******************************

<ミャンマーで今、何が?> Vol.341
2019.12.10

http://www.fis-net.co.jp/Myanmar

******************************


━━【主な目次】━━━━━━━━━━━


■教育はビジネスではない

 ・01: 園遊会から学んだ、老獪な記念撮影

 ・02: グーグルに学んだ、個人情報入手法

 ・03: 12月9日のGNLM英字新聞

 ・公式ツイッター(@magmyanmar1)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━



=============================

・01:園遊会から学んだ、老獪な記念撮影

=============================


初日12月3日の授業と5日の授業の合間は一日しかなかった。
その一日でやる仕事は山ほどあった。
その間に老獪術のテクニックを駆使せねばならない。

全員でスマイル。その記念写真に狡猾な老獪術が仕組んである。
白板に縦一列に書かせた彼らの英語名も抜かりなくスマホに収めた。
その名前順に横一列で生徒を立たせ、特権で最前列の椅子に白髪頭が座った。
この記念写真と名簿があれば、顔と名前が一致する。私の商売道具である。

二日目12月5日の授業で、生徒一人ひとりを白板の前に呼びつけ、5x7インチの大判写真をプレゼントしてやった。裏には各人の名前と先生の署名、そして2019.12.03の日付を手書きした。
この早ワザに生徒は歓喜してくれた。先生の名前と共に一生の記憶となる。
生徒9名が狡猾で老獪な仕掛けにハマッタ瞬間である。

ターゲットは生徒だけではない。ここの大社長も被害者のひとりである。
写真を献呈すると「もうプリントアウトできたのですか?」とビックリしてくれた。
裏には大社長さんへ!新米教師の署名、開校初日の日付が記してある。

これで二日目の昼飯は大社長のがおごってくれた。大社長も仕掛けにハマッタ。



=============================

・02:グーグルに学んだ、個人情報入手法

=============================



私の老獪術はまだ実験段階である。目の前にはGuinea Pig(モルモット)が9匹もいる。
無い知恵を絞って作戦を立てねば。

初日の授業最後に、ガマの油売りよろしく、手持ちのルーズリーフ・ノートから白紙を一ま〜い、二ま〜い、三ま〜い、四ま〜いと、取り外した。そして生徒に二枚ずつ配った。

生徒には安っぽいノートとボールペンを持参せよと告げてある。
それだけが、私が生徒に強いる投資金額である。
そのノートに私の注意事項を聞き取り書かせた。

「これは宿題です。そして二回目の授業5日には全員この宿題を提出してください。
一日時間がたっぷり有ります。このホームワークを忘れた生徒は次回教室には入れません。」と脅しをかけた。ゆったり話した脅しだが、なかにはポカーンとした顔もある。構わない。

注意事項:

(1)この白紙の一番上に「私の名前はABC ・・・ XYZです」と書いてください。
(2)自分の誕生日、どこで生まれたかも、そして今日までの履歴も書いてください。
(3)自分の家族について、なるべく詳しく書いてください。
(4)おもて一杯に書いたら、裏に続けて書いてください。
(5)最後に、自分の現住所、携帯電話番号、Emailのアカウントがあれば記入してください。
(6)皆は“ひらがな”は書けると大社長に聞きました。“ひらがな”“英語”でもOKです。
(7)二枚目の白紙は予備です。失敗しても白いペイントで消してはいけません。上に線を引いて、そのまま書き直してください。

以上

アマゾン、フェースブック、グーグルなどは人工知能(AI)を駆使して地球上の利用者から個人情報を盗み出している。先進国のスマホ利用者はすべて、それら狼の餌食となっている。
私は個人情報を本人に記入させて正々堂々と盗む方法を編み出した。
このミャンマーではAI技術のハイテクは相応しくない。私は手動式で個人情報を集める。

マンツーマン授業が、私の教育に対する基本的な屁理屈理論である。
今の語学校は生徒数を競い合う。私はそれに大反対である。教育はビジネスではない。

そのために教師は、生徒一人ひとりの性格、性向、好き嫌い、家庭のバックグラウンドなどを知り尽くす器量が要求される。
安易に学校が与える教科書を、教師は自分の頭で考えず、教科書に従って指導する。
これは教育ではない。ビジネスである。だから、大社長に与えられた教科書は突っ返した。

今このヤンゴンでは、欧米の有名校を騙る“学校ビジネス”が盛んである。シンガポール人も中国人もそれを真似ている。日本人もそれを真似ている。情けないではないか?
他国は構わない。日本人の誇りを失った同胞に怒りを覚える。

そもそもいつごろから教育がビジネスに堕落してしまったのだろうか?
私はヤンゴンに来て語学に関心を持ち、何年も考え込んできた。授業を覗かせてもらって、何かおかしいと感じてきた。答えは見つからない。

だが、大社長の突飛な提案に、もう一度、自分自身へのチャレンジを試してみる決心をした。
だから、この9人編成の教室は実験教室であり、自分自身との闘いである。

日本には「寺子屋」という素晴らしい伝統がある。
寺子屋は民間による自主的な私塾である。政府による干渉などまったく無かった。
決まった日に全国一斉に入学・卒業という全体主義的な行動とは無縁だった。
だから、卒業という発想も無かった。

その第一の目的は文字の読み書きを教えること。子供が満年齢七、八歳になると親が近くの師匠のところに連れて行き入門させる。入学年齢、学区などの規則・法律はない。親の判断だけである。基本的に師匠と生徒は一対一で教えるから、いつはじめても構わない。

師匠は入門した幼い子供に、自分がひらがなで書いた<いろは>の手本を渡して読み方を教え、半紙を綴じた練習帳に筆写させる。いろはの次は数字、つづいて仮名の短い文章、そして漢字や手紙文。日本人の日本語に対する音感リズムは「いろは」で、「あいうえお」ではない。

現代人にも「いろは」の音感リズムがアナタのDNAに埋め込まれているというのが私の発見した外国人に教える日本語理論である。くどいが「あいうえお」の音感リズムではない。
「あいうえお」による日本語教育を外国人に教える学校があれば、これは危険な指導である。

私が、ロンドン、ロス、オーストラリア、中国、台湾、シンガポール、インドなどを彷徨して発見したことがある。あっ日本を忘れていた!!これは日本を含めての話である。

三歳の児童は、すでにネイティブの発音で母国語を立派に話すという音声学上の理論である。
外地で出くわすが、特にウラミがあるわけでないが、東京大学のプロフェッサーが英語を話す。彼は頭は悪くないのかもしれない。だが、大半は小学生並のお粗末な英語を話す。

私の仮説は、日本の語学教育は完全に間違った方向に来てしまったということである。今の教育は百害あって一理なしである。政府が干渉した教育は国民を愚弄化してしまった。
今ヤンゴンで実験しているのは、その反面教師を実施しているのである。

八代将軍吉宗は儒者・室鳩巣に命じて「六諭衍義」(りくゆえんぎ)という中国の道徳書を『六諭衍義大意』という初等教科書に編纂させ、大岡越前守忠 相(ただすけ)に命じて、評判の良い江戸の江戸の手習い師匠10人に与えた。以降、江戸で手習い師匠を表彰するときはこの『六諭衍義大意』が配布された。

六諭とは六つの教え、すなわち:親の言うことをきけ、年長者を敬え、隣近所とは仲良くせよ、子供を正しく導け、自分の仕事をちゃんとやれ、間違ったことをするな、のたった6個である。
日本では消えてしまったが、ミャンマーではこの風習がまだ残っている。

だが、ミャンマー在住の外国人や、外国人経営の学校が、今この風習を土足で踏みにじろうとしている。それに反抗して逆らっているのが私のささやかな実験塾である。
話が又逸れてしまった。

寺子屋では、同じ年齢の生徒に一斉に同じ授業をするのではなく、一対一の対面指導が基本だった。中には人気塾となりカネを取ることもあったが、授業料は基本的には無料だった。日本の伝統的な教育はビジネスではなかったのである。

それが証拠には、寺子屋の「屋」は商売を意味するので、「手習い師匠」と呼ぶのが普通だった。だが、このメルマガでは意に染まないが「寺小屋」を使用している。

いつから教育がビジネスになったのか?いつからビジネスに堕落したのか?
ミャンマーでも僧院(彼らは英語でモナステリーと呼ぶ)において同様の教育システムが発達してきた。日本に類似している。

その僧院で日本語を教えてきた日本人が久しぶりにヤンゴンにやってきた。
もちろん無料のボランティア活動である。彼からならば、ビジネスで無い教育について教えてもらうことができる。彼の持ってきてくれたトロロは、この数日間、疲労困憊した心身にエネルギーを取り戻してくれた。まだ数日間はヤンゴンに居てくれる。その間に彼のノウハウを盗むつもりだ。

その彼が12月10日第三回目の授業を一時間ほど参観してくれると言う。大社長に許しを得て、9人の生徒に紹介するつもりだ。彼らもこのベテラン教師を温かく迎えてくれるだろう。
新米教師だけがベテランの前で恥と汗をたっぷりとかかせてもらう。これも自分への挑戦だ。

そのベテラン教師に相談した。
生徒が書いてきた個人情報を彼に見てもらった。これは個人情報の漏洩事件ではない。彼の有益な意見を今後の授業に活かしたいからだ。

各個人情報には一枚一枚、私の意見が箇条書きにしてある。

例えば、

1:自分の名前、出生地など固有名詞を英語で書くのは非常に良い。この地名は何と発音するのなど、これは会話の切っ掛けにもなる。

2:数字はひらがなでなくアラビア数字で書くこと。「にせんじゅうななねん」はダメ。
3:君のレベルは漢字に挑戦する時期だ。例えば、私、なん才、なん人、なん月なん日なん年。

4:ひらがなは分かち書きで無いと、日本人は読めない。あねと わたしの りょうしんは

5:日本だけ漢字だが、君の能力なら、漢字に挑戦するタイミングだ。

6:日本でカネを稼いで母親に送りたい・・の意思目的表明は素晴らしい。

7:工科大学卒業とか、エレクトロニクス専攻なら、この部分は漢字・カタカナで書こう。


そして書いた文章によって、文章構成力、頭の回転など、本人の能力が読み取れる。
ベテラン教師は、このデータは本人の能力が滲み出ていると、褒めてくれた。
その大半はかたかな書きで読みにくいが、ジックリ読むと能力はかなり高いと評価してくれた。

私が一対一に拘る理由をベテランは、これは良いアイデアですね、と褒めてくれた。
褒めてもらうと、こちとらは木のてっぺんでも登る、酉年生まれだ〜い。

日本語教師の初体験、そしてチャレンジはココから始まった。

宿題の注意事項を説明するときに、生徒の顔色で、理解したかどうかを読み取らねばならない。日本語がお粗末な生徒も顔の表情は雄弁である。言葉ではなく、顔色で読み取るのが教師の仕事である。

得心行かないときは、マンダレー・ヤダナボン大学出身の生徒に助けを求める。先ず彼自身に注意事項すべてが分かったかどうか確認する。正確に理解していたら、これは大事なことだと、全員にビルマ語での伝達を依頼する。これで教室のシステムが構築され、本人は気づかぬが、知らぬうちに「自家薬籠中の助手」に仕立てられている。



=============================

・03:12月9日のGNLM英字新聞

=============================


スーチーがオランダ・ハーグの司法裁判所に旅立つ写真が第一面だ。
バゴー地区のタウングーでは、国家相談役スーチーを支援するマス・ラリーが開始された。世界のスーチーいじめに反対して大行進である。
舞台に不足はない。オランダ西部の都市ハーグ。国際司法裁判所がある。世界中が注目する世界のひのき舞台である。日本では森友学園とか、加計学園でマスコミも忙しいだろう。ミャンマーでは「私はスーチーの側に立つ。スーチーを支援する」の大声援が湧き起こっている。

国内に居残るファーストレディの大統領夫人は、婦人軍団を引き連れてネイピードの永久平和僧院に籠り、スーチーの健闘と世界の平和祈願を行った。


========================================

公式ツイッター(@magmyanmar1)

========================================


<ミャンマーで今、何が?>の公式ツイッター(@magmyanmar1)をはじめました!


今月よりアカウントを取得し、<ミャンマーで今、何が?>の
公式ツイッター運用を開始いたしました。

公式ツイッターでは読者のみなさまからの感想などをツイートしていただけると
嬉しいです。

ツイッターをご利用の方はぜひ『フォロー』をお願いいたします。

現在のところリプライには対応しておりませんので、
質問等は下記メールアドレスまでご連絡ください。

お問合せ:magmyanmar@fis-net.co.jp 

公式ツイッターをぜひご覧ください。


■公式ツイッターはこちら

https://twitter.com/magmyanmar1




東西南北研究所




━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ご意見、ご感想、ご要望をお待ちしております!
 http://www.fis-net.co.jp/Myanmar
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
※「ミャンマーは今?」の全文または一部の文章をホームページ、メーリングリ スト、ニュースグループまたは他のメディア、社内メーリングリスト、社内掲示 板等への無断転載を禁止します。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
※登録解除については下記のページからおこなえます。
○購読をキャンセル: http://www.fis-net.co.jp/Myanmar
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
発行元:ミャンマーメールマガジン事務局( magmyanmar@fis-net.co.jp )
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━