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<ミャンマーで今、何が?> Vol.351
2020.01.21
http://www.fis-net.co.jp/Myanmar

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━━【主な目次】━━━━━━━━━━━


■YouTubeで大相撲を楽しむ

 ・01: 犬も歩けば棒に当たる

 ・02: 政治家の仕事とは?

 ・03: 異なる意見を聞ける包容力

 ・公式ツイッター(@magmyanmar1)

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・01:犬も歩けば棒に当たる

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あれはクリスマスの翌朝、明けの明星の時間帯だったろうか。
三途の川の渡河賃不如意で、この世に戻ってきた。
あれから一月近くが過ぎた。心臓は動いているらしい。ありがたい。

サドンデスの人生とはいえ、死んでしまったらおしまいだ。
アレ以来、無理は止めにして、本来のスケジュールに戻した。
時間だけは世界一リッチを目指す人生である。

この世には不思議な出会いがあり、ワンダーランドに満ちている。
プルマンホテルの西隣に国立図書館が出来たと新聞で知った。

受付嬢は3人いたが、英語が通じない。
年輩の女性が出てきてテキパキとスタッフに指示し、親切にも中を案内してくれた。
本日だけのソフトオープンで、マスコミも幾つか取材にきていた。

ヤンゴンの歴史的写真が展示され、図書館の概略を適切に説明してくれた。
簡単に自己紹介すると興味を示し、省庁名は秘匿するが、この女性はそこのNo.2と分かった。

ヤンゴンに住む日本人からYouTubeのTEDフォーラムを教えてもらった。
最初の10分間でセールスに成功しなければ、永遠にチャンスはないという。
話者は全員が物語のプロである。話しに無駄がない。ついつい引き込まれてしまう。

英語版のそれを片っ端から見まくった。有名人も無名のアフリカ人も居た。
2020年を迎えて、世の中はスピードが加速している。
見まくるうちに10分間は長すぎると思えてきた。

ヤンゴンの学生たちには一分間を目指せと指導しよう。
一分間で何をする? 商品でも会社でもない。自分を売り込むのである。
日本語でも英語でも構わない。自己紹介にすべてはかかっている。

ホールでは見るからに威厳のある男性が取材を受けていた。年輩の女性はその人物が私の唯一のボスですと語り、紹介しましょうかと言ってくれた。彼女は一分間で私を説得するに充分なキャパシティを持ち、彼女の方が実務価値が高いと判断した。そこでその好意はありがたく辞退した。この有能な女性を、本人の気付かぬうちに、弊研究所の秘密情報部員に採用することを勝手に決定した。

呼び出しを受け彼女が離れると、こちらを見ていたTVレポーターが近寄ってきた。
その英語インタビューはMITV(ミャンマー国際放送TV)でその日の夕方、そして翌朝定時のニュースで繰り返し流された。年明け早々無様な様子がTV画面に流れてしまった。

何年前だったか、ヤンゴン川で水上バスが運行を開始した。顔見知りの船乗りがボータタウンの桟橋に案内してくれた。驚いたことに操舵室で船長と機関長も紹介してくれた。船の話しなら大ボラを含めて少しは付き合える。

その時もMRTVの女性レポーターがTVクルーを引き連れて取材に来ていた。
私は船乗りではない。だが海運会社で潮風に吹かれた経験はある。その女性レポーターも英語が達者で優秀であった。熱心に話をメモしていた。暫くして私と友人の席に戻ってくると、もう一度インタビューしたいと許可を求めてきた。

その時もMRTVの国内版(ビルマ語放送)と英語版の国際放送で、黄色い水上バスの運航開始が大々的に放映された。思いがけずも地元友人たちから電話をもらい、恥ずかしい想いをしたことがある。

日本語学校の若い生徒には、“犬も歩けは棒に当たる”の“いろはガルタ”は良い意味にも悪い意味にも適用される、と教えた。懐が深いというか、プラスにもネガディブにも適用されるところが知恵で、清濁併せ呑む真の教養がないと理解できない日本文化である。

差別意識の発達していない当時ですら、教養が一段落ちるとされた女・子供たちが諳んじていたのが、この“いろはガルタ”である。庶民が生み出した日本の知恵である。
それを何でもかんでも立法府で法律にして、結局は自分たちの首を絞めるようになってしまった。

人権などと言わずに日本では、女流文学が絢爛豪華な時代を築き、日記文学も独自の分野を開拓していった。だから“土佐の守”であった紀貫之(もちろん男性)ですら、筆者を女性に例えて「土佐日記」を記述して、ベストセラーにまでしてしまった。

それを今の時代は、日本を欧米のモノマネに走らせてしまった。実に嘆かわしい。



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・02:政治家の仕事とは?

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立花孝志がNHKをバカにしてからYouTubeの威力に中毒している。Mビールを片手にジャンルに囚われず何でもかんでもYouTubeだ。釣り上げた魚を三枚に下ろし、刺身にする。寿司までが自宅でできる。中田敦彦のアイデアを拝借すれば、このヤンゴンでYouTube大学が可能だ。

かといってYouTubeがすべてではない。どのYouTubeを選び出すかが、最も重要な選択肢である。くだらないYouTubeも山ほどある。元新聞記者上がりで、くだらない評論家に成り下がったマスコミ人も多数いる。日産のゴーンを批難するのも構わない。習近平来日阻止を叫ぶのも構わない。だがそのポイントが完全にずれている。

ヤンゴンで報じられる外信電から、日本の島国意見が見えてくる。しかもその大半がステレオタイプである。グローバル化すべきは、貿易ではなく、モノの見方ではなかろうか?日本のマスコミは、それを怠ってきた。YouTubeでは日本発と海外発の意見を無制限に見ることができる。

苦虫を噛み潰した顔の官房長官発表で、日本の大手マスコミの大勢がある方向に収斂していく。海外ではNYでもワシントンでも、英国・フランス・ドイツでも、独自の調査で独自の意見が発表される。基本的には政府発表を疑う反政府の精神が流れている。そしてそれが彼らの伝統で今日のマスコミを形成している。

先日友人からバイバーで“習近平国家主席訪緬記事”と題した日本の新聞記事を送ってもらった。ちょうどヤンゴンで英字新聞GNLMとミャンマータイムズを整理していたところだったので、その食い違いが鮮明に読み取れた。彼らはプロのジャーナリストであるはずなのにピントが完全にずれているのである。

欧米人は軍政権のマウスピースと表現して国営新聞NLM紙をバカにしてきた。
民主化が進み形だけは民間のGlobal社との合弁企業としてGNLM社として新スタートした。
白黒の紙面からカラー版に変わった。

共同通信社からCEOを迎え入れ、タブロイド版で見慣れた紙面づくりに変わった。
ヤンゴンで変わったのは街づくりだけではない。ホテル・レストランだけでもない。省庁も、大臣もお役人も、スーチーに活を入れられている。

だからミャンマーを固定観念で判断したら、アナタのビジネスは大きく見間違うことになる。
ワシントンでも永田町でも声高に叫ばれる“CHANGE”が、本気で実行されているのは、多分ネイピードだけではないだろうか? 日本人が忘れてしまった維新前夜が今のミャンマーである。

例えば日刊英字新聞GNLM2020年1月17日(金)を参考にしてみよう。
第一面のトップに“中国人民共和国大統領のレジュメ・習近平閣下”が大きく採り上げられている。しかも顔写真付きだ。紙面半分弱のスペースを割き、それでは納まらず、第三面を見よ、となっている。第三面も文字だけで紙面半分を割いている。

書き出しはこうだ。
「習近平氏は1953年6月陝西省富平県生まれのエスニックの漢族出身である。」
そして現在の共産党中央委員会総書記・中央軍事委員会主席までの、長い道のりが時系列を追って克明に記載されている。この囲み記事が掲載されると、このVIPは大抵4・5日以内に訪緬となる。今回はサプライジングだが訪緬当時に掲載された。

同紙には第三面に「新華社の副社長が、情報省の副大臣を訪問」となっている。
これだけでも読み取れることだが、国家としての中国が動いた場合の多面性・多様性に驚かされる。外交関係・経済界・文化団体・教育関係・医療衛生面などなど、中途半端ではない。

習近平主席が特別機でネイピード空港に到着したのは17日(金)午後である。午後4時15分には大統領官邸で国賓としての栄誉礼儀式が挙行された。そして18日(土)午後にはネイピード国際空港から中国へ向けて帰国していった。公式行事は17・18の二日間だが、実質的にはほぼ24時間である。その間に合計で33件の協定書、MoU、ドキュメント類が調印された。

これは中国だけでなく、アメリカのミャンマー攻略もそれに劣らず非常に精緻で長けている。
大統領官邸がすべてを牛耳るのではなく、各省庁のプロが適材適所で微に入り細を穿って働いている。海外マターだからと外務省が一括して担当するのではなく、その国力の懐の深さを見せつけてくれる。どれほどのプロフェッショナルが水面下で動いたかをGNLM紙の行間は語っている。

対等外交のプロトコールによれば、中国の習近平国家主席のカウンターパートナーはあくまでもウ・ウィンミエン大統領である。スーチーはその大統領の上に君臨しているだけである。
しかし、昼食会、晩餐会などでの公式スピーチをチェックするとの、それぞれに両国の歴史から説き起こして現在のみならず、将来の世代に対する引継ぎを表明している。

国賓訪日を阻止したところで、将来の世代に対する責任は何一つ果たしていない。
それは無責任な評論家やマスコミのする仕事で、責任ある政治家の仕事ではない。
スーチーは反対の意見のあることは重々承知している。それをリスペクトして合意できる点をお互いに模索しようではないかと主張している。それが政治家の仕事と認識している。

YouTubeで大相撲録画を毎夕楽しみながら、そんなことをぼんやりと考えている。



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・03:異なる意見を聞ける包容力

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まだ体調が完璧ではない。
友人の娘の結婚式ではビール一杯口に苦く感じて吞めなかった。
大相撲を見ながらビール一缶を味わうまで回復してきた。

あの呼び出しの声で、拍子木の音で、昔が蘇ってくる。
だが、ここでも改革が始まっているようで、一つ一つの勝負が早すぎる。
外国勢が入ってきて、力士の大型化が進む。

だが、昔の“舞の海”のような小兵が、知恵を絞り編み出したワザで巨体を土俵に転がす。
重量別制などのシステムに負けなかったのは、日本の伝統の重みである。
館内に座布団が飛ぶ。結構ではないか!

“舞の海”の相撲解説が聞けるのはうれしい。
横綱とは夢の夢、だが小兵で苦労しただけに、その解説は横綱以上の説得力がある。

中学時代、水道橋の講道館に通っていたことがある。上の階から練習道場を覗けた。
小柄な老人が大柄の大学生を相手に乱取りをしていた。一歩二歩下がると見せて、白髪の老人が突然片膝を畳みについた。その瞬間大柄の大学生が宙に浮いていた。
三船 久蔵の空気投げを目撃した貴重な瞬間であった。

柔道界は重量別制を取り入れて、世界のスポーツとなった。
一方で腹をすかせた世界の若者たちが日本に憧れ、相撲界に入ってくる。
相撲は日本にいながら世界のスポーツとなった。

その多様性をスーチーが言うとおり尊重したい。
「007は二度死ぬ」の中でもジェームズ・ボンドが国技館にやってきた。
世界に出て行くも良し、日本に留まるも良し。

だが護送船団の時代は終わった。
官邸がすべてを取り仕切れると思ったら、とっくに時代遅れだ。
時代はこの時代に突入している。

こんなつまらないことを考えながら初場所を楽しんでいる。

曙太郎、武蔵丸光洋、朝青龍明徳と外国人でも最高位の横綱にまで上り詰めた。
その偉人たちを重箱の隅をつつくようなスキャンダルで押し潰していく。
ネガティブな日本文化の特質である。

霞ヶ関しか見ていない海外駐在の大使よりも、はるかに有能な日本の外交官になれる素質がある。そんなことを考えながら、ビールも二缶まで、口に美味く、楽しめるようになった。

外交官が話し合うことを拒否したら、何事も進展しない。
習近平とスーチーの遣り取りで、中国とミャンマーの歴史も学ばせてもらった。
スーチーはヤワではない。インドもベトナムも等距離外交を保っている。それを踏まえた上で、習近平と語り合っている。

日本の外交政策は敵を作り出すには世界最高のシステムである。
だが今の時代にはそぐわない様な気がする。
話し合いから何かが生まれる。


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