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<ミャンマーで今、何が?> Vol.33
2013.2.27

http://www.fis-net.co.jp/Myanmar


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■テインセイン大統領がEUへ向けて出発

・01:AAA:(政治)
・02:BBB:(経済)
・03:CCC:(生活一般)

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<AAA:(政治)>

○A1:テインセイン大統領がEUへ向けて出発

2月25日朝、テインセイン大統領を乗せた特別機がEU5カ国、ノルウェー・フィンランド・オーストリア・ベルギー・イタリア、訪問の旅へ飛び立った。大統領として始めてのEU訪問で、2013年に入って最初の海外訪問である。3月8日に帰国する予定で11日間も自国を留守にするということは、ミャンマーの国内政治が安定してきたことを意味するもので、国軍内部で大統領の改革路線に反対してきた保守強硬派を押さえ込むことができたという自信の表れでもあると見て取れるだろう。

ミャンマーに課した経済制裁は米国だけではない。欧州のEU27カ国も同様であった。しかし、ミャンマーの急速な政治・経済・マスコミ改革を目の当たりにすると、2012年11月から武器の禁輸を除いて経済制裁解除のレースがEU諸国内で開始された。

その口火を切ったのはノルウェーで、11月の首相訪問に合わせてヤンゴンにノルウェー大使館を開設した。そしてスイス・デンマークもそれに負けじとヤンゴンに大使館を開設した。EUの支援でヤンゴンにミャンマー平和センターを開設する共同宣言がミャンマーとEUの間で署名された。

ミャンマーはノルウェーに負っていたUS$534百万の負債救済を含めて今年1月にはパリス・クラブの債権国会議でUS$60億の負債削減がミャンマーに対して認められた。

昨年11月には、フィンランド・オーストリア・イタリアを含む欧州諸国の政府首脳・高官がラオスのビエンチャンで開催された第9回アジア欧州会議でテインセイン大統領と会い、ミャンマーに対する未解決の経済制裁すべてを解除することが満場一致で決定され、その改革努力と国際関係への参加を促進するためにミャンマーに対して特恵関税の再認可を決定した。そして各国共に、ミャンマーとの外交関係の再構築、そして経済強化策のみならず、教育・文化・農業・酪農など多方面にわたる相互協力を確認しあった。

欧州委員会は2012年9月にミャンマーに対して2013年初めから欧州市場に無関税・数量制限無しでの参入を許可する提案を採択した。

英国・フランス・オランダ・オーストリア・ドイツ・デンマーク・キプロスなどEUのミャンマーに対する投資は2011年末時点でUS434.7億となり、ミャンマーにおける外国人投資の8.5%を占めている。

なお、大統領の海外出発に当たってはネイピード残留組が飛行場で見送るのが慣例だが、今回も2名の副大統領、国防省最高司令官、国務大臣等を始めとして政権トップの高官が勢ぞろいしている。特にミャンマーの新聞報道ではこの顔ぶれの序列確認が重要で、同時に大統領に随行する顔ぶれによって新聞報道されていない真の訪問目的が読み取れる時もある。


○A2:ミャンマー連邦憲法裁判所の議長および裁判官が決定

地味な報道だが、昨年9月憲法裁判所の裁判官全員が辞任した。新憲法によれば、大統領・国会の上院議長・下院議長の3名がそれぞれ3名の裁判官を候補者として指名し、ミャンマー国のこれら3名の最高権力者が協議した上でその内の一人を議長として決定することになっている。しかし、今回は大統領・上院議長・下院議長の3名はそれぞれ異なる議長を指名し、議会ウォッチャーはその成り行きを注目していた。

そして2月25日付け政令で合計9名の憲法裁判所の裁判官がテインセイン大統領の署名入りで発表され、その中で議長として選ばれたのはシュエマン下院議長が推薦していたU Mya Theinであった。

これはシュエマン下院議長と大統領の力関係が逆転したとか、大統領の影響力に陰りが出てきたと見るよりも、むしろ民主的な方法で話合いが行われ、透明性のある方法で政府最高機関のメンバーが選出されたと見るべきだろう。



<BBB:(経済)>

○B1:SEAゲームの実況中継を委託募集

ミャンマーにとり2013年最大の事業は12月に開催されるSEAゲームの主催である。

これはアセアン諸国間の運動競技の祭典である。日本が東京オリンピックで、韓国がソウルオリンピックで、中国が北京オリンピックで大きく経済発展したことを思えば、ミャンマーで行われる今年のSEAゲームがその起爆剤になるものと期待されている。その開会式・閉会式の模様および7種目の競技の実況中継を行う国内および海外の放送会社の募集をミャンマーの国営放送(MRTV)が呼びかけ、締切日を当初の2月28日から3月10日に延長した。

最近の政府の動きは何でもかんでも海外からのハイテクを導入する風潮が見られるが、安易に海外の技術を輸入するのではなく自分たちの工夫と努力でミャンマーの底力を見せて欲しいとこの委託募集を見て考えさせられるところである。



<CCC:(生活一般)>

○C1:ミャンマー国営日刊英字新聞でオスカー賞を発表

2月24日(日)夜はハリウッドのドルビー劇場で第85回オスカー賞の発表があったが、授賞全カテゴリーの詳細が“The New Light of Myanmar”で翌25日に発表された。この国営新聞も政府の改革に負けじと色んな工夫を模索している最中で試行錯誤のあとが見られる。昨年12月に白黒からカラー版に移行し、フォント・ポイント数とともにカラー写真の多用などにも変化が見られる。最も大きな変化がハリウッドやインド映画の娯楽版に1ページを割いていること、そしてサッカーを主体としたスポーツ版が見開きの2ページとなっていることなどである。この新聞も海外との提携を模索しているようだが、できることなら安易な提携ではなく、自分たちでこの試行錯誤を続けて独自の特色を出して欲しいものと願いたい。


○C2:ヤンゴンのタケタ地区で宗教紛争が発生

1962年からイスラム教の学校として使用されてきたヤンゴンのタケタ地区にある建物がその改築を巡って紛争の種となっている。

今年になって町内の宗教問題事務所から改築許可が下り、改築工事は2月中旬の夜間から開始された。しかし、強化コンクリの鉄の柱が設置され、建物の天井が数フィート立ち上がったところで、地元の人たちから懸念の声が上がるようになった。その懸念の大半は仏教徒からであるが、この改築は建物のサイズを拡張しているとして行政局に対して2月18日に苦情を呈した。当局はこれに反応して天井の縮小を命令し、地元住民15名が手伝い、取り外した資材を建物の外に積み上げた。

住民はこの学校は元々モスク(イスラム寺院)に改造する意図があり、この持ち主は当局に虚偽の申告をしたのではないかと疑問を漏らしている。工事が始まった当初はまったく問題なかったが、日を経るにしたがい建物はモスクらしくなってきた。我々はこの地区にモスクが建築されるのを望まないと住民は語っている。

2月17・18日の夜に幾つかの暴力行為があり、5人の仏教僧侶がこの建物の外に待機し回りの人たちに状況を説明していたが2月18日に緊張は高まり、2月19日にこの建物は当局によって閉鎖され、20名の警官が治安保全のために駐屯した。

ミャンマー北西部のラカイン州におけるロヒンジャー問題もそうだが、特に宗教が絡んでくる問題では小さな発端でも大きな問題に波及する危険が潜んでいることと、真相が見えにくいところがあるので、新たな情報が入手できるかもう少し様子を見てみたい。





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