばされた兵隊があすこにもここにも転がっている。こんな写真を見たことがないだろうか。見たことがないどころか、毎日の新聞がこのような報道写真で埋まっている。

21世紀の世の中になったというのに、今なにかが大きく狂っている。この地球上に、本当の指導者はいないのだろうか。今の政治家には、指導者足るべき人物はいない。下手をするとまたしても、変な宗教が新興してくるかもしれない。だが、歴史が証明するように、宗教では世の中は救えない。無力どころか弊害になるケースもある。

どうも、ハナシを無理矢理にロヒンジャーに持っていこうとしているようだ。



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05:そこでテインセイン大統領にご相談

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大統領就任後、これまでに、膝を交えて親しく会談した世界の首脳、高官、投資家、ビジネスマン、著名人などの数は膨大な数にのぼるだろう。それも、ミャンマー国内だけでなく、NYの国連を始め、ロンドン・ワシントン・北京など、世界中の旅がある。それだけではない、ミャンマーの多くの人々にも会われている。

話された内容は、政治、経済、文化、民族、国際平和、国内平和、福祉問題、環境問題、国防問題と、それはそれは多岐にわたったことは充分想像できる。

そして、問題の2015年は、もう半分過ぎた。いや半分残っている。という分水嶺が今日7月1日である。内外のマスコミは、過去から学ばずに来年の新大統領のことばかり占っている。しかし、過去4年間のテインセイン大統領の功績には非凡な卓越した政治手腕があったと見るのが、この「ミャンマーで今、何が?」である。

今年末の総選挙の選挙権を握る国民はいま、土地やアパートの賃料の高騰下落に一喜一憂するだけで、ミャンマーという母国の大きな曲がり角には、何ら関心を示さない。そしてテインセイン大統領の続投を望む声も聞こえてこない。

そこで、どうでしょう。このメルマガが何回か取上げてきた、このボート難民問題を、ミャンマー国内の問題とせずに、世界の問題として、ネイピードで取上げたら。いってみれば、テインセイン大統領の世界に対する逆襲です。

いま世界は、貧乏人と金持ちの二極化が極限まできている。これまでは中間層・中流家庭というバッファーがあったが、いま中間層・中流家庭がリーマンショック以降、世界の貧乏人グループに合併されそうになっている。極端なことをいうと、世界はいま1:9でド貧乏人グループと超金持ちグループに分かれようとしている。

超金持ちグループがバイアグラを使って、いくら頑張っても超金持ちグループの人口を増やすことは不可能だ。なんといってもワレワレ貧乏人グループには、バイアグラなど使わずに毎晩人口爆発可能なムスレム軍団という強い味方がいるからだ。いま日本を含めた欧米の金満国は東南アジア・アフガン・イラク・イエメン・地中海を含めたムスレムとの戦いに問題をすりかえようとしているが、それでは絶対に解決しないことをテインセインさんはご存知のはずだ。

そこで、国連の親分、あるいは世界の指導者になったつもりで、少しばかり暇になったネイピードに衆愚政治家たちを世界中から集めて世界フォーラムの議長をやられたらどうだろう。
これまでの経験からして、貧富格差の問題、人種問題、地球が70億から100億に突進する人口問題、それを救う飲料水の問題、食糧問題、異常気象問題、などなど、テインセインさんの得意分野としてカードを手中にされているはずだ。かなりおもしろい解決策を討論できるはずだ。それにはテインセイン議長がうってつけである。

一気に解決策を採択する必要はない。そう簡単に、解決できるような問題ではないことは、誰もがわかっている。しかし、その采配を振るうことによって、ミャンマーの国民も少しはテインセイン大統領の功績を見直すはずだ。そうすれば、テインセイン大統領に残り5年間、大統領職を継続して欲しいとの声が国民のほうから沸き起こるかもしれない。

すなわち、世界を舞台にキャンペーンを行い、それを今年末の自分自身の大統領選挙に活用するという、欧米から学習させてもらった“すりかえ作戦”である。





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