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<ミャンマーで今、何が?> Vol.34
2013.3.6

http://www.fis-net.co.jp/Myanmar


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■大統領がラジオで国民に訴える

・01:AAA:(政治)
・02:BBB:(経済)
・03:CCC:(生活一般)

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<AAA:(政治)>

○A1:大統領がラジオで国民に訴える

3月1-3日の連続3日間、各ラジオ局を通じてテインセイン大統領がミャンマー国民に訴えた。しかも、午前7時・11時、午後6時・8時の一日に計4回である。しかも、これはお馴染み“The New Light of Myanmar”第1面の囲み記事として事前に通告された。もちろん、これはミャンマー語版の“Myanmar Alin紙”および“The Mirror紙”でも同様に通告された。

前回お知らせしたが、テインセイン大統領は現在欧州5カ国(注:ノルウェーはEU加盟国ではない)を訪問中で、メッセージ内容は欧州訪問前に十分に準備されていたことが分かる。


○A2:国民へのメッセージ内容

まずは66回目を迎えた今年のユニオン・デー(2月12日)の晩餐会の思い出とその重要な意義を大統領は国民に語りかける。1947年2月12日にアウンサン将軍と各民族の代表がシャン州パンロンで平和協定書を締結し、国内和睦の歴史的な日となった。それ以降この日はユニオン・デー(国民統一の日)として祝日となっている。

なぜ今年の晩餐会が重要であったかというと、今年は長いトンネルの末に光明を見出した日であるからだと大統領は説明する。各民族の代表者、各政党、各団体、上院・下院の議長、マダム・アウンサンスーチーを含む議員たち、国軍代表、停戦協定を締結した各民族の武装グループ代表がこの晩餐会に着席したと大統領は強調した。長い年月を犠牲にして、この意義深いユニオン・デーの晩餐会を我々は待ち望んできた。この晩餐会によって平和交渉に参加する各リーダーとの信頼をお互いに強化することができた。

だが握手や晩餐会だけでは真の平和を生み出すには不十分である。だが、この晩餐会を友情と信頼に基づいた永遠の平和の土台とせねばならない。平和交渉の過程で私が各民族の代表と直接会ったのは翌2月13日で、この日は奇しくもアウンサン将軍の誕生日でもある。我々は国内の和解に向けて努力しているが、これは国の英雄に捧げるミャンマー国民からの最も相応しい誕生祝いであるというメッセージを皆さんにお届けしたい。 

KIO/KIA(カチン州の反政府軍で唯一平和協定に至っていない)の指導者もユニオン・デーの晩餐会に招待したが、今回は残念ながら参加してもらえなかった。しかし、KIO/KIAおよび政府側双方の地道な努力が現在継続しており、停戦協定のみならず、政治的な対話が遠くない将来に行われることだろう。

2月7日には政府、民間団体、野党の代表によって我が国の将来を担わせるために収監された残りの囚人の詳細調査委員会が形成された。この委員会は透明性をもって機能する。近い将来、彼らにも家族と再会し、他の市民同様に自由を謳歌し、国作りに参加して欲しい。

政府は現在テレコム改革を進めており通信インフラに取り組んでいる。1-2年以内には国内全土でこの計画が実現するだろう。

若者のための教育、そして職の創設のために、政府は国民と協力して、そして外国の支援を受けて改革を成し遂げたい。このためには、各民族、議会、政党、産業界、民間団体、国軍、全国民が手を取り合ってこの改革に参加してくれることを私は望んでいる。


○A3:大統領メッセージの意義

第2次世界大戦を含めて戦前絶大な人気を誇った米国の第32代大統領フランクリン・ルーズベルトは炉辺談話として有名なラジオ演説で政府の政策をやさしく噛み砕いて国民に語った。テインセイン大統領のメッセージもそれに匹敵するものではないだろうか。

しかもテインセイン大統領のこれ以外の演説でもただ単に情報を伝えるだけでなく、彼は自分のミャンマー哲学を語っているように思われる。これが海外の首脳にも訴えるものがあるのだろう。軍事政権時代のミャンマーでは考えられなかった手法である。

しかも、この演説には象徴的な二人の個人名が出てくる。アウンサン将軍とアウンサンスーチー議員である。特に前の独裁者であったタンシュエ元議長は娘のスーチーを国軍の生みの親であるアウンサン将軍とリンクさせることを徹底的に嫌ってきた。“スーチー”の名前は公の席そして印刷物では抹殺されていた。

それをテインセイン大統領は意図的に国民に語りかけた。今でも軍部内には保守強硬派が多数を占めている。にもかかわらずテインセイン大統領は象徴的な二人の名前を一日4回、3日間続けて国民に語っている。しかも、大統領本人が欧州訪問中で自国を留守にしている時期にである。これは不在中であれ軍部の不穏な動きは起こらないとする大統領の堅固な自信がなせる業であろう。ミャンマーにとって、今、テインセイン大統領は不可欠の人物であるという認識が保守強硬派にも徐々に浸透していくことだろう。


○A4:ミャンマー政府はノーベル平和賞授賞の資格あり

テインセイン大統領はフィンランドの首都ヘルシンキでノーベル平和賞を受賞したMartti Ahtisaari元大統領と会談した。その席で元大統領はミャンマーが民主改革を成功裏に導くならば、ミャンマー政府はノーベル平和賞の有望な候補国であると述べた。

元大統領は10年以上にわたって幾つかの国際紛争を仲介・解決してきたとして2008年にノーベル平和賞を受賞している。

東西南北研究所は昨年8月21日号でテインセイン大統領はミャンマーで二人目のノーベル平和賞になると大胆な予想をしたが、少しは現実味を帯びてきたようだ。しかし、テインセイン大統領個人だと元軍人の履歴がネックとなるが、フィンランドの元大統領が述べたとおりミャンマー政府という名目であれば、受賞委員会での候補者選定にもパスしやすくなる。この場合でも政府を代表する人物はテインセイン大統領であることには代わりない。



<BBB:(経済)>

○B1:熱波と寄生虫の発生で養殖魚が死滅

ミャンマー全国で水温の上昇と熱波で寄生虫が発生し養殖魚が死滅しているとミャンマー養殖魚組合が発表した。今年は2月9日から異常に気温が上昇し、数多くの養殖池が干上がり酸素不足を生じて魚が死滅している。水温上昇に伴い淡水魚に寄生虫が発生し、これも死滅の原因となっている。

通常はモンスーン雨季の6月-10月に魚の取上げを行うが、今年は熱波と寄生虫による死滅を恐れて今現在取上げが行われている。4月-5月の気温上昇は普通だが、今年は2月-3月からの異常気象となっている。


○B2:米価が上昇

2月第1週に中国が米価の最低価格を12%引上げたため、ミャンマー農業組合は夏に収穫されるコメの輸出価格は高めで契約するように農家に指導している。ミャンマーの2012-2013会計年度のコメの輸出数量は1.3百万トンで、その内800,000トンを中国に輸出し、残りは南アフリカ・日本・インドネシアに輸出された。

ミャンマーの輸出するコメには50%砕米、25%砕米、5%砕米と3つのタイプがあり、50%砕米は通常はインドネシアへ、25%砕米は中国と南アフリカへ、そして最高品質の5%砕米は日本へ出荷される。


○B3:第22回 “世界経済フォーラム”東アジア版を6月にミャンマーで開催

このフォーラムは今年6月5-7日に産業界・政府・学会・民間団体などの世界のリーダーを招待しネイピードで開催されることとなった。今年の主題は“国内融和・統合を目指す勇気ある改革”となっている。

このフォーラムを協賛するのはNYの国連開発計画(UNDP)、マレーシアのエアアジア航空、日本の三菱商事、米国のペプシコ、インドのタタグループ、香港のGEなどとなっている。


○B4:米国のミャンマー攻勢が始まる

2月25日、米国の商工会議所(USCC)とミャンマーの商工会議所(UMFCCI)が両国間で相互に貿易・投資を促進させるという覚書(NoU)を取り交わした。ヤンゴンで開催された米国-ミャンマー貿易・投資シンポジュームの席上である。

今回ミャンマー側のUMFCCIを代表するウィンアウン会頭は米国が旧軍事政権の取巻きとしてブラックリストに今でも掲載しており、経済制裁は解除したものの米国のなりふり構わぬミャンマー攻勢が見て取れる。

米国を代表する50社以上の経営者が今回のシンポジュームに参加したが、シェブロン、ゼネラルモーターズ、キャタピラー社、ゼネラルエレクトリック、ハニーウェル、eBayなど世界の有名どころが勢揃いしている。確かに、中国・インド・アジア諸国に出遅れたとはいうものの、この米国の超有名ブランドはミャンマーというビジネス競技場で自己紹介を必要としない強力なプレーヤーとなることだろう。



<CCC:(生活一般)>

○C1:ミャンマーが熱い

すでに3月となりミャンマーが燃えている。ヤンゴンでも早朝を除いて日中は熱い、そして夜も暑い。今年の夏は暑くなる。3月の平均気温は例年を3℃上回ると気象庁が発表した。中部乾燥地帯では3月の平均気温は39℃だが、今年は42℃を越えるとしている。ヤンゴンの体感温度は日本の真夏にエアコンの屋外器の熱風に曝されている感じである。したがって歩道はサニーサイドではなく日陰を選んで歩き、最低つば広帽子とサングラス、できたら日傘を用意したい。もちろん飲み水の補給は忘れずに。当然ながら4月はもっと熱くなります。その暑さに耐え切れなくなった頃がミャンマーの“水祭り”です。大人は室内でじっとしていますが、若者は車に鈴なりでホースで狂ったように水を掛け合います。今年は“改革水祭り”でどのような変化が見られるか楽しみでもあります。


○C2:ヤンゴンの至るところで工事中

ホテル・コンド・事務所ビル・ゲストハウスの新築・改装工事のみならず、ヤンゴン市内では交通緩和のために至るところで道路の拡張工事、および道路脇の駐車スペース新設工事が施行中で、皮肉なことに交通渋滞が深刻化しています。これまでタクシーで30分で行けたところが、時間帯によっては1時間を要することがしばしばあります。交通渋滞の激しいところではそれにプラスして排気ガス汚染が厳しく、ヤンゴンは確実にバンコク化しているようです。






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