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<ミャンマーで今、何が?> Vol.305
2019.4.1

http://www.fis-net.co.jp/Myanmar

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━━【主な目次】━━━━━━━━━━━

■イラワジデルタ紀行シリーズ

 ・01:イラワジデルタの形成?

 ・02:植物・動物のサンクチュアリー

 ・03:招かれざる訪問客

 ・公式ツイッター(@magmyanmar1)

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・01:イラワジデルタの形成?

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ヤンゴンからほぼ真西に一本道を進むと、イラワジ地区の中心都市パテインを経て、チャウンタビーチ、グエサウンビーチへと向かう。特に、水祭り期間中は、ヤンゴンの喧騒を避ける中流家庭の手ごろな定番、海浜リゾート地となる。途中通過するパテインは、簡単に軽食をとり、車のエンジンを休める、息抜き地点でしかない。

しかしパテインは、歴史的に水運が発達した大都会で、ヤンゴンに次ぐ第二の貿易港である。ライスボウルと称されるビルマ米の最大の集荷地で海外への輸出港でもある。内陸水運ではイラワジ川航運の起点となり、上流1400kmのカチン州バモーまで汽船が遡航する。

だが、今回のイラワジデルタ紀行はヤンゴン川を渡り、ラインタヤーの工業団地の途中から定番コースを外れ左折する。途中、陶器の町トワンテイ、スーチーの選挙区コウムを通過して、港町らしい雰囲気のピャーポンまでひたすら南下する。

灼熱のドライブは、エアコンの効きが一段と悪くなる。眠気覚ましに、ミャンマーの覚せい剤クンヤ(ビートル・ナット)を運転手に補給する。ドアを開け、クンヤの赤いツバを吐き棄てるたびに、猛烈な熱気が車内に乱入する。

友人グループのベースキャンプのあるOPK村(オークポクインチャウン)に入るには、ピャーポンから車で一時間ほど西へ向かった更に大きな港町ボーガレイの環境保護森林省で聖域(Sanctuary)への入域許可証を取得せねばならない。聖域とは動物(Fauna)・植物(Flora)を人間の乱開発から保護するためである。

ギリシャ・アルファベット4番目の大文字D=デルタは二等辺三角形をしている。
そこから、大河の河口域にできる三角州をデルタと称した。

インドもバングラデッシュもそうだが、6月、7月、8月、9月と4ヶ月間も続くミャンマーのモンスーン雨季も中途半端ではない。大河イラワジ川の水流は勢いを増し、土堤は決壊し、氾濫した濁流が両岸の村々・田畑・樹木・家畜類を飲み込み、表層土を削り取っていく。この糞味噌のオーガニック泥土がデルタとして堆積していく。だからデルタは、アンダマン海に、ベンガル湾へと、国土面積を拡げていく。

大河イラワジの河口域一帯は、大河の支流が幾つにも枝分かれし、大きく蛇行し、さらに孫分れし、中洲、小島、大島を形成していく。だから単純なアメリカ人が考える一直線の道路などドダイ無理な話である。それでも、村から村、大きな町へと、川を迂回した一本道がなんとか続く。

そこで内陸水上運輸が発達する。
デルタの民は水上民族でもある。女性や子供でも二人乗りの小舟で飲料水や食料の買出しに自転車感覚で出かける。

ベースキャンプ(BCと省略)の目の前も運河が流れている。人工の運河ではない。自然の運河である。河口域に近いので、潮の干満の影響を受ける。干潮と満潮の高低差は2メートル以上ある。干潮のときはイラワジ川の淡水が流れ、満潮になるとアンダマン海の海水が逆流してくる。

淡水と海水が入り混じる水域を汽水、あるいは英語でBrackish waterと称し、半塩水なので人間の飲み水には適さない。だが、水生の動植物にとってはワンダーランドで、地球上でも特殊な環境を作り出す。特にイラワジデルタの湿地帯は泥土なので、ニッパ椰子、マングローブに覆われた陸上は、足をとられて人間の歩行は容易ではない。

人間が近寄りにくいので、水鳥たちにとっては逆に格好の生活の場となる。季節によっては大群の渡り鳥が巣作りし、ひな鳥を育てる自然のサンクチュアリーとなる。バードウォッチングの好きな人にとっては、早朝と夕方のラッシュアワーは双眼鏡が必携だ。ラッキーならば、イラワジドルフィンまでもが見れる。

運河に面した所々にジェティ(桟橋)が設えており、BCの庭先も同様だ。目の前の流れも基本的に一日2回、右から左、左から右へと、水の流れは変る。その流れに乗って、小舟、物資運搬船、中型・大型の漁船などが行き来する。ときには強力なエンジンをつけたスピードボートが逆航してくる。強烈に降り注ぐ太陽光線さえ我慢できれば、一日中このジェティに陣取り、目の前を行き来する舟・船舶の乗員、物資など、水運の動向を記録すれば、この地域一帯の生活がより具体的に匂ってくることだろう。

BC庭先のジェティに横付けしたスピードボートも、満潮のときはジェティと同じ高さで、難なく乗降できる。だが、最も潮の引いた干潮時になると、2m以上低くなったボートからの乗降は一苦労である。しかも、スリッパ・サンダルでの濡れた階段は危険が一杯だ。

土手からBCの庭先に植林された1mほどのマングローブは、雨にも負けず、風にも負けず、夏の猛暑にも負けず、毅然と立っている。満潮の海水は、庭先にまで潮位が達するか否か、ギリギリのところである。日本が枯山水ならば、ここでは濡れ山水の自然の美が楽しめる。小さな赤いカニが這い回る。それをBCの周りに張りめぐらした木造のベランダから飽きずに鑑賞できる。

自然の美は、人造パークのディズニーランドやユニバーサルスタジオと違い、自然が息づいている。凪で風が止まっても、太陽の強烈な光線はマングローブの葉っぱに反射し、深緑の厚い葉っぱも、裏側はシルバー色に輝く。その影が地面に黒く投影される。ユーカリの大木に架けたハンモックが日陰になると、シエスタにはもってこいだ。強烈な光線と日陰の温度差が、微風を呼び込む。動くとどっと汗が流れるが、静かにしていると汗がすっと引いていく。電気も無ければ、エアコンも無い。アリやカニなどの小さい生き物から、そして水辺に生きる植物から、忘れてしまった自然のオキテを学べる。

水上にも船乗りのオキテがある。大型船が造りだす波形は、簡単に小舟を転覆させる。小型の小舟を見つけたら、大型船は即座に減速し、しかも離れて大回りする配慮をせねばならない。
ハンモックでうたた寝をしながら、白昼に夢を描く。



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・02:植物・動物のサンクチュアリー

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地球の生い立ちからすると、この順番が最も自然で、多分正しいのだろう。
人間は最も遅れて出現した動物で、人間が万物の霊長と言うのは傲慢もはなはだしい。
タシナミを知らぬ人間が蔓延ってくると、その順番を逆にしてしまった。

その思い上がりが人間の感覚をおかしくしてしまった。
親が子を殺す。学生が学校で銃をぶっ放す。無差別に人ごみでナイフが振り回される。
自然界では同種の動物が同族を殺すようになったら絶滅の兆候だ。
冷静に考えると、戦争の歴史が人間の歴史である。

イラワジから戻ると、疑問が噴出してきた。海賊版DVDで調べたいことが、幾つも出てきた。
今それを片っ端から鑑賞しなおしているところである。
BBCの地球シリーズは膨大な量で、DVD大学の教養課程に採用できる。

宇宙の誕生も、地球の誕生も学べる。
火山が爆発し、ガスが発生する。海洋が誕生する。海底でも火山が爆発する。水蒸気が発生し、そこに小さな植物群が陸上に生えはじめる。
学生たちと学ぶことは山ほどもある。
どれに最優先の順位を与えるか、考えがまだまとまらない。

私は、日本の教科書も、ミャンマーの教科書も、教育の本質を見失っていると考えるようになった。それらが手本とする英米の教科書は燃やしてしまえ。自国の教科書も同罪だ。
ゼロからの出発を自分で考えたい。子供たちに何を教えるかは人生で最も重要な課題かもしれない。アナタが親ならば、自分の子供に、自分で何を教え込む。
評判の良い、幼稚園、小学校にいれて、先生に丸投げするなど考えるべきではない。

そのミャンマー人が頼る英語ではFAUNA&FLORAと動物界を先に置き、植物界を見下している。思い上がりもはなはだしい。

ここのベースキャンプでは時間はタップリとある。
太陽が頭上にある真昼間はシエスタに限る。ここでの白昼夢は、人間の基本に、人類を連れ戻してくれる。

糞袋でしかない人間を、生きとし生けるものの最上界に置く欧米思想、と言うよりもクリスチャン思想が世界を侵略してから、自然を有りのままに尊重する東洋の思想は踏み躙られてしまった。
またしても西洋と東洋を考えさせられたのが、今回のイラワジデルタ紀行であった。



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・03:招かれざる訪問客

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実は、イラワジから戻り二三日したら、この屋根裏部屋のチャイムがピンポンとなった。イラワジの同行者かと思いドアを開けると、見知らぬ二人が立っている。ビルマ語が流暢に飛び込んでくる。まったく分からないので、スマンがビルマ語は分からないと英語で答えた。すると後ろに控えた背の高い男が、こちらの顔を覗き込むように英語で話しかけてきた。二人の間には、鉄格子の蛇腹ケージが締まったままである。鉄格子の向こうとこちら側での会話が始まった。

英語で話せるとはありがたいとこの男は応じて、自分は英国人だが、興味津々の顔付きでアナタは何国人ですかと訊ねてきた。
私は日本人だが、フリーシンカーで、特定の宗教には興味はないと応えると、神の説いた聖書に付いて話をさせて欲しいと小冊子を渡そうとする。

イラワジから戻り、心の余裕があったので、この男とはドア口で30分も話しこんでしまった。鉄格子は締まったままだ。後ろでミャンマー人の助手は汗をぬぐいながら手持ち無沙汰の様子だ。

白昼夢で考えたことを話した。
ギリシャでは人間に似せて多くの神を作ったが、ユダヤ人やローマ人はこの世界を作り、動植物など万物を作ったあとで、最後に唯一の神に似せて人間を創ったという。

今、この世の中は、ニュートンに始まり、アインシュタインを経由して、スティーブン・ホーキングの科学的証明でこの大宇宙が語られている。彼らも神の存在を信じないと言う。その時代に神の存在を世に問うのは時代遅れではないか?

しかも、今アナタがやろうとしている基督教の布教はアナタの国、英国内に留めておくのなら結構だが、他の宗教を信じる他国にまで押し掛け、布教するのは余計なお世話ではないか?

そこでアナタはこの国に何年滞在していると聞くと、2年半だと答える。
私は18年も住んでいるが、この国のことは、何一つ分からない。
このミャンマーには、今、英米をはじめとした西洋人、中国をはじめとした東洋人が多数押しかけているが、成功したビジネスマン、外交官、投資家、ジャーナリストは多分いないのではないか?

もしこの国のことがお分かりなら教えて欲しいと、話は延々と続いた。
私は、かなり露骨にこの男を馬鹿にした話をしたが、決して激高することなく、この男は相手の話を聞く耳をもっていた。そこそこ教養のある人間なのだろう。

そこで、西洋人はこのユニバースというものを無限に拡大していくが、果たして神は宇宙の果てを覗いたことがあるのだろうか?
東洋人は睡蓮の葉に丸まった水滴一滴にも宇宙を見出すが、この例えは、ラドヤード・キプリングの語る東と西と同じで、この双子は生涯交わることが無いのでは、と謎を投げかけると、この男は、人ぞれぞれに違う考えがあり、その違いは私も尊重しますと話を打ち切った。

だが、最後にダメ押しとして、キプリングは東と西は生涯交わらないと言ったが、最後の審判が下されるまでは、と付け加えている。
東洋人の私から見て、それが大文豪キプリングの限界なのではと、今考えることを述べた。

この男がいつの日か、もう一度、この屋根裏部屋に戻ってきたら、次回は鉄格子を開け、冷蔵庫で冷えた水でも供応してあげたい。

今回のイラワジデルタ紀行はまだ終わっていない。
基本的に太陽の自然光で寝起きする地元の人たちから、学んだことが沢山ある。
それを少しずつお話していきたい。




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