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<ミャンマーで今、何が?> Vol.160
2015.09.02

http://www.fis-net.co.jp/Myanmar

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■11月8日は丁と出るのか、半とでるのか

 ・01:一寸先は闇、それがミャンマー政治

 ・02:スーチー党首が政治家としての発言

 ・03:選挙どころではない、洪水被害

 ・04:生米は食えない

 ・05:丁とでるか半と出るか?

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01:一寸先は闇、それがミャンマー政治

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ヤンゴンの路上で出会うメルマガ読者から、来年の大統領は最終的に誰ですか、
と最近聞かれた。何度も言い訳するが、ワタシは予想屋ではない。

日刊英字新聞GNLM紙一面への写真付き登場回数が目立って多くなったとお伝えす
ると、次の大統領は最高司令官のミンアウンライン将軍で決まりとか、与党USDP
の党首職をテインセイン大統領から受け継ぐと書くと、大統領はシュエマンで決
定という反応をいただく。

日本では票読みが出来る選挙のプロが総理大臣の椅子を手に入れ、米国であれば
強力な州を押さえられれば押さえるほど大統領の椅子により近づく。ミャンマー
ではそれがまったく読めない。残されたあと三ヶ月間でも、何が起こるか読めな
い。それがミャンマー政治である。一寸先が読めないのである。

だが、事態は国軍がもっとも恐れている方向に進んでいるような気がする。



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02:スーチー党首が政治家としての発言

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与党党首を巡ってネイピードで政変劇が行われた8月13日、最大野党NLDのスーチー
党首はバゴー地区での立会演説で、「今回の総選挙では候補者一人ひとりを吟味
するのではなく、1990年の総選挙、および2012年の補欠選挙と同じように、NLD
という政党に投票してほしい」と訴えた。

そして、スーチー党首は前二回の選挙同様に、NLDが雪崩現象を起こし、今度こ
そ政権をとる三度目の正直になることを望んでおり、僅少差での勝利は望まない
と、強気の発言をしている。

実は、そうなることを一番恐れているのが軍人派閥であり、過去の実績からする
と、そうなる可能性が大なだけに、軍部は2008年憲法を必死に護ろうとしている。


だが、ここからが頭の体操である。

国会の上院・下院で、それぞれ25%の議席を無投票で制服組が自動的に占拠する。
そして残り75%の議席をNLDが完勝したとしよう。そうすれば、上院・下院とも
にNLDがマジョリティを占める。憲法修正以外の法案はNLD提出案が通りやすくな
る。

大統領はNLDの長老あるいは若手を起用するとして、シュエマンが示唆したよう
に、首相職を復活させて、スーチー党首が就任することも可能だ。するとインド
やシンガポールなどと同じように大統領は名目上の元首として祭り上げ、実質上
スーチー首相が国家行政の舵取りを行う。これであれば、大統領にはなれなくて
も、行政上の実権を握り、海外の支援はテインセイン大統領以上に取り付けやす
くなる。

そこで、スーチー党首が3ヵ月後のキャンペーン用語として掲げたのは「クリー
ンな政府」である。これだと、制服組を刺激することなく対抗できる。テインセ
イン大統領がやり遂げようとして、なかなか進捗しない「汚職追放」をNLDが横
取りする形になる。

だが、軍部は最後の最後まで、手を変え品を変え、スーチー党首に対するハラス
メントを止めないだろう。逆にスーチー党首は父親の威光を表面に出し、軍部と
提携するチャンスをうかがうかもしれない。



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03:選挙どころではない、洪水被害

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ある識者は、ミャンマーがいま全国的に蒙っている洪水、山崩れの被害は過去最
悪な状況であると警告する。国民総選挙、大統領選挙は即刻延期して、国家とし
て救済作業に専念すべきと忠告する。

彼の理屈はこうだ。ミャンマーは農業立国である。その水田や田畑が甚大な被害
を受け、種籾を購入する代金を前借して育てた農作物がすべて水没した。そして、
農耕作業に従事する家畜も流失した。生き延びることの出来た農家に残るのは借
金だけである。水が引いたとしても、次の種籾を購入する資金はまったくないし、
借金する担保もない。

生き延びた人たちの病気も心配だし、農作物の病気も心配だ。ミャンマー全土で
伝染病と飢饉が発生すると、かなり悲観的な見方をする。



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04:生米は食えない

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今、確かにミャンマーは海外から注目されている。
今回の洪水被害でも国内のみならず、海外のいたるところから善意の物資が届け
られている。だが、ひとつ気になることがある。

エアカーゴから、大量のコメ袋、飲料水のペットボトル、医療器具セットなどが
卸され、倉庫に山積みされていく。お決まりの写真が新聞を飾る。だが、疑問が
沸いてくる。

洪水被害の現場で、これらのコメを炊飯できるのだろうか。ミャンマーの一般家
庭では電気釜ではなく、かまどでの炊飯がほとんどだ。水害の現場では薪も、マ
ッチの入手も、不可能なはずだ。赤十字や、国連などの援助機関のみならず、寄
贈する人たちは、コメを調理して口に入るまでのシステムを考えているのだろう
か。今の時代、コメだけではのどに入らない。オカズもほしい。それとも、コメ
袋とペットボトルを配って、それで終わりなのだろうか。

日本のオニギリは世界にまたとない優れものである。中に入れる具だけではない、
海苔やごま塩だけでも、何種類ものバラエティを楽しめる。戦場でも、山行でも、
炊事をする必要がない。優れものだが、これは調理したものを都度届ける必要が
ある。

NGOなどの関係者で、このあたりのカラクリに詳しい方がいらしたら、教えてく
ださい。



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05:丁とでるか半と出るか?

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国軍が優位に立てるのは、国民総選挙で過半数を制した上での話である。スーチー
党首が狙うとおり、もし前回同様に雪崩現象で総議席数の75%をNLDが押さえた
ら、こんども政権を渡さないとは、いかに軍事政権でも、世界中が監視する中で、
それは出来ない。
どちらにしても、ミャンマー選挙は、先が読めない。まったく読めない。

国内外の投資家も、そして政治家も、軍事政権には反対しても、実際は、どちら
に転んでもよいように二股をかけているケースが見受けられる。
これだけはふたを開けてみないと、丁半の目は読めない。


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