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<ミャンマーで今、何が?> Vol.344
2019.12.20
http://www.fis-net.co.jp/Myanmar

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━━【主な目次】━━━━━━━━━━━


■語学とはその国の文化

 ・01: 油断大敵

 ・02: 学問のススメ

 ・公式ツイッター(@magmyanmar1)

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・01:油断大敵

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このメルマガでは裏づけを取り、データを確認して、万全を期しているつもりだが、またポカを犯してしまった。どこかに油断が生じたのだろう。

お詫びして訂正したい。
前回の記事である。

スーチーがお招きした瑤子女王殿下は国賓資格ではなかった。
それでもスーチーは女王殿下ご帰国その当日に時間を設け、超多忙な中、ネイピードの公邸で将来を担う若き日本のプリンセスと親しく面談した。

決して「横槌(よこづち)で庭を掃いた」のではない。
大阪・名古屋の“いろはかるた”によれば、この諺は「慌てふためいて来客をもてなす」とある。“いろはかるた”には、日本人の庶民文化が生み出した叡智が籠められている。

しかも一種類だけではない。
旧都・京都の“いろはかるた”、新都・江戸の“いろはかるた”、その中間および商都ともいえる大阪・名古屋の“いろはかるた”と三種類の“いろはかるた”が有名だ。

京都だけを見ても日本ではない。江戸・東京を見ても、日本を見たことにはならない。大阪・名古屋の心意気も京都・江戸に負けるものではない。
それだけ日本の文化は奥行きが深いのである。

そのバラエティに富む、日本の文化を日本人自身が忘れ去ろうとしている。そして西洋のチープな文化に日本人自身から毒されようとしている。

そこで日本人自身の“本質”を探る旅に出た。
それが日本語学校の師匠役である。
語学とは、言葉だけでなく、その裏に秘められた“文化”である。

“文化”を紐解くには、矛盾するようだが、本質の秘密は“言葉”に隠されている。
それこそ7・5調の響きである。
その本質に基づいて生み出されたのが“いろはかるた”である。

くどいようだが、“あいうえお”は外国人の宣教師が母音と子音に区分けして、自分たちが理解しやすいように日本語を分解したに過ぎない。そこには日本文化の本質はない。



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・02:学問のススメ

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19日(木)夕方、日本語の授業が終わった。
クタクタだった。あとは来週の一日を残すだけとなった。これで約束した義理は果たせる。

帰りのタクシーで崩れ落ちそうになりながら、どういう訳か、学生時代に夢中になったジャック・ロンドンの“A piece of steak”を思い出していた。そのときに学んだ英単語で“Old Timer”がある。サンドバッグのように叩きのめされ、立っているのがやっと、主人公は古参ボクサーだった。

行きつけのビアーステーションが見え、雪崩れ込むように椅子に辿りついた。
最初は義理からはじまった。今日までに6回の授業をこなした。実に良い経験をさせてもらった。正直、9人の生徒から多くのことを学んだ。僅か一ヶ月のことだが、走馬灯のように頭を駆け巡る。

一回一回の授業が創意工夫の手作りだった。
驚いたことに生徒たちは授業開始の30分前には、全員が着席していた。私も早く行ったが、ロクな挨拶もせず、時計の針が開始時刻になるまで自由だと、自分は授業の段取りを考える。この不自然な雰囲気は、生徒も教師も目を合わさずにお互いを測る真剣勝負の瞬間である。

ルールはひとつだけ。
「昨日と同じテーブルには座らないこと。」と宣言した。
ミャンマー人は群れたがる。めだかの学校は悪の温床となる。特に最後部の席は。
緊張があればこそ、集中力が養える。毎回の席替えは効果があるようだ。

師範代を引き受けるにあたり、学生をモルモットにする。授業内容は好き勝手、という条件で大社長は吞んでくれた。生徒にも、英語の指導はプロだが、日本語は試行錯誤でやるしかない。生徒はそのモルモットだ。N2、N3、N4など日本文化を無視した教育なので、これは保証しない。否ならワタシを辞めさせるよう大社長と相談しろと告げてある。

それが裏目に出てしまった。
最初、生徒は6人の約束が9人に増えてしまった。そして一人の落伍者も出ずに、今日まで来てしまった。あと一回を残すのみだ。しかも、授業開始の一時間前に来るようになってしまった。困ったものだ。

これには訳がある。
ビルの下に到着したとき、生徒の一人から挨拶された。体は私の倍あるが、無口なおとなしい青年だ。時計を見るとまだ40分間ある。地元の茶店に誘った。彼の弱点を直したいという下心があった。そして彼の個人データを盗み取る目的もあった。

最初はオドオドしていたので、日本語の質問に慣らすために、手振りを交えて二回・三回同じ言葉を繰り返した。分からなければ、更にゆっくりと。聞きたいことは山ほどあるので、質問は矢継早となる。30分間の個人レッスンでオドオドがなくなった。驚いたことに教室でも積極的に手を上げて質問を始めた。二人のミルク代金〆て1200チャットを、この貧乏学生が支払おうとする。年寄りをリスペクトするなら、私に払わせろと、彼を押し留めた。

次回から気の利いた生徒グループがこの茶店で私を待ち伏せするようになった。
彼らは決して馬鹿やチョンではない。むしろしたたかである。

友人が里帰りから戻ってきた。北海道の名物「メロン ラングドシャ」16個入りを手土産に。

私は機械は苦手だ、だがスマホの使い方は徹底的に教えた。待ち合わせに遅れるときは連絡しろとか、Clock機能でストップウォッチやアラーム機能を使うこと、日緬英語の辞書のアプリなど。最近は日本のニュースを追いかけているようだ。

最初は知らなかった日本の国土も区別つく。北海道といえば生徒全員が知っている。
そこで友人の好意を全員に配った。生徒9人と大社長を含めたスタッフが7名、びったり16個だ。

北海道といったらメロンが名物。それをクッキーにしたのがこのお土産だ。
生徒二人を選び、菓子折りのメロンを写真を見せながら、大社長以下7名にプレゼンを兼ねてひとりひとりに口上を述べて配ってもらった。

ビジネスで物語トークは大切だ。これも練習すれば上手くなる。Practice makes perfectである。
生徒たちは決して愚鈍ではない。彼らは私同様にシャイなのだ。繰り返せば、法華の太鼓である。私は二人の後ろにいてオカシナところはその場で直す。

大社長の前ではびくついていたが、最後のスタッフの前では滔々とプレゼンをやってのけた。彼らは素直で実に有能である。「先生の友人が北海道からヤンゴンに戻ってきました。これはそのお土産です。この写真のとおり、北海道はメロンで有名です。日本の食品加工はこのメロンをクッキーにしました。一人一個ずつあります。ゆっくり日本の味を楽しんでください。」

すでに5・7調の日本リズムはくどいほど教え込んだ。5・7調は“あいうえお”ではない。“いろはかるた”である。昔は“てにをは”といった助詞に強烈なアクセントを置く。地震波で言えば、欧米調の縦波ではない。ミャンマーと日本人は横波の似たもの同士である。ここを教えないから、外国人の日本語はいつまでもオカシイ。

その伝統に則った日本の偉大な俳句について教えた。
「ふるいけや〜〜〜」長く伸ばして語尾を少し上げる。「かわずとびこむ・・」語尾は横波で。そこで机を一回二回叩き、まだまだと我慢の一呼吸。そこでもう一度机を叩き「みずのおと〜」と語尾を上げる。

生徒にHAIKUは?と問うと、「ごーしちーごー」と戻ってくる。
彼らは完全に日本のリズムを掴んだ。あとは先生なしで、自分ひとりで、日本語リズムの繰り返し練習だ。

先生も、語学校も不要、教科書は自分で作る。その自作のノートが何冊に増えたかでどれほど努力したかが分かる。これが私の語学哲学である。学校教育が大切な生徒をダメにした。世界中で起こる無差別殺人がそれを証明している。

日本語も英語も本質は文化にありと見た。
実に貴重な経験をさせてもらった。


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