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<ミャンマーで今、何が?> Vol.353
2020.01.28
http://www.fis-net.co.jp/Myanmar

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━━【主な目次】━━━━━━━━━━━


■話し上手が世界を制す

 ・01: 12月限定の日本語学校は、語学授業に対する実験教室であった。  

 ・02: どうして???

 ・03: 天地創造の話し

 ・公式ツイッター(@magmyanmar1)

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・01:12月だけでなく新年も忙しい

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12月限定の日本語学校は、語学授業に対する実験教室であった。  
その学生の助けを借り、目下、授業風景のビデオ動画を分析中である。
ビデオ動画は鏡と同じで、自分の欠点が良く見える。

撮影用スマホは生徒の最前列、真横に固定した。
白板に書いた文字が鮮明に映り、教師の表情も見逃さない。
そして生徒に話す言葉もハッキリと録音されている。

語学に対する自分の考えを実験したのが、この教室であった。
「地球上では、三歳になると子供は母の言葉をネイティブの発音で話す。例外は皆無である。この点においては子供は天才であった。その天才を凡人に引き摺り下ろしたのが誤った語学教育で、教師・両親ではなかったろうか?」というのが私の語学哲学である。

LA(米国)に住む台湾人を自宅に訪ねたことがある。
二人の子供が見事な普通語(北京官話)、閩南語(台湾語)、米語を使い分けていた。
子供たちがキレイな英語で挨拶してくれたので、興味を持ち秘密を両親に聞いてみた。

LAに移住した機会にマルチリンガルに育てたいと夫婦で話し合ったそうだ。母親は北京語のみ、父親は台湾語のみで話しかける家庭教育が始まった。外で遊べば、そして学校に上がれば回りはすべてアメリカ人。米語は自然に身につけたという。そして3ヶ国語を話せるようになった。

自分の英語音痴もあり、語学に強い関心を寄せていた。
海外で自宅に呼ばれる機会が幾つかあった。ホームパーティというヤツだ。その家の主人とは仕事の関係もあり英会話は問題ない。奥さんもそこそこに相槌を打ってくれる。問題は子供であった。100%彼らの英語が理解できなかった。

ハワイでもオーストラリアでもインドでも、特に子供の語学力に興味を持ち観察していた。機会があれば公立私立でも、個人授業でも、そしてコミュニティ・カレッジにも参観させてもらった。このヤンゴンでも幼稚園から、日本語学校、英語学校まで、了解を得て見学させてもらっている。

そこで私が発見したことは、どの国でも地方でも、子供は3歳になれば完璧にネイディブの発音で母語を話せるという事実である。これは山岳地帯でも、海洋民族でも、例外はない。三歳児の奇跡である。これを語学教育に取り入れない手はない。

そこで人間の誕生から3歳までの人生を追いかけた。
人間の誕生とは動物と同じで精子と卵子の結合から出発する。
分娩までのドキュメンタリーは英国BBC教育TVの海賊版DVDで幾らでも学べる。

そこで学習したことは、母親の子宮内で成長する期間、母親の発する言葉、そして母親の鼓膜が振動して感じ取る外界の音すべてを、胎児は羊水の中で受信しているそうだ。だから母親の胎内の十月十日は、母親の話す言葉だけでなく、周りの環境の言葉や音を全身で学ぶ予備校である。

だからモーツアルトを聞かすという胎教にもそれなりの理屈がある。これを語学教育にどう取り入れるかが、最優先の課題となった。

どの母親も御茶ノ水女子大の教育心理学を専攻したわけではない。
ミャンマーの辺境地で野良仕事に従事し、母親自身が教育を受けてない例は幾つもある。
それでも母親のタメイン(女性用ロンジー)を握って離さない子供も3歳になると立派なネイティブ会話を話す。教科書も国語辞典も不要なところがミソである。

だから語学の自然法則に従うなら、文法など教えてはダメということになる。
飛躍するようだが、日本人が英語ベタという非常に有名な世界の常識がある。外からの評価を異常に気にする日本人としては看過できない問題である。関係ないようだが、これも視野に入れて、語学問題を考えてみた。

そこで思い至ったのが、音感のリズムである。言語にはその国その国でリズムがある。
これは私の直感だが、どこかの国の飛行場で日本人のグループが後ろを通り過ぎたとする。意味までは聞き取れない、だが確実に日本人と分かる。なぜだろう。これこそが日本語のリズムである。

語学教師が最初に会得させるべきは、その語学の持つリズムである。母親の胎内で身につける外界のリズムを体験させることである。“ABC”でも“おいうえお”でもない。文法などはもっての他である。母国語を話すとき、文法を思い描く人はいまい。
繰り返すが、リズムこそ語学の出発点である。これには音楽的トリックが必要だ。

日本ではあまりにも“鈍感”な英語教師が多すぎる。英語と称して日本語のリズムで教えている。ミャンマーでも同様で、音感に“鈍感”な日本語教師が多い。

生徒が萎縮し、ドロップアウトしていくのも無理はない。
語学の自然法則に反しているからである。
私はドロップアウトの生徒を全面的に支援したい。

“あいうえを”は、日本語のリズムを理解できないイエズス会の宣教師たちが、音声学的に理解しやすいと判断して流行らせた、5つの母音と50の子音の組み合わせである。すでに平安時代に発案された音節表だが、現代のリズム感覚からすると“や行”から突然オカシクなる。

要約すると、英語は“縦”のリズムで、日本語とビルマ語は“横”のリズムである。
だからミャンマー人は日本人の英語を理解しやすく、日本人も同様に感じる。
だが両者共に英米人の英語は理解しにくい。間違った教育を受けたからだ。

ビデオ動画とはいえ、自分の授業風景を何度も見返すのは脂汗ものである。
本人は真剣勝負で挑んだ。考え考え、ひと言ひと言を苦悩から発声している。これを短く上手く編集できれば、語学の神髄に近づきそうだ。いつかは英語版でもやってみたい。

英語に上手くなりたければ、金髪碧眼で足の長い英米人よりも、英語で苦闘した英語音痴の日本人から学べと言うのが、私の持論である。英米人はどうして“L”と“R”の区別が出来ないのかその苦悩を知らない。だが聞き取りでも発音でも、その秘密を私は知っている。
それをミャンマー人に納得させるのが私の課題である。

これこそ「大阪の夢、京の夢」である。
それをミャンマー版にアレンジして言えば、「ネイピードの夢、ヤンゴンの夢」となる。


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・02:どうして???

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ヤンゴン川を日本政府の寄贈したフェリーのチェリー号で渡河し、ヤンゴンの高層ビル群を川向こうに見渡す、寂れたレストランで生徒たちと遅めの昼飯を食った。一人はジュースだったが、一人はビールに付き合ってくれた。彼らからは多くを学んだ。今日はその恩返しも考えてである。

今回は授業ではない。ミャンマー港湾局の赤い三角屋根をパンソダン桟橋の向こうに眺めながら、若者たちと、日本とミャンマーの歴史について語り合った。

今渡って来たヤンゴン川の中流域にノルウェー船籍の“海利号”(ハイリー号)が錨を下ろしていた。サイアム・サイゴンを経由して中国の福建省アモイへ向かう貨客船である。一等から三等まで客室は用意されている。だが荒波をかぶることもある上甲板はマットを敷いたごろ寝で最も船賃が安かった。

中国服を着込んだ二人のビルマ人青年が、英国官憲の目を掻い潜り上甲板の船客となっていた。
もちろん非合法のパスポートも持たない密出国である。このビルマ人青年こそビルマ史に燦然と輝く指名手配されたアウンサンとラーミャインであった。1940年8月8日のことであった。

中国のアモイには国際共同租界があった。
アヘン戦争の結果、英国が清国を恫喝して無理やり開港させたのが、広東・アモイ・福州・ニンポー・上海である。しかも治外法権という特権つきのイギリス人居住許可と、監督官・領事館の駐在許可を認めさせている。これこそ英語で言うGunboat Policy、すなわち砲艦外交である。

そのアモイの国際共同租界で行き詰っていたアウンサン青年を日本に収容し、最終的には三十人の志士を密かに脱出させ、中国の海南島で軍事訓練を施したのが、浜松出身の鈴木敬司大佐であった。その波乱万丈のドラマが開始した現場が、目の前の濁流が渦巻くヤンゴン川の中流域である。本日の若者も歴史を知らない。彼らは現代の9人の志士の二人である。

彼らは4月には実習生として日本に行くことが決まっている。
歴史という意味では、彼らの頭はこんがらがっている。

ビルマはイギリスに占領され、日本に占領された。
そして今、ミャンマー連邦は、国際司法裁判所からロヒンギャー大量虐殺の批難を受けている。
ここでは仏教国とムスレムとの対立もある。

どうしてですか?と質問を受けた。
実に鋭い質問だ。生半可な答えはできない。

アナタなら何と応えますか?
真剣勝負で臨まねばならない。若者たちからは私の人生観、あるいはモノの考え方が求められている。



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・03:天地創造の話し

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この世の中には話しの上手い人がいる。
ついつい聞き惚れてしまう。食事をしても、酒を飲んでも、こういう人と時を過ごしたい。
その人たちが無尽蔵の書籍を残してくれている。

だから人生で疑問が生じたときは本を読めばよい。
だが適才適書に出会うのが難しい。
この世にはクダラナイ本も一杯あるからだ。
購入して損したとか、無駄な時間だったと思わせる本も幾らでもある。

こんな話をしても生徒にとっては回りくどいだけである。
ビールを追加して時間を稼いだ・・・

生徒たちは二人ともテーラバーダの仏教徒である。
私はクリスチャンではない。日本ではマハーヤナの一派である禅宗の本に夢中な時期もあった。だがいろんな国を放浪するうちに自分は“FREE THINKER”となった。無宗教と訳す人もいるが、それはマチガイで宗教上の自由思想家が正しいかもしれない。

二人とも今日はたっぷりと時間が有るという。
生徒の質問に対し、ここから話を始めた。

イギリス人やアメリカ人の大半はクリスチャンで“神”というものを信じている。
始末に悪いのが一神教のゴッドだ。彼らが拠り所にするのが“聖書”、英語で“バイブル”である。だがこれは実に巧妙な物語で、特に最初の最初を読めば英米人が少し理解できるようになる。

“聖書”は旧約聖書と新約聖書に分かれている。簡単に言えば旧約はキリスト以前で、新約はキリスト以降である。その分岐点をかなり大雑把に言えば、今から2020年前の西暦ゼロ年となる。

旧約聖書の最初に“GENESIS”(創世記)の物語が記載されている。
最初に天国とこの地上を“神”が創造したという。
この地上は虚ろで形を成していなかった。しかも漆黒の暗闇だった。

そこで神は語った。「光よ現れよ!」そこで光が現れた。それで良し!
神は光と闇を二つに分けた。神は光をDayと呼んだ。闇をNightと呼んだ。
これが第一日目の仕事であった。

そして第二日目には天国を創造した。
同じく第三日目には天国の下界にある水を一ヶ所に集め“海”と呼び、乾いた陸地を“大地”と呼んだ。そして“大地”には草が生え、種類ごとの種を生じる植物を、種々の果物を産む果樹をもたらせと語った。

そして第四日目がやってくる。
天空に二つの光を創造した。明るい光は昼を照らし、弱い光は夜を照らす。さらには星たちも配した。その徴として一日があり、季節が巡り、一年が与えられた。
第五日目には、神は生物たちのために潤沢に水を用意した。天空には何種類もの鳥類が舞い、水中には何種類もの魚類が泳いだ。神はそれらを祝福し、産めよ増やせよと語った。

第六日目にはこの大地にさまざまな種類の生物をもたらそうと語った。
家畜、地上を這う生物、それから獣の類も、それぞれの種ごとに。それで仕事は終わらなかった。そうだ神の姿に似せた人間というものを創造しようと神は語った。そして彼らに水中の魚を、空中の鳥を、地上の家畜たち、地を這うもの、すべてを統治させよう。

そこで神は自分の姿に似せて、人間を、男と女を、創造した。
そこで二人を祝福して語った。「産めよ増やせよ、そして地上を満たし、他の生物を支配せよ」と語った。さらに神は語った。

「見よ!お前たちにはこの地上で種子を生じるすべての植物を与えた。そして種々の果物を産む果樹も与えた。それらはお前たちの食料となるものである。同様に、地上のすべての獣も、空中の鳥たちも、地上を這うすべての生物も、それらに生命を与えた。そしてすべての緑の植物は食料として与えた。」

神は創造したすべてを見渡し満足された。そして第六日目が終わった。
ここまでが旧約聖書・創世記の第一章で、第一ページから第二ページの約三分の一に書いてある。次ぎは第二章である。

生徒たちはキョトンとして聞いている。
教師が何を話し始めたのか、混沌としているようだ。
ここらで一服したほうがよさそうだ。


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