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<ミャンマーで今、何が?> Vol.274
2018.10.18

http://www.fis-net.co.jp/Myanmar

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━━【主な目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■スティーブン・ホーキング博士を再び取り上げる

 ・01: “Hawking’s final book offers brief answers to big questions”

 ・02: 興味の無い方はクリックで、購読中止へ、どうぞ!!

 ・03: 世紀を越えた大天才の系譜

 ・04: 改めてスティーブン・ホーキング博士とは?

 ・05: 10件のビッグ・クエスチョン

 ・06: この問題の基本の基本は何か?

 ・07: Brief Answers

 ・公式ツイッター(@magmyanmar1)


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01: “Hawking’s final book offers brief answers to big questions”

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と題した記事が2018年10月17日のGNLM紙第16ページに記載された。

「デッカイ問題に、短く明快に答えるホーキング博士」と洒落た英文タイトルである。

15日(月)ロンドンで記者会見を開いた娘のルーシー・ホーキングの写真入で、一頁の半分を割いている。興味を引いたので、今回はこの記事だけをお伝えしたい。

この記事は、ミャンマーにはまったく関係ないが、ミャンマーの政府系新聞が取り上げたということで、お許し願いたい。
強弁すれば、老獪な英国から学んだスリカエ術の適用というところだ。 

毎朝の習慣で、午前2時には目を覚ます。ラッキーなら電気が使える。コーヒーを沸かし、パソコンを立ち上げる。午前6時頃までには、自分なりの仕事に一段落つく。外が明るくなり、もっとも眠くなる時間帯である。

眠気覚ましに、マハ・バンドゥーラ大通り角のニュース・スタンドに降りていく。英字紙のミャンマータイムズに一通り目を通し、大した事件が無ければ買わずに、GNLM紙だけを購入して屋根裏部屋に戻る。



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02: 興味の無い方はクリックで、購読中止へ、どうぞ!!

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このメルマガは英語に劣等感を抱く所長が、上手くなりたいと、“英語のプロ”宣言をして勝手に始めたものです。それゆえ、内容は非常に利己的となっている。ミャンマーの若者とともに英語を学ぶと称して、自分の能力向上に役立てているに過ぎない。

だから、人生が死ぬほど退屈な人とか、ありきたりのミャンマーは飽きたとどうでもよいことに興味を抱く、奇人変人にしかお勧めできないメルマガである。ミャンマー・ビジネスに活用するなど、とんでもない話である。

AFP通信の配信なので、既読の方も大勢いらっしゃるでしょう。スキップしてください。

このメルマガのどこかをクリックすれば、購読中止できます。どうぞそちらをご利用ください。
人生における貴重な手持ち時間は、無駄なく大切にお使いください。



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03: 世紀を越えた大天才の系譜

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イギリス老獪学の基本は物語創作能力にある、と見た。

物語と言っても、他人が信じやすく、話題となりそうな、歴史の重みに耐えられる、高品質な物語のことである。チープなフェイク情報ではない。

その系統を汲むものが、ユダヤ民族の古典文学である旧約聖書であり、古代ギリシャの物語であり、そのコピー版であるローマ人の物語である。スノービッシュなインテリぶった欧米人と話をするときには、これら三点セットを押さえておかないと、話が通じない。というか、彼らの狭量な知的範囲を超えるので、彼らには理解できなくなる。

それが今、まさにスーチー・バッシングという現象だ。アラビアのロレンスも、祖国の老獪さによって、変人として扱われ、歴史の舞台から消されてしまった。

なぜ、断定できるかというと、インドの近代史、すなわちイギリスの植民地時代を、再検証すれば、如実にそれが良く分かる。

イギリス人はインドという重みのある歴史、文化、風土を結局は読み切れなかった。特に第二次大戦後の空気を読み取れずに、イギリスの植民地帝国は内部から崩壊していった。パラダイムの変革に気付かなかったのだろう。植民地主義者のウィンストン・チャーチルがいかに咆哮しようと、時代には逆らえなかった。

イケナイ、イケナイ、またもや話が脱線した。

そのイギリス人の狭量な知識レベルで、当時最大の天才と奉りたてたのがアイザック・ニュートン(1642−1727)である。彼は「万有引力の法則」を確立したことで知られるが、実際はイギリスの反逆者であった。数学者、物理学者、天文学者、自然哲学者とされるが、実は神学者でもあり、錬金術師でもあった。ケンブリッジ大学で学位を得、最後は王立協会会長となった。造幣局長官時代、イギリスが金本位制を採用する立役者ともなった。さらには、ケンブリッジ大学選出の国会議員となり、グリニジ天文台監察委員長にも就任している。一生独身で過ごし、信仰の上では、国教とは異なる立場を取ったが、遺体はウェストミンスター寺院に葬られた。

だから、ニュートンはりんごのオジサンとだけ記憶して話題にすると、イギリス人からはバカにされる。

世界の知的レベルでの発見、発明は、綺羅星のごとく多彩であるが、簡潔化すると、一気に次代を飛び越えて、次に登場するのが、アルバート・シュタイン(1879−1955)である。
ユダヤ系ドイツ人でアメリカに帰化し、1915年「一般相対性理論」を発表し、1921年ノーベル物理学賞を受賞した。20世紀最大の物理学者といわれる。彼の理論は時空概念の変革で、ニュートンの絶対空間のみならず、絶対運動の概念をも退けるものであった、などという難しいことはチンプンカンプンである。

だが、ソ連の科学者への反論とした、彼の社会主義観は面白い。

「資本主義体制では利潤追求のために、技術の進歩は労働の重荷を軽減するよりも、失業の増大をもたらす。この悪弊を除くには、計画経済のほうがよいが、それだけでは社会主義とはいえない。官僚の権力を抑え、個人の権利を保護する民主的対抗力が必要だ」

今の世の中は、ラカイン州のロヒンギャだけでなく、地球の反対側の地中海でも「ボートピープル」の時代に突入した。アインシュタインが指摘している通りです。同時にソ連が露呈した一党官僚体制にも痛烈な非難を浴びせかけている。

それに加えて、彼は1922年2週間余りの来日中、人を見下すものとして、人力車には決して乗らなかったという。また権威や差別、ファッシズムを憎み、人類の平和を求め続けた人間性の豊かさがある。「自由」の国アメリカで、黒人差別に反対し、その人権擁護にも努力している。

この二人の大天才に継ぐ、超大天才とされるのが、今回の主役スティーブン・ホーキング博士である。



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04: 改めてスティーブン・ホーキング博士とは?

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今の世界で知的頭脳の頂点に立つ人物ではあるが、物理的体力は“Motor Neurone Disease”という運動神経が冒される進行性麻痺症という難病に罹っている。今では、自分の脚で立ち上がり支えることもできない。そこで電動車椅子に座り、自分自身の頭部も支えきれず常に頭を傾げ、シンセサイザーの合成音で発声している。そしたメガネをかけている。講演会の席上でも、この姿で応答している。ということは、自分の目で認識し、自分の耳で聞こえているのだろう。

普通人の頭の中身は空っぽだが、彼の頭脳には想像を絶する叡智が詰まっているので、自分では支えられないとの学説があるが、それは一般的ではない。

今週の月曜日には、ロンドンの科学博物館で、今年3月に亡くなった英国が誇る宇宙物理学の巨人を偲ぶ記者会見が、同博士の子供たちを主体に行われた。その模様がこのAFP電である。

彼の身の回りの世話から、その溢れ出る思想と、高度な理論を記録に留める作業には、家族をはじめとして数多くの有能な人材が必要とされた。単に身体障害者の看護レベルではない。ホーキング博士の理論および出現によって、アインシュタインの高度な理論が次々に実証できたからである。そのレベルの看護師を身の回りに必要とした。だから、家族へのプレッシャーも相当のものだったと想像できる。

ホーキング博士が1988年に著した“A Brief History of Time”は、宇宙物理学の著書としては空前のベストセラーとなった。だが、最後まで読み通した人はほとんどいない、と皮肉家は言う。

それにしても、この宇宙物理学者はBrief(簡単明瞭に短く・・)という言葉がお気に入りのようだ。実際に彼の人気の一つが、バカチョンにでも理解しやすいように、難しいことを平易に解説するよう努めているからだ。



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05: 10件のビッグ・クエスチョン

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ホーキング博士は誰も答えたことが無い、現代人が考えるビッグ・クエスチョンを10件に絞った。昨年2017年のことである。そしてその回答を本にして出版する予定であったが、今年3月の死亡で、この作業は未完に終わった。

その10件のデッカイ問題とは;

1.神は存在するのか
2.この世は、どうやって始まったのか
3.ブラックホールの中には何があるのか
4.未来は予測できるのか
5.タイムとラベルは可能か
6.地球上で人類は生き延びられるか
7.宇宙人には他の知的生命体が存在するか
8.宇宙空間に植民地を設けるべきか
9.人工知能は将来人間を上回るか
10.未来というものを、どう形作るべきか



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06: この問題の基本の基本は何か?

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立花隆著「21世紀 知の挑戦」によれば、「キリスト教では、人間と人間以外の生物を厳しく区別している。聖書によれば、人間以外の生物はすべて、神の単なる被造物にすぎないが、人間は、すべての生物を支配する監督者として、神の似姿(Imago Dei)に合わせて創造され、神から命の息が吹き込まれた(それが霊魂)とされる。だから、人間はすべての生物を征服し、利用しつくすことが許されているというのが、西欧の基本的自然観である」 

当研究所もそう思う。

ところが、現代科学の進歩は留まるところを知らずで、このような自然観を根本からくつがえし、生物界はすべて兄弟で、人間が選ばれた特殊な存在ではないということを、解明している最中である。その解説にうってつけなのが、これらの大科学者たちである。

ニュートンは教会の「三位一体説」に反発する論文を書き、ダーウィン(1809−1882)の「進化論」はキリスト教の教義に真っ向から反対するもので、世を挙げての論戦が繰り広げられた。このダーウィンもウェストミンスター寺院に埋葬された。天才の頭の中は分からないが、アインシュタインもホーキングも徹底的な無神論者である。この世にGodなどいないと、キッパリと宣言している。

同様のことを異教徒が唱えると、日本人を含めて、未開の人種と看做される。
未開の人種とは、人間扱いされない。

アインシュタインはルーズベルト大統領に手紙を書き、ナチドイツに対する原爆の使用をほのめかしたが、ルーズベルトは、ドイツと日本を秤にかけて、人種区分した。その結果が広島と長崎での原爆実験であった。



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07: Brief Answers

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さすがに西洋の大天才である。すべて科学的な裏づけのある答えを用意した。

これこそホーキングの明確で簡潔な回答である。幾つか例を挙げよう。

・人類は地球を去らざるを得なくなるだろう。そうしなければ、絶滅するだけだ。

・今後100年間で、コンピュータは人類の知能を凌駕するだろう。だから、その目的を人類と共有できるものにさせる必要がある。

ホーキングはさらに語る。


・人類は精神的な品格と物理的体質を改善すべきであったが、遺伝子組み換えによる超人類は膨大な記憶力と病気への抵抗力を備え、他の人類への脅威となるだろう。

・現在発生している異常気象を人々が理解するのは、すでに手遅れの状態となったときだろう。

・最も単純な説明は、ゴッドなど存在しないということで、死後に対する明確な証拠もないということだ。しかし、人々はその影響下に生き、その遺伝子を引き継いでいくことだろう。

・次の50年間で、生命がどうやって始まったかを理解し、この宇宙のどこかで何らかの生命が生存しているかを発見することだろう。



娘のルーシー・ホーキングがAFPに語っている。

「これらはグローバルに挑戦すべき大問題であるにもかかわらず、我々は度量の狭いローカル的な思考に陥っている、と博士は深刻に悩んでいました。

今は、協調してヒューマニティへ戻り、団結して直面する難問に挑戦すべき、緊急に呼びかける、まさにその時である。(*このヒューマニティは人類愛とも、人間らしさとも訳しきれなかった)」

もう一つのムツカシイ英単語がエントロピーである。

新英和大辞典では、物理化学の用語として「秩序の高い状態は、自動的にくずれて、無秩序の状態へと移行していく傾向」と出ている。

博士の学術的な最終レポートで、ホーキングはブラックホールに光を当て、ブラックホールのエントロピーを計算する新しい作業で情報のパラドックス(逆説)を証明した。

この著書の図解を紹介する場面で、ホーキングの独特の人工音声が会場に流れた。

その音声を聞きながら、「私は何ともいえず感情的になり、父親が本当にここに同席しているように感じ、涙がとめどなく流れて、仕方がなかった」とルーシーは最後に語った。


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