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<ミャンマーで今、何が?> Vol.216
2017.5.24

http://www.fis-net.co.jp/Myanmar

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■アリガタイ今朝も生きている

 ・01: ヤンゴンは先週から雨

 ・02: スーチーの動き

 ・03: ROSEBUD=バラのつぼみ

 ・04:海賊版DVDのお土産

 ・05:ウエストサイド物語

 ・06:真夏のモントルー・ジャズ・フェスティバル

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01: ヤンゴンは先週から雨

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ワタシの帰国で感謝されたことが一つある。


どうも季節の変わり目に当たったようだ。朝からトタン屋根を叩く雨の音。
日が照っていたかと思うと、一天俄かにかき曇り、大粒の雨が乾いた地面を叩きつける。
作業現場のオニイチャンたちが上半身裸になり、ロンジーを褌のようにたくし上げ、土砂降りの中でチンロンに興じる。
新聞によれば、ベンガル湾に低気圧が発生し、ミャンマーの沿岸全域に風雨をもたらしているようだ。


2008年のサイクロン・ナーギスで学習した。大都会ヤンゴンは昔から港町で、ヤンゴン川の航路筋に従い、ベンガル湾の海象変化をもろに受けやすい地形となっている。


口の上手いヤンゴン人はモンスーン雨を連れてきたというが、ヤンゴンにとってこの季節のモンスーンは南西風で、ワタシが戻ってきたのは東方からだ。だから、逆方向である。


屁理屈をさらに付け加えると、インド洋・ベンガル湾の南西風は世界の屋根ヒマラヤ山系に向かって吹き付ける直球で、大きく右(東)へスライスしたおこぼれが日本の梅雨季となり、6月頃のシトシトピッチャンとなる。



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02: スーチーの動き

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くたびれてヤンゴンに戻った翌朝15日の日刊英字紙GNLMの第一面は、14日北京の人民大会堂ホールで開催された「一帯一路フォーラム」歓迎式典に出席したスーチーと主催者である中国の習近平主席夫妻の三人がにこやかに談笑している写真だ。日本の総理には決して見せない笑顔である。


初日の開会式典では午前の主催者歓迎スピーチに続き、ロシア大統領、トルコ首相、国連事務総長などが祝辞演説を行った。スーチーは個別に、スイス連邦大統領、スリランカ首相、ポーランド首相、モンゴル首相と意見交換し、夜は習近平主席夫妻ホストの華やいだ晩餐会に出席した。


16日(火)の第一面は同首脳会議に出席したスーチーのアップ写真である。
二日目は、午前と午後、昼食を挟み、中国を含む30カ国の首脳、および国連事務総長、世界銀行総裁、IMF専務理事による円卓会議が行われ、習近平国家主席が議長を務めた。


スーチーは夕方、ミャンマー国内の平和交渉に関して国連事務総長と会談し、次回ミャンマーで開催される国内平和交渉会議への出席を要望した。


17日(水)の第一面も中国・ミャンマー間での一連の調印式に立ち会うスーチーと李克強首相のアップ写真であった。スーチーは16日、習近平国家主席および李克強首相と個別に会談し、習近平からは不安定な両国国境地帯での安全に関する協力を取り付けている。


18日(木)の第一面も、中国雲南省共産党トップから贈られた"アウンサンスーチー"と名付けられたバラの新種贈呈式の模様である。


なぜ長々とスーチーの動静を4日分も伝えたかというと、一つには日本と比べて中国外務省の接待上手と、もう一つは中国の物語創作の巧さだろう。中国はミャンマーだけでなく、30カ国の首脳および代表団すべてに敬意を払おうとしている。ユーラシアのほとんどの国々を巻き込む古代の交易路であったシルクロードを、新解釈で陸上のみならず海上の東洋と西洋の架け橋として再構築しようとしている。 


スーチーもお互いが尊敬して理解し合えば人と人の絆が出来上がり、一帯一路の計画は成功すると強調した。日本のマスコミは、主導者の抜けたTPPと一帯一路構想を安易にライバル視しようとしているが、ミャンマーの新聞は異なる。米国一本槍ではない。これからは弱小国事情にも繊細に注目しないと、バランスを崩すことになるだろう。


シルクロードの古代から、ビルマは東西回廊の外れにある弱小国であった。弱小国が旗幟を鮮明にすることほど危険なことはない。実際にビルマは、日本が神風に吹かれていた頃、フビライ・カーンの騎馬部隊に蹂躙されている。だから、スーチーはどの国とも平和に、しかも"対等"に付き合っていくと宣言した。スーチーが行っているのはトップ外交で、決して外遊ではない。いま、トップ外交をこなせる世界のリーダーは非常に少なく、せいぜい経済特使の役割しか果たしていない。



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03: ROSEBUD=バラのつぼみ

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37の新聞社と2つのラジオ局を傘下に納め帝国の上にさらなる王国を造り、百貨店、製紙工場、不動産業、多くの工場、林業、海運業と事業を広げていった。その50年にわたる帝国の歴史の出発点は母親から引き継いだ世界第3位の規模を誇る金鉱であった。


その荘厳な宮殿はフビライ・ハンの建設したザナドゥ伝説に比肩され、このフロリダにある建物は世界最大の個人邸宅である。この海辺にある人口の山は10万本の木材と2万トンもの大理石で造られた。宮殿の内部には絵画、写真、彫刻、ありとあらゆる貴石、鑑定不可能なコレクションが納められ、10の美術館を建設できるほどだ。


生き物もいる。空飛ぶ鳥、海洋生物、ジャングルの野生動物も、ノアの方舟以来の大規模な私有動物園だ。ファラオのようなザナドゥの主はピラミッド以来、最も豪華な記念碑を建設した。先週、最大で奇妙な葬儀がザナドゥで行われた。ザナドゥの主が永遠の眠りについたからだ。


これは鬼才オーソン・ウエルズが26歳の時に監督・主演したアメリカ映画「市民ケーン」(1941年作品)の出だしの部分である。アメリカの新聞王、ウィリアム・ランドルフ・ハースト、をモデルにしたと言われ、実際にこの映画はハースト王国のすべての圧力を用いて製作中止、興行中止を脅迫されたという。そして副題の<ローズバッド>は主人公ケーンが死に際につぶやいた謎の言葉である。


ザナドゥは英国ロマン派の詩人S.T.コールリッジがフビライ・ハンを謳った詩に登場する"桃源郷"を意味する。同じくイギリスの小説家J.ヒルトンの小説「消えた地平線」に登場するヒマラヤの理想郷"シャングリラ"も同様に架空の世界である。


唐突に何の話をするかといえば、東南アジアの一角に位置するこのヤンゴンが、世界で最も教育環境に適した理想郷ではないかと、主張したいからである。


もう一つの興味ある謎は、この「市民ケーン」は新聞王ハーストの一生をなぞったとはいえ、その70年後に登場した米国現大統領のドナルド・トランプの冬のホワイトハウスMar-a-Lago(フロリダ)とあまりにも類似していることである。当研究所の見立てでは、D.トランプは映画「市民ケーン」をかなり意識しているのではと考えている。機会があれば、これにも言及していきたい。



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04: 海賊版DVDのお土産

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九州の古い友人が元大学教授をヤンゴンの事務所に帯同してくれた。専門とは異なるがジャズレコードの蒐集が8千枚という御仁だ。今回2枚のDVDを持参し、宅配で送付しておいた。新宿の紀伊国屋で落ち合い喫茶店に入った。先輩ではあるが、元教授とは妙に話が合う。期待した通り、DVDは2枚とも気に入ってもらったようだ。


ヤンゴンには路上のDVD屋は幾らでもある。最近の海賊版映画ならソコでも良い。だが、プロのレベルなら、ソコでは満足できない。ヤンゴン市内には秘密のアジトがある。ここで1時間から2時間、背の低いプラスチックの椅子に座り、腰が痛くなるまで裏面の英語説明を読み込む。これは面白そうだと、予感がしたら迷わずにカゴに入れる。毎回20〜30枚の買い物となる。


ほとんどが中国の海賊版で、そこでのコピーが海賊版の原盤となっている。
ブルーレイの原盤でも、本来ついている日本語の字幕がすべてデリートされている。だから、英語の勉強には、これほど完備された環境は世界でもヤンゴンぐらいなもんだ。


特に、BBCのドキュメンタリーが素晴らしい。世界のスパイ組織でも、違法薬品の裏話でも、世界のワインでも、一流リゾート地でも、自宅でプロの世界を覗くことができる。米国のスタンフォードやコロンビア大学で一流教授の全授業を受けることもできる。もちろんアナタにヤル気があればの話である。英語が分からないと逃げ口上を言う前に、分からなければ、2回、3回・・と挑戦するのだ。


少なくとも、ワタシには手持ち時間がない。このスタイルは変わらない。西洋文明におけるクリスチャニティについて一流の教授が語ってくれる。個人授業だ。
ギリシャ文明について、ローマ文明について、ビデオで説明してくれる。高額の留学費用、授業料など不要だ。アナタが行きたければ、ハーバードでもオクスフォードでも思いのままだ。


時には、黒澤明特集や高倉健もある。ヤンゴンは使い方次第で、シャングリラともザナドゥとも言える。



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05: ウエストサイド物語

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若い方には季節外れの話題だが、映画「ウエストサイド物語」をご存知だろうか?
ニューヨークのマンハッタンを舞台に、若い男女の悲恋物語を中心に、シャーク団とジェット団のチンピラグループが縄張りを争うミュージカルである。出演はナタリ・ウッドとリチャード・ベイマー、それにジョージ・チャキリスとリタ・モレノが加わる。11部門あるオスカー賞の10部門をかっさらったブロックバスター映画である。


このミュージカル映画の音楽総指揮監督が巨匠レナード・バーンスタインである。
バーンスタインはミュージカル映画の吹き替えをすべてプロの歌い手に歌わせる。その特訓風景をDVDに収録したドキュメンタリーがワタシの元教授へのお土産である。ワタシがこのDVDを見つけた時は鳥肌が立った。正確な題名がわかれば、アマゾンでも入手できるだろう。だが、情報過多の日本ではこのDVDに出会うのは不可能に近い。ヤンゴンだから、このようなセレンディピティに遭遇できるのだ。


バーンスタインが、自宅の高級ペントハウスで、時にはスタジオで、歌い手たちに特訓する。その歌い手の一番手が今をときめくホセ・カレラスであり、キリ・テ・カワナである。バーンスタインはどうゆう訳か女性陣には優しいが、ホセ・カレラスには徹底的に厳しい。イビリ殺しそうな剣幕で、ホセ・カレラスは終いにはノイローゼに陥る。それをビデオのカメラは冷徹に追いかける。そして、このドキュメンタリーDVDが出来上がった。歌い手はオペラ歌手だが、このミュージカルはジャズ調である。元教授には心から喜んでくれた。



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06: 真夏のモントルー・ジャズ・フェスティバル

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スイス・レマン湖のほとりモントルーでジャズ・フェスティバルが毎年夏に開催される。
2008年のそれは特別に趣向を凝らしたものだった。
クインシー・ジョーンズ75歳の誕生日を祝福する記念コンサートのことである。


「We are the World」の作曲家でプロデュースもやっている。「愛のコリーダ」も作曲し、マイケル・ジャクソンの「スリラー」もプロデュースしている。とにかくエンターテイメント業界の怪物みたいな人物だ。誕生日コンサートには、Q.ジョーンズによって有名になったミュージッシャンが綺羅星のごとく勢ぞろいした。


マカロニ・ウェスタンの名曲「The Good, the Bad And the Ugly」をパティ・オースチンとスティビー・ウッズのデュエットでスキャットする。古き良き時代を思い出すが、痺れるほどのテンポだ。チャカ・カーンとパティ・オースチンがデュエットでこなす「シスター」も酔ってしまうほど十分にセクシーだ。


黒人若者グループのNaturally 7のアカペラ「ビリー・ジーンズ」は会場を総立ちにさせたほど衝撃的なリズムボックスである。人間の幅として、ミュージッシャンとしても、この世に不可能はないと、その気にさせてくれる演技である。この「ビリー・ジーンズ」はマイケル・ジャクソンの作曲でプロデューサーのQ.ジョーンズからダメばかり出され、リリースしてみたらミリオンセラーとなったいわくつきの名曲である。


このQ.ジョーンズの精力的な活躍を見ていると、75歳なんて青春真っ只中と勘違いさせてくれるほどの興奮を受ける。


このDVDアルバムも元教授から感謝されたもう一枚である。



このヤンゴンが何故、世界で最も教育環境に適した理想郷かについては、まだ語り始めたばかりだ。メルマガ1、2回限りでは不十分だ。続きは次回以降にさせて頂く。


東西南北研究所




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