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<ミャンマーで今、何が?> Vol.283
2018.11.16

http://www.fis-net.co.jp/Myanmar

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━━【主な目次】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■オリバー・ストーンのアメリカ発掘DVDは最高 (6)

 ・19: 「国際モノマネ大学」

 ・20: アメリカを造った男たち

 ・21: アメリカの副大統領は穴馬券

 ・公式ツイッター(@magmyanmar1)

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19: 「国際モノマネ大学」

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唖然としてしまった。

このところワタシ自身が登録したメルアドへの、「ミャンマーで今、何が?」の配信が止まってしまったからだ。

これまでは、例えばVol.282の配信を確認してから、次号の原稿準備に取り掛かった。
日本へ問い合わすと、プロバイダー殿は予定通り、すべてアップロード済みだという。

オックスフォード出身の英国人は、新政権に変っても油断してはダメだ。英国の国際情報局MI6はヤワではない、陰険なことを幾らもやっていると忠告を受けていた。その冗談が冗談ではなくなったようだ。そこでストーン(6)物語は、今回で切り上げたい。

あとはNH氏が教えてくれたYouTubeで、ご自身で確認してください。

言っておきますが、アナタが何歳であろうと、ヤル気になれば、英語なんて簡単なものです。

そしてストーンの語りを一語も見逃さず、すべて辞書で引いて、真意を正確に咀嚼してください。そうすれば、アナタ自身が一流のジャーナリストの目と耳と感覚を身につけられるはずです。カルチャーセンターに通う必要はありません。

ブランド衣料で格好をつけ、カルチャーセンターに通い、帰りは友人と、洒落たカフェかビストロでワインを・・なんて、ヤンゴンの若者にはまったく無縁な話である。

むしろ、違法「国際モノマネ大学」でBBCの海賊版DVD「SECRETS OF THE Superbrands」を楽しむ。これもDVD2枚の大作だ。第一部:技術、第二部:ファッション、第三部:食品に分かれている。

第一部だけで、アップル、グーグル、ノキア、フェースブック、マイクロソフト、ソニーなどのスーパーブランドものが次から次に出てくる。さすがにBBCが報道するだけに、各企業の宣伝部門の役員、販促部長など徹底的に取材する。私企業名を画面に出すのはヤバイという不可解な自主規制などまったくない。くどいほどブランド名が出てくる。簡単に見破られるボカシで隠すなどアホなことはやっていない。

第二部になると、空港免税店の商品のオンパレードである。BBCの凄さは、資生堂やソニーの商品を並べるのではなく、その企業の企画部長にその商品のウリは何か、何をテーマにしているか、あるいは時代の潮流はどこにあるのか、肝心なことを聞き出している。

第三部の食品も、チョコレート、スコッチウィスキーだけでない。今時、こんな商品もあるんだと、教えてくれる。

ヤンゴン片田舎にある未認可の「国際モノマネ大学」で、世界の超一流ブランドものを、ハイテク、ファッション、食品に仕分けして、しかも、グローバルな販売戦略まで学ぶことができる。オシャレして原宿まで出かける必要はない。

例の通りで、話は飛ぶ。
ヤンゴン国際空港の免税店でブースを設けたいと小金持ちの韓国人が軍人相手に盛んに運動をしていた。7・8年前のことだったろうか。2018年の今、ヤンゴン国際空港の利用客は急増している。だが、そこの免税店で買い物をしている旅行者を見かけたことがない。世界中でも、これほど閑散とした飛行場は珍しいのではないだろうか。あのときの韓国人からは、その後連絡はない。だが、この海賊版DVD2枚で学習すれば、そのカラクリまで見えてくる。

スミマセン。話はストーン監督でした。

ということで、頭の上をミサイルが飛び越えようが、今この瞬間に起こっていることなど、まったく気にする必要はない。大切なのは今よりも歴史です。そういう意味で、今を伝えるいかなる新聞・TV・映画よりも、ヤンゴンで入手できる海賊版DVDが“CROWN JEWELs”となること間違いない。ただし、DVDは自分で選ぶこと。



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20: アメリカを造った男たち

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それにしても、ストーンのアメリカ歴史物語を途中でストーンと打ち切られるのは腑に落ちない、という読者もおられるでしょう。MI6は単に口実で、事実は所長のキャパシティと能力がストーン監督に追いつかないためです。無責任なようですが、アトはご自身でYouTubeから自分の目、耳、感性で受け止めてください。

実は、前回の原稿を書き終えたところで考え込んでしまった。

オリバー監督も手強いが、アメリカという主題も、巨象のように大きいことに気がついた。ワタシ自身がアメリカを一括りにして、軽く見ていたようだ。

そこで前にご紹介したDVD「THE MEN WHO BUILT AMERICA」を深夜早朝、改めて徹底的に鑑賞してみた。これもDVD3枚でかなり長編である。だが、これを理解しないとアメリカは理解できない。

歴史のクロニクルに従い、コルネリアス・バンダービルトを最初に取り上げよう。

16歳で渡し舟を買いスタテン島とニューヨークを結ぶフェリーの水運業を開始する。カリフォルニアのゴールド・ラッシュをチャンスと見て、中米のニカラグア地峡を横断してNY-SF間航路を開き巨富を得た。そして英・仏間に大西洋航路を開設。こうなると渡し舟ではなく、立派な海運業だ。

その所有船舶すべてを売却し、NY・五大湖地域間の関連鉄道を次々と買収して幹線鉄道網を完成し、アメリカ資本主義初期の鉄道王にのし上がる。

スタンダード石油会社の創立者ジョン・D・ロックフェラーは鉄道会社のバンダービルトと密約を結び安い運賃で事業を大きく伸ばした。最初はバンダービルトがロックフェラーを利用する形で、その途中でロックフェラーがバンダービルトを利用する。すなわち、相手にスキあれば、ソコを攻める。アメリカ式経営の基本は、Dog eats Dogの喰うか喰われるかである。情け容赦もなく裁判に持ち込み、弱った相手を再興できないまでに、叩きのめす。多くの歴史学者、伝記作家、広告会社、政治家などの大物が解説してくれる。その内のひとりが宅地開発の大物ドナルド・トランプとなっている。破産しそうな資産会社を買い取って付加価値をつけて転売するのが鉄則と自分をミダス王に例えて語る。

J・P・モルガンはアメリカ金融界の中心人物だが、エジソンを後援しゼネラル・エレクトリック社を設立、ユナイテッド・ステーツ・スティール社をつくって鉄鋼業でカーネギーと熾烈な闘いを続ける。最初は単に製鉄会社だが、武器としても強靭な鉄鋼に製品が変っていく。さらには鉄鋼業は海運造船業、鉄道車両会社、航空産業への重要な原料資材供給者となっていく。

このように、鉄道網を広げていくには鉄路の鉄が必要だ。後述するフォード社の乗用車にはガソリンが必要だ。昔の電灯はケロシン油を必要とした。エジソンの電灯会社はナイアガラの水力発電を必要とする。電気にもDC(直流)とAC(交流)がある。ACは危険で感電死に繋がる。死刑執行に、このACで実験を行う。アメリカの科学産業の発達も学習できる。

資本主義初期のアメリカでは、司法制度も整っておらず独占禁止法が審議され、労働争議が頻発した、ちょうどその激動の時代である。これらは、その後、社会主義運動に発展してゆき、ジョセフ・レイモンド・マッカーシーの赤狩りに繋がっていく。ありとあらゆるものが“コミュニスト(共産主義者)”の名前で糾弾されて、一括して“赤”のレッテルが貼られた。

ストーン監督が最初に取り上げたワレス副大統領も、その激動の中で“赤”のレッテルに追い込まれ、遂には歴史から抹殺されてしまった。

ヘンリー・フォードのようにベルトコンベア方式を考案し、生産効率を極限まで追求し、一日8時間、一週間5日間=40時間と労働時間改善に成功した経営者もいれば、カーネギーの鉄鋼会社のように劣悪な労働条件で一日12時間を強いて、熾烈な労働争議運動となり、高名なピンカートン私立探偵社を私的争議に導入して、アメリカ史上初の血の粛清が行われ歴史上に大汚点を残した。

カーネギーは大資本家モルガンなどとの死闘に苦しんだ結果、富豪の使命を思い悩む、その結果が音楽の殿堂カーネギー・ホールや教育機関への貢献で、これは現在の富豪ビル・ゲーツやジャック・マーなど中国の若きビリオネアーにも強い影響を与えているようである。



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21: アメリカの副大統領は穴馬券

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MI6の追っ手を逃れるために、話をコロコロ変えたい。

アメリカの大統領は正副ワンペアで選ばれる。

もちろん正の大統領が主役で、副大統領は刺身のツマ程度に日本のマスコミは見ているが、ストーンはそれは間違いだと言っている。

第16代大統領のリンカーンは1865年4月14日夜ワシントンのフォード劇場で観劇中に狂信的な南部の同調者で俳優のJ・W・ブースに狙撃され、翌朝死亡した。

第20代大統領ジェームズ・ガーフィールドは共和党内の反対分子に1881年7月2日狙撃され9月19日に死亡した。

第25代大統領マッキンリーは1901年9月14日アナキストにより暗殺された。

第35代大統領J・F・ケネディは1963年11月22日テキサス州ダラスで凶弾に倒れた。

アメリカの歴史上4人の大統領が暗殺された。その結果、大統領選挙では重要視もされず、目立たなかった副大統領がアメリカ最高の権力者となった。特に第二次世界大戦後の米国大統領は、単にアメリカの大統領ではなく、超強大国の最高権力者である。

ストーンが強調するのは、暗殺ではないが、ハリー・トルーマンは第32代のルーズベルト大統領の死去により、1945年4月自動的に第33代米国大統領に昇格した。日本の政治家もマスコミも、無条件にアメリカは先輩先進国で、ゆるぎない憲法が確立しており、二大政党制が確立されており、何でもかんでもマネをするならアメリカだ。という神話が信じられている。

だが、ストーンはくどいほど、その危うさを指摘してくれる。言ってみれば、誰も馬券を買わなかった大穴のダークホースが、アメリカの最高権力者になるのだから。

哲学もなく、出来の悪い大統領が、竹ヤリでしか戦う能力のなかった日本国に、核爆発の威力の科学的効果もはっきりしなかった時点で、史上初の原子爆弾投下を命令したのだから。

その後、ソビエトとの核実験競争に明け暮れ、原子爆弾が水素爆弾にエスカレートし、トルーマンの核爆弾に対する恐怖心が国内外で、異常なほど大げさに語られ、国内では赤狩りのマッカーシズムに発展し、映画の都ハリウッドでも赤狩り旋風が荒れ狂った。国外ではソビエトとの間には疑心暗鬼から冷戦状態に陥っていった。

ということを理解するのに、メルマガ所長の勉強不足ではついていけない。

ストーン監督の語る英語を片っ端からノートに筆記している最中だが、ワタシの能力では理解するのにまだまだ時間が掛かりそうだ。

そこで、突然だが、ストーン監督の「UNTOLD HISTORY OF THE UNITED STATEs」は勝手ながら、竜頭蛇尾の終了にしたい。そして来週一・二週間は頭を冷やす意味で、休刊とします。

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ワタシはこれから、もう一度メルマガ購読の手配をしてみたいと思います。



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