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<ミャンマーで今、何が?> Vol.162
2015.09.16

http://www.fis-net.co.jp/Myanmar

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■パンソダン通り古書店街

 ・01:時間の無駄

 ・02:時間の無駄

 ・03:ヤンゴンの古書店街

 ・04:ロンドンのチェアリング・クロス・ロード街

 ・05:戦勝国イギリスも貧しかった

 ・06:この物語が、舞台公演でヒット

 ・07:私事ながら、体調回復

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01:時間の無駄

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ワタシはいま、ミャンマーの歴史に熱中している。特に、ビルマの近代史の中で、日本とビルマの関係が異常とも思えるほど急接近した一年半ほどの出来事についてである。そのたった一年半の間に、ビルマと日本のロマンが大きく花開き、悲しくもしぼんでいった悲劇でもある。そしてその謎解きの鍵を握ると思われる一冊の本の名前を手に入れた。

この一週間、いつもの通りミャンマー関連ニュースは一通り閲覧してみた。だが、世の中をひっくり返すような大事件は発生していない。そこで今週の「ミャンマーでいま、何が?」はヤンゴンのダウンタウン散策に切り替えた。金儲けにだけしか興味のない方には、まったく時間の無駄となる情報である。どうそスキップ願いたい。



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02:パンソダン通り

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ヤンゴンの下街は東西・南北の碁盤の目状に道路が整備されている。その最南端はヤンゴン川が西から東に流れヤンゴン大都市圏の南限となっている。そして南北に貫通する大通りを経て、人は北へ向かう。その起点がスーレー・パゴダ以外にもうひとつある。それが鉄道の始発駅となる“ヤンゴン中央駅”である。

その“ヤンゴン中央駅”を挟むように、二つの陸橋が西側と東側にかかっている。西側がスーレー・パゴダ通りから直結する陸橋で、もうひとつが東側のパンソダン通りから直結する陸橋である。今回はそのパンソダン通りを取上げたい。



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03:ヤンゴンの古書店街

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パンソダン通りの最南端はストランド通りとの角にあるミャンマー港湾局の庁舎で、赤い三角屋根のひときわ高い時計塔のような真っ白な建物が目立つ。その対面がパンソダン・ジェティ(桟橋)で、数年前までは交通事故が頻発したストランド通りを跨ぐように昇りエスカレーターのみが作動する歩道橋が新設された。

この通りには優雅なコロニアル建築がパノラマのごとく並んでいる。特にそのコロニアル建築の軒下にあるいは隙間に無数の古書店が林立している。そこで、謎解きの本の名前と著者名を告げた。ミャンマー人はプロの商売人である。決してネガティブな返事はしない。明日の昼過ぎに確保できるという。昼過ぎに行くと少し遅れているようだ、あと三日待てという。

三日間雨傘を差して行った。だが、肝心の本はまだ入手できていない。替わりに、強烈な風邪を貰ってしまった。熱があるのにブランケットをかけて寝ても寒気がして体が震える。そして寝汗をたっぷりかく。マラリアに罹ったのかと少し心配になった。集中力が極度に消耗しているので、仕事はすべて中断。だが、横になるだけでは退屈だ。クラッシック・コレクションの中から一枚取り出し、再生してみる。DVDのタイトルは“84チェアリング・クロス・ロード”(仮題:CC街84番地)、ロンドンの古書店街である由緒ある地名である。東京で言うと神田神保町、ヤンゴンで言うとまさにパンソダン通りに相当する。



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04:ロンドンのチェアリング・クロス・ロード街

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物語は1949年に始まる。ロンドンではまだまだ戦後の食糧難の時代で、ひとびとは配給制度でなんとか飢えを凌いでいた。戦勝国の英国ですらそのような時代だったのである。だが、米国のニューヨークでは、好景気に沸き、自由を謳歌していた。

そのNYでヘレン・ハンフという活発な女性作家が伝統的な英国文学の古本が入手できずにやきもきしていた。そして雑誌で見たマークス&Co.社の広告が気になり試しに注文のリストを送ってみる。その住所がこの映画のタイトルである。

同社の仕入れ担当マネジャーがフランク・ドール、注文リストのほとんどを入手し、その廉価な値段が米国人の女性作家ハンフを驚かせる。それだけではなく、当時は郵便による手紙のやり取りである。ドールの古典文学に関する博識振りと、英国人らしいしかめっ面をしたユーモアがヘレン・ハンフの心を打つ、そして英国の窮乏生活をニュースで知る。その年のクリスマスに間に合うようにオランダの商社から、盛りだくさんの小包をマークス&Co.社宛に贈る。



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05:戦勝国イギリスも貧しかった

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同社の共同経営者は、スタッフの全員で配分するようにと申し渡す。エリート英国人のすばらしさは、こういう美徳である。武士は食わねど高楊枝を実践するのである。最近の東洋人の社会では社長・会長から順番に美味しいところを取っていくのだが。それをこのボスたち二人は要らないと宣言するのだ。

そのクリスマス・プレゼントは、食糧難の時代にスタッフの家族全員を狂喜させる。本物の紳士である二人の上司は手製のテーブルクロスをスタッフ全員のお礼の言葉とともにNYへ送付させる。本物の価値がわかる女流作家はその見事な英国刺繍に感激する。そして独身女性のNYの作家とロンドンのスタッフたち、それにドール夫人まで含めて、まるで家族のような愛情が育まれ、郵便での手紙の交信が始まる。

今の時代、簡単にメールで交信できるのにひと言の返事ができない成金の紳士淑女が羽振りを効かす時代に、手紙のもつ偉大なパワーを思い知らせてくれるエピソードでもある。そのNYとロンドンの交信が1949年から1968年まで続いた。スタッフはひとりひとりが上司に内緒で女性作家ハンフ宛にお礼のメッセージを送付するようになる。それらの手紙には、誠実さと、愛情と、ウィットで満たされている。



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06:この物語が、舞台公演でヒット

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その19年間の愛に溢れた物語をヘレン・ハンフが書物に書き、これが劇場で公演され大ヒットする。その後、テレビでドラマ化され、映画化もされた。そのDVD版がワタシの貴重なコレクションである。

ヘレン・ハンフ役をアン・バンクロフト、フランク・ドール役をアンソニー・ホプキンス、その妻を若い時代のジュディ・デンチ(007シリーズで初の女性ボス“M”を演じた)それぞれが、見事な演技を見せてくれる。



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07:私事ながら、体調回復

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昨15日(火)、天地のバランスが崩れたのか、遠雷を何度も耳にした。その合間に驟雨が襲ってくるが、このバランスが確実に崩れてくれると季節の変わり目である。少なくともこのヤンゴンではそうだ。

窓外の雲の流れを見ながら、気分的に楽になった。高熱も幾分下がったようだ。なんとか自分の頭で考えが回るようになった。太陽が射してる間を狙ってもういちど、パンソダン通り、そうヤンゴンのチェアリング・クロス街である、に出かけてみようという気になってきた。ヤンゴンのフランク・ドール氏に会えるかも知れない。


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