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<ミャンマーで今、何が?> Vol.380
2020.10.01
http://www.fis-net.co.jp/Myanmar
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━━【主な目次】━━━━━━━━━━━

■COVID-19特集ミャンマー偏その2

 ・01: 2020年9月29日(火)0800pm保健スポーツ省発表

 ・02: ミャンマーは出稼ぎ国家

 ・03: 隣組制度はヤンゴンで立派に生きている

 ・04: 救急車改造して消毒噴霧車両

 ・05: アメリが微熱なら、世界はコロナ症状

 ・公式ツイッター(@magmyanmar1)

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・01:2020年9月29日(火)0800pm保健スポーツ省発表

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陽性感染者数合計:12425名
新感染者数合計:795名
死者数合計:284名
退院者数合計:3391名
現在検査中:13773名
出典:Myanmar International TV



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・02:ミャンマーは出稼ぎ国家

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ここで注目したいのは、ミャンマーは軍事政権がもたらした出稼ぎ国家ということである。結果的に海外で働くミャンマー人が非常に多いこと、しかも滞在先がアジアとヨーロッパ(*ユーラシア)、アフリカ、北アメリカ、南アメリカ、オーストラリアの6大陸のみならず、その他島嶼、島国から、連日続々と救援機で、あるいは陸路で何百人単位で帰国してくる。

繰り返すが、帰国者の数は連日何百人という単位である。
政府発表が信用しにくい中国と欧米人白人バックパッカーの楽園といわれるタイがミャンマーの二大隣国で、加えてバングラと国境を接するラカイン州も非合法な国境越えがあるために大量クラスターが発生する危険が予測される。

ミャンマーのコロナ感染者数はこの9月後半で急上昇し、今後も激増が予測される。その原因は国内ではなく、海外から持ち込まれると、このメルマガでは分析した。救援機を除く航空機の発着禁止措置は、感染数字を見ながら順繰りに延期処置が取られているが、コロナ騒動が落着するのは年内どころか、欧米など世界各国が沈静化する数年先になるのではというのが、科学的根拠の無いこのメルマガの見立てである。早くて2012年か? ホリエモンの言葉を借りれば、ここまでは想定内としたい。

海外から続々続く帰国者を受け入れた途端、脆弱な医療施設・にわか造りの検査施設・国民の低い保健衛生観念に直面する。投資計画も外面が華やかな五つ星ホテル、巨大ショッピングモール、商業施設、巨大工場、などに偏りがちだが、零細な国民生活に直結するインフラが忘れられていたことに今回のコロナ騒動は気付かせてくれた。

そして民主化を求めるミャンマー連邦は新政権が発足してわずか4年しか経過していない。
ロックダウンを契機として、このメルマガを最初の最初から拾い読みの最中である。それにはプロバイダー殿が用意してくれたバックナンバーが実にありがたい。

ノンポリと詠いながら、2012年7月からの民主化へ至る紆余曲折を記録してきた。その時そのときで入手できる事実を書き留めて来たつもりだ。だが大きな失敗もある。元大統領ウ・テインセインを開国の英雄として持ち上げた。だがネイピードのクーデター事件で彼はタンシュエの単なる操り人形であることが判明し、刻々と変わるその詳細もドキュメンタリーで報告した。

憲法上、大統領に就任できないスーチーが、採択したのが、江川君の空白の一日に似た奇策である。そして大統領の上に君臨している。これだけの長期間を掛けたがゆえに、その実績からスーチーは諸外国から実質上の元首としての待遇されている。“ローマは一日にして成らず”である。その詳細もドキュメンタリーとしてお伝えした。

バイデンにも負けないほど脳軟化症は進展しているが、これらのバックナンバーをひも解くと、当時日刊英字新聞、そして欧米のメディアをサーフィンしまくった当時が懐かしい。
私がいいたいのは、何事にも時間がかかるということである。そして世界はChange、チェンジで変化が目まぐるしい。2020年のパンデミックを予見できた世界の指導者はいただろうか?

そして見落としていけないのは、一日$1.00と言われたミャンマーで、ほとんどの国民がスマホを弄ぶ時代となったことだ。天真爛漫な無邪気な連中はゲームに夢中だが、好奇心の強い人たちはスマホで世界に飛び出そうとしている。4Gであっても、その機能を徹底的に追及すれば安い料金で他を追い抜くことが出来る。そのときのプラットフォームはビルマ語でも日本語でも無い。世界を打ち負かすには21世紀のリングア・フランカ(*共通語)=英語しかない。

またまた話がずれた。軌道修正しよう。
ボータタウンという下街に住むコロナ騒動だった。


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・03:隣組制度はヤンゴンで立派に生きている

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外国人居住者の挙動はすぐ見破られる。ミャンマーにおける作戦は常にLow Profile(*目立たないこと)に徹し、警察など下っ端役人との接触は極力避ける。

下階のスタッフは、予定の一日遅れで暗くなってから救急車で搬出されていった。彼女には言い含めていたので出発には立ち会わず、自室からも出なかった。YouTubeを鑑賞していたため正直なところ気付かなかった。これではドキュメンタリーにならない。

外がわずかに明るくなった翌日の早朝、下階に忍び足で下りた。案の定POLICEと印刷されたCordon Tapeで入口ドアはバツ印に厳重に閉鎖されている。これを突破すれば、町内会の隣組からシカルベキ筋に通報されることになる。隣組とは大政翼賛会の下部組織として昭和42年8月に全国的に発足し、ミャンマーでは今でもこの組織が有効に機能している。

ヤンゴンでもロックダウンでナンバーストリートの各路地が閉鎖されているが、入口で見張りに立っているのがこの町内会組織である。よそ者はID証明書の提示を求められたり、名前を書かされたり、睨まれると面倒なことになる。外国人は特に要注意である。
ミャンマーで大流行の宅配パンダ便も誰何(*すいか)の対象となる。

ということで親しい友人には、入口ドア閉鎖の証拠写真をスマホで報告した。
このメルマガはプロバイダー規則で写真・動画の添付が出来ず、ぐだぐだとテキストでご報告する次第です。

同じビルの住人にも、好意的な住人と、敵対する住人がいる。想定内とは言え、階段踊り場の前に住む家族が外国人の私を町内会のボスに通報した。私のスタッフが搬出される前日、このスタッフと私が濃厚接触したとの申し立てである。入口ドアの覗き穴からスパイしていたのだろう。

隔離されたスタッフから遠隔地に住む英語学の生徒に通報が行き、そして上階に潜伏中の私に電話が掛ってきた。これまではガラ系のケータイでしかなかったが、今となってはスマホは私のライフラインである。オンラインで作戦会議が始まった。

幾つか私の言い訳が始まったが、優秀な通訳はそれはダメと容赦ない。それではと、もっと丁寧に説明する。

「政府指導には必要以上の警戒をしている。通常のフェースマスクを二枚重ねて、メガネをかける。その上に透明のフルフェースを被り、さらに野球帽を目深に被る。そして朝市で購入してきた牛乳ワンパックを、昨日下階のスタッフに渡した。所要時間は3秒で、ソーシャルディスタンスを保ち、濃厚接触ではない」

優秀な通訳はこれなら大丈夫と採用してくれた。そして任せてくれという。町内会のボスの電話番号を調べだし、スマホだけでスパイが通報した濃厚接触者容疑を撥ね退けてくれた。
後世の人は“コロナ時代”と呼ぶことだろう。だがアフター・コロナ時代を生き延びるのはスマホを活用できる若者世代と確信した。ガラ系の老人は人生劇場からFade wayするのみ。



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・04:救急車改造して消毒噴霧車両

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ということで下階の搬出作戦は記録できなかった。
ところが幸か不幸か、横並びのビルで同様の感染者が出た模様。騒々しいのでネコの額のQガーデンに出てみた。鉄格子がバルコニーを覆っており、しかも鳥除けの魚網ネットが被せてあるので、真正面以外、斜めの視野は狭い。

真っ白の救急車、搬入ストレッチャーらしきモノ、人の出入りがわずかに見えるが斜めで見難い。救急車は赤青の電飾は点滅させているが、サイレンは鳴らさず、両側のビルでもこの作業に気付いている家庭はそれほど多くない。

時間は午後2時ごろ。アチコチにヤジウマが集っている。雨次第で一階の軒下に非難したり、救急車の運転席を覗き込んでいる。向かいのビルを見ると、興味心身に首を伸ばしている人、小型椅子に裸で座り団扇を扇いでいる人など何組か見える。

特に真向かいのビルには気付かれないようにスマホで動画撮影を始めた。鉄格子が邪魔をして救急車も鮮明に捉えられないが、ドキュメンタリーの下書きにはなるだろう。

道路は濡れており、水溜りから雨粒が落ちているのがわかる。月面作業に似た真っ白の完全防御服で全身を包んだ男性が救急車のドアを何度も開け閉めする。雨は降ったり止んだりで激しくは無い。

救急車の後部ドアから3本の黄色いロープを引っ張り出し、1本は隣向かいのマネーチェンジャーの店舗に真っ白な噴霧状の消毒液をスプレーする。救急車がゆっくりと真正面に移動して来た。もう一本の長いロープは私の真ん前の印刷会社両脇の階段入口にスプレーされる。もう1本は私の横並びのビル各入口に噴霧されているようだ。

救急車と見誤ったこの白い車両は後部座席から巨大な扇風機のようなものを引っ張り出し、この路地全体に真っ白な液体を噴霧状にしてスプレーし始めた。驚いたことに、半身裸のお兄ちゃんたちは、この噴霧器が頭から足元までかかろうと、むしろ嬉々として消毒液を浴びている。

年寄りや女性はビル階段の中に避難するが、若者や男の子は平気だ。日本では戦争直後にノミ退治で頭から浴びせられたというDDTを思い起こす光景だ。その後、神経毒であることが指摘され生産・使用が禁止されたが、ミャンマーではいわゆるコモンセンスの教育が行き届かず、むしろコロナ予防・退治に有効だと勘違いしている光景だった。

幾ら待ってもストレッチャーの搬入はなかったので、この救急車は改造されて路地を消毒していく噴霧車両だったのかもしれない。



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・05:アメリが微熱なら、世界はコロナ症状

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本日は昨夜オハイオ州クリーブランドで行われたトランプVSバイデンの第一回大統領選討論会をチェックしていたので、メルマガの原稿が遅れてしまった。
今年の大統領選の結果は世界の動向に大きく影響すると思われるので、あと3回行われる討論会を総括して別途メルマガを特集したいと思いました。

本日の締め切り時間をオーバーしてしまったが、ここまでの原稿を発信します。
現在のヤンゴン時間9月30日(水)午後3時15分。



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東西南北研究所




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