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<ミャンマーで今、何が?> Vol.247
2018.2.9

http://www.fis-net.co.jp/Myanmar

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■No News is Bad News

 ・01: 落とし前をつけて欲しい

 ・02: 疑えば際限がないが…

 ・03: ネイピード空港での押収武器

 ・04: 思い出すある事件…

 ・05: 今回の武器弾薬の狙いは?

 ・06: そして日を空けずにカンドージホテル消滅

 ・07: 当研究所の見解

 ・公式ツイッター(@magmyanmar1)


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01: 落とし前をつけて欲しい

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臨時ニュースが発信されたら、当然その後始末が必要だ。

スッキリさせて欲しいということである。

今、この原稿の執筆時間は2月 9日(金)午前4時である。

モロトフ・カクテルがスーチーのヤンゴン自宅に投げつけられたのが、2月1日(木)午前6時30分頃。

その詳細が軽微なボヤ状況と割れたケロシン入りボトルの写真入りで報道されたのが日刊英字紙GNLMの2月2日(金)版で、このメルマガで速報したのも同2日(金)であった。容疑者の写真をヤンゴン警察が即座にフェースブックし、調査中とあったので、翌3日(土)からは続報を求めてGNLM紙を隅から隅まで何度か読み直した。出ていない。翌々日4日(日)にも出ていない。日本人覆面スタッフからの逆輸入で、犯人逮捕の知らせと、犯人は精神に異常を来しているらしいとの、日本情報を得た。しかし、犯行現場は今を時めく国家相談役のヤンゴン自宅である。裏に何か陰謀があるとみて1週間待った。だが、核心は何一つ明らかにされていない。不満が残る。

念のため、今朝新聞配達所がオープンする6時頃にGNLM紙を精読して、関連記事がなければ、このままプロバイダーにこの原稿を流すだけだ。もし新事実があれば、一番最後にそれを追加します。



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02: 疑えば際限がないが…

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地元の物知りに問い合わすが、犯人逮捕の事実と、頭がオカシイようだ、とのビルマ語記事があったとの確認しか取れなかった。そして、徒らに一週間が過ぎた。

透明性を重んじる新政府として、そしてその機関車役を務める情報省の露払い役であるGNLM紙にしては、何か腑に落ちない。

前回日本へ帰国する前、疑問を抱き、その旨お伝えした2件の記事を憶えておられるだろうか?

一つはヤンゴンからネイピード国際空港に到着した便で武器を所有した3人の男が逮捕されたという2017年10月16日付GNLM紙の記事。

もう一つはあの優雅な伝説のカンドージ・パレス・ホテルが焼け落ちたという2017年10月20日付記事。1週間以内の報道である。

この2つの記事はウラに何かある、臭いとお伝えした。

モロトフ・カクテルはまだ時間が掛かるとして、この2件については、老年探偵団のその後の調査を報告しておきたい。



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03: ネイピード空港での押収武器

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■空港での押収品:

WY興奮剤、ICE1.5gm、オーストラリア製9mmピストル2丁および銃弾72発、連発銃2丁、無線機3基、主犯名入りのレーザー阻止器、パスポート1冊、無線操縦ドローン1機、レンズ1台、カメラ 6台、腕時計一つ、WiFi送信機1器、メモリースティック15個、携帯電話3基、車輌一台。

■ホテルAceからの押収品:

スーツケース2個、ピストル5丁、9 mm銃弾638発、M-16銃弾20発、連発銃2丁、7.65mm32オート銃弾136発、10ポイント銃弾22発、銃弾なしの連発銃7丁、M-16手の甲防御具1個、黒色ピストル皮袋5個、防弾シャツ1枚、狙撃レンズ1個。以上を同ホテル主犯格PKKTSの部屋より押収。

ハンドバッグ3個、ピストル2丁、銃弾16発を同ホテルYMSおよびZMHの部屋より押収。

押収品は全て違法な武器、薬品で、取り調べは現在も続行中で、これ以上は明らかにできないと警察当局が発表した。

■さらに当局の発表によれば(重要): 

主犯格PKKTSの父親U Phyo Koが所有するAceグループ社のネイピードのAceホテルからはさらなる武器と弾薬が発見され押収された。主犯格PKKTSと2名の容疑者はAce社の従業員で、3名は10月15日にネイピード空港で逮捕された。ここでの押収品も多数大量であるが、ここでは省略。

■解説すると:

この父親と言うのがクセモノで、元スポーツ・観光大臣を務めたU Tint San。

この父親は、スーチーが補欠選挙に立候補しNLD党大会用の広いグラウンドを探していた時に、スポーツ大臣としてグラウンドの提供をことごとく拒否して選挙妨害した張本人である。

極端な保守頑迷派と思われる。

父親が逮捕されたか、どうかは明確にされていない。

■さらなる状況説明:

この事件が発覚した10月15日はネイピードで全国的な武装グループと中央政府軍(国防軍)との間で成立した全国停戦協定の第2周年式典が大々的に行われたその当日である。

政府側からは大統領、スーチー国家相談役、正副両大統領、国会上院議長、下院議長、最高裁首席裁判官、国防軍最高司令官、憲法裁判所長官、連邦選挙管理委員会議長…、とこの国の要人が延々と続く。

その相手側として、全国停戦協定に署名した少数民族の各武装グループ代表団。まだ未協定ではあるが、様子見の武装グループもオブザーバーを送り込んできた。

それだけではない、海外の平和協定調整役を任じる各調停団体も参加している。

そして、夜は夜で大々的な歓迎晩餐会が催された。その平和交渉の議長で最終責任者であるスーチーは当然歓迎のスピーチを行った。安易に妥結を急がさずに、合意できる点は双方ともに確認し合い、相違点は徹底的に話し合うよう、もし時間が必要なら、再び場所を変え、頭を冷やして話し合えば良い、お互いに国内の平和を望む気持ちがあれば、何処かに合意点があるはずだ。英知を絞って、この国を平和な国に作り上げよう。



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04: 思い出すある事件…

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1962年のクーデターでこの国を軍事政権という独裁政権に作り変え、恐怖政治の院政を敷いたのがネウィン。90歳の誕生日まではカクシャクたるものだったが、次第に黒目の輝きが消えていった。その瞬間を捉えたのがタンシュエ。部下のキンニュン、そして今の上級副大統領が指揮して、ネウィンの家族は一網打尽に逮捕された。その時のホテルがカバエイ大通り8マイル手前のナワラットホテル。そこから大量の武器弾薬、通信機器が押収された。ネウィンの娘の旦那、およびその息子2名も、国家反逆罪で150年ほどの無期懲役刑で入獄した。

だが、前大統領テインセインの米国旅行前か何かのドサクサに、特赦ということで全員シャバに出てきた。総指揮をとったキンニュンも、その直後に首相の座を剥奪され、入獄している。そして又、恩赦で出された。

この通り、ミャンマーはスーチーの語る"複雑さ"に満ちている。

今回の大量の武器弾薬押収で、この事件を思い浮かべた。



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05: 今回の武器弾薬の狙いは?

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現在GNLM紙を分析中だが、その後の報道がない。

新政権政府側の特定の誰かを狙った事件なのか、あるいはまだ平和協定に署名していない少数武装民族の不穏な動きなのか、その後の報道が途切れ、この先が読めない。

野次馬としては、フレドリック・フォーサイスの「ジャッカルの日」をついつい思い出してしまう。



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06: そして日を空けずにカンドージホテル消滅

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このホテルはこの国No.1の政商テイザーがタイ人のオーナーから買い取った。

タンシュエの懐刀として、海岸線を含め、バガン、ピンウールイン植物園、カカボラジ・リゾート、この国の広大な一等地は全てそのグループが所有している。ミャンマーNo.1の金持ちになれるのは当然である。

そしてその息子が、カンドージホテル内に事務所を構えていた。

火災の原因について、GNLM紙には何の続報もない。

ただし、その後、国営の保険会社から保険金が支払われるとの記事を見たような気がするが、その記事が何日の分だったか、まだ探し出していない。
GNLM紙にしては論理性に欠けるような気がする。ということで、納得いかない。



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07: 当研究所の見解

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当研究所は、どの政党を擁護するとか、国防軍に味方するとか、そういう意図は全くない。
あくまでも、英字紙の英文を分析して、それがどこまで論理的かを追求しているにすぎない。
論理的につながれば、 分析がさらに発展するが、そうでないと挫折するだけである。

今回の2件とモロトフ・カクテルが未解決のままイライラが募っている次第である。
本日のGNLM紙は何も手がかりなし。

筆者にとっては、No News is Bad Newsである。




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