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<ミャンマーで今、何が?> Vol.404
2021.02.08
http://www.fis-net.co.jp/Myanmar

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━━【主な目次】━━━━━━━━━━━

■戒厳令2021.02.01の主役を分析その2

 ・01: 2021年02月04(水)午後8時発表

 ・02: Min Aung Hlaingとはどういう人物?

 ・03: テインセインを見誤った

 ・04: 諜報活動こそインテリジェンス

 ・05 ジャーナリズムの原点

 ・06: 中国への売国奴はスーチーではない

 ・07: 2月7日(日)朝天気晴朗なれど通信混乱

 ・公式ツイッター(@magmyanmar1)

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・01:2021年02月06(土)午後8時発表

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陽性感染者数合計:141,369名
新感染者数:65名
死者数合計:3,170名
退院者数合計:127,543名
現在検査中:名(*数字判明せず)
出典:ミャンマー連邦・保健スポーツ省


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・02:Min Aung Hlaingとはどういう人物?

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正式な肩書きは“Commander-in-Chief Senior General”で“最高司令官上級将軍”となっている。1956年7月3日Dawei生まれの現在64歳。(*この年齢に注意!)U Myint Sweは既に軍籍を離れ今年69歳。軍歴からして5年先輩。

1974年国防大学アカデミー第19期生。

2011年;独裁政権の支配者タンシュエ(*当時78歳)は多くの先輩将軍を差し置いて当時55歳のミンアウンライン将軍を指で摘み挙げ、最高司令官として自身の後継者に指名した。
2013年3月;ミンアウンラインは上級将軍に昇格。(*誰が昇格させたか?)

2014年;ミンアウンラインの年齢が60歳に近づいていた。ミャンマーの軍規は60歳を退役の年齢としている。国防委員会が異例の軍令を発した。ミンアウンラインの退役を2021年満65歳まで延長したのである。(*誰の手配か?)


今65歳の誕生日は半年後の2021年7月3日に迫っている。
もう一つ重要な秘密がある。
タンシュエの人物評は別途機会を設けるが、自分の後継者には自分を追い落とす野心のない平々凡々な人物を選んだとされている。ミンアウンラインのコトである。



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・03:テインセインを見誤った

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アナタが人事課長なら、採用候補の履歴書を、上っ面で判断しては失格である。
ミンアウンラインの軍歴をどう分析するか?
これが最も難しい問題だ。

ひとつは前大統領U Thein Seinの軍事政権下の2011年―2015年で区切る。
もうひとつがスーチーの民主政権下の2016年―2020年で判断する。

この二つの時代区分でミンアウンラインが見えてくる。
もしアナタがメンタリストDaiGoのように、心中の動揺、思考癖を読み解けば、誉高き内閣参与に抜擢されるかもしれない。くどいが時代区分がポイントである。

与党党首U Thein Seinがミャンマーの民主化を切り開いたとこのメルマガは信じ込まされてきた。世界のマスコミも騙された。与党USDPの党内抗争で党首 Shwe Mannが排除され、テインセインが実質党首に返り咲いた。これは深夜のクーデターで震源地もネイピードであった。

似ていないだろうか?2021年2月1日と同じパターンである。
メンタリストDaiGoはこの類似性に注目するはずだ。その一点から分析する。
このメルマガを過去に遡り渉猟してみた。時間を喰う作業である。原稿にした覚えはある。

途中でトイレに立ち、顔を荒い、ビールを一気飲みして、またファイルを探す。気の遠くなる作業だが、急ぐ作業ではない。シュエマン排除の大事件を纏めた記憶はある。だが日付時間などの詳細はまったく憶えていない。努力はいつか実る。

今後バックナンバーは勝手に“BN”と省略した。
BNVol.158&159に当時の政変劇が詳述されていた。ミャンマー政治の複雑怪奇さがドキュメンタリーされている。クーデターをいつ決起するか、今回のクーデターとそっくりである。ということは過去を調べれば、ミャンマーの未来を予測できる。

ギリギリまで結論を出せず2015年8月12日深夜から13日午前2時にかけてクーデターは決起された。今回はスーチー第二次政権発足議会開催当日の夜明け前である。
当時の与党・現在の野党USDPの性格がもろに出ている。オモシロイ。

大いに反省しているのだが、このメルマガはテインセインを救世主のように賛美し、次期ノーベル平和賞間違いなしとまで推奨してきた。だがUSDPの党内抗争でテインセインが生粋の軍人でその指導者であることが露呈した。世界中がそしてこのメルマガが騙されてきた。

その頃のBNを読み返すと、テインセインを買いかぶったことを悔いている。
メルマガはお詫びし軌道修正した。ヤンゴンの欧米外交団も見方を切り替えた。歩調を別にする某国だけがテインセインをその後も賛美した。本当に情けない。

Thura U Shwe Mann著『The Lady, I and Affairs of State』で事実を確認できる。
129ページの薄い小冊子だが9,000チャットもした。



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・04:諜報活動こそインテリジェンス

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賛否両論の話をさせてもらう。中野学校の精神は戦後解体消滅させられた。
陸軍参謀とは異なる自由奔放な教育方針だった。坊主頭では軍人と間違えられる、長髪OK。敵国語は禁止でなく、むしろ奨励された。その結果、対極にある大本営スタイルが日本の敗戦を招来した。

日本のスパイマスターは欧米のMI6、KGB、モサド、CIAとはまったく異なる独自の歴史文化が産み出した特殊技術である。現在の外交インテリジェンスには引き継がれていない。
欧米のへなちょこMBAなど世界のビジネス界にも対抗できる日本の強力な流儀なのに。

ご興味のある方は畠山清行著『秘録陸軍中野学校』(番町書房)、日下部一郎著『陸軍中野学校実録』、国塚一乗著『インド洋にかかる虹』(光文社)でその精神を読み取って欲しい。不思議な縁で、これら著者とスーチーに近しい方からこれら書籍をお借りし恵贈された。貴重な写真が多数掲載されている。ヤンゴンとは不思議な地で、東西文化のクロスロードでもある。

無駄話を続ける。
ヤンゴンでプレイ費が最も高いパンラインゴルフ場。それ以外はほとんど回った。
当時日本の自称ビジネスマンがブランドものクラブ一式を秋葉原の安売り店で購入し、ミャンマーの上級将校に朝貢していたのを何度か見聞した。

特別の利権を手に入れるため、軍人相手に贈り物が横行していた。
そのカラクリを知り特権階級のスポーツが馬鹿らしくなった。それ以来下手なゴルフとは縁を切った。

某国大使とも何度か回ったが、海運界で権威あるバルティック海運集会所(*ロンドンに本部がある)のメンバーだった。畏敬の念で“Good Shot!!”とパチパチやった。名刺を出さずとも威厳のある風格だった。英国訛りの会話もシニカルで独特のユーモアがあった。
ヤンゴンとはそういう不可思議な場所でもある。



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・05:ジャーナリズムの原点

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日本の大手メディアが外電受売りの安易なスーチー批判、ミャンマー国軍非難をやっている。
幸福の科学の及川幸久も百田尚樹もほとんど受売りの第二次情報で断定している。特にクーデターに関しては古いステレオタイプの情報である。かといって彼らのYouTubeは見ないどころか、徹底的に見まくっている。自分の判断が正しいかどうかを再々確認するためである。

YouTube番組は人気者のコラボでSubscriberを倍化させる方法を狙っている。
ミャンマー劇場は複雑な事件である。「これはあってはならない事件です」では論評でもなんでもない。今の時代は、あってはならない事だからニュースになる。

ここはトロピカルのヤンゴンである。安いラム酒に薬草を浸し、ミャンマーの行く末をジックリ妄想するのも悪くない。人生は“Walk, don’t Run”である。その内にミンアウンラインとミエンスエの周辺から小説より奇なりな事実が発覚するかもしれない。これまでも幾つかあった。

果報は寝て待てとは英語でどう表現するのだっけ?
“You just have to sit and wait for it”と辞書には書いてある。いまヤンゴン時間は午後5時前だ。
ハッピータイムはスコッチモルトを生で飲ることにした。馬馬虎虎(*北京語でマーマーフーフーと発音)、馬でも虎でも構わない、いい加減にやろうぜという意味だ。東西南北研究所の社是でもある。

今回の首謀者ミンアウンラインの人物評価は次回に持ち越しとなりそうっだ。

酒のツマミとして聞いて欲しい。ミンアウンラインは国防大学アカデミーを卒業するのに2・3年落第したと聞いた。他人から煙たがられる東大首席のエリートとは逆出世だ。

AFPとかロイターの記者はしつこい。国防大学アカデミーの同期生を探し出し、匿名を条件に聞き出している。「彼は目立たぬ凡庸な男で、幹部になってからも定期的な昇進で、むしろスローな昇進だった」と曝露している。

町の主婦とか、サイカーの運チャンにインタビューし、軍政に反対だとか、ドー・スーを解放しろ!など名もない人々の声を日本のメディアは伝えるが、欧米のレポーターとは雲泥の差である。元駐緬大使や東南アジア研究のシンクタンクなど専門家を探し出してきて、ロヒンギャー問題を深掘りし中継で彼らの意見を聞きだしている。

繰り返すが、カタールの衛星テレビ局Al Jazeeraは同国の首都ドーハに本部がある。その名前はアラビア語で“島”すなわちアラビア半島を意味する。
カタール王族が株主である。イギリスBBC放送アラビア・テレビ・ネットワークのインフラと上級スタッフを採用して開局した。

無知な方は中東アラブ寄りの放送局と誤解しているが、この英語放送は意見が分かれる論争問題は必ず賛・否両サイドの専門家を登場させ、両陣営の意見を自由に闘わせバランスをとる努力をしている。議論とは相手を黙らせるのではない。異なる意見を尊重して、歩み寄る知恵を模索しようとする。“失礼だ!”などという外交用語は誰も発しない。

欧米で問題とされるアラブ人の女性差別も近代化の問題として議論のテーブルに取り上げる。タブーはない。日米よりもはるかに先進的かもしれない。
首脳スタッフがBBC以上に開放的で自由に働いている。ジャーナリズムのロールモデルを模索しているようだ。

ジャーナリズムの原点を考えさせられる。英語放送だが是非とも現物をチェックして欲しい。登場するアナウンサー、レポーター、アンカーなどほとんどが英米語の達者な外国人である。グローバルが貿易用語とされる日本だが、能力さえあれば、国境も宗教も飛び越えていくグローバルもある。



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・06:中国への売国奴はスーチーではない

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ヤンゴンではちょうど午後5時(2月6日)。近くのマハ・バンドゥーラ大通りがラッシュアワーとなった。すべの車がクラクションを鳴りっぱなしで通過していく。ウルサイが全車輌が最高司令官と臨時大統領およびその一派に、反抗の意思表示しているのは間違いない。

ヤンゴンの騒音はネイピードの二人には届かないかもしれない。だが中国に狙い撃ちされたのは軍人首脳である。四面楚歌という中国の故事をミンアウンラインとミエンスエに諭す軍人部落の忠臣はいないのだろうか?

ここでさらなる余談を挟ませてもらう。
マンダレー以北を中国の文化圏にしてしまったのはビルマ国防軍である。だから2003年8月軍政はキンニュン首相の名前で「政権移譲への7つのステップ」を止むに止まれず発表した。中国の南進を阻止するためにである。

だが歴代の国防軍首脳は北京への朝貢外交を容認し継続してきた。
それだけではない。三峡ダムの三倍以上という広大な面積を誇るミッゾンダムを中国に対して許可し、水力発電によって生じる電力の一割のみミャンマーが受け取り、大半の電力は中国へ持ち去られるミャンマー資源の叩き売りであった。

電力はミャンマー発展の必須のインフラである。それを勝手に中国へ持ち出すのに国民の了解も得ずに取引したのは独裁政権である。

問題が表面化したところで作業中断を突然宣言したのはテインセイン大統領だった。自分の在任期間だけ中断で、契約不履行賠償金などの問題を棚上げし、次期スーチー政権に押し付けた。中国への許可を認可したのはタンシュエである。その契約金は想像を絶する金額と思われる。

スーチー政権はテインセインから空っぽの国庫を引き継いだ。莫大な契約金は当然独裁者の懐に入ったものと推測される。ジャーナリスト魂のないマスコミは事実を自分で確認することなくスーチーは中国に国を売ったと無責任な報道を撒き散らしてきた。

ミャンマーという国家と財産を中国に身売りしてきたのは半世紀以上も国家を独裁してきた国防軍である。いまこのメルマガが情報を漁っているのは、ミンアウンライン自身がそのうま味を吸い上げようとしているのか、それとも誰かの指図で動いているのか、その見極めである。

キツネや狸であれば、いつかは尻尾を出すことだろう。
だから一ヶ月ぐらいで見えてくるのか、一年かかるのか、それは分からない。

それとも半年後の65歳で主役が替るのか、それも分からない。

時間が解決するということを賢明な読者はご存知だ。
気長に付き合っていただけると嬉しい。クーデターに対し早急な短評を流しているのは、歴史が見えていないニセのミャンマー専門家だ。

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スーチーが実質上の元首として実権を握ったのは、たった4年前の2016年である。
50年間以上にわたって集金システムを構築してきた国防軍と、4年間のスーチー政権では責任問題は比較にならない。国防軍が恐れているのは、スーチーが本気で民主化に邁進していることである。



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・07:2月7日(日)朝天気晴朗なれど通信混乱

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昨夜2月6日(土)午後10時ごろ、就寝の床に就いたばかりだった。大勢が乗った車両が叫びながら盛大な拍手と共に大通りを通過していった。すると自宅前後の窓窓から呼応してパチパチ拍手が波を打ってどよめいた。

今日もWiFiは繋がらなかった。寝入りばなで様子は掴めぬが、不精して蚊帳つりベッドの中からパチパチと誠意のない拍手をした。眠たかった。2月7日(日)早朝のニュースでは昨夜スーチーがネイピードで釈放されたという。

そのウワサをNLD支持者が振りまいていたのだ。今朝早速新聞屋のオヤジに確認した。すると素っ気無く、それはFake(*ウソ)だと言われた。こうなるとどちらが正しいか迷ってしまう。

スーチーとウィンミエン大統領は2週間の拘束延期となっていたはずだ。
冷静に考えると、新聞屋のオヤジが正しいかもしれない。

エセ・メンタリストとしては、このニセ情報は国防軍の心理作戦かもしれない。
一旦喜ばして、ガッカリさせる。これを繰り返すと敵は心理的に参り、精神に異常を来たす場合もある。

これがヤンゴンの現況である。通信・情報錯乱はトランプ作戦そっくりで、不正選挙だという言いがかりもトランプ作戦をコピーしたように思われる。
アメリカの例だと解決策が遠ざかるばかりだ。

現場からの実況中継でした。だがまだプロバイダー殿に発信できていない!!


ただいまのヤンゴン時間は2021年2月7日(日)午前6時40分である。
プロバイダー殿に届くかまったく自信ない。今日は日曜日。今日中に発信できれば、上手くいけば月曜日のメルマガ配信も可能かも。それではVol.404を発信トライ!!

日本・ヤンゴンの一部からはVol.401を受信したとの連絡は受けたが、受信していないというクレームも多い。

私自身も読者登録してあるが、今現在Vol.401の配信は受信できていない。
これもヤンゴンの通信状態である。

すべては通信事情、そしてプロバイダー殿次第である。八百万の神に祈りたい。
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