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<ミャンマーで今、何が?> Vol.228
2017.9.26

http://www.fis-net.co.jp/Myanmar

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■スーチー演説 後半

 ・10: 国内統一の平和交渉

 ・11: スーチー・マジックは世界を取り込む

 ・12: 混みいったアナロジーは車の両輪

 ・13: スーチーの悩み(部外者は分かってくれない)

 ・14: そこでスーチーは考えた

 ・15: 今はミャンマーの明治維新である

 ・16: 鬼気迫る外交団への説得

 ・17: ミャンマー建国の精神を国連憲章に重ねる

 ・18: Freedom from Fear

 ・19: 風が吹けば桶屋が儲かる

 ・20: ネイピード伝説

 ・21: テロに対抗し、メルマガもSNSの時代

 ・22: 公式ツイッター(@magmyanmar1)をはじめました!

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10: 国内統一の平和交渉

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(*スーチーの演説を続けよう)

ラカイン問題に専念している時、国の西方で(*正直言って、どうして西なのかこの所だけが分からない。ラカイン州がミャンマーの最西端と理解していたので?)、同様に深刻な問題が発生していることを、皆様に思い出していただきたい。国内の紛争から平和を建設する試みに、政府は邁進してきた。この平和は永遠に続くもので、持続性があり、国民すべてに公平な発展を約束するものでなければならない。

そこで皆様をこの平和交渉を進めている場にご招待したい。この国が長期にわたって疲弊した病巣の解決を目指しているその作業に参加いただけないだろうか? 昨年8月に開始した国内統一の平和交渉(*21世紀パンロン会議のこと)は今も続いている。そして我々は多くの困難に遭遇している。平和交渉というものは世界中の至る所で行われており、ありふれた平和会議でもあるので、困難に遭遇したからと言って驚きはしません。

(*話はラカイン問題から、国内統一の大きな課題である"21世紀のパンロン会議"に移ってきた。スーチーの巧みな話術は、世界各国の外交団をこの会議に世界中の友人とともに巻き込もうとしていることだ。それだけではない。ミャンマーでは伝説的な、中学生でも知っているアウンサン将軍の1947年のパンロン会議そのものの名前を公的にも取り付けたことだ。前の軍事政権が最も恐れたアウンサン将軍とスーチーのシナジー効果をスーチーは今手にした)

平和交渉が困難に出くわすと、交渉はストップし、時には行き止まり、時には絶望的な分裂に見えます。しかし、究極のところ、両者は再度集まり、前進が始まります。なぜならば、全ての参加者は基本的に戦争よりも平和を希求しているからです。我々には紛争よりも調和が必要なのです。この国の全ての人が共通して念願するのは: 平和・安定・進展なのです。それは大げさな議事事項ではありません。だが、最も困難な協議事項です。

(*スーチーを冗談に鉄の女と表現するが、彼女は簡単にはヘコタレナイ。そしてギブアップもしない。諄々と困難な交渉の過程を、交渉がデッドロックにのし上げたり、分裂したり、決裂したり、クール期間を挟んで再度テーブルに着いたりと、世界のどこにでもあるありふれた平和会議として説いていく)

(*まさにイスラエルとパレスチナの交渉が、それの繰り返しであった。それをスーチーはありふれた平和会議と揶揄している)

(*第二次世界大戦西部戦線が終了すると、植民地主義者のW.チャーチルが国民総選挙でまさかの敗北を喫し、労働党のアトリーが政権を取った幸運を逃さず、時の暫定首相アウンサン将軍はロンドンに飛んだ。そして、ビルマの独立を保証する有名な「アウンサン=アトリー協定」を勝ち取った。その時会議に参加した大勢の関係者が 、様々のノートや日記を残している。会談は何度も決裂寸前まで追い込まれた。その時、交渉の道筋を何度もなんども最初から辿り直して締結に持ち込んだのがアウンサン将軍の粘り腰であった。
同様の不可能な国内統一を成し遂げたのが「20世紀のパンロン会議」で、アウンサン将軍は同様の粘りに粘る手法を用いて歴史に残る国内統一を成し遂げた)

(*心臓がクタバリかけた、このメルマガが嗅ぎ取るのは、スーチーにひょっとして、この父親の迫力と魂が 乗り移っているのではという予感である)
(*またまた余談になってしまった。スピーチに戻ろう)



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11: スーチー・マジックは世界を取り込む

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この国民の病巣を取り除こうと政府が努力している時、世界中に散らばる世界の友人たちから、私たちの希望と根深い問題をご理解いただいた上で、ご賛同いただければありがたいです。

(*スーチーは世界の友人と表現するが、バッシングの最中でもスーチーを理解し擁護する仲間も世界中に多数存在する。実際にネイピードにスーチー詣でをする、世界の要人の数はビックリするほど多い。多分、トランプ大統領を上回るのではないだろうか。スーチーはその賛同者を増やしていきたいと願っているようだ)

平和と安定、それから融和に向かう新しい道をポジティブに、そして建設的に探り出そうとしている私たちに、是非とも参画して手を貸してください。

ミャンマーという国を、単に係争地だけにスポットライトを当てるのではなく、全体をも見てください。(*車の両輪のように)全体としての前進を遂げたいのです。



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12: 混みいったアナロジーは車の両輪

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健康な一人の人間について例えてみましょう。健康な人間とは身体全てが健全で健康な筈です。全体の健康を無視して、特定の病巣だけに集中する訳にはいきません。このアナロジー(*類推法)を昨年の新政権発足以来、我々は取り続けて大きな前進を勝ち得たし、今後も取っていきたいと考えています。

実際問題、一般的な公衆衛生に専念することによって、他の健康問題に大きな進展が見られました。

一年という短期間に、HIVの死亡が半減されました。我々がHIV/AIDSだけに専念したからではありません。我々は全国民と全コミュニティを相手とする全体としての一般公衆衛生に専念したからです。こう言う視点で、我が国を見つめていただけばありがたいです。

(*スーチーは、経済面だけ、道路などのインフラ面のみ、教育問題だけ、銀行行政を専門に、その他無数の問題に関してアプローチしてくる諸外国政府、専門家集団、ビジネスグループ、などが自国の成功例を持参して忠告してくれる。それはそれとして、友人としては実にありがたいと心から大いに感謝を述べている。



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13: スーチーの悩み(部外者は分かってくれない)

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*古いインパール作戦を持ち出して恐縮だが、外国人の発想には、ミャンマー土着の実態が把握されていないことが多い。日本の軍部は6-7-8-9月と4ヶ月間も間断なく襲ってくる豪雨の知識がなかった。台風の中で、ぬかるみの急斜面を上り下りするようなものだ。鉄砲水の中の突撃命令である。

*昔JICAの方に聞いたが、野菜を育てるのに、冬季に暖房して野菜を育てるのが我々の経験で知識だった。ミャンマーに来て、暑さ対策に苦労しているのを初めて知った。コーヒー栽培もシャドウ・ツリーで陰を作り直射日光を避けている。

*親切な外国人はラカイン州ではコウやれば良いと簡単に言う。対象となる民族の数は多数だ。外国人が考える共通言語の英語はほとんど通じない。各部落ごとに言葉が違う。何かを始める前に、コミュニケーションの問題が大きく立ちはだかる。宗教や文化によって、食べられるものと食べられないものがある。飲めるものと飲めないものがある。援助物資でも豚の脂で料理した食料品が拒否され全く役に立たないこともある。

*スーチーにはアレもコレもやらねばならないことが山積みだ。外国からの援助に戸惑っていることも事実である。もちろん世界中の援助に大感激している。そして感謝もしている。だが、ダークスーツを着て粋なネクタイを締めたエラそうな人たちが現場を何一つ理解していない。



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14: そこでスーチーは考えた

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*老獪なスーチーが考案した作戦が、せめてヤンゴンに駐在する外交団を、現場に招待して中央政府・地方政府の作業分科会に参画させるというアイデアである。駐在外交団だけではない、スーチーは世界の友人という呼びかけでNGO、ボランティアなどにもお願いしている。

*外国人が参画してくれれば、ヘルプする側で誰にリーダー能力があるか、個々の特性を把握して仕事を分担させる。こうしてチームが出来上がる。この共通言語には英仏独日中韓など、どれが適切か調整しなければならない。そして支援を受ける村落の人たちにこれらの言語を理解する人がいるかを探し出す。適任者に通訳を依頼する。いない場合はどうするか。また振り出しに戻る。これらはスーチーが悩んでいることのほんの一部である。これらコミュニケーションのインフラ確立も実は大問題であるのだ。



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15: 今はミャンマーの明治維新である

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(*これが当研究所の思い至った結論である。それが成し得て初めて、地球上に残された最後の経済フロンティアも謳歌できるし、ティラワ工業団地が金のなる樹になる。スーチーが苦悶しているのも、まさに国造りの苦闘である。だが、今は19世紀ではない。スーチーは悠長なことは何一つ口にしない。それらを車の両輪と捉え、両輪ともに前進しろと発破を掛けているのだ)

さいとう・ナンペイはアウンサン将軍を坂本龍馬に例えたが、スーチーこそ坂本龍馬ではないのだろうか?世界を駆けずり回って国づくりに奔走している。



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16: 鬼気迫る外交団への説得

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(*それではスーチーの話に戻る・・)

我が国は若く、今にも壊れそうな、民主国家である。そして困難な問題が次から次に出てくる。それだけでなく、それらを同時に片付けなければならない。これこそ、ミャンマーの健康問題に対処する手法です。一つ二つの細々した問題だけに専念する訳にいきません。やることは山積みなんです。

だから、私たちと一緒に新しい方法を探し出し、私たちの作業に是非とも加わってください。それは新しい方法だけでなく、新しい答えを、より建設的で、よりポジティブで、より画期的で、多分それはもっと挑戦的なモノとなるでしょう。その解決策は即効性のあるものでなければなりません。時間をかければ、その解決策は永遠に勝ち得ることができないでしょう。と言うことは、我々の民衆の苦しみを先へ先へと延ばすだけにすぎません。

(*スーチー姐御の演説は鬼気迫っている。マニュアル・ビジネスマンのように"ご提案の件は社内に持ち帰り、上司に諮ってご返事いたします"などの悠長な回答は許さないということである。ドスを諸外国の外交団、そして報道陣に突きつけたようなものだ。まるで藤純子のようなカッコ良さだ。話はさらに続く・・)

私の懸念は、国民の苦闘を一時も早く終わりにしたい、ということだ。我が政府は、国境の中に住む一人一人の国民を安全で豊かに生活できるようにしたいと思っている。これは遠大な計画で、大いなる野望だ。しかし、実現不可能ではない。もし我々全員が手を取り合えば!

実質上の責任が新政府に、そして国民にあるという批判を甘受しょう。ミャンマーの一人残らず全ての人、政府からこの国に住む個人個人の人にまで、この国の発展と前進に責任を負わされています。そうではあるものの、我々は友人たちにこの偉大な計画に参画していただきたいとお願いします。これは実際に遠大な計画です。野望とも言える計画です。多くの問題に付きまとわれた一国を、健全で、しかも強力で、将来安全が保障された国家を創り上げるのです。悲しむべきことですが、我々を取り囲む外交団コミュニティのミーティングで、私は一握りの問題だけに集中しろと強制されました。実情は、この国が多くの問題を抱え、しかもそれらは全体の問題として一緒に解決できると我々が考えているその時にです。

これが直接の理由です。私があなた方全ての皆さんに我々の計画に参画してくださいとドアをオープンし始めたのは。我が政府は、我々に加わるよう、我々に直接語りかけてくれるよう、そして我々と討議をしてくれるよう、そして問題が発生している地域へ一緒に行ってくれるよう、皆様をご招待します。問題の地域と言っても、皆様の安全は保証します。なぜなら、皆様の身に何かが起こって、これ以上の問題を追加したくないからです。ですからどうぞ(*安心して)参加してください。

(*今の世の中、金満国の外交官ほど慢心している。だから、危険地帯と言われるところには足を踏み入れず、二次情報頼りのマニュアル外交官が増殖している。そこでスーチー姐御が啖呵を切った。外交術に長けたスマートなスーチーは野暮な表現はしない。だが、下品な当研究所が翻訳すると、テメーラ、ゴタゴタ言わずに、現場に行ってみろ。それからガタガタぬかせ、ということになる)

そして自分の目で何が目の前で起こっているのか確かめてください。これらの問題をどうやったら解決できるのか、ご自身で考えてください。

それから、(*皆様=マニュアル外交官がお気付きでない)平穏な地域にも特別の関心を払ってください

。どうして平和な生活を営んでいるのか、ということを学べるはずです。どうして地域社会で融和が図れているのかも学べるはずです。この特別の地域では、人々はどうして殺し合わないのだろう。これらが、我々が必要とする答えなのです。これは単に病巣を除外するという問題ではない。同時にポジティブな面を促進しているのです。(*分かりますか?頭の悪い外交団の皆さん!)

我々がやっているのは、ネガティブを取り去ると同時に、ポジティブを増やすという作業です。この作業を外交団の皆さん全員と、そして報道陣の皆さんとも一緒に、やっていきたいと願っているのです。

皆様は多分お気付きとは思いますが(*テメーラは知らネーだろうが、という意味の外交専門用語)、政府の社会福祉救済再定住大臣が人道支援プログラムを担当しています。赤十字社の国際委員会がこのプログラムに参画してくれたのは嬉しい限りです。ですから、その他の方々にも政府の計画に参画いただきご支援いただければ、これほど嬉しいことはありません。多くの方たちがすでに寛大な寄付によって支援するとのコミットをいただいています。それは現金であったり、ご親切なボランティアであったり様々です。(*スーチーは外交だけでなく、イベント推進のプロでもあり、ファンド資金を集めるプロでもあるようだ)

ラカイン州の平和と地域融和の促進に寄せられたご好意は、全地域に可能な限りベストの方法で役立たせていただきます。(*このような巨額の資金は、欧米を含めて、アジアの諸国でも、政治家などが、自分の党派の資金源に取り入れたがるが、スーチーに限っては、スタート時から公明正大な透明性を掲げてきただけに、その心配はないだろう)

我々はミャンマーが、宗教上の信念、民族性、政治的イデオロギーで分断されるような国にしたくない。我々の一人一人は多様性の中での個性を発揮する権利を持ち、自分たちが正しいと信じる方法で生活を送る権利を有している。それと同時に、我々は協力して共に働かねばならない。なぜなら、我々は一つの国家に所属しているからだ。この一つの国家に所属していることによって、我々は世界(*)国家にも所属している 。



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17: ミャンマー建国の精神を国連憲章に重ねる

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国家の集合体である国連の役目に偉大な重要性を置くのは、このためである。この世の中が将来にわたって、決して二度と第二次世界大戦で我々が経験した、悲惨な状態に陥ってはいけないということから、平和と融和を推進するために国連は創設された。国連の意図するところは、戦争の終結で、紛争の終結である。そのために国連は設立された。思うに、我々が今ここで行っていることは、ミャンマー国内ですべての紛争を終結させる真に強力で有効な運動の始まりではなかろうか?と私は考えたい。

(*スーチーの演説は静かに熱を帯びてくる・・)
コミュニティ間の紛争、人々の間の諍い、将来の目標をどこに設定するかという見解の違いと、いろいろなモメ事がある。見解の相違は、討議や対話、あるいは心をもっと開き、寛容さによって、場合によっては勇気を持てば解決できる。これによって、我々は他人の見解を学ぶことができる。寛容さと勇気を示すことによって、今度は相手がこちらの見解を学べる。



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18: Freedom from Fear

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お互いが認め合い、協力することによって、世の中は進展する。言葉で、あるいは武器をとって、あるいは感情的になって、お互いが攻撃し合っても、それはなんの足しにもならない。私たちの世界では、憎しみと恐れは悩みの種だ。すべての紛争は憎しみと恐れの、そのどちらかが原因である。われわれの国、我々の世界から、紛争を無くすには、憎しみと恐れの原因を取り除けば良い。

(*矢張りスーチーは自身が確立した"恐怖からの自由"という哲学に、話の結論を導いていこうとしているようだ。最終章に注目しよう)

この世の中には (*十分に証拠のない)主張が溢れかえっており、それに対する反論も盛り沢山でやかましいくらいだ。私はそれらに口先だけでも、武器をとっても、加担したことは一度もない、というのも紛争を盛り上げたり勇気付けたりするのは、私の目的ではないからだ。私の役割は融和と相互理解を深めることにある。このことをご理解いただいて、私たちの計画に参画いただきたい。

前にも述べたが、本日は外交官に対するブリーフィングである。その目的とするところは、外交官コミュニティの皆さんと、世界中に居住する私たちの友人代表の方たちに、私たちが今何をやろうとしているのかをお伝えするためである。しかし、これは単に外交官ブリーフィングではなく、何かそれ以上のものである。これはミャンマーが良くなって欲しいと願う人たちへの、友好的な呼びかけである。 目的を達するために助けていただきたいという友好的な呼びかけである。ご賛同いただけると、本当に嬉しい。このミャンマーという特別な国だけでなく、世界のすべての国を助けていただきたいというお願いです。
ありがとうございました。

(*何とかたどり着いた。これでスーチー演説の全文である。当初は抄訳で済ますつもりだったが、スーチーの演説に途中から夢中になってしまった。ミイラ取りみたいなものだ。国連の創建理念から説いて、自国一国のみならず、世界の全てに平和と融和、そして繁栄を及ぼしたいという高尚なスーチー哲学が展開された。今の世の中は、自国の国益だけを主張する商人的首脳が多すぎる)

と、ここで終わるつもりだったが、9月25日のGNLM紙の第一面いっぱいの写真を見て、さらに言及する元気が出てきた。



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19: 風が吹けば桶屋が儲かる

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とは、思わぬ結果が発生することを言う。

写真タイトルは「国家相談役との連帯を示す集会」となっている。

そして写真のキャプションは"大勢の人々がヤンゴンのマハバンドゥーラ公園に集合、国家相談役ドウ・アウンサンスーチーとの連帯を示す"となっている。

そして3ページに写真2枚とともに詳報が掲載されている。大集会は昨24日午後4時から、スーチーの19日の世界へアピールしたラカイン危機解決への努力を全面的に支持すると連帯を表明したものである。参加者たちは、この雨の時期、大きなビニール用紙に印刷されたスーチーの写真をそれぞれ掲げている。有名映画俳優や歌手たちも参加し、英語によるスピーチの内容をビルマ語で解説したり、スーチーへの応援歌を披露した。

今回の大集会は、海外からの根拠のないウワサやスーチー・バッシングに孤軍奮闘する国民のリーダーに、"私たちは常に、マザー・スー(*ドウ・スーは尊敬の念を示し改まっているが、このマザー・スーはもっと身近な母親を慕う表現となる)の側に立ち、彼女を守りたい"と各地から終結したものである。著名な作家もスーチーの演説について、その意義を大衆に語りかけた。

この賢明なスーチーがターゲットとしたのはマチガイなく外交団、特に欧米の外交団であった。それが証拠には、外国語である英語を使用してミャンマー国内から発信した。ということは、今回だけはミャンマー人を対象とはしていない。英国の植民地だったので、英語が達者とは言われるが、正直言って、一般大衆はスーチーの英語が聞き取れるほど秀でている訳ではない。

だが、街中の大型スクリーンで映し出される真剣なスーチーの迫力は胸に迫るものがあったのだろう。彼らはすぐに連帯を表明した。海外から一斉射撃を受け、孤軍奮闘するスーチーの姿に、話の内容は理解できずとも、居ても立っても居られなかったのだろう。翌日から、国内の新聞が一斉にビルマ語訳をを掲載した。そして解説記事も花盛りだ。演壇に立つスーチーの写真も盛り沢山だ。

賢明なスーチーは、綿密な打ち合わせを細部まで行い、腹心の部下である副大統領H.バンティオを第72回国連総会に送り出した。見守る世界中の聴衆にネイピードとニューヨークから訴えるステレオ作戦である。そのビジュアル&オーディオ効果がどう波及するのか、スーチーは当然計算したことだろう。

だが、スーチーは大きな計算ミスを一つ犯した。
ステレオ効果は増幅されてツナミのスピードでブーメラン現象を起こしたようだ。ミャンマー全土に巨大なマグニチュードとなって跳ね返ってきた。賢明なスーチーの誤算であった。

スーチーさん、仮に欧米の反応はゼロであっても良いではないか。
今スーチーはこの波乱万丈のミャンマー劇場で、最も必要としていた国民の心を一つにできたのだから。国民の一人一人が連帯団結すれば、何事も達成できる。スーチーの演説の主旨は、正にそこにあったのだから。賢明なスーチーは多分、今、学んだと思う。国外に助けを求めるのではなく、求めるべきは国内だったと。



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20: ネイピード伝説

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軍事政権は人気のない田んぼの真ん中に人工都市を作ったが、これは言ってみれば巨大な馬鹿げたハコモノであった。言ってみれば、平壌のマネごとであった。だが、スーチーとNLDの登場で、ハードウェアに強力なソフトウェアが追加された。

ネイピードの今は、スーチー詣での外交団が世界中から殺到する。資本主義の先進国だけでなく、社会主義・共産主義の国々まで、嬉々としてスーチーとのツーショットを求めて殺到する。あのガランとしたピンマナ(*本来のこの田舎町の名前)に世界中の著名人からVIPまで、そしてビジネスマンまでもが、次から次に押し寄せるとは、開拓者のタンシュエもビックリしていることだろう。スーチーの存在だけで巨大なイベント効果が田んぼのド真ん中に現出した。

イッパシの経済評論家を名乗るなら、素人スーチーの舵取りで経済が停滞するとケナス前に、スーチーが巻き起こした巨大台風並みの経済効果でも計算したらどうだ。それは天文学的な数字になるはずだ。



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21: テロに対抗し、メルマガもSNSの時代

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その一方で、今はソーシャル・ネットワーク(*SNS)が世界を席巻している。それに翻弄されたのが今回のラカイン危機と言えなくもない。事態は巧妙で、かなりシリアスだ。

時を同じくして、「ミャンマーで今、何が?」プロバイダーの超優秀なスタッフがこのメルマガのツイッターを立ち上げてくれた。一騎当千そして孤軍奮闘のスーチーに見習えとの応援歌と解釈した。スーチーは自宅拘束から解放されると、触ったこともないインターネットの学習から始めた。だが正直言って、当研究所所長は、オロオロと初めての縄跳びで、思い切って中に飛び込めない少年の気持ちだ。だが、時間をかけて、読者のご質問などに反応できるよう努力したい。時間を掛けたら、いつまでもマスターできないヨ、とスーチーの声が聞こえる。



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22: 公式ツイッター(@magmyanmar1)をはじめました!

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