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<ミャンマーで今、何が?> Vol.372
2020.07.03

http://www.fis-net.co.jp/Myanmar

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━━【主な目次】━━━━━━━━━━━

■中国とミャンマー!その2

 ・01: 話しのまくら

 ・02: 旧約聖書を知らずに欧米人は理解できない

 ・03: 中国の三峡ダム

 ・04: 藤井七段に劣らぬスーチーの次の一手

 ・公式ツイッター(@magmyanmar1)

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・01:話しのまくら

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前回の<中国とミャンマー!?!>で記述したとおり、中国の属国になるのを怖れたのはミャンマーの国軍そのものであった。中心人物はタンシュエその人であった。そこで民主化への道を決断し、アメリカへ巧妙なシグナルを送り、それを感知して受け止めたのが、時のヒラリー国務長官でオバマ大統領であった。

新政権となり、スーチーが再び中国の属国となり“中国のいいなり”になるのは、それこそミャンマー国軍が許すことでは絶対にありえない。スーチーは最大の敵を国内に作ることになる。国軍は全力を挙げてスーチー政権を潰しにかかるだろう。スーチーはそんな愚かな指導者ではない。むしろ賢明で老獪な指導者だ。

日本も含めて海外のマスコミはこんな初歩的な“外交テクニック”すら読みきれていない。実に情けない。これだから中国・北朝鮮の外交術など見抜けぬのは当然だ。大英帝国以来、世界の外交術は大きく変化どころか、飛躍している。

スーチーは父親の足跡を辿り、子連れで京都大学にも在籍した。いま世界のリーダーで彼女ほど“老獪な”外務大臣、そして一国の指導者はいない。お茶の間のバラエティ化したマスコミは取り上げぬが、ミャンマーには大きく世界に躍り出る可能性が潜んでいる。その原動力は若者である。

検査をしたわけではないが、私は新型コロナの症状は呈していない。むしろ免疫力を高めるため自己努力に務めている。ぎっくり腰の兆候も克服した。コロナは大丈夫のようだ。だがYouTube病に罹ってしまった。相変わらず古今東西・森羅万象を求めて見まくっている。



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・02:旧約聖書を知らずに欧米人は理解できない

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旧約聖書・創世記では“ノアの洪水”のあと、“バベルの塔”の記述がある。そんなに長い物語ではない。むしろあっけないほど短い物語である。是非とも読者に一読をお勧めしたい。
もしアナタが真のクリスチャンなら、新型コロナというパンデミックは神がこの世にもたらした怒りと恐れおののくことだろう。

神の怒り関連で、アメリカの小説家ジョン・E・スタインベックの“怒りの葡萄”もついでにお勧めしたい。Stay-At-Homeには最適の読み物である。時代背景も1930年代の経済不況でオクラホマ州の小作地から追い立てられ、カリフォルニアの楽園を夢見る。季節労働者ジョード一家の物語である。アメリカが貧しかった時代の話しだが、トランプ政権下のいまのアメリカそっくりに見えてくるから不思議だ。

だがいまは活字離れの時代、分厚い長編小説などに時間をとられて堪るか、と思われる方は、ジョン・フォード監督、ヘンリー・フォンダ主演の1940年の映画「怒りの葡萄」をお勧めしたい。これなら数時間でエンドマークだ。

2020年のいま、アメリカの印象はと問われ、カリフォルニアの青い空を思い出すのも、マンハッタンのウォール街やブロードウェイを思い出すのも良い。だがほんの少し前、といっても80年ほど前になるが、トランプのオヤジの時代にあたるであろうか。アメリカは実に貧しかった。その歴史をたっぷりと味わえる。

そして欧米人が生涯逃れることの出来ない聖書物語をほんの少し見聞できる。そこからインスパイアされると、聖書の故郷ユダヤの物語も覗いてみたくなるだろう。好奇心が強ければの話しだ。そうすればアナタの大好きな陰謀論にも入っていける。

ロスチャイルド、JPモルガン、ロックフェラー、綺羅星のごとくスターは揃っている。フリーメイソンを加えてもよいだろう。するとバック・ツー・ザ・フューチャーで、JKローリングの“ハリー・ポッター”やハリソン・フォードの“インディアナ・ジョーンズ”がこの古臭い聖書物語と無関係ではないと知るだろう。

だから人生はオモシロイ。ここヤンゴンではそれをたっぷりと味わえる。特に新型コロナの限定期間はそうだ。いま人類は“ヒマ”という実に有意義な時間を取り戻した。ヤンゴンだけではない。世界中で楽しめる。それを愚かな政治家はオカネで保証するという。騙されてはいけない。



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・03:中国の三峡ダム

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久しぶりに生徒が訪ねてくると、とりあえずYouTubeで歓待する。ビールは不謹慎だ。ソーシャル・ディスタンスは心がけている。決して濃密ではない。
日本のご家庭の大型ほどではないが、27インチ・スクリーンでも4-5名なら充分に対応できる。

最近は中国の情報が刻々と飛び込んでくる。ここヤンゴンでも日本のTVニュースが時代遅れだと痛感する。しかも論調が画一だ。一部識者が示唆するとおりTVは消え去る運命かもしれない。言論統制の厳しい中国でも、アンチは広大な領土に大勢潜んでいる。

“There is A will, there is A way”である。スマホを片手に写真を、そして動画を撮り、何らかの方法で国外に情報を流出させる。プロの批評家を含めて日本からはアンチ習近平、アンチ中国のひと括りだが、中国国内のアンチはもっと過激な反習近平で、反共産主義である。

トランプがもう少し気の利いたアンチ中国なら、どうして彼らを利用しないのだろう。老獪で狡猾なジェームス・ボンドなら、彼らを焚き付けて国内からすべてを崩壊させる手立てを考えるところだ。この点で土建や上がりの成金には、どうしてもついていけない。スーチーならそのくらいのコトは朝飯前だ。

ところで飛び込んでくる直近の中国ニュースは、習近平の孤立化と、三峡ダム危険水域の二大問題だ。これには香港問題と台湾問題が大きく絡んでいる。習近平は新型ウィルスと同じで時間が解決する。

もうひとつの三峡ダムはミャンマーに大きく関係するので、それを取り上げたい。
これは中国人民の生命がかかった大問題なので、慎重に検討せねばならない。最終責任は国の最高指導者として習近平にあるのは間違いないが、李鵬や江沢民に責任の擦り付け合いが行われている。

だがミャンマーの利害関係だけに問題を集中すると、三峡ダム=ミャンマーのミッゾーン・ダムと看做すことが出来る。飛び込んでくる三峡ダムのニュースから、ミッゾーン・ダムは100%三峡ダムをモデルとして設計・建設途中であることが見えてきた。

三峡ダムの衛星写真から、その堤防が上流の豪雨から流れ込む水圧でユガミはじめたという。アメリカのNASAはもっと詳細な衛星写真を解読しているはずだが、トランプ大統領は何ら言及していない。外交筋に強いスーチーはもっと極秘の情報を入手していてもオカシクナイ。

三峡ダムは検討段階から、賛否両論が湧き起こり、こんな巨大なダムは建造すべきでないという強い反論が専門家の間から出てきた。地震・大洪水・山崩れ・大惨事が予想されると。だがいま流行の政治決着で建造が決まり、設計に着手、そして完工した。その竣工祝賀式には、中国共産党からは誰一人大物は出席しなかったという。最初からいわくつきであったということである。

その決定責任者が江沢民で、江沢民とはケ小平から抜擢され中国共産党の総書記である。当時国家の経済発展には厖大な電力が求められていた。当時首相であった李鵬はその思惑から責任回避のため江沢民責任論を内部で展開している。

そんなことをやっているのがイデオロギー国家で、官僚国家である。出来てしまったものはしょうがないではないか、いまは迫る目前の危機に対応すべきだ。

インドと中国の間に広がるチベット高原に世界の屋根と称されるヒマラヤ山脈が雄大に横たわっている。世界地図を見ると分かるが、インドも中国もその高原地帯から段々と高度は下り、最後は大海に達する。そして幾つかの大河が同様にチベット高原を水源として海に至る。ミャンマーもアッパーバーマから河口平野へと同様の地形をなしている。

トランプはまったく気にしていないが、いま地球上では思いもかけぬところで異常気象が発生している。広大な中国もそうだ。このところ降り止まぬ豪雨に見舞われている。長江には上流から順番に重慶⇒三峡ダム⇒武漢⇒南京⇒上海とあり、いずれも大都会で、巨大人口が集中している。

上流の重慶近くの小さなダムが持ちこらえなくなると、重慶はさらなる大洪水に見舞われる。その水圧は一気に三峡ダムを襲う。一刻一刻の状況はNASAの衛星写真に頼るしかない。中国自身が怖れるように三峡ダムが決壊すれば、武漢・南京・上海の大都会は砂上の楼閣であったことを思い知らされるだろう。こんな悲惨なことは想像だにしたくないが、中国で悲運を嘆いてきたのは歴史的に最下層の農民・人民であった。

米国のトランプは選挙対策でそれどころではないだろうが、サハラ砂漠の巨大砂嵐が大西洋を越えてG7開催の自慢のゴルフ場があるフロリダ州にまで達し太陽が見えなくなった。東アフリカで発生したサバクトビバッタはパキスタン・インドを猛襲し、次ぎは中国へと向かっている。これは世界の食糧危機に暗雲を投げかけている。

世界のスーパー大国が京都議定書を破棄した。香港の一国二制度を破棄した中国をトランプは責められるだろうか? スーチーはもっと理知的で老獪である。国際的にもノーと言わさない戦略をもっているはずだ。それも時間が解決してくれる。



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・04:藤井七段に負けぬスーチーの次の一手

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中国はタンシュエを賄賂漬けにしてミッゾーンダム建造の認可を取り付けた。タンシュエが懐に収めた巨額のカネが新政権の発足と同時に民主化ミャンマーの国庫に入ってくるなら話しは別だ。だが軍事政権からスーチー政権への引継ぎは何も無く、国庫は空っぽだった。

中国から脅された契約内容は、建設工事は中国からつれてくる労働者と重量運搬建機で行い、ミャンマー側の仕事は、広大な地域に散在する村々の閉鎖と、住民の追い出しだ。軍事政権は無理矢理それを強行した。

世界最大の三峡ダムの3倍はあろうかという水力発電の90%は中国本土が使用し、わずか10%をお情けでミャンマーに分けてあげるという。ミャンマーが基幹インフラの停電に悩んでいるときにだ。もちろんタンシュエには国民に対する裏切りで重大な責任がある。そのタンシュエを中国は脅かしたのだ。

スーチーはどこかの国の野党党首のようにヒステリックに抗議する政治家ではない。はるかに老獪だ。中国の狡猾な三峡ダム大計画を熟知している。中国がミャンマーから奪い取ろうとしているのは水力発電が発電する90%だけではない。

広大なカチン州の三峡ダム予定地が保有する広大な森林資源、動植物資源である。漢方薬としても高価な資源である。それだけではない。その広大なダム計画地の地下に埋蔵されているという未知のレアメタルであり、ヒスイなどの宝玉類である。ミャンマーの軍事政権はなんという愚かな闇取引をしたものだ。

スーチーはミャンマーが少しずつ民主化され、言論の自由が真に確保され、世界のマスコミが目を覚ますのを待つ必要があった。“Time and Tide wait for no man”、自然に柿が熟し、ポトリと落ちるのを。その時期は近づいているような気がする。父親のアウンサン将軍は語った。「ベストをもちろん望むが、ワーストに備えよ!」と。

日本はどういうわけかアメリカだけを頼りとするが、スーチー戦略は時至れば、国際社会を見方につけ中国にミサイルをぶち込むのではなかろうか。

い: 国際的な契約は政府が変わろうと絶対に遵守すべきだ。
ろ: だがビルマの軍事政権を見抜いて当時の独裁者と結んだのは私的な約束事である。
は: その証拠に契約金は、旧独裁者から新政権には引継ぎされなかった。受け取っていない。
に: ミッゾンダムは中国の三峡ダムをモデルとして設計されたと了解する。
ほ: 中国専門家の内部告発を含めて、三峡ダムの設計には未解決の大問題が多発している。
へ: 中国政府からは中断したミッゾーンダムの増大を続ける契約違約金の支払いを求めれれているが、ミャンマー政府としては三峡ダムの大問題が解決するまで、契約違約金は中断を願う。
と: 万が一、三峡ダムが大災害を引き起こすならば、ミャンマー政府としては、違約金の中断どころか逆に莫大な補償金を要求したい。
ち: だが中国とミャンマーは歴史的に、隣国としても、友好を積み重ねてきた。もしも、中国政府がミッゾーンダムの建設を断念し、契約違約金も放棄するならば、ミャンマー政府はただちに補償金の要求を取り下げることを約束する。

もちろんオランダ・ハーグの国際司法裁判所、あるいは国連への提訴も考えられる。だがスーチーにはトランペットなどとは揶揄されない理詰めの選択肢が幾つかある。
なんと言っても海外の首脳はスーチーを、事実上の国家元首と看做しているのだから。

なおこのメルマガは飽くまでもノンポリが信条である。だからNLDとかUSDPなどの政党は応援しない。だが国政的に叩かれれば叩かれるほどスーチー個人を応援する。弱いものいじめはこのメルマガの趣味ではない。


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