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<ミャンマーで今、何が?> Vol.279
2018.11.7

http://www.fis-net.co.jp/Myanmar

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━━【主な目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■オリバー・ストーンのアメリカ発掘DVDは最高 (2)

 ・04: ナポレオンの歴史観も参考になる

 ・05: 歴史から消え去った英雄たち

 ・06: ストーンは何処に間違いがあると指摘するのだ

 ・07: メルマガ配信停止のご案内

 ・公式ツイッター(@magmyanmar1)

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04: ナポレオンの歴史観も参考になる

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ストーンの解説に戻ろう。

『我々は、深く考えずに、自分たちが西部劇などに登場する“善玉のいいやつ”だと思ってきた。今この年齢で振り返ると、私は世界中いろんな国を訪ねてきたし、ベトナムでは、歩兵連隊の一兵士として、自分の勉強を続けた。そして数多くの映画も製作した。その中の「J・F・K」や「ニクソン」もアメリカ史に関する歴史モノだった。これらの経験は、自分が教えられた知識をはるかに上回るモノだった』と、自分の人生そのものが歴史の勉強であったとストーンは語る。

ストーンの語る画面背景には、子供時代の学校風景や、西部劇の一場面、幌馬車隊やアパッチ族、ベトナム戦争の実写が次から次に展開されていく。そして歴代のアメリカ大統領の実写記録がリンカンからオバマまで連続する、さらには自作「J・F・K」の一場面も流れる。それらが、ビジュアルの強みで、音声はないが補足説明として雄弁に語ってくれる。

ストーンの解説英語を字幕で読んでいたのでは、外国人としハンディがある。ビデオ画面または映画の描写を鑑賞する余裕はない。最初はストーンの語りに耳で集中する。理解できない単語があると、英語字幕をオンにして、字幕を追いかける。分からない単語は片っ端から辞書を引く。単語と会話で大意を掴めたら、ここではじめてショータイムが楽しめる。ここに辿り着くまで、ビデオを停止、巻き戻し、再生と、何十回とチェックする工程が入る。

五体満足でないハンディキャップの苦労を健常者は知らない。ましてやノー(脳)天気のアメリカ人は外国人の苦労を知らない。英語障碍者はこれらの工程を何度も繰り返すことで、アメリカ人が見逃した些細なことも気付く。その結果アメリカ映画を、英語障碍者が本場アメリカ人よりも、深く理解することが往々にある。そのことを、アメリカ人は知らない。

同様のことは、アメリカの自動車社会にもいえる。

荒馬を乗りこなしたカウボーイは、いつの時代か、もっと強力で御しやすいアメ車に乗り換えた。

“この国はキミたちのもので、オレたちのものだ。カリフォルニアからニューヨークまで。レッドウッドの森からガルフ湾の渚まで・・”ウッディー・ガスリーが陽気に歌う。アメリカ人は自国を誇りにしている。安い石油もふんだんにある。ハイウェーは地平線の彼方まで延びている。

だが、極東の隅っこのチッポケな国が、価格が安いとか、燃費効率が良いだとか、スペアパーツが揃っているとか、つまらぬコトをぬかしやがって、大国アメリカに経済進出してきた。冗談じゃネーや。T型フォードをはじめ、自動車産業を興したのはアメリカで、四通八達の横断・縦断ハイウェーを切り開いたのは、アメリカ人なんだゼと。アメリカの議員たちまでがトヨタ車、ダットサン車の上に乗っかり、ハンマーで日本車をブッ壊す。

中東で原油価格が急上昇する。燃費が良く故障しない日本車は、アメリカ国内でも、爆発的な売れ行きだ。カウボーイの子孫にとって、オモシロくない。その不満を煽り立てるのが、アメリカの議会で、大統領である。そこには産業界のロビイストも活躍する。品質、低価格の優秀さは考慮せず、金曜の夜はフィーバーし月曜の朝はブルーなアメリカ人労働者を非難せず、それらを一緒くたにして、ホワイトハウスのマフィアは、肝っ玉の小さい霞ヶ関や永田町に乗り込んでくる。純粋な経済問題がマフィア外交によって複雑な政治決着に切り替えられていく。

今のアメリカも、何一つ変っていない。進歩しないアメリカで、努力しないアメリカである。日本にとって大問題なのは、脅しに弱い霞ヶ関で永田町である。こちらもペリーの黒船以来、何一つ変わっていない。オタオタと引き延ばし作戦は日本外交の大原則となった。

何十周遅れのランナーで、遅れてやってきた中国は、霞ヶ関と永田町を追い越して、今や世界第2位のランナーとなった。本来なら得意技のモノマネでゴールを目指すとこだが、オタオタと引き伸ばし作戦はまったく役に立たない。そこで右往左往しているのが、21世紀の共産国家帝国である中国という隣国である。習近平がD・トランプに対してどのようなカードを切るのか、逆に日本が学ぶ時代となった。当然のことながら、永田町も霞ヶ関も、その情報収集に励んでいるはずだ。

本来の話に戻ろう。ストーンの解説が楽しみになってきた。

「子供たちが学校の授業について話していた。それを耳にしてショックを受けた。私がそうであったように、今の子供たちも世界の正直な事実を教えられていない。今でもそうかと思い、愕然とした。私たちすべてのアメリカ人は、生きている生活の大半を、霧の中で過ごしている」とストーンは正直に思いを語る。

ストーンの感想には頷ける。

『自分の子供たちに、今ハッキリと伝えたい。権力者たちが捻じ曲げて伝えてきた偽りの情報を正し、多分真実と思えるサムシングへのアクセスを可能にさせてあげたい』

ストーンは、時の権力者は場合によって、真実を語っていなかったと指弾する。野次馬メルマガもソウダッ!と拍手喝采した。

この部分は自分の子供たちという言葉で、未来世代へメッセージを投げかけている。

『アナタはメディア情報に接する。そして大衆の大半がそのことを話題にする。これがアメリカ社会のその日のニュース風景である。ニュースは当たり前の日常風景としてダラダラ通り過ぎ、本当に重要な事柄は垂れ流しにされていく』

画面の背景にはCNNの現場中継がニュース番組として流され、ベトナムのナパーム弾、イラクのミサイル誘導爆撃ですら、ドラマの一場面のように通り過ぎていく。視聴者は気に留めることもなく、台所仕事を続け、洗剤の泡のように流されていく。

『ナポレオンの有名な言葉がある。“歴史とは、皆が認めた暗黙のウソで一杯のパックだ”。私自身この説に同意するか決めかねている。私は、歴史とはある目的をもって意味づけられたものと信じているし、そこにはまだ発見されていない一定のPattern(行動様式)があるように思われる』

さすがに歴史に興味を示す、ストーンらしい意義深い見解である。
オモシロくなってきた。話を続けよう。



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05: 歴史から消え去った英雄たち

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『アメリカの物語を掘り起こすのに、もう一本新たな映画を作る手法も、私にはある。だが、むしろ別の新たな試みに挑戦してみたい。すなわち、これまで一度も語られなかった物語を発掘して提示する方法だ。この世の中には、答えが出ていない問題が数多く存在する。ここで提議する問題も、アナタが考える際に、今後いっそうの問題意識を持つ一助になればと願っている』

ストーンはただの人気映画監督ではない。真実を突きとめるジャーナリストに似た熱意と冷徹さがある。鬼才マーティン・スコセッシの弟子であるだけに、ストーンは独自の手法を開拓していく。DVDコレクションには、アメリカ社会の問題を告発するマイケル・ムア監督の作品も多数ある。だが、野次馬メルマガとしては、ストーンの質の高いジャーナリスティックな手法に軍配を挙げたい。

ストーンの解説に戻ろう。

『最初に紹介したいのが、アメリカの歴史から忘れ去られた、一握りの英雄たちである。自分の信念のために深い傷を負い、歴史から消え去った人たちである。歴史の本流から外され、主役になれなかった英雄たちである。信頼に足る実績を残した英雄たちだが、悪意的な評価で、歴史の正史には記録されなかった。それらの悪意を除外して、事実の積み重ねで、再び物語を構成してみたい』

『忘れ去られたモノを、正しいと信じ自分自身で掘り起こさない限り、より良い未来はありえない。歴史の流れには一定のパターン(行動様式)があることを、まずお見せしたい。多分、アナタはこれまで気付いていなかったはずだ。では今から、歴史を逆行して、アメリカの歴史にアナタを連れ戻したい。プレイバックである。そこで最初に見えてくるのが、第二次世界大戦以来、アメリカがどれほどドラスティックに豹変したかである』

日本ではジャーナリストまでが、政府の方針を忖度するが、ストーンが凄いのは、逆に政府を言論の分野で辛らつに攻撃する。

『アメリカの歴史には、深刻な間違いが幾つかあった。それでも、チャンスは未だ残されている。私が信じるのは、アメリカの間違いを修正するチャンスは未だ残されているということである』



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06: ストーンは何処に間違いがあると指摘するのだ

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それには一切答えず、画面から話者のストーンが消え、真っ黒な画面に白地でDVDの英語タイトル「語られてこなかった連邦政府の歴史」が大きく浮かび上がる。

続いて、このドキュメンタリーを制作した編集者、テーマ音楽作曲家、音楽プロデューサ、映画プロデューサ、脚本家グループ、そしてストーン監督の名前が出てくる。問題を提議して、実際にこのDVDを企画した頭脳集団である。

これまでは、白黒を多用していたが、ここからがドキュメンタリーが始まる。画面は早朝なのか、全体が青みがかり薄暗い。真正面に山脈らしいシルエットが見える。“Alamagordo, New Mexico June 16, 1945”と英語字幕が読み取れる。思わずニヤリとしてしまった。ワタシがこの4枚組みDVD授業をNo.4から始めようとしたのは、正にこの場面が見たかったからだ。ストーンの凄さは、ワタシが見たかったこのシーンをDVDNo.1の、しかも一番最初にもってきたことである。ますますストーンに惚れ込んでしまった。

1945年6月16日というと、現代史のなかで何時なのだろう。

引き算すると、きっかり終戦2ヶ月前となる。この時期に何がなされたのか一考してほしい。

そしてストーンが“The Sangre De Cristo or Blood of Christ mountain range … is one of US’s most remote and primitive landscapes”と語りはじめる。
和訳すると「サングレ・デ・クリストとは血にまみれたキリストの山並みで、USからは最も遠くに位置し、原始的な風景が続く」ということだろうか。

ストーンの語りに釘付けになった。

『孤立した牧場の一軒家には、世界でもトップグループの科学者たちが集まり、その多くはヨーロッパ人である。皆、神経が高ぶった顔つきで、凍えるほどの早朝の空気に震えている。近くには鉄塔が建ち、暗くてよく見えないが、そのトップには何かがぶら下がっている。“爆弾だ!”本日、彼らはソレの実験をすることにしている。この実験のコードネームは“Trinity”となっている』

この“トリニティ”とは三位一体のことである。異教徒である日本人の一般論からすると、欧米の科学者がオカルトともいえる宗教のひとつである聖書物語に感化されているかを知る、良きサンプルである。

この部分の表現は実にマズイ。日本人でもクリスチャンは多数存在するからである。
スーチーの哲学に従えば、一方の立場に立って他方を批難すれば、何事も解決できない。他の見解があることも認め、尊重せねばならない。

もう一度表現を変えて説明したい。

ここに登場するのは、世界でもトップグループの欧米系科学者たちである。
科学者とは、物事を論理的に推し進めるのが基本である。その科学者が爆弾の実験をするに当たり、“三位一体”という一宗教の象徴をコードネームに使用するのは、何らかの偏見がスタート段階で織り込まれているのではないだろうか?という疑問である。

蛇足だが、酔いどれ所長は“フリー・シンカー”なので、どの宗教に対しても、等距離外交を貫いている。

これまでにアインシュタインとスティーブン・ホーキングについて語ってきた。欧米社会において、彼らは20世紀、21世紀最高の大天才と看做されている。この二人は、前にも書いたが、旧約聖書に伝えられる神は存在しないと科学的な発言をしている。この大天才二人の発言には、欧米社会のインテリを気取る連中も畏れいらざるを得ない。だが、日本人やミャンマー人が同様のことを言えば、未開の野蛮人とみられる。
その欧米人のダブルスタンダードと、横柄さにこのメルマガは文句をつけているのである。



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07: メルマガ配信停止のご案内

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このメルマガは「ミャンマーで今、何が?」と看板を掲げ、話の内容はDVD物語に飛び火し、アメリカの歴史に入ってしまった。正直どこまで暴走するか分からない。

当然、「看板に偽りあり」である。
騙されたと憤慨された方は、このメルマガのどこかに“配信停止”のボタンがありますので、どうぞそちらをクリックお願いします。



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