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<ミャンマーで今、何が?> Vol.28
2013.1.23

http://www.fis-net.co.jp/Myanmar


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■中国領土が攻撃されたと中国がミャンマー政府を強く非難

・01:AAA:(政治)
・02:BBB:(経済)
・03:CCC:(生活一般)

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<AAA:(政治)>

○A1:中国領土が砲弾攻撃されたと中国がミャンマー政府を強く非難

ミャンマー政府軍とカチン民族反乱軍の戦闘で中国領土内にその砲弾が着弾したと1月17日、中国政府がミャンマー政府に対して“重大な問題”であると表明し即時の停戦を訴えた。

ここ数年間の両国の親密な関係からすると今回の中国の反応は異常とも思える強い態度である。中国外務省はこの紛争に対して緊急の抗議をミャンマー政府に申し入れ、重大な関心と不満を表明した。

新華社電によれば、この数ヶ月以内に中国領土内に着弾した砲弾は4発で、3発は12月30日に着弾したと伝えている。中国国境に沿った町Laizaにあるカチン独立軍司令部に向けてミャンマー政府軍は圧力をかけ続けている。

ミャンマー政府はカチン反乱軍との交渉を望むと繰り返し語り攻撃を削減し交渉に戻りたいと述べている。しかし、政府軍は重火器を使用し、ヘリコプターで攻撃し、Laiza周辺を管理下に置くカチン軍ゲリラに対する戦闘機での攻撃を強化しているようだ。

カチン反乱軍は中国国境に沿った領土の一部を今も管理下に置き、この地区では幾つかの中国の会社が所有する植林事業が行われている。(1月17日 NYタイムズ)


○A2:ミャンマーは変わる:スーチーの政党が軍閥から資金を受理

民主主義のリーダー・アウンサンスーチーを20年近くも自宅軟禁していたミャンマー国軍政権に取入って財を成した成金連中からスーチーの政党が資金提供を受理し、軍事政権取巻きのイメチェンに貢献しているのではとの疑惑も出ている。栄えあるノーベル賞受賞者が教育支援を目的に軍で汚れた資金を受取れば国際的イメージに傷がつくという一方で、資金的には必要悪だが政治的に利口な方法だと賞賛する支持者もいる。スーチーの野党NLDは約半世紀もミャンマーを支配してきた軍事独裁政権に擦り寄って財を成し、西側からブラックリストに掲っている財閥が経営する会社からコンサート募金として211.5百万チャット ($250,000)を受理した。

米国財務省が武器商人で悪名高き軍の取巻きとかって呼んだ、億万長者のテイザーが所有するAGB銀行は12月のコンサートでスーチーの政党へ40百万チャット($47,000)を寄付した。複合企業Shwe Than Lwinと民間テレビ局SkyNetを所有する実力者Kyaw Winの妻はスーチーが編んだ2枚のセーターの1枚にオークションで41.5百万チャット($50,000)を寄付し、SkyNetは別途130百万チャット($151,430)を寄付した。

NLDは集まった資金はすべて教育目的に使用しその一部を政党に流用することはないと明言している。

テイザーを初めとするこれら財閥関係者は政府への制裁緩和にもかかわらず西側のブラックリストからは削除されず依然として掲載されたままである。

スーチーの支持者はフェースブックに彼女の新しいニックネームとして“ロビン・スー”と書き込んだ。金持ちから巻き上げて貧しい人たちに分け与えたイギリスの無法者ロビン・フッドをもじったものである。(1月18日 ロイター電)


○A3:ミャンマー政府がカチン反乱軍に対し一方的な停戦声明(続報)

中国国境近くでの戦闘が激しくなった数週間後の1月18日、ミャンマー政府はカチン民族反乱軍に対する攻撃から一方的停戦とも思われる声明を発表した。それは平和協定を目指すものだが、反乱軍がどう反応するかは不明である。

この声明は議会決議の数時間後に発表されたが、このミャンマー側の突然の動きは芽生えたばかりの民主主義を逆戻りさせるという国際社会の懸念を読み取った上での措置と思われる。18日の声明は、停戦実施の時間を翌19日(土)午前6時からとこれまでにない正確さで伝えている。

この停戦声明はミャンマー国軍の最高軍司令官であるMin Aung Hlaing副上級大将がシンガポールとマレーシアを公式訪問している国内不在のときに発せられた。

ミャンマー国軍はカチン反乱軍に対する作戦を12月末から強化しており、反乱軍の基地であるLaizaの町周辺が頻繁に砲撃されていると目撃者は語っている。

Thura Shwe Mann下院議長(前将軍)が注目を浴びているのは、同議長が議会で論議することなくカチン州での敵対行為を即刻停止するよう緊急動議を提出し多数決で承認させたことにある。この問題は“我が国にとり重要だ”として軍事政権時代には存在しなかった議会という機関の影響力が増大していることがうかがえる。

ミャンマー政府の発表前に、中国の通信社はミャンマーの避難民が戦闘を避けて親戚や友人が多数住む中国南西部に越境していると報道した。17年間の停戦が崩壊した2011年6月以来、ミャンマー国軍はカチン反乱軍に対する作戦を強化し、反乱軍は一方カチン州の広範囲にわたる地域を確保し自治区として保護している。この戦闘で雲南省の国境貿易にとり重要な中国の水力発電計画とヒスイ鉱山は停止したままとなっている。

2011年の停戦協定決裂後、主にクリスチャンからなる何千人というカチン族が雲南省に越境し避難民キャンプに移り住んだ。中国のクリスチャンが援助を提供し、マンダリン語でジンポーと呼ばれる中国のカチン族も同様の援助を行っている。

昨年8月、雲南省当局はすべての避難民に対し収容所を立ち去り、戦闘地域に戻るよう強制し、人権問題活動家・その他のグループの非難を呼んだ。(1月18日NYタイムズ)



<BBB:(経済)>

○B1:5月に中国・ミャンマーを連結するガスのパイプラインが完成

ミャンマーのインド洋沿岸と中国南西部を連結するガスのパイプラインが5月末には完成する。この新しいパイプラインの完成で中国はエネルギー輸入を過度に依存していたマラッカ海峡から解放され、輸送距離が大幅に短縮される新たな供給ルートを確保することになる。上場会社・中国石油の親会社であるCNPCは建設開始後3年以内での5月30日に793kmのパイプラインが完全操業されると1月21日発表した。

中東および北アフリカからの原油をミャンマーを横断し、これと平行に走る輸送パイプラインも来年中には完成すると報道された。現在は中国の原油輸入の80%は戦略的に重要なマラッカ海峡経由で輸送されているが、この新しいパイプラインが完成すればマラッカ海峡への依存を3分の一に削減できるとしている。

この新しいパイプラインでアフリカ・アラビアの石油輸送は約1,200km 短縮される。新しいパイプラインは年間120億立方メートルのガス輸送が可能でその大半はインド洋にあるミャンマーのガス田から供給される。中国は大量の石炭依存を現在天然ガスに切り替え中で、2010から2015年では年率20%増の天然ガス需要が見込まれている。

来年操業開始する原油パイプラインは年間22百万トンの輸送を予定している。中国の2012年の原油輸入量は271百万トンであった。ミャンマーは国内消費用として同パイプラインから2百万トンの原油と20億立方メートルのガスを受取ることになっている。 

人権問題・環境保護グループはパイプラインの安全性、環境破壊、住民への不十分な補償金を非難してこの建設には反対している。一方、中国の国営メディアはミャンマー経済への貢献と両国間の兄弟的関係を強化するものと強調している。一方、北京政府はミャンマーの幾つもの巨大インフラおよび天然資源プロジェクトの将来に懸念を募らせている。特にガスパイプラインおよびそのチャオピュー港・工業地区開発、そしてミャンマー国軍と中国の武器製造メーカーNorincoとの共同事業で賛否両論のモニワの銅鉱山に関しては頭痛の種で、昨年末ミャンマー政府は武力でもってこの銅鉱山反対ストを弾圧している。

この数週間、ミャンマー北部の中国と国境を接するカチン州での衝突は伝統的に密接であった両国関係をさらに複雑なものにし、1月21日、中国は繰り返し本件で警告を発している。この問題は緊急に両国間トップレベルの会談となり、18日夕方に帰国したミャンマー国軍の最高軍司令官Min Aung Hlaing副上級大将はネイピードで20日昼中国人民解放軍の副参謀長であるQi Jianguoと会談した。中国側はミャンマー政府と国軍の和解努力は支援するが、民族武装グループとの軍事衝突は支援しないときっぱりと態度表明した。これに対してミャンマー側は19日以降国軍は攻撃を停止しており、国の回復安定に寄与したいと応えている。(1月21日 フィナンシャル・タイムズ)


○B2:外国企業がミャンマーの高騰する事務所賃貸に懸念

外国企業にとってミャンマーでの事務所・住宅の高騰が重大な関心事となっている。

建設ブームとはいうものの需要が供給を上回り価格はさらに上昇しそうな気配である。

ヤンゴンにあるシンガポール国際学校の生徒は下町の5つ星ホテルでクラスを運営していた。安全が一番の理由だが、これまではそのコストをかける余力もあった。しかし、学校は上流階級の住む住宅地区に引っ越してしまった。この2・3年間で家賃が50%からそれ以上に値上がりし、場所によっては3・4倍のところもある。

幾つかの国連機関も、現在はヤンゴンの国際級ホテルで運営しているが、深刻なホテル不足で事務所代金が高騰し他の場所を探さねばならない状況となっている。

それ以外に苦労しているのが外国企業で、ミャンマーが開放政策を取って以来、ヤンゴンその他の主要都市に群がり始め事務所不足が主要な障害となってきた。ある大手企業の社長は、“ヤンゴンで事務所を探すならサクラタワー、FMIセンター、新しいセンターポイントの3つしかない”と明言する。そしてサクラタワーはすでに満杯である。

賃貸料金は平米当りUS$50以上で、ジャカルタの下町の3倍以上である。建設ブームとはいうものの、賃貸費用が今すぐ下がるという兆候はまったくない。実際に一部専門家はヤンゴンは北京・ニューヨークと同じに平米US$100を超えると予測する。



<CCC:(生活一般)>

○C1:ミャンマーがモービル革命を推進中

先週、政府は携帯電話事業のライセンス2件の国際入札を発表した。これは携帯電話の普及率を現在の現在の5-10%から3年以内に80%にする第1段階としている。

テインセイン大統領は19日に開催された国際会議で携帯電話法は彼の政策の基盤となると明言している。しかし、IT専門家は改正された電気通信法がまだ議会を通過していないためにそのタイミングに驚いている。

さらにその次に日に、携帯電話のライセンスに最終責任を持つ電気通信大臣が辞任し、その理由は何一つ説明されていない。彼の辞任は数ヶ月前から噂されていたがその時日がはっきりしなかった。次に何が起こるのか様子を見ざるを得ない。

一部専門家はライセンスの入札と辞任という2つの出来事はテレコム業界の自由化を促進すると見ている。この入札の締切は1月25日であるが、参入を試みる外国企業はその前に参加の意志を表明するものと思われる。

政府にとってもうひとつ厄介な問題は国内企業をどうやってなだめるかにある。このライセンスは全部で4件だが、2件を外国企業に、そして残り2件を国内企業に配分すると政府は説明している。国内企業とは国営のミャンマー郵政電気通信省(MPT)とヤタナポン・テレポートで、後者はインターネットのプロバイダーで51%の株式をMPTが所有している。

このため国内のある事業家はMPTがひとつ以上のライセンスを巧妙に手に入れる智恵はどこから出てきたのかと疑問を呈している。(1月20日 ロイター電)





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