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<ミャンマーで今、何が?> Vol.32
2013.2.20

http://www.fis-net.co.jp/Myanmar


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■空軍最高司令官が軍服を脱ぐ

・01:AAA:(政治)
・02:BBB:(経済)
・03:CCC:(生活一般)

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<AAA:(政治)>

○A1:空軍最高司令官が軍服を脱ぐ

テレコム通信省の新大臣に現役の将軍が任命されたと前回お伝えしたが、正式には下院・上院議会の承認を得、2月13日付の大統領署名入りで政令として公布された。

2月14日の国営日刊英字新聞“The New Light of Myanmar”(NLM)によれば、新たなサプライズとして、新大臣の名前は一般市民と同じU Myat Heinとして発表され、その数日前までの肩書きCommander-in-Chief(空軍)Myat Hein将軍は完全に消し去られている。

この記載だと同将軍はこの時点で空軍を退役し完全に民間人になったことを意味するが、今後改革派の新大臣として職務を遂行するか、あるいはあくまでも国軍の代表としての立場を維持するかは意見が分かれるところである。一方で、通信省が現在汚職調査の対象となっていることに関連して、軍人大臣だからこそ徹底的な解明が期待できるとの見方もある。

ミャンマーの議会・その構成を考えると、軍人だからダメ、文民大臣だからOKとの単純比較は無意味で、今後は個人個人の資質が問われる段階に移行していくのではないだろうか。テインセイン大統領にしてもその出自は軍人であり将軍でもある。



○BBB:(経済)

<B1:電通がミャンマーに事務所を開設>

日本の大手広告代理店・電通がヤンゴンに事務所を開設した。利益の大きい可能性大の新市場に参入する新しい日本の動きと注目されている。

同社によれば、62百万の人口のミャンマーで外国企業および地元企業の双方を顧客にする予定で新しいチャンスを掴みたいとしている。特に今年12月に予定されている第27回東南アジアゲームを広告収入のターゲットにしたいとしている。

ミャンマーは2011年までの軍事政権による政治的な外交が冷え切った状態から急速に企業活動が活発化してきた。日本政府による3,500億円の借金帳消し、および数多くの資金援助という強力な追い風で特に日本企業の活躍が目立つようになってきた。日本が援助する基金はヤンゴン近郊の広大な工業団地および深海港の建設にも使用されることになっている。

6,000エーカー(2,400ヘクタール) のティラワ計画は2015年までには完成すると日本の政府筋は語っている。欧米企業と異なり、日本は強硬政策はミャンマーを中国に接近させてしまうと警告して軍事政権時代もミャンマーと貿易と対話は維持してきた。


<B2:大阪商船三井船舶(MOL)がミャンマーでの事業を認可される>

同社は2月14日、100%子会社のMyanmar MOL Limited社の設立がミャンマー政府より認可されたと語った。海運業界ではミャンマーにおいて100%子会社が認められた最初の会社となった。

同社は2012年3月からシンガポールとヤンゴンを直接連結するフィーダーサービスを行ってきた。このたびの子会社設立でシンガポール以遠の世界のネットワークにつながる転載時間を含めた航海スケジュールをミャンマーの顧客に提供できるようになる。そして現在の集荷代理店であるEver Flow River Forwarding社とは提携を続けミャンマーにおける数多くの事業チャンスを開発していきたいと同社は語っている。


<B3:マックス・ミャンマー・グループのピーイー・タワーが5つ星ホテルに>

複合企業のマックス・ミャンマー・グループはテレビ局MRTV-4近くに建設中のピーイー・タワーを5つ星ホテルとして今年年末に開業すると発表した。

このホテルは“ノボテル・ホテル(ヤンゴン)”と命名され、2棟建て合計366室からなり、プレジデンシャルルーム・ペントハウス・宴会場・ラウンジ・会議場・喫茶店・カクテルバー・フランスレストラン・スイミングプール・フィットネス・スパー・テニスコートなどが備えられる。

フランスのアコー・グループ(ACCOR Hospitality)がこのホテルを運営する予定で、600名以上の従業員が雇用される予定だ。

ミャンマーには現在、外国企業が所有し経営するホテル数は30軒あり部屋数は5,000室に上る。これ以外に外国企業が建設中のホテルは5軒あり、1,145室がこれに追加され、今年中に完成する部屋数は414室となっている。これらのホテルがすべて完成すると外国企業によるホテルの部屋数は6,700室となる。

現在、新しいホテルの建設には香港・日本・マレーシア・シンガポール・タイ・英国・ベトナムなどが投資しており、観光客の数では中国・日本・マレーシア・韓国・タイがランキングの上位となっている。マックス・ミャンマー・グループは1993年に設立され、いまでは政商と言われるゾーゾーが貿易・建設・ホテル・製造業・サービス部門、銀行・鉱山・石油・セメント会社など幅広い事業を展開している。



○CCC:(生活一般)

<C1:ミャンマータイムス内紛の解説>

これはミャンマーに限らないが、裁判は最終的な決着がつくまでに膨大な時間と費用が掛かることは常識かもしれない。そして基本的に外国人には不利で最優先で保護されるのは自国民で決して外国人ではないのが一般的である。

したがって、ミャンマータイムス内紛も正義はオーストラリア人のロス・ダンクレーにあるように見受けられるが決着がつくまでには相当の時間を覚悟せねばならないだろうしましてや勝利を獲得するためには相当のエネルギーを消耗するものと思われる。

そこで今回は野次馬として、この事件を別の角度から分析してみたい。

元々ロス・ダンクレーはオーストラリア人の鉱山王を資金スポンサーとしてカンボジアのプノンペンで英語およびカンボジア語、両国語による日刊新聞の創業および事業運営に成功してきた。

その成功システムをそのままミャンマーに持ち込もうとダンクレーはミャンマー軍事政権との共同事業を画策した。ネーウィン元老から抜擢され当時飛ぶ鳥を落とす勢いのキンニュン(情報局出身)の右腕とバンコクで接触し、次第にキンニュンおよび情報局トップの信頼を勝ち得ることに成功した。そして形式的にはこの右腕の息子であるSonny Sweが51%の株式、ロス・ダンクレー側が49%の株式を所有し合弁の持株会社が設立され、カンボジアで新聞発行の実績を持つロス・ダンクレーがCEOとして実務を遂行することで週刊ミャンマー・タイムス紙は2000年に創刊された。

当時はほとんどが秘密主義の軍事政権でこのミャンマー・タイムス紙だけが特権で極秘情報を掲載することができた。しかし、2004年当時首相であったキンニュンおよびその一大勢力全員が翌年逮捕され、共同経営者のSonny Swe親子も逮捕され、軍情報大臣の介入で共同経営者がU Tin Tun Ooに交代したことから同社の経営にスキャンダルがつきまとうようになった。

直接の関係はないが、日本財団はミャンマー・タイムス紙の若い新聞記者たちに奨学制度を設定して日本でのジャーナリスト研修を受けさせている。ロス・ダンクレーは昨年2月日本から帰国した直後に覚せい剤所持、婦女暴行などの罪状で突然逮捕されインセインの悪名高き刑務所に収監された。この時も共同経営者U Tin Tun Ooとの新聞事業経営を巡る確執が原因と盛んに書きたてられたが、事実は藪の中である。

話は遡るが、ロス・ダンクレーのスポンサーであるオーストラリアの鉱山王はしばらくしてベンガル湾における石油・ガス田の権利を取得している。

この辺りのことも含めて、欧米が経済制裁を続ける中、ロス・ダンクレーを軍事政権に食い込んだ政商として厳しい見方をしている欧米マスコミは多い。


<C2:ジャーナリストに3ヶ月間のビザを発行>

報道機関に対する自由化の一環として3ヶ月間有効のビザがジャーナリストに発行されることになった。しかし、これはマルチビザではなく1回限りのビザとなる。これまでは観光ビザなどで入国したジャーナリストは、偽名でもって報道記事を発信せざるを得なかったが、これによって報道機関の行動範囲が拡大されることになる。そしてほとんどの地域に制限無しに取材に出かけることができる。カチン州の紛争地帯も含めて希望するならばどこでも取材できるがすべて自己責任であると報道官は語った。しかし、ドキュメンタリーなど他の目的で長期に滞在するジャーナリストには別途料金が課される。





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