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<ミャンマーで今、何が?> Vol.37
2013.3.27

http://www.fis-net.co.jp/Myanmar


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・01:AAA:(政治)
  -A1:メイチーラ暴動は宗教戦争に発展か?
-A2:メイチーラ暴動の発端
-A3:仏教徒およびイスラム教徒間の争い
-A4:宗教戦争の種
-A5:ヤンゴンでも不穏な噂が流れる

・02:CCC:(生活一般)
-C1:マンダレーの水祭り用ステージは40ヵ所か?

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<AAA:(政治)>

○A1:メイチーラ暴動は宗教戦争に発展か?

地図で見るとミャンマーのど真ん中にあるマンダレー地区メイチーラで仏教徒・イスラム教徒間で暴動が発生し、その付近の店舗は放火され、最低20名が死亡し、政府は戒厳令を敷き同地区は現在厳戒態勢下にある。

事件の発端は些細な言い争いだが、これはミャンマーで歴史的にくすぶっている仏教徒とイスラム教徒間の根深い不信感が噴出したもので、すでに解説したラカイン州でのロヒンジャー問題、ヤンゴン・タケタ地区でのイスラム寺院建設問題もルーツは同じである。


○A2:メイチーラ暴動の発端

3月19日午前10時に金製品を売買するゴールドショップに男女のカップルが金製のヘアクリップ(髪留め)を持ち込みその査定をしてもらった。この金製品はニセモノと判断され夫と店員の間で殴りあいが始まり夫は頭に負傷した。

しかし、この争いが付近一帯にエスカレートし、その後ミャンマー全国で社会不安を露呈することになる。これはあとで説明する。

間もなく付近の住民がこの争いに加わり、このゴールドショップと周りの4軒が破壊された。破壊の程度は不明だが、警察はチームを組みマーケットの警備に当ったと同19日に語っている。

3月20日にはイスラム教徒の経営するゴールドショップでの紛争が激しくなり、路上では200人の暴徒が殴り合いを始めたと噂と報道が錯綜し始めた。

このニュースはフェースブックなどのネットワークによってあっという間に広がり、この髪留めを売却しようとしたのは夫婦ではなく、祖母と子供で、祖母は殺され、店の亭主に殴られた子供は病院に運び込まれたとの噂もあった。だが、警察はこの噂は偽りで、この夫婦は店主を告訴したと語っている。付近の建物と幾つかのモスク(イスラム寺院)が放火され上空には黒煙が昇り、事件二日目の3月21日には夜間時間の戒厳令が敷かれた。


○A3:仏教徒およびイスラム教徒間の争い

ミャンマーでは両教徒間の紛争が群発地震のように表面化しており、昨年ラカイン州での紛争では最低180名の地元民が死亡し、110,000名以上の住民が立ち退きを強いられ、新政権発足後政治的・経済的・社会的改革が進む中で、国の内外で不穏なニュースが報道された。

欧米諸国および欧米のメディアはテインセイン政権に早急の解決策を急がせ、反体制派のアウンサンスーチーNLD党首に発言を迫るが、解決の糸口が簡単に見つかるほど問題は単純ではない。

全世界のキリスト教徒と全世界のイスラム教徒を対立させ泥沼化に持ち込んだジョージ・ブッシュ方式は、ここ東洋の国では何の参考にもならないということを欧米諸国の首脳もマスコミも充分に知り尽くしている筈である。それにもかかわらず、彼らはこの問題に重大な懸念を抱くとして、この騒動に巻き込まれたすべての人に対して平成・抑制・平和を強く要望し、政府に対しては法律に従った鎮圧を要望するだけで、何ら具体策を提示できないでいる。

その一方で、サウジを初めとする全世界のイスラム諸国はミャンマーでのイスラム教徒の虐待を世界中に喧伝し、食料・薬品などの支援物資・救援資金を続々とミャンマーのイスラム社会に送り込んでいる。


○A4:宗教戦争の種

大英帝国は仏教徒が大半を占めるビルマに、同じく大英帝国が経営するインド亜大陸から意図的に大量のインド人をビルマ建設の労働力として送り込んだ。その大半はインドで勢力を誇ったムガール帝国の末裔であるイスラム教徒であった。

その人口流入は英国のビルマ支配が終焉する1948年まで続いた。だがビルマではイスラム教徒は自分たちの言葉であるベンガル語・ウルドゥー語・ヒンドゥ語を話し、モスクを建設し、自分たちの宗教・文化様式の中に閉じこもり、ビルマの仏教徒と一体化することはほとんど皆無であった。その末裔のイスラム教徒は約60百万のミャンマー人口の中で4%を占めるまでになっている。

インドが英国から独立し、パキスタンがインドから分離独立し、バングラデッシュが東パキスタンと分離独立する。その結果バングラデッシュはミャンマーの北西部と国境を接し、お隣さんとなるが、バングラデッシュは国連・世界銀行から世界最貧国として認定されるほどの経済状況で人口密度も半端ではない。歴史的な経緯もあり、貧困に窮した大量の難民が世界の米どころである隣国、ビルマを目指してラカイン州に雪崩れ込んだ。これがロヒンジャーと呼ばれることはメルマガ昨年8月14日号をご参照。

同じく大英帝国は植民地のセイロン(現スリランカ)にインド南部のタミール人を茶摘み労働力として大量に送り込んだ。これがタミール人とスリランカの仏教徒であるシンハリ族との間で長い流血の内戦を招いたことはご承知の通りである。言ってみればこちらの民族問題は英国がスリランカの独立を認めたときの置き土産で、その責任は明白に英国にある。

ビルマ・ミャンマーは歴代このロヒンジャーを経済難民と見てビルマ・ミャンマー固有の民族とは看做していない。未登録で国籍を持たない民である。海外の勝手なマスコミはロヒンジャーに市民権を与えろと勝手な発言をするが、ミャンマー政府からすると元々はイギリスの蒔いた人種問題で、仏教徒からすると言葉も通じず、顔付きも異なる人種が、男はひげ面に白い帽子を被り女性は黒尽くめの服装で身を包み、仏教徒とは決して交際せず、自分たちの村落内にモスク(イスラム教寺院)を建て、スピーカーで謳うように宗教的呼びかけを行っている。気がつくと貧乏人の子沢山でイスラム教徒が間もなく仏教徒の数を凌駕する恐怖をばら撒いているということになる。ちなみに、今回問題となったメイチーラの全人口は80,000人、それに対してイスラム教徒は30,000人に上ると言われている。
ミャンマーにパゴダと呼ばれる仏塔は至る所にあるが、少し注意してみるとモスクも至る所にある。イスラム教徒はラカイン州だけでなく、メイチーラにも、マンダレーにも、そしてヤンゴンにも散在し混在している。すなわち火種となる条件は整っているのだ。ここにはジョージ・ブッシュ方式ではない、高度な解決策が模索されねばならない。それだけにテインセイン大統領も、スーチー議員も根の深い問題に苦悶しているものと思われる。ラカイン州の問題はまだ片付いていない。


A5:ヤンゴンでも不穏な噂が流れる

国営新聞は3月26日、マンダレー地区のメイチーラで起きた暴動に影響を受けた不満分子がヤンゴンを不安に陥れる噂を流したと警告した。この噂によってヤンゴン市内のミンガラマーケット・ユザナプラザの店舗はシャッターを下ろした。

現在のところ、ヤンゴン市内の安全警備は当局によって維持されており平穏は保たれている。住民は噂に踊らされないようにと異例の警告を発した。ミャンマーでの情報公開はスタートしたばかりで、マスコミ情報も未熟なところがある。その間隙を縫うように噂が入り込む余地は至る所にあるといえるだろう。ヤンゴン地区政府もマスコミに対しても同様の警告を流した。


CCC:(生活一般)

C1:マンダレーの水祭り用ステージは40ヵ所か?

今年の水祭り祝日は4月12日から21日までの長期休暇で、水祭りは4月12日から16日まで行われる。ヤンゴン市内のスーパー、ショッピング・モールでも恒例の水鉄砲の売出しが始まった。

軍事政権時代は社会不安が発生すると水祭り用ステージの許可を極端に絞った。今年は上記の社会不安があるにも関わらず、積極的に水祭りをサポートしている。マンダレー市発展委員会(MCDC)は主要道路に建設するステージ舞台の認可費用は今年から徴集せず、ステージへの水の供給も充分に用意できると、これまでとは様変わりの開かれたお役所としての公式発表を行った。

ミャンマーではこのステージ舞台は“パンドール”と呼ばれ、大手の企業がスポンサーとなって荒削りのチーク材で特設舞台を数日間で作り上げる。そして一段と高いステージ前列には蛍光色の水ホースが舞台の横幅分だけずらりと用意される。水祭りの早朝、乗用車で市内を一走りしてみると、水の配管作業を含めたこの作業だけはミャンマーの隠された技術力と仕事師に改めて驚かされる。さらに一段高くなったステージでは映画俳優や有名歌手がリズム感のある歌を大音響のスピーカーで絶唱する。お金を払ってチケットを入手した人たちやスポンサーにコネを持つ人たちが最前列にずらりと横並びして何十本という蛍光色に彩られたホースを得意げに手にする。

その真下を目指して何十台、何百台のトラック・乗用車が順番待ちをする。人気のステージでは5メートル進むのに30分掛かるときもある。ステージ真下に到着すると上からは水圧の掛かった痛いほどのホース水が叩きつける。中には消防署から持ち出したような強力なホースを使っている。毎年この水圧は間違いなく強化されている。ステージ上の可愛い女性にトラックから反撃のホースをなどと顔を上げるとステージ上の全員がその顔を狙って容赦ない連射を繰り返す。とにかく真下の車はバスタオルで上体を包んで我慢の5分間である。この洗礼を受けると洗車場の係員ヨロシク、あなたの番は終わりましたヨ、後ろの車に順番を空けてくださいと誘導してくれる。これをミャンマーの人たちは朝から夕方まで延々と連日続けるのである。マンダレーではステージ舞台が40ヵ所作られるという。
ヤンゴン市からはその数はまだ発表されていない。ヤンゴンとマンダレーは常に張り合ってきた。だが、今年はネイピードを含めた3都市での張り合い合戦となるだろう。






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