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<ミャンマーで今、何が?> Vol.342
2019.12.12

http://www.fis-net.co.jp/Myanmar

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━━【主な目次】━━━━━━━━━━━


■生徒との対決は真剣勝負

 ・01: 老師の前での教育実習試験

 ・02: ヤンゴンで編み出した日本語理論

 ・03: コピーから出発して世界のトップに立つ

 ・04: 社長を殺すに刃物は要らない。<いろは>で充分

 ・05: デザートは松尾芭蕉で! 

 ・06: 語学はスポーツである

 ・公式ツイッター(@magmyanmar1)

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・01:老師の前での教育実習試験

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第三回目の授業は12月10日であった。

約束どおり午後1時からの授業参観に旧い友人が駆けつけてくれた。応接室で先ずは応対。
この応接室からはシュエダゴンパゴダはつい目の先にあり、緑に覆われたシングッタの丘を北側から仰ぎ見る形になる。絵に描いた額縁のような窓だ。

さすがに僧院で鍛えた老師である。自己紹介を兼ねた最初の挨拶で生徒の心を掴んでしまった。
今の時代は最初の一分間で相手の心を掴まねば、相手の関心は薄れていく。
プロはその一分間に苦心する。この60秒間は時代と共に短縮されていく。

先月参加した国際会議でも、北欧系を主体としたプレゼンターの発言も同様であった。最初の一分間で軽い冗談を挟み出席者の構えた心を解きほぐす。軽い冗談だが、考えに考え抜いたウィットである。彼らもプロであった。

私にとっても、約束されていたとはいえ、この老師の参観は一対一の真剣勝負である。
授業を通して、私の編み出した日本語学哲学を老師に理解してもらうことが出来るだろうか。

午後4時までの一日が終わって、自宅にたどり着くと、精魂共に尽きてしまった。
もらったばかりの薩摩本格焼酎「明るい農村」を大ジョッキに一杯呷ると、そのまま寝込んでしまった。午前2時には目を覚ましたが、顔を洗ってもグロッキーの状態は続いている。

電気を消しもう一度ベッドにもぐりこんだ。
ノックアウトされたオールド・タイマーの状態だ。無理をしない。体調が回復するのを待とう。
これがオールド・タイマーが晩年に掴んだ人生観である。

下階に住むスタッフの用意した朝がゆで起こされたのが午前5時30分。
まだ頭がボーっとしている。YouTubeでオランダ・ハーグで開催されている、ミャンマーを罵るGambia国の論告が頭に入らない。聞いてもサッパリ分からない。頭がまったく働かない。

今日は一日ベッドで過ごすことにした。停電でもないのに、こんなことは珍しい。
僧院で鍛えた老師の目の前で、演じた教育実習試験を思い出しながら眠りに落ちていった。



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・02:ヤンゴンで編み出した日本語理論

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昼休み時間中に、白板に清書しておいた。
これを生徒に説明するのだが、同時に試験管の老師もターゲットである。

いろはにほへと(7) ちりぬるを(5)
わがよたれそ(6)  つねならむ(5)
うゐのおくやま(7) けふこえて(5)
あさきゆめみし(7) ゑひもせす(5)

例外はあるが、基本的に7・5調である。
これが日本古来のリズムである。現代人にもDNAとして7・5調は刷り込まれている。
聞いて・話して・読んで・書いて、日本人が最も心地良いのはこのリズムである。

母音<あいうえお>5文字に統一された読み書きは、日本語ではない。
イエズス会など西洋人に理解しやすい簡便法が<あいうえお>となった。
この仕組みで学んだ外国人の日本語は、日本のリズムではない。

その歴史的事実を知らずにN1-N5と日本語を教える教育は誤りである。
それを習う外国人の生徒こそ、迷惑である。即座にやめるべきである。
ヤンゴンもその間違った教育方針に毒されている。

その下に漢字混じりの<いろはうた>を清書しておいた。

色は匂えど 散りぬるを
我が世誰ぞ 常ならむ
有為の奥山 今日越えて
浅き夢見じ 酔ひもせず



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・03:コピーから出発して世界のトップに立つ

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日本は<漢字>を中国から輸入して、その一片を採用して<カタカナ>を発明し、ハンドライティングの草書を生み出し、そこから<ひらがな>を生み出した。
だから漢字・カタカナ・ひらがなの三種混合文字が日本語である。
これは一回目の授業で説明してある。

日本人の特質は、中国から輸入した<漢字>それだけで満足しなかった。
特に女性・子供に心を配り、万人に易しい<カタカナ><ひらがな>を編み出した。
日本人の知恵である。

欧米人が今頃がなってがなり立てる人権とか、女性・子供への配慮は、歴史的に日本がはるかに先進国であった。
輸入した<漢字>から仮名を発明したノウハウは、<カイゼン>のオリジナルでもある。日本人特有の“工夫”は歴史が証明している。今頃<カイゼン>などとトヨタから学ぶアメリカの企業経営者は正直、何百回も何千回もトラック競技場の周回遅れである。

自動車王国のアメリカは、日本の自動車はアメリカのコピー版と息巻くが、例えばトヨタは日本人には高価だったT型フォード一台を輸入して、ボルト・ナットに至るまですべての部品に分解し、それの寸法を測り図面に書き写した。気の遠くなるような作業である。

その部品一つ一つを日本で手に入る原材料でコピーし、組み立てていった。
最初はガタガタ道でボルトやナットが抜け落ちていった。
もう一度、ゼロから出直す。ネバー・ギブアップの精神で何度も何度も挑戦する。

そして世界に挑戦する。ハイウェーが整備されたアメリカ大陸で、日本の自動車はスピードについていけない。坂道でエンジンは喘ぐ。オーバーヒートでダウンする。
自動車王国のアメリカ人からは「安かろう、悪かろう」の罵詈雑言を浴びる。

21世紀の今、トヨタの車は世界中どの道路でもアメ車をスイスイと追い抜いていく。
しかも燃費効率は抜群だ。部品サービスも完璧だ。今頃になって、ドナルド・トランプは口をひん曲げて日本は儲け過ぎているとヌカス。どうして日本の政治指導者は、担当役人は、日本やドイツのようにコツコツと努力すればアメ車は良くなりますヨと教えてあげないのだろう。

アリとキリギリスはイソップだっただろうか、教養の無いトランプは西洋の寓話すら読んでないようである。
いけない、いけない、またもや政治の世界に迷い込んでしまった。



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・04:社長を殺すに刃物は要らない。<いろは>で充分

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神聖な教室の中だった。
日本人の平安時代の知能水準は、数独と一緒で、<いろは>たったの47文字をすべて必ず使用して、一文字も欠いてもダメというパズルゲームを解いてしまった。
それだけなら驚かないが、この47文字だけで、涅槃経の四句の愒「諸行無常、是生滅法、生滅滅己、寂滅為楽」という仏教の神髄を表している。

ここでミャンマーの若者たちに日本の文化を紹介する。
ミャンマーはテラバーダの仏教、日本はマハーヤナの仏教と一般に言われている。
だが行き着く先は、大本である釈迦の仏教である。

その釈迦が唱えた厖大な涅槃経の神髄をたったの<いろは>47文字で編み出したのが、日本の文化である。しかも5・7調の唱えやすい日本のリズムである。

君たちの何人かは実習生として日本に行くかもしれない。
そしたら初日の夜に歓迎会を開催してくれるはずだ。日本はワンパターンだから必ずそうなる。
受け入れ側の社長や役員が偉そうに迎えてくれるはずだ。

その席で自己紹介を求められるだろう。
最初の授業でアイサツは大切だと教えてある。
そこで練習した「私の名前はチョウチョウです。ミャンマーのヤンゴンから来ました。日本語は少し話せます。」と言って、これから練習する<いろはうた>を大きな声で、ゆっくりと発表してください。

「留学生が何人いようと、あなたのことを日本人の社長さんは一番最初に覚えてくれます。これは先生が保証します。社長さんに聞かれたら、上座部仏教、大乗仏教の話をしても良いです。」

彼らの個人秘密情報を分析した結果、今は<ひらがな>しか書けない。だが、秘められた向学心や能力は非常に高い、中には工科大学やその他大学を卒業し、CADを習得し、エレクトロニクスやテレコミュニケーションを学んだのもいる。
その彼らが日本の文化を勉強したいと書いている。

中には日本で一生懸命働き、母親におカネを送りたい。頑張りたい。最後まで諦めないとも書いてある。こういう文章を読むと、涙腺が緩み、夢を実現させてあげたいと思ってしまう。



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・05:デザートは松尾芭蕉で!

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そこでもうひとつの日本のリズムで、日本の文化だ。

5・7・5のHAIKUである。

「ふるいけや〜(5) かわずとびこむ〜(7) みずのおと〜(5)」
彼らの顔にはカタカナにも漢字にも挑戦する意欲が見て取れる。
「古池や〜 蛙飛び込む〜 水の音〜」を下に付け加える。

〜の部分が難しいが、ワザとオーバーに読み上げる。
そして<ひらがな部分>と<漢字混じり文>を交互に何度も何度も練習する。
私の授業は音感授業である。文法など教えない。語学は音楽である。

<いろはうた>にしても、意味など知らなくて良いと断言してある。
<ふるいけや〜>にしても、音楽のリズムを掴めと何度も繰り返す。
これが日本のリズムだと、徹底的に教える。

日本の教育は<習わぬ経>を読ますところに秘密がある。
たった一日で<いろはうた>や<ふるいけや〜>は読めるようになる。
だが手抜きをしてはダメだ。たった一ヶ月間の授業で、これを何度も何度も繰り返す。

100回、ダメダメ! 千回、マダマダ!! 一万回、まだ宵の口!! 百万回、それでも精進・精進!! 教育に卒業はない。毎日自宅で暇があれば、日本のリズムを繰り返せ! 
路上喫茶で友人を待つ間、このお経を唱えろ。バスの中でも唱えろ。誰に聞かれても恥ずかしくない日本のリズムである。その中身は日本の文化で、日本人の魂である。

一日発音練習を怠れば自分で退化に気付き、二日発声練習を休めば相手の日本人が気付き、三日サボれば世界中がお粗末なアナタの日本語を馬鹿にする。
これは著名な音楽家のセリフをパクッたモノだが、外国語学習はこのように難しい。
ましてやアナタはネイティブの日本人ではないのだから。

意味や文法を教えずにリズムだけに集中する。
私は語学は音楽であると同時にスポーツであると説いている。



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・06:語学はスポーツである

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これは英語学習を通じて会得した方法である。

今は全員が所有するスマホを持ってこさせ、Clockのアプリの使用方法を教える。
Stopwatchをゼロのリセットさせる。

<いろはうた>の「い」を唱える前に、「スタート」と自分に声を掛け、素読の開始。
<色は匂えど>を経由して、<ふるいけや〜>に入る。そして最後に<古池や〜>をこなして1クール終了。そしてStopwatchをストップする。

その時間をノートに一回目20秒と記録する。そして休む間も無く二回目。18秒と記録。語学はスポーツである。三回目17秒。四回目15秒。・・・これを延々と続ける。
たった30分間で、読みの速い、集中力のある生徒は154回繰り返すことが出来た。
遅い生徒は48回だった。気にすることはない。個人差が出るのは当たり前だ。

今日はド素人のドンびりで構わない。明日はプロになれる。
要領はネバー・ギブアップである。
クラスメートと競争するのではない。自分との闘いだ。
頑張れ!

語学の学習など、学校に通う必要はない。
自分で学ぶことである。
先生に習うから、アナタの語学はおかしくなる。

学校も先生も不要が我が語学校のモットーである。
YouTubeさえあれば、今は何でも学べる時代である。
英語でこれをSelf-Learningという。

学校は必要ないというのが私の教育哲学である。
森友学園も加計学園もなければ、天下泰平であったはずだ。


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