******************************

<ミャンマーで今、何が?> Vol.339
2019.12.5

http://www.fis-net.co.jp/Myanmar

******************************


━━【主な目次】━━━━━━━━━━━


■学生と共に日本語を学ぶ

 ・01: いつでも、どこでも、YouTube

 ・02: 日本人が崩壊していく

 ・03: 日本語教師初体験

 ・04: 語学の極意

 ・公式ツイッター(@magmyanmar1)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━



=============================

・01:いつでも、どこでも、YouTube

=============================


またしてもYouTubeの話である。

書くほうもウンザリだが、読者は更にウンザリだろう。であれば、是非とも“購読中止”を強くお勧めしたい。義理購読を追放して、少数精鋭の読者層に再編成するキャンペーンを行っている。

不勉強の過去および浦島太郎からの脱出、世界情勢の把握、その中での日本の立ち位置を考えるために、YouTubeを個人授業として濫読状態が続いている。昼は冷えたビール、夜は強い酒を友とし、朝昼晩見境無しだ。コックリし始めるとモスキーネットに直行する。ワンルームだからタクシーも不要だ。真っ暗ななか目覚めると、時間の観念も無く、この世かあの世か?も暫く判断つかない。

突然の停電は最高の人生修行だ。四国八十八ヶ所巡りも、那智の滝に打たれる必要も無い。モスキーネットのベッドでひたすら目をつむる。ミャンマーの若者は停電で鍛えられている。筋金入りだ。真っ暗な中、哲学する時間がたっぷりある。外電だが、停電ひとつでオタオタする国民がいるのに驚かされる。

YouTubeの“書き込み”は臨時ニュース・テロップのように縦に流れていく。そのスピードに手こずった。訓練の結果、読み取れるようになった。
ホリエモンのYouTubeで訓練した。読み取れるようになると、日本語の言語能力の貧しさに唖然となった。更に徹底的に“書き込み”を読みまくった。その理由を考えながら。

“書き込み”の 文量はマンガの噴出し程度である。
皆が指摘するとおり、投稿者は実名を明かさない。例えば、「浦島太郎」のように。
投稿すると言っても、“好き”か“嫌い”かを表明するだけである。

中には投稿者同士で、同盟を組んだり、敵になったりする。
その度合いが過ぎると、“炎上する”といって一時的話題となる。無名の投稿者だけに、無責任で子供のケンカだ。大人のケンカはほとんど無い。

ホリエモンという有名人を相手に意見らしいものが述べられる。
「こういうことをやりたいと思いますが、堀江さんはどうおもいますか?」、「大学を辞めて何々をやりたいと思います。どんなリスクが考えられますか?」と回答を求める。
ヤンゴンのボケ老人でも、アホか、そんなことは自分で考えろと言いたい。

YouTuberは登録者数が命である。この活用方法を知り尽くしているのがホリエモンである。
今時の若者は自分の頭で考えない。質問者はアホだと知りながら、時にはイライラしながら回答する。それがホリエモンである。

自分の将来をホリエモンに訊ねる。物の道理を調べずに結論をホリエモンに求める。本も読まずに、非常識丸出しの質問をする。自身がすべき選択をホリエモンの判断に任す。大半が言葉足らずで日本語が乱れている。日本語の乱れには日本崩壊を予測させる。NHKのアナウンサーまでが乱れた日本語を話したときには唖然とした。信じられな〜い。

ホリエモンはかなり馬鹿にしている。だが、短くとも親切な回答を搾り出す。
愚かな質問と分かりつつ、質問をスタッフに分析させ、過去の回答をまとめさせる。堀江の影響力は中途半端ではない。人気出版社の幻冬舎、集英社、宝島社、徳間書店、ダイアモンド社、文芸春秋などなどから、質問を集約してハウツーモノを出版する。その数は半端でない。ホリエモンはミリオンセラーの大作家でもある。アホな投稿者が大作家をつくり上げる。

ホリエモンのYouTubeは良くも悪くも勉強になった。興味が募り、堀江貴文自身の過去を含めて手当たり次第に見まくった。順番なんて構っていられない。とにかく濫読である。
ライブドアCEO、オン・ザ・エッジ時代、プロ野球買収、広島6区での選挙、宇宙開発事業、東京拘置所収監、ムショ時代、六本木ヒルズの生活、福岡県八女市時代、HONDA Jet日本納入第1号機購入、立花孝志とのコラボ、ミュージカル出演、レストラン営業、こんなものが無限に見られる。

同じように興味を駆り立てられた人物に、スティーブ・ジョブ、イーロン・マスク、石原慎太郎、田中角栄、ビートルズ、ジョン・レノン、小野ヨーコ、明石元二郎、秋山真之、夏目漱石、森鴎外、坪内逍遥、シェークスピア、Eスノーデン、JMケインズ、立花孝志、トルストイ、ヘミングウェイ、福沢諭吉、大隈重信、フルベッキ、グラバー商会、聖徳太子、ヘイエルダール、乃木希典、島崎藤村、始皇帝、小村寿太郎、小ピット、シュリーマン、松尾芭蕉、徳川慶喜、アレキサンダー大王、坂本龍馬、桐野利秋、西郷隆盛、諸橋轍次、ジョン万次郎、などなど無限にある。
これらも手当たり次第に、徹底的に見まくった。

日本人の言葉力の貧しさは、前にも書いたが、明らかにドーパミン効果の悪影響である。特にFacebookなどの投稿が気に入れば拳骨を握り突き出した親指を上に向け、気に入らなければ下に向ける。問いかけも二者択一なら、答えもYESかNOの二者択一しかない。

SNSで育ったガキたちは世界全国、YESかNOの質問しか発せず、YESかNOの答えしかしない。
バカ息子とバカ娘が頭脳を持たない人種に改造されていく。特に金持ちの子供から先にダメになっていく。

ドーパミンの中毒性と危険性を充分に承知した上で、Facebookを世界中に撒き散らしたのが、超スーパー金持ちのMズッカーバーグである。それを公聴会で認め、懺悔する。そのことを共同創立者が曝露する。その模様はバックナンバーVol.333でドーパミンの恐怖としてすでに触れた。私は日本人を批難したが、ドーパミン効果の怖さは、世界中の若者が友人でなく、スマホに四六時中依存する怖さにある。それが更に5Gになる。更に強力だ。



=============================

・02:日本人が崩壊していく

=============================


「ミャンマー人はアホだ、馬鹿だ!」と怒鳴った日本人がいる。ここヤンゴンでだ。私もキレて怒鳴り返し“出入り禁止”を宣言した。それ以降、このレベルの情報が入らなくなった。入ってくる情報に戸を立ててはいけない。情報のバランスが崩れるからだ。反省して出入り禁止は解除した。来る者拒まず、去る者追わずがモットーである。

同様に「ミャンマー人はアホだ、チョンだ」をまたしても聞いた。
相手は日本語の教師だった。ミャンマー人に日本語を教える教師だった。これは容認の度を越えていた。だが、叱り飛ばすのは私のモットーに反する。

私の考えは真逆だ。教わる生徒がアホでなく、教える教師がアホだと思っている。
利口な生徒なら教師は要らない。バカな生徒こそ教えがいがあるというものだ。
そこに教師の使命がある。駄馬を調教できない主人は、駿馬を乗りこなせない。

独特のネジレ現象でこのヤンゴンでは日本語学校がブームである。
日本人であれば素人でも教師になれる。
経験不要。お暇な時間に日本語が教えられます。副収入が得られます。等の募集広告が最近やけに目に付く。

いつごろから教育がビジネスになったのだろう。
そして語学校は生徒の人数を競うようになった。30名以下では採算に乗らないでしょうという。僧院の旧友も私も報酬は期待しない。生徒が大物になったとき、おこぼれは拒否しない。

私の哲学ではマンツーマンの個人授業が最善で、多くても5人程度だ。それ以上だと、生徒各人の性格を掴めない。



=============================

・03:日本語教師初体験

=============================


つい最近のことである。昔、世話になった出版社の大社長から日本語会話の先生をやって欲しいと依頼された。「英語の学び方」なら教えるが、「日本語」は教えないと返した。大社長は一枚上手で、「日本語」を教えることになった。

ただし条件を付けた。
「日本語」は教えない。「日本語の学び方」なら何とかなる。ワタシには外国語を勉強するための哲学がある。生徒たちをモルモットして、それを実践してみたい。
大社長は「すべてご自由にやってください」と、ノーと言えない日本人を完全に牛耳っていた。

実は昨日が第一回目の授業で朝10時から午後4時までたっぷりとやってきた。昼飯は12時から一時間。最初の日に、前に届けられた分厚い日本語教科書2冊を大社長に突き返した。理由は、この教科書は生徒用ではなく、日本語を教えたことがない日本人教師向けに作成されたもので、私の哲学と真逆のことが書いてあると説明した。

生徒は男子ばかり合計9人。心配だったのだろう、最初は大社長も授業参観した。
私も語学の授業には強い関心を持っていたので、日本語のみならず西欧人の教える英語も、幼稚園も個人授業まで、看板を見つけると飛び入りで授業参観させてもらった。
当時は教育というものに、独自の法則が見つからないか、模索していた気がする。

大社長にこれは人生最後の実験室なので、最初の授業をビデオに撮ってくれないか相談した。生徒の一人がスマホを座席最後部にセットした。白板に書いた文字が小さい、即座に前に移動して白板の文字と左右でウロチョロする私がアップで映るようになった。この学生は私のスタッフに転用出来ると、老獪な頭が作動し始める。

大社長は、日本語学校スタイルで、起立!礼!の挨拶から始めさせた。私が苦手な日本語学校方式である。これが日本をダメにしたと私は思っている。だが、それは黙認した。

ワタシには生徒各人の能力を測る必要がある。
平仮名は大丈夫だという。本当か?と順番に、白板の前に立たせて、先ずは“あいうえお”を書かせた。癖のある字だ。次の生徒と交代。“かきくけこ”を書かせた。チョット危ない字だ。3番目の学生は“さしすせそ”が全く書けなかった。

こうやって9番目までいった。大雑把だが敵さんの能力が見えてきた。
赤いマジックで、彼らが書いた五十音に大きくバツ印をつけた。
そして言った。五十音を勉強するから日本語がダメなんだ、と態と大きな身振りで示した。

話題を変えて、外国語=日本語を勉強するのに、何が最も重要かと質問してみた。バラバラの答えを整理して白板に書いていく。読み・書き・聞く・話す・文法・マナーで出尽くした。
まだ漢字は読めないので、これらを“ひらがな”で書いた。

天邪鬼ジイサンは、これらも赤いマジックで大きくバツにした。



=============================

・04:語学の極意

=============================


一人ひとりを指差して、もっと大切なものがあると、ジェスチャーで示した。
反抗的な、愛嬌のない顔つきになるが、こちらは平ちゃらである。それが狙いどころでもある。

ここから我流、外国語学習理論が展開する。
文法など学校で教えたら生徒が眠気を催す。文法など教えたら絶対ダメだ。
正直言うと、私は文法を知らずに日本語を喋っている。

生徒から答えが出ないのを楽しみながら、大切なことは三つあると宣言する。
ひとつは“スマイル”、外国ではこれを忘れてはいけない。
ふたつ目は“オーバーなジェスチャー”、指で指すなり、身振り手振りで会話はできる。
みっつ目は“相手の発音を即座にマネする”、子供が母親から学ぶのはすべてコピ=である。

いろはにほへと、ちりぬるを 7+5
わかよたれそ、つねならむ (6)+5
う(ゐ)のおくやま、けふこえて 7+5
あさきゆめみし、(ゑ)ひもせず 7+5
合計47文字である。

“あいうえお”で学ぶと、すべて5文字、5文字である。これでは日本人のリズムは掴めない。
日本人の耳に心地良いのは、あくまでも、5・7調である。
もっとリラックスして、これを音楽として捉えたい。
日本語は5・7調の音楽なのである。これが極意である。

いまどき、いろはに・ほへとを教える日本語学校などどこにもない。
日本の教育方針が根本的に間違ったからだ。
それが証拠には、NHKが正しい日本語を使えず、学童たちの日本語が崩壊してしまった。

間違った教育方針で、(ゐ)と(ゑ)は現在使用されない。
日本語の発音の大原則は7シラブルと5シラブルの2種類である。

一語一語区切って、ゆっくりと教師の発音をコピーさせる。
「い・ろ・は・に・ほ・へ・と」一呼吸「ち・り・ぬ・る・お」
段々早口で「いろはにほへと」「ちりぬるお」
ひとつひとつ、ゆっくり、読んで全部で20秒、早口で8秒ぐらいである。

一人ひとりに読ませてもよいし、全員で読ませてもよい。それを織り交ぜて交互にやってもよい。
まだよく読めなかったり、つかえたら、初心に戻ってゆっくり読んで聞かせ、リピートさせる。だが、途中で休ませない。また最初から「いろは」がはじまる。
特に後ろの席でサボる生徒が出てきたら、即座に指名して、ひとりで読ませる。

毎回毎回、一行ずつ先生が咲きに読み、生徒あるいは生徒たちにリピートさせる。
教師は7・5調の抑揚をオーバーにつけて、見本を示す。
10分ではまだまだ、だが20分つづけると汗が出てきて、生徒たちもシンドそうな声になる。

そこで休憩して、語学哲学を身振りを交えて、話して聞かせる。
私の語学訓練はスポーツなんだと、オリンピックのアスリートと同じだと、だから教室での学問ではないと、彼らを説得する。

彼らに確認すると、全員がスマホを所有している。だが、教室には持ち込み禁止となっている。
私は校則を破るのが好きである。
大社長と交渉して、持ち込みOKを取り付ける。だが、室内での会話はそのまま厳禁だ。

全員に「クロック」のアプリを開かせる。
そして、アラーム、クロック、ストップウォッチの三つを確認させる。
「ストップウォッチ」を選択オープン。
機能は「スタート」「ストップ」「リセット」の三つだけ。

一番前の生徒を立たせ、「リセット」したら秒針はゼロにある。
そこで「スタート」と声を出してボタンを押してもらう。
私がゆっくりと「いろはにほへと・・・(ゑ)ひもせず」と読み上げ、読了と同時に「ストップ」ボタンを押してもらう。

それを全員にみせる。秒針は18秒。それを白板に書き付ける。
少し早めに2回目=16秒。そして3回目=13秒。4回目=10秒と縦書きで書いていく。
自分のスマホを使用して、自分ひとりで学習する方法を、身につけてもらう。
そして今度は自分のノートブックに縦書きに「いろはにほへと・・・」の早読み記録を順番に書かせる。

これは他人との勝負ではなく、自分との勝負だということを、理解してもらう。
焦るがゆえにつかえたときは、初心に戻って、一語一語ゆっくり、ハッきりと発音させる。
そのゆっくりの読了もストップウォッチではかり記録する。

平均10秒前後として、一分間で5回は読める。二分間で10回。三分間で15回。5分間で25回。10分間で50回。この辺りが一番きつく、生徒がだれてくるときでもある。
不思議なことに10回〜20回でランナーズ・ハイ状態になってくる。

まだ初日ではここまで出来なかったが、今日二日目は徹底的にランナーズ・ハイを楽しんでもらおうと思っている。落伍者が出るのも楽しみだ。

大半の語学校では、先生のおしゃべりが多すぎる。多分恐怖の文法でも教えているのだろう。
私の教室は、生徒の口周りの筋肉を外国語状態にするのが目的である。
先生は無口に徹し、オカシナ発音を見つけ出すことに精神を集中する。
そして声の小さな生徒には、これはスポーツだと大声を強要する。

もう一回、コーヒーブレークを入れる。

白板に大きくひらがなで書く。
「ふるいけや(5) かわずとびこむ(7) みずのおと(5)」
ゆっくりと生徒によませる。何とか読めた。
これを芝居ッ気たっぷりに、朗々と抑揚をつけて読んで聞かせる。

何でも質問OKの時間に、歌舞伎などの質問も出たが、私のイチオシはHAIKUである。
それこそ5+7+5調で、世界一短いポエムである。ポエムの薀蓄は、時間を掛けて話したい。

日本のどんな会社で働くか知らないが、社長さんが出席する夜の歓迎会で、「自己紹介」をしてくださいといわれるでしょう。そのとき、この俳句を大きな声でゆっくりと歌ってください。
新入社員の中で一番最初にあなたの名前を覚えてくれるはずです。

この他にも、シンプルなノートを用意させ、ノートの取り方も説明したが、モノゴトはすべて単純な繰り返しが大切だ。そして初日には宿題を果たしたが、彼らのレポートがどのレベルか、ここでも敵の能力を値踏みできる。

ヤンゴンの僧院で日本語教師をやっていた、旧友がバガン・マンダレー旅行から帰ってきた。
日本帰国前にスケジュールがあれば、私の授業参観をしたいという。
是非ともプロのご指摘を仰ぎたいところである。何とかスケジュール調整してもらいたい。

授業二日目の今日、これから準備にかかる。


========================================

公式ツイッター(@magmyanmar1)

========================================


<ミャンマーで今、何が?>の公式ツイッター(@magmyanmar1)をはじめました!


今月よりアカウントを取得し、<ミャンマーで今、何が?>の
公式ツイッター運用を開始いたしました。

公式ツイッターでは読者のみなさまからの感想などをツイートしていただけると
嬉しいです。

ツイッターをご利用の方はぜひ『フォロー』をお願いいたします。

現在のところリプライには対応しておりませんので、
質問等は下記メールアドレスまでご連絡ください。

お問合せ:magmyanmar@fis-net.co.jp 

公式ツイッターをぜひご覧ください。


■公式ツイッターはこちら

https://twitter.com/magmyanmar1




東西南北研究所




━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ご意見、ご感想、ご要望をお待ちしております!
 http://www.fis-net.co.jp/Myanmar
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
※「ミャンマーは今?」の全文または一部の文章をホームページ、メーリングリ スト、ニュースグループまたは他のメディア、社内メーリングリスト、社内掲示 板等への無断転載を禁止します。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
※登録解除については下記のページからおこなえます。
○購読をキャンセル: http://www.fis-net.co.jp/Myanmar
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
発行元:ミャンマーメールマガジン事務局( magmyanmar@fis-net.co.jp )
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━