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<ミャンマーで今、何が?> Vol.224
2017.8.18

http://www.fis-net.co.jp/Myanmar

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■ヤンゴンを離れて

 ・01: ノー・ニューズ・イズ・グッド・ニューズ!

 ・02: ザ・ヒューマン・ボディ

 ・03: バカなことを考えた

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01: ノー・ニューズ・イズ・グッド・ニューズ!

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日本では、ミャンマー関連記事がめっきり減った、と教えてもらった。
それを今、日本で実感している。

皮相的で扇動的な有害記事よりも、ミャンマーにとってはその方がはるかにマシだ。

この一・二年間、ヤンゴンと日本を行き来している。そして見えてきたことがある。
それは成熟を通り越して爛熟しきった、腐乱しているとも言える、日本やアメリカの今の政治方式でスーチー政権を分析しても、実態は見えないということである。

日本人ならば明治維新前後(来年は150周年記念だ)、それから太平洋戦争の敗戦(72年前)と戦後を、アメリカ人ならばイギリス本国から独立した合衆国建国当時(241年前)のアメリカと対比すべきではないだろうか。
そこには不思議とミャンマーの今と重複するところが見えてくる。

2017年の今、ミャンマーが必要としているのは建国精神で、停滞なき経済成長とか、国民の人気取り政策などという、生ちょろい政治屋の仕事ではない。

狡猾で老獪なイギリス人は、そんなことはとっくにお見通しで、日本とアメリカのチープな政治ゴッコを冷ややかに見下している。国際どころか、自国内も掌握していない政治屋に比較して、建国に打ち込むスーチーのエネルギーには卓抜したものがある。多分、自宅拘禁という自由を奪われた長い期間が、読書を通じて、イギリス人を凌駕する老獪さを身に付けさせたのではないだろうか?

などという政治的話題はノンポリのメルマガに相応しくない。

今回はヤンゴンの裏町に埋もれている"お宝"を話題にしたい。



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02: ザ・ヒューマン・ボディ

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例えばの話である。

アナタの心臓に重大な欠陥があり、アナタがクスリ漬けの病院や、先端医学をなぜだか信用していない場合、ヤンゴンにおける身の処し方がある。ヤンゴンの裏町に何カ所かあるDVD屋に飛び込み、ジックリと腰を落ち着け、その手のDVDを探し出すのだ。ラッキーなら30分で見つかる。2時間かかっても見つからなければ、別のDVD屋を当たれば良い。ヤンゴンでサバイブするには、それが実に効果的なのだ。

医学分野だけではない。スポーツ方面でも、動植物、鉱物学、宗教学、歴史学、海洋学、天文学などなど、この世の森羅万象を当代一流の教授が、最新鋭の映像でもって、その起源から懇切丁寧にレクチャーしてくれる。もちろんアマゾン.comを使えば、東京でもNYでもそれは手に入る。だが、爛熟し切った世界では余分な情報が濁流のように氾濫し、上質の"素材"に出逢うのは金鉱探しよりも難しい。

古代ギリシャの夜空は澄み切っていた。宇宙の瞬きが壮大なドラマを夢想させ、神話が幾つも生み出された。ギリシャの神々は人間の姿に似せて造られた。だから、実に人間臭く魅力ある神々が存在する。だが、人間は唯一の神に似せて造られたと聖書(クリスチャン)は説く。だから、こちらの神は説教臭くて窮屈な気がする。・・これはワタシの独り言。

汚染された東京やNYには夜空がない。ヤンゴンだったら、ギリギリ間に合いそうだ。

アナタがラッキーなら、ジョンズ・ホプキンズ大学やオクスフォード大学の名物教授から直接個人授業を受けられる。そのDVDを探し出すのに2時間かかろうが、倍の4時間だろうが、その価値は十分にある。

BBC製作のこのDVDから学んだ。

今地球上の人間の数は70億前後と言われる。
その70億もの個別の心臓が今この瞬間、地球上で健気にもパクパクと脈打っている。これはマホメットが、否々キリストが、もっと古く釈迦が、この世に登場する遥か以前から延々と繰り広げられてきた人類の歴史である。その自然の摂理にはヒトを感動させる何かがある。

この地球上で母親が排出した一個の卵子と、父親の排出した無数の精子の一個が合体する。その偶然性でアナタが存在し、ワタシが存在する。そしてその瞬間から細胞分裂が始まる。だが、その分裂は無秩序に増殖しない。自然の摂理に従い、それぞれの細胞が、頭脳そして頭部、心臓、手足をそれぞれに形作っていく。

そして月が満ちると、母親の骨盤が最大に開き、骨盤の開口部が胎児の産道となり、羊水を破り頭部が産道をくぐり抜けてくる。

と書くのは簡単だが、羊水のプールで胎児の身体が最大に形成されるのが頭部である。その頭部は、産道のサイズに成長するまでギリギリ母体内に留まり、ギリギリまで成長を続ける。だが、開口部のサイズを上回り肥大成長することはない。言葉を変えると、出口ギリギリのサイズまで母体内で育ち、胎児は母体に別れを告げる。この瞬間が出産のタイミングで、出産ドラマのスタートである。

胎児の頭部は信じられないほど柔軟で、骨盤開口部の産道に最適の形に柔軟に変形しながら、この世に誕生する。ドラマはそのあとも続く。だが最大の頭部が出れば、一安心だ。次の難関は両肩だが、プールの中の小さな箱に閉じ込められたマジシャンのように、器用に片方の肩を捩るように狭き門を抜け出し、続いて残りの肩が脱出してくる。オリンピックのアスリートよりも柔軟な脱出劇には自然の神秘が凝縮されている。このエキサイティングなシーンが上手くいけば、母親の最後の息身(いきみ)で胎児の胴体と手足は簡単に母体を脱出する。この瞬間、母親は、この地上で任された最も崇高な仕事を成し遂げる。

生命の神秘を、生命誕生の偉大さを、人生の末期に至って初めて学ばせてもらった。
最初は、心臓の構造と機能を簡単に学べればと、イージーな気持ちだったが、このDVDに出会って、人体の神秘を体系的に学ばせてもらった。

これがBBCではなくNHKであれば、あるいはタブーを打破できない後進国であれば、女だけの秘められた儀式として、男たちにそして子供たちにその迫力あるビデオシーンを公開するのをためらったことだろう。だがBBCはそれを驚異的にやってのけた。

最新鋭の科学技術によって、母体内の初鼓動から、胎児の成長、そしてヒトの誕生までを、この「ザ・ヒューマン・ボディ 」は教育番組としてつぶさに教えてくれる。

繰り返すが、このDVDのオリジナル製作は英国のBBCである。

そして中国において違法の海賊版DVDが増産され、ヤンゴンのDVDショップに流れてくる。その過程で、当然設定されている日本語の字幕が削除され、代わりに中国語の簡体字と繁体字が挿入されている。だが、英語のオーディオと英語の字幕はまず間違いなく利用できる。

違法コピーという問題を棚に上げ、中国を日本のライバルとして比較した場合、中国の若人はこのDVDから刺激を受ける機会があり、日本の若人にはその機会はない。このDVDにインスパイアされ医師を、助産婦を目指す若者たちが、5年後に、10年後に現れないとは言えない。中国人の若者はこの教材を母国語で受けられる。そして東南アジアのエリートの子供達は英語で受講できる。日本人の子供だけが世界標準から取り残される。

ここだけの話だが、休日には、明らかに欧米の外交官家族がこのDVDショップで何枚も、この違法DVDを調達していく。狡猾な先進国はダブル・スタンダードを子供時代から実地に教育している。

英語のプロを目指す東西南北研究所のメンバーも 、ヤンゴンでこれらを大いに活用している。中国の海賊版DVD様サマである。最先端の情報を得られるだけでなく、英語の知的能力が格段に飛躍する。

この人体に関するDVDで学習できたことはまだまだある。

驚くべきことは、血液を身体の末端にまで運搬する心臓という高性能ポンプが、この地球上で70億も個別に埋め込まれ、今日も動いているという事実だ。天命が尽きるまで、その70億個は動き続ける。

チョット待った!! 心臓がヒトの占有物だと思ったら、それは尊大に過ぎる。哺乳動物・脊椎動物のほとんどが同じ機能を備えている。しかも個体一つ一つに。亡くなった代々の祖先すべてをカウントすると、その数は天文学的無限大に近づく。マブチモーターがいかに優秀でも生産は追いつくまい。

と想いを馳せると、人間のみならず、生きとし生けるもの、すべての生命が愛おしくなる。
自分自身の生命も同様だ。
かと言って、安易にペースメーカーを埋め込み、延命策を図っても良いものだろうか?
自分の頭の中で煩悶する。

ヒトはそれぞれ与えられた寿命がある。それで充分ではないだろうか?

では、先天性の心臓欠陥で生まれた子供はどうする。肉体的ハンディを背負った子供はどうする。弱者に対する配慮はと疑問が出てくる。その一方で、現代医学はそれらを救える水準にまで進歩した。そうであれば、現代医学は、このような若者にこそチャンスを与えるべきではないだろうか?

ワタシのように人生を無為に生き、老害を撒き散らしているだけなら、現代医学に頼らず、一回限りの寿命をまっとうして、この世を去るのが礼儀で、ケジメではないだろうか? それでなくとも、人間は尊大にも地球環境に悪さをするようになった。

エドモンド・ヒラリーとテンジン・ノルゲイが初登頂に成功して以来、大勢の登山家がエベレストを目指した。その結果が、シェルパに手伝ってもらって運び上げた食料容器などの膨大なゴミの山であり、それ以上に問題なのが、登山隊一行の一人一人が撒き散らす排泄物である。同じ現象は富士登山でも言われて久しい。鳥類などの糞であるグアノはリン酸肥料として植物の生育に有益であるが、今日の人糞は有害以外の何物でもない。同様の問題を抱えるヨーロッパ大陸のアルプス地帯では、高所からの持ち帰りをシステムとして解決した。

この問題は名所旧跡のみならず、ヒトの蔓延る大都市の問題でもある。
30年前だっただろうか、人口の増加するオーストラリアのシドニーで、ヒトの排泄する"バナナ"状のモノが風光明媚なボンダイ・ビーチにプカプカと押し流されて大問題となったことがある。市当局は長い長い下水パイプを海上沖合にまで 敷設して、海流がさらに太平洋沖合にまで運んでくれると安心していた。その予測を上回る勢いで人口は増加していった。

今の世の中、医師の数が異常に繁殖し、サプリを含めた薬品の種類が無制限に蔓延っているような気がする。その恩恵を受けているのは、ほとんど老人である。支払い能力のない若者世代ではない。

このような情報を日本でチェックしていると、天候ばかりでなく気分まで憂鬱になる。



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03: バカなことを考えた

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還暦を迎えた60歳以上の老人は、ロスチャイルドであろうと、ロックフェラーであろうと、幾ら金を積もうと現代医学は適用されない、という国際ルールを作ったらどうだろう。せいぜいオマケして70歳以上には延命策は施さないというルールを作れば、この地球上の人口もスッキリし、住み良い世の中になるのでは? 

と毎日赤ワインを飲み、甲子園球場のラジオ中継を聞きながら、自問しているところである。

家族制度がぶち壊された今、この世の中から老人が消え去れば、若者はどれほど伸び伸びと未来を生き生きと生きられるのでは? 今回の日本滞在は、天候も鬱陶しいが、気分が滅入る陰惨なニュースが多過ぎる。親に手を掛けたり、人間を簡単に殺害する。だが、ミャンマーでも欧米の若者を真似し、日本の若者のライフスタイルがカッコ良いと勘違いした言動が、散見される。そこには老人の知恵が、賢人の叡智が求められるかもしれない。ウーン、考えされる。

私事ながら、最後のMRI検査も今週終了し、来週末にはドクターの最終診断が下される予定である。
もしドクターが、ワタシの迷いごとに付き合ってくれるなら、このような話をしてみたい。
どっちにせよ、今の心境は俎板のメザシで、ドクターのご託宣に従うつもりである。

今回は憂鬱な天候の日本に長居してしまった。
8月末か、9月初めの便で一旦はヤンゴンに戻り、残り人生を考えてみたい。
ということで、次回のメルマガはヤンゴンから発信します。

東西南北研究所





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