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<ミャンマーで今、何が?> Vol.334
2019.10.28
http://www.fis-net.co.jp/Myanmar

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━━【主な目次】━━━━━━━━━━━


■スーチーは何を学んだ?

 ・01: 根本的本質を探す

 ・02: 古代中国の叡智「未病を治す」

 ・03: スーチーと進次郎

 ・04: スーチーと日本

 ・公式ツイッター(@magmyanmar1)

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・01:根本的本質を探す

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この一週間、晴天が続いている。入道雲に遮られ、薄暗くなるときもあったが、雨は降らなかった。ネコの額のQガーデンでは、黄色と赤のブーゲンビレアが咲き始めた。ここヤンゴンでは「火祭り」が終わり、確実に季節が変わりつつある。

19号台風の被害の甚大さに驚いた。日本からのニュースだ。さらには台風21号が追い討ちを掛けると言う。
被害に会われた皆様には、なんとお言葉を掛けるか窮してしまう。心のこもらない哀悼の辞、頑張ってなどのマニュアル激励では、あまりにも虚しい。

大国として意気がる日本が抱える問題も甚大である。
その前の災害から何も学んでいなかった。マニュアル警告は確かに気象庁から発せられた。史上最大と脅かしながら、政府として具体的な行動は起こさなかった。

根本的そして本質的な問題はどこにあるのだろう。
ケチなメルマガだが、この根本的・本質的を探し当てるのに、いつも悩んでいる。

日本での災害が年毎に大きくなるのは、異常気候・地球温暖化だけではない、他に問題がありそうだ。そして行き着いた。明らかに「政府主導」と「マスコミ」に問題がありそうだ。それが根本的そして本質的な問題ではないのか?

これは「ミャンマーで今、何が?」の範疇を飛び出した問題だ。気に食わぬ方は無料メルマガの“購読中止”をクリック願いたい。ミャンマーも望むと望まぬとグローバル化に巻き込まれてしまった。意地でもミャンマーに結び付けようと思うが、ちっぽけな世界から飛び出してしまう。そろそろ年貢の納め時かもしれない。

話を戻すと、マニュアル警告および報道だけで、政府もマスコミも口先だけで実際には動かなかった。自衛隊、地方自治、消防、警察にはマニュアル指示を出したかもしれない。だが実際には政府とマスコミは動かなかった。政府とマスコミを批難しても問題は解決しない。

彼らを生み出したのは何なのか?その本質的根本問題を探らねば問題は解決しない。どうも「日本の教育」にありそうだ。そのツケを戦後のマッカーサーに回す連中も多数いる。それで解決するのだろうか?このメルマガはそれでは腑に落ちない。本質と根本を突いていないからだ。

「西郷どん」を見ていて、その元凶は「明治維新」にあると判断した。その考えは今後のメルマガに回そう。ここでは触れない。



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・02:古代中国の叡智「未病を治す」

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古代中国には「未病を治す」という言葉がある。

中国古代の伝説によれば、これまでに確認されている「夏王朝」の前に、三皇五帝=計8人の聖王が国を治めていたという。そのひとりが黄帝で、養蚕・舟車・文字・音律・医学・算数などを制定し、中国最古の医学書「黄帝内経」を著し、中国漢方の祖とされている。その素問編に「病に罹る以前に、その原因を取り除く」という言葉があるそうだ。

このコトバが「未病を治す」の真意で、意味深なことに国家を治めるのも同じだと言う。
多数の死者が出る前に、千曲川の土手が決壊する前に、長期停電・長期断水が発生する前に、何も手を打ってこなかった。大国としての驕りは無かったのか?経済だけでは大国の要素を満たしていない。



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・03:スーチーと進次郎

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今回の即位礼正殿の儀、他関連の儀式は海外の報道を含めて徹底的に見まくった。皇居に到着したスーチーも、晩餐会に出席したスーチーも動画に捉えられていた。望遠で距離感が不確かだが、隣の席は小泉進次郎のように見える。社交慣れしたスーチーにしては?と首を傾げた。

ミーハー的マスコミ情報では、将来の首相候補と持ち上げる小泉進次郎である。動画の短い流れではあるが、小泉とスーチーの間に会話がなされた雰囲気はなかった。数年前に、日本の外務大臣にスーチーは「ミャンマーは複雑なんです」と語った。だが、その外務大臣は経済発展の話しかスーチーにしなかった。

当時スーチーの歯がゆい思いが日刊英字紙の行間に滲み出ていた。
日本には特別の思い入れがある。父親アウンサン将軍の血を引くスーチーだからこその思い入れである。父親同様に日本に裏切られた・・との思いをスーチーが抱かなければと思った。

外務大臣は木偶の坊でも構わない。だが、取巻きの外務官僚は経済以外の適切なレクチャーをしなかったのだろうか、そのときの不安が蘇った。
小泉進次郎が大望を抱くのであれば、ミャンマーが秘める資源は日本の1.8倍を占める国土に眠っている。最も貴重な資源は若きミャンマーの人的資源だが、日本の政府はチープなコンビニ要員としか看做していない。もちろん看護婦とかの名目的オブラートに包んでの話だ。

隣の大国である中国は軍事政権の時代から、すでにそれを乱開発していた。ミャンマーが民主化されるまでに、マンダレー西北の領土は、カラオケ・レストランをカモフラージュとして中国語が氾濫していた。軍事政権がミャンマーの民主化に踏み切った真の理由はソコにある。

軍事政権のトップは莫大な裏金を懐に入れた、巨大なミッゾーン・ダムのことである。前々大統領のテインセインは丸秘契約を中断し、自分の在任中は無責任にも工事を封印した。その水力発電が発する電力のほとんどが中国に送電するという、売国奴の軍事政権による不平等国際契約である。

皮相的な見方しか出来ないマスコミは、後を引き継いだスーチーを攻めた。
不平等契約によれば、工事の中断は契約違反だという。よって違約金を払えと中国は迫る。その金額は月々、年々、膨大な金額に上っていく。当時の元老タンシュエは膨大な裏金を懐に、知らぬ存ぜぬで引退してしまった。

NHKの大河ドラマ「西郷どん」の徳川慶喜とオーバーラップさせると、いろんな妄想が頭の中を駆け巡る。「西郷どん」はもちろん原作者・林真理子の歴史解釈である。林房雄・海音寺潮五郎の西郷隆盛を中心とした歴史解釈もある。そして司馬遼太郎の関連した膨大な物語が幾つもある。司馬史観である。

さらに雑多な百科事典を紐解くと、魑魅魍魎の物語が展開する。それだけではない。当時関係した英国、米国、フランス、ロシア、ドイツなどなど、違う角度の資料が続々出てくる。だから明治維新は謎だらけなのだ。それを単純に解説した本もある。
これらから根本的な、そして本質的な問題を把握するには、論理的な覚めた目が必要とされる。

本物を見極めないマスコミが安易にスーチーを攻め立てる。これまでスーチーを庇護してきたオックスフォードの学界までがスーチーを批難するようになった。
それなら、スーチーを擁護していた数年前のオックスフォードは何だったのだ。
オックスフォードの「昔の判断」が間違っていたと世界に宣言したことになる。世界のオックスフォードの威厳が地に落ちた。

令和天皇即位の晩餐会で、同じテーブルの隣に座った進次郎とスーチー。当然、日本政府の意向が塩梅されたと見るのが常識であろう。短い瞬間の動画では、両者はまったく違う方向を見ていた。両者のその後の会話が弾んだことを祈るのみである。先の「ミッゾーンダム」はミャンマーにとって最大の環境問題でもある。老獪な政治家ならば、話す話題はいくらでも探せる。スーチーは三島由紀夫を日本語で読む語学力はある。進次郎がどの程度の英語力かは知らない。


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・04:スーチーと日本

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YouTubeの個人授業は信じられないほど無限の、そして宇宙規模のレクチャーを施してくれる。実にありがたい。まさに「群盲、巨象を撫でる」で、自分の体験した世界がスモールワールドだったことを恥じる。誠に不躾ながら足を投げ出した格好で、厳粛な晩餐会の乾杯の音頭に合わせて、ミャンマービールで乾杯させていただいた。

延々と続く一連の儀式は、無言の中に日本だけに伝わる、日本独自の絵巻物を見せていただいた。言葉の無意味さを思い知らされた瞬間である。欧米人の雄弁さを、はるかに凌ぐ雄弁さが、この無言の静寂の中にあった。

断崖絶壁のはるか上空に描かれた水墨画の弧月を欧米人は解さない。
東は東、西は西である。即位礼正殿の儀は無言で、日本伝統の絵巻物が繰り広げられた。
欧米人には、水墨画の空間、絢爛豪華な絵巻物の静寂さは、理解できないことだろう。
そこには理解できる人だけが知る「日本の美」がある。

憲法の上では、天皇は日本国および日本国民統合の象徴かもしれない。だがこの荘厳な儀式で、三権の一機関である内閣総理大臣など、格の違いをイヤというほど思い知らされたことだろう。
それを政治利用する不遜な政治家もいる。

ドナルド・トランプを令和最初の国賓として招待した。
新年号「令和」の意味深な意義をチープに講釈したという。それを見識の無い大統領が天皇・皇后ご臨席の晩餐会で恥ずかしげも無く披露した。

日本の近代史は、鎖国から開国への歴史を不平等条約として語る。
そして明治・大正・昭和はその不平等解消に苦労した。
だが、今回粛々と行われた令和天皇即位の儀は、190カ国を超える世界中の国家に対して、チープな文言の条約や憲法を不要と思わせる荘厳さがあった。

来年は中国の国家主席が同様に国賓として招待されたと言う。
天皇を政治利用する前に、両国政府首脳が膝を交えて、「未病を治す」という中国の叡智について語り合ってみたらいかがだろう。だが、二人ともふんぞり返ってはいるが、戦後の生まれだそうだ。戦前の、あるいは悠久の歴史については、全く学んでいないかもしれない。

そのレベルであれば、南海の孤島、東海の小島でいがみあうのが、落ちかもしれない。
「一帯一路」を口にするのなら、もっと深い歴史認識が必要になってくる。
バガンの遺跡を元の遠征軍に踏みにじられた歴史を持つミャンマーからならば、中国との交渉術を学べるかもしれない。

ミャンマーを見くびったらいけない。
スーチーは森を見て木を見る、そして木を見て森を見る、視野をもっている。
経済援助だけでミャンマーを見ていたら大怪我をするだろう。スーチーに学ぶべきだ。

そのスーチーは昨24日午後4時ANA機でヤンゴン国際空港に戻った。
賢明なスーチーである。今回の令和天皇即位式に出席し、またまた多くのことを学んだはずだ。今のスーチーは政治家だが、その前歴は学者でもあった。
そして自宅監禁中は哲学者でもあった。スーチーの懐は深い。



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