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<ミャンマーで今、何が?> Vol.370
2020.06.25

http://www.fis-net.co.jp/Myanmar

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━━【主な目次】━━━━━━━━━━━

■焦ることはない、急がば回れ!!

 ・01: ガラパゴス⇒ケータイ⇒YouTubeへ

 ・02: スマホから大型スクリーンまで

 ・03: YouTubeの目くるめく世界!!

 ・04: “Walk,don’t run!!”

 ・公式ツイッター(@magmyanmar1)

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・01:南洋のコロニアル建築は英国人の叡智

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あまりにも蒸し暑く、エアコンをつけようとしたら、学生たちに押し止められた。そこで考え込んでしまった。これを仲間内“コロナ哲学”と呼ぶことにしている。

日中のカンカン照り、室内でジッとしていると、微かな空気が動いても一瞬涼しく感じる。誰かがキッチンに立つだけで、空気が動く。入居時ワンルームに改造したので、外光が反射して室内に入り込み、日中の灯りは特に必要としない。

外気温が上昇すればするほど、薄暗い室内との温度差が生じる。自然と対流が起こり、室内の割と冷たい空気が動き始める。このためには条件がある。部屋の天井が高いこと。両脇の窓が開け放れていること。そして外気温を遮断する壁厚が重要なポイントとなる。できれば天井で大型ファンガゆっくりと室内の空気をかき回してくれれば有り難い。

これこそ南洋に進出した老獪なイギリス人のコロニアル建築である。あの当時の建築技術で自然を取り入れている。それをケチで短足の中国人が、天井の高い部屋を中二階で仕切り、同じ平米数で二倍のスペースに改造した。これをミャンマーでは“香港式アパート”と呼び、私の住む屋根裏部屋が正にそれである。
住んでみると分かるが、中二階には生暖かい空気が澱み、トロピカルの自然に馴染まない。しかも中二階を幾部屋にも仕切り、小部屋にして又貸しするので、すべての部屋が蒸し風呂状態となる。中国人の浅知恵である。そこで私は各部屋の仕切りを取っ払いワンルーム仕立てとした。
イギリス人の叡智で思い出したことがある。

シンガポールにHoland Village(オランダ村)という優雅な地区がある。あるビジネスで成功したオーストラリア人がそこに住んでいた。木立の中の自動車道をスパイラルに登っていくと、次第に草原を思わせる小高い丘陵地帯にでる。さらに車を進めると、小高い丘の頂上に構えた個人用マンションの敷地内に導かれていった。和製英語のマンションではない。Manor Houseのような本格的な英語のマンションである。

車をポーチに横付けすると、10匹ほどのポイントセッターが一斉に飛んできて、鼻をくんくん鳴らし客人のセキュリティチェックを行う。精悍で背高な猟犬なので、噛み付かれないかとひるんでしまう。ご主人より早く、当然執事やメードが出迎える。客人である私は完全にポイントセッターに囲まれている。誰かが合図さえすれば、客人は間違いなくポイントセッターの餌食となる。

麦藁帽を被り、スイミングプール横で草むしりをしていた男が、初対面の私に親しげに名前を呼び、近づいてくる。この大邸宅のご主人さまである。車を降りる瞬間から、客人の反応をジックリ観察していたのであろう。アメリカ人とはまったく異なる、英国式老獪さがソコにはあった。

ポーチ前のドアは開け放れている。外回りの回廊は屋根付きで赤道直下の灼熱を遮っている。広大な居間には巨象、龍、虎などのアンティーク古道具が所狭しと無造作に置いてある。室内には蓮池も設え、見事な花を咲かせている。四方八方のドア、そして窓は開け放たれているのに室内はひんやりしている。高い天井では大型ファンが気だるげに回転していた。



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・02:『沈黙は金』は昔の話し

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欧米人の南洋におけるライフスタイルを初めて知り、驚きと同時に開眼させられた。
プライバシー保護のため、国名と大商社名は伏す。
出張の途中で首席駐在員から自宅に招待された。そのときも逆の意味で開眼させてもらった。

日本の体育館を想像させられる天井の高い居間に通された。フロアは見事なチークの板張りである。台所に近い、体育館の片隅に、日本から持ち込んだと思われるソファーセットとダイニングテーブルがチンマリと置いてある。広々とした体育館の中央には、子供用自転車、スケボー、サッカーボールなどが転がっている。なぜかチグハグだ。

材料の入手が困難な海外で、奥方手作りの料理で歓待いただき、心から感謝している。
だが東洋と西洋の彼我の差に唖然としたのも事実である。そしてこれらの記憶の片鱗が、トラウマの如く、このメルマガ発行の動機になっている。

ここから話しを飛躍させると、大東亜戦争(*若い世代には太平洋戦争あるいは第二次世界大戦となる)突入の可否を決定する御前会議では、アメリカの軍用機、戦艦、兵器製造能力では日本との差は100倍もあるとの海軍意見が提示されたが、陸軍の主戦論がこれをねじ伏せたと言われている。

日本がアメリカについで世界第二の経済大国になったとき、身の程を知らずに日本は陸軍モードに切り替えてしまった。あのときの対応は同じ過ちだった。

そしてモノマネ上手の中国が今度は日本を追い抜き、世界第二位の経済大国となった。日本の失敗とは対応が違う。地上・宇宙・海上での覇権戦争をアメリカに仕掛けている。しかもアメリカが開発したITおよびAI技術を無断借用しての挑戦だけにトランプは怒り心頭だ。

このメルマガはノンポリが売りなので、床屋談義で誤魔化すつもりだった。
だがトランプは“パールハーバー以来の国難だ!”と中国批難の比喩に無教養なひと言を漏らした。だが日本の指導者も、政治評論家も、ジャーナリズム界も、この比喩には何一つ抗議せず、トランプをたしなめない。

オリバー・ストーン監督が教えてくれたとおり、正史ではない歴史の裏面史を追及すれば、トランプの無教養なひと言が事実を伝えていないことは明瞭である。残念ながら日本において、戦後の政府・評論家・マスコミ・国民はこれを容認してきた。だから今の指導者も外務省も内弁慶でアメリカに苦情のひとつも反論できない。

今の国際常識では、「無言は容認」を意味する。

彼らに本当の歴史認識という知識があれば、老獪に、しかも狡猾に、トランプにその表現は不当だとたしなめることも出来る。それを中国憎しだけでトランプ支持を表明するのは、あまりにもお人好しではなかろうか? 大東亜戦争突入時と何ら替らない。

世界各国主要都市のジョージ・フロイド抗議デモには手製のダンボールに書かれたプラカードが掲げられる。これらを辞書を片手に一つ一つ和訳していけば、日本に紹介される各局TVアナウンサーの解釈と異なる問題が浮上してくる。いま求められているのは自分の頭で考え、自分で判断することではなかろうか?

『Silence is Betrayal』という言葉も見える、「沈黙は裏切りに相当する!」という意味だ。
『Silence is Violence』、「沈黙は暴力ですらある!」と解釈したい。
日本でなら鸚鵡返しに『沈黙は金』となる。だがグローバル化された国際社会では、何も発言しない、反論しない、は“同意”を意味する。



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・03:変化の西洋と牛歩の日本

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私がYouTube大学(*中田敦彦主催番組ではない)から個人的に学んだことは、日本人の資質は「桜田門外の変1860年」、「生麦事件1862年」、「明治維新1868年」の当時から何一つ進歩していないのではという疑問である。

2020年の今ですら政府およびマスコミは何とか問題の隠匿に必死だ。特に欧米の素早く変化する行動とは逆行する牛歩としか思えない。主要国の指導者およびマスコミからはこのことを完璧に見抜いている。それだけに情けない。老獪な彼らは狡猾な“外交辞令”で二枚舌を使うからなおさらである。

ある主要都市でのデモ風景である。
警官というよりも、日本人には機動隊と言ったほうが理解しやすいかもしれない。背丈は大きくないが徹底的に鍛えられた屈強な警官が道路一杯横一列になっている。もちろんユニホーム姿で透明の顔面シールド。全員警棒を横にして両端を持ち、前にプッシュして、デモ隊に向かって前進する。デモ隊にタッチする手前で止まるが、威圧感がある。

警官隊よりもはるかに背の高い白人男性が警察官の一列に抗議する。テレビではSenior Personと語り年配者なのだろう。一瞬屈強な警官が警棒でこの年配者をプッシュした。堪らず年配者は後に倒れた。両手を万歳し大の字に寝たまま動かない。後頭部を強打し、コンクリ道路に血が流れているとTVアナウンサーが解説する。

一度目の鑑賞では、警官の憎しみを煽るオーバーな演技と見た。だがこの警官ともうひとりは過剰防衛で起訴されたと編集されたコメントが字幕に出る。今の時代、デモ隊も警察も対応が早い。双方ともにスマホを武器として使い、撮影された動画が繰り返し流れる。そして両サイドともに、どこまでが法律違反で、どこからが違法かを知り尽くしている。

官憲側も警察官の突出した行動には敏感に反応する。それが今のSNS動画時代である。特に欧米では報道機関も速報を流す。検察側の対応も信じられぬほど素早い。動画が編集されてテレビで流れる頃には、この警察官は解雇され、起訴処分を受けている。

プラカードで目に付いたのが『Defund the Police』である。Defundとは、市民に暴力を振るう警察に予算を付けるな!と言う訴えだ。このプラカードがYouTubeで流れ、気の利いたセリフだと世界中のデモ隊がマネをする。その代表例がBLMである。“Black Lives Matter”はいまや世界共通語となった。

私の下手な解釈では『黒人の命は大切なものである!』だが白人警官はそれを虫けらのように膝で押し殺した。ジョージ・フロイドが『I can’t Breathe!』(*息ができない!)と苦し紛れに乞うているのに、ということになる。英語の先達がおられれば、この解釈でよいか教えていただきたい。

これも日本のブロガーが説明してくれていた。
「大のオトナがお母ちゃんと名前を呼び、助けて、助けてと泣き叫んでいた。この男、頭が少しオカシイのではないか?」、だが私の解釈は少し違う。

欧米では絶望の一瞬に、母親の名前を叫び、最後の助けを求めるのは、実にありふれたシーンである。海賊版DVDで学ぶことが出来る。ときおり自分の頭が南方ボケしたのでは、と思うときがある。おかしなところがあれば、ご指摘願いたい。

素人が撮影したビデオが流され、大統領声明にもかかわらず、州知事が独自に判断して対応する。ときにはトランプと同じ共和党の知事でも反対意見を堂々と述べることがある。これこそアメリカ憲法で最も尊重され、世界の民主国家が手本とする言論の自由ではないだろうか。

警察当局ですらビデオで批難された警官を即座に解雇する。時代の流れに乗り切れず、自分の頭では判断できず、決断も下せない牛歩の歩みが染み付いた島国感覚では激変する世界の流れについていけない。

ヤンゴンで強く思うのは、欧米と東洋の不可能と思われるほどの較差で、時代感覚のズレである。



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・04:南極大陸に行ってきた!

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連日あまりに暑苦しく、湿気も蒸し蒸しする。そこで先日はヤンゴンの生徒たちを引率し南極大陸に行ってきた。

ソ連の砕氷船Kapitan Khlebnikov号にタダ乗りして、アルゼンチン最南端の都市Fuego島のUshuaiaから南極のSnow Hill Islandへ行ってきた。世界中のリッチな連中が乗船したリッチな体験だ。海運会社の末端にいたので、紛れ込んで乗船する裏技は心得ている。生徒たちも私の後に隠れてひっそりと乗船できた。

ウシュアイアを出航すると怒涛のドレーク海峡を越え南極大陸に近づく。見渡す限り氷の海である。砕氷船を除いて接近は死を意味する。船尾にポンプでバラストウォーターを送り込む。オーバーな表現をすると、船尾が沈み込み船首が氷上に突き出る。そこでバラストウォーターを強制的に船首に送り込む。重みで一気に氷を押し砕く。このシーソーゲームを繰り返して前進していく。この作業が止まると、氷の圧力が四方から迫り、砕氷船は氷に閉ざされてしまう。

船乗りと言っても、船長から下っ端のアプレンティス(*見習い実習生)までいる。だが彼らはその階級に従い、その道でのプロである。氷原の氷の厚さを計測し、観光客が全員乗っても十分な厚さがあるか、雪上車やヘリコプターが着地しても耐えられるか、砕氷船が閉ざされてもバラストタンクの移動で前進・後進が出来るか、などを慎重に判断する。

今回の南極大陸接岸でもロシア人船長の指揮下、慎重に検討された。周りは一面氷の海だが、砕氷船が脱出できる計算をして本船のエンジンを止めた。乗客が防寒着・浮上ベストを着込んでヘリコプターに乗り込んだ。全員が何回かに分けて目的地のSnow Hill Islandへ運ばれていく。私の学生もタダ乗りだ。ロンジー姿はひとりもいない。ブーツを含めて欧米人並の完全装備である。

まずは南極名物の皇帝ペンギンのコロニーに歩いていく。女子学生が「カワユイ」と言って皇帝ペンギンの雛に近づこうとする。雛と言っても背丈は50cm以上。引率係が大声で「ダメ!ダメ!」と間に入る。鎖国時代に育ったのだから、これは仕方がない。

無知なミャンマー人を集めて即席授業が開催された。「南極条約=Antarctic Treaty」が本日の授業内容である。

本来は決して接触しなミャンマー人と皇帝ペンギンの三密は、生物学的ウィルスの感染が予想される。だから南極固有の皇帝ペンギンの絶滅を防ぐため、国際条約によって、観光客とのソーシャル・ディスタンスが規制されている。コロナ騒動で生徒たちも飲み込みが早い。

またまた横道に入るが、これまでに南極大陸を訪ねた3組の日本人に出遭ったことがある。
ひとりは日本の大商社にゆかりの女性で秘書室のお局様だった。ひとりは南極越冬隊に参加した名門松本深志高校、東大の山岳部OB。もう一組は定年退職後夫婦で世界を自転車で廻り、ミャンマーにもやってきた昔の同僚である。この4人から未知への話を聞き、私の夢を掻き立ててくれた。人生には不思議としか言えない出会いがある。

今回突然の南極旅行もYouTubeをサーフィンするうちに出てきた夢か幻のバーチャル旅行であった。ご興味のある方は『Destination: Snow Hill Island』Jan. 8,2019で辿りつける。



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・05:黄金の国ミャンマー

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脱線ついでの話しだ。
『中国共産党に獲り込まれたミャンマー政府は危うい』というタイトルのYouTubeに出遭った。今のスーチー政権は中国ベッタリと言う解説だ。どうも中国の内情に詳しい御仁らしい。

だがこの表題はスーチー政権を歴史のたった4年間という皮相的な判断で評価したに過ぎない。
どうしてビルマは軍事政権からスーチー政権に移行したかの歴史的考察が完全に抜けている。
上級大将タンシュエが陸・海・空三軍を掌握し最高司令官に就いていた時代の話である。

マンダレーから北東が中国の影響を強く受け、ロゴマークはほとんどビルマ語と中国語の看板で埋まっていた。そこで当時の情報局のトップで首相の地位にあったキンニュン大将によって『Seven Step-Roadmap to Democracy of Myanmar』が2003年8月30日に発表された。泣く子も黙るミャンマーの軍事政権時代である。

この民主化へのシナリオは、ピンウールインにある陸軍士官学校の某教官によって立案されたとウワサされている。だがミャンマーの将来を憂う士官学校の頭脳が上申したアイデアであるには間違いない。

ミャンマーの古都マンダレー以北・以東は中国の文化圏に吞み込まれ、経済的にも、軍事的にも、政治的にも中国雲南の人民解放軍および北京政府の強い影響下にあった。どうしてそうなったのか? ミャンマーの最高司令官であるタンシュエ、あるいは副官であるマウンエイなどの最高幹部は西洋歴元旦には朝貢外交ともいえる屈辱的な北京詣でを強いられていた。

そして今のスーチー政権の前任者であるテインセイン大統領の時代まで、この屈辱的な朝貢外交は続き、テインセインが大統領に就任し最初の海外渡航もやはり予想されたとおり北京訪問からスタートした。衣を着替えて、偽装民主化を謀るという報告である。

ミャンマーは中国人の大好きなJADE(*ヒスイの原石)の宝庫である。無尽蔵に眠っている。朝貢外交の手土産には困らない。それだけではない。老獪な中国共産党は、ミャンマーの真の価値をミャンマーの軍事政権よりも詳しく調べ尽くし熟知していた。

ミャンマーはヒスイに限らず、ルビー・サファイアなどの貴金属類、鉛・亜鉛・スズ・タングステンそして今の時代ならレアメタルまで産出する。原油・海底油田・海底ガス田・天然ガス、ウワサではウラニュウム・プルトニュウムも眠っているとウワサされている。

それだけではない。潮水と強烈な太陽光線にさらされる木造船の甲板に使用されるチーク材、同様に堅木のピンカド(インド鉄木、この木はなんと水に沈む)、船内内装から高級家具材として珍重されるマホガニー、竹の種類も豊富で中が空洞でない竹もある。長い海岸線にはマングローブ、ココナツの見事な自然林が続く。

モンスーン雨季がもたらす天からの慈雨は広大な水田地帯を生み出し、世界でも有数の米どころとなっている。一方中央部の乾燥地帯ではピーナッツを初め豆類やコットンなどの農産物を多種・大量に産する。それに加えてヒマラヤの氷河が融けて流出する水資源の豊富さは中国共産党が喉から手が出るほどの水量を誇る。

ミャンマーに雪崩れ込んできたエコノミック・アニマルたちが手を出す商売は、これらのほんの微小な一部に過ぎない。近隣諸国が廉価な労働力という人的資源に着目したり、実習研修などの名目で同様に廉価な労働力をこの国に求めるのは検討ハズレもよいところだ。この国は本当に黄金の国である。ミャンマーの若者にこそ大きな可能性が秘められている。



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・05:中華人民共和国をオランダ・ヘーグにご招待

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だが中華人民共和国はこれらすべてをひっくるめてミャンマーをゴールデンランドと看做してきた。その真価に気付かなかったお粗末な軍事政権の指導者たちは、自国の膨大な資産を安売り身売りしてきた。その結果が軍事政権の自滅崩壊を招いた。だが狡賢い軍事政権は、スーチー新政権を無力化してせせら笑い、今年末の国民総選挙で権力を奪い返そうとあの手この手で躍起になっている。

それに乗せられ自分の頭では考えることのできない諸外国の指導者、外交官、エセ政治評論家、ジャーナリストたちが、スーチーを批難し始めた。
スーチー政権が崩れれば、北朝鮮、イラン、南米諸国、アフリカ諸国、同様に軍事政権に後戻りして、経済的にも政治的にも、再び世界の孤児になるだけである。

スーチー政権は成立後たった4年が経過したところで、スーチーが公約とした憲法改正は軍部の抵抗が厳しく、何一つ進展していない。それだけではない。2016年にスーチー政権が発足したときの国庫は空っぽであった。スーチーは政治家として実務的な対応をしてきた。青臭い左翼政権のやりそうなノー天気の政策は採用していない。

軍人との無益な争いは止め、手を握ったのである。元の国軍最高指導者タンシュエの過去の罪科は問わない。すなわちルーマニアのチャウシェスク同様の銃殺刑などは免除した。これらはすべて国家最高機密なので、エビデンスは何も無い。だがそう分析する以外に理屈は通らない。

中国三峡ダムの三倍の規模を誇るミャンマー・カチン州のミッゾンダム。前軍事政権のテインセイン大統領は自分の任期中は工事を中止すると気楽に発表した。いい気なもんだ。そして重要で深刻な中国との外交問題をスーチー政権に難題として押し付けた。

軍事政権が解決できずスーチーに押し付けた難題は、ミッゾーンダムの工事中断が契約不履行となり巨額な違約金累積となることである。中華人民共和国お得意の債務トラップである。

ミッゾンダム契約はダムが発電する総電力の90%を中国本土に吸い盗られ、わずかに10%というお涙頂戴の電力をミャンマーに供給されることとなっている。
そしてミャンマーの現状は、連日いまも停電に悩まされ、しかも電気使用代金が高すぎると国民から突き上げを食らっている。おかしな話ではないか?

ノンポリのメルマガが余計な口を挟むべきではないが、解決策はある。今回の“コロナ哲学”がその解決策を教えてくれる。老いぼれの“コロナ哲学”なので、賢明な読者のご指導を仰ぎたい。

中国の隠蔽された秘密主義を国際的な舞台に引きずり出し、国際的な批判にさらし、国際的な正義に訴える。このアイデアはいかがであろう。

極秘のオリジナル契約は軍事政権のトップ・タンシュエの許可なしには実行されなかったはずだ。もちろん証拠は無い。だがタンシュエの孫が英国か欧州の超有名なフットボールクラブを買い取るというウワサが流れたことがある。このときは関係者が必死に止めさせた経緯がある。

この国では、ヤンゴン川の濁流と同じく、清濁併せ呑む度量が無ければ生きてはいけない。個人的な見解だが、スーチーは年齢とともに政治家としては熟成してきた。何に熟成したのか、もちろん老獪さにおいてである。

“コロナ哲学”で夢想してみた。賢明な読者は無視していただきたい。あるいは無料メルマガの購読中止をクリックしてほしい。吹けば飛ぶようなチッポケなメルマガが独り言を喋る。

ミッゾーンダム契約に関して、先ずはオランダ・ハーグにある国際司法裁判所に中華人民共和国を訴えるというのはどうであろう。

太っ腹のスーチー姐御は勝敗など気にしてはいけない。世界のマスコミに注目されるだけでよい。世界中の耳目がこの不法な商取引を知るだけでよい。ひょっとしたらトランプやボリス・ジョンソンなどのオッチョコチョイが後押ししてくれるかもしれない。

スーチー新政権発足時、民主化政権が公約したマニフェストはAnti-Corruption(贈収賄禁止)、政府内部の透明性の徹底、軍事政権が捏造した憲法の改正による民主化達成であった。

話を論理的に整理してみよう。
ミッゾーンダムの契約はミャンマーの軍事政権時代に、中華人民共和国がもちかけた商談で、その当時の軍事政権にはこの商談を吟味する能力もなかった。民主化を目指すスーチー新政権が登場したのはわずか4年前で、その契約内容も契約金も何一つ前軍事政権から引継ぎを受けていない。

したがってミッゾーンダム工事の中止による違約金など、現政権は支払う原資も無ければ、契約内容も知らされていない。文句があるなら秘密契約に従って元軍事政権の責任者と話し合うべきだ。これは国家が責任をもつべき国際的商習慣に従った商取引ではなく、国際的に孤立したミャンマーという国の特殊性に乗じた個人的極秘契約である。

その特殊な国家の最後の責任者であったテインセインは、ミッゾーンダム建設で追い出された地元民、および環境問題を憂う国民の支持が得られないので、このダム建設を自分の任期中は中断すると宣誓した。そして今日この日までダム建設は中断されたままである。

今日の科学的考察に照らせば、元テインセイン大統領がいみじくも言及したとおり、このダム建設によって水源地のミッゾーン地区のみならず、下流域における環境が大きく破壊され、それだけではなく、自然環境破壊で広範囲にわたる山崩れ、水害などの、二次的自然災害が懸念されている。これはミャンマーひとつの国の問題ではなく、近隣諸国にも大災害を与えかねない問題で、ひいては世界環境にも多大な影響を与える問題である。

ついては中華人民共和国が前軍事政権と直接再交渉して、ミッゾーンダム建設中止の違約金問題は解決して欲しい。あるいは中国という偉大な国がミッゾーンダム建設を無償で中止すると宣言して、歴史に残る国際的絶賛を受ける道も残されている。どちらにせよ国際司法裁判所の場で極秘契約を調査して、その判決を仰ぎたい。
追伸:
このところシトシト雨が頻繁に降る。東西南北研究所 は日本に負けじと、独自にモンスーン雨季入りを発表したい。だが賢明な読者は当たるも八卦、当たらぬも八卦とおおらかな気持で読み捨てて欲しい。


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