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<ミャンマーで今、何が?> Vol.411
2021.02.20
http://www.fis-net.co.jp/Myanmar

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━━【主な目次】━━━━━━━━━━━

■国軍側の言い訳

 ・01: 2021年02月19(金)午後8時発表

 ・02: 肝心のコトを報告してなかった

 ・03: たしなめる参謀はいないのか?

 ・04: スーチーと大統領が大罪を犯した?

 ・05: CDMが一枚も、二枚も上!!

 ・公式ツイッター(@magmyanmar1)

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・01:2021年02月19(金)午後8時発表

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陽性感染者数合計:141,728名
新感染者数:19名
死者数合計:3,194名
退院者数合計:131,209名
現在検査中:名(*数字判明せず)
出典:ミャンマー連邦・保健スポーツ省



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・02:肝心のコトを報告してなかった

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今回の軍事政権は愚かにもクーデターを起こし、本気でクーデター政権を確立しようと、スーチーの構築した枠組みはそのままに、中身の人事だけを全取替え中である。
時代を読めず、世界を読めず、民意を読めないだけに、危険な状況となっている。

○○に付ける薬はないが、○○は○○なりのチープな申し開きを表明している。
それを読者に提示していなかった。
国軍側の言い分は以下のとおりである。

1;『2008年憲法第419項により、上級将軍MAHが議長を務める国権最高機関である新政権会議が開催され、非常事態宣言が発令された』。構成メンバー11名のこの会議は国軍最高位9名の将軍と3名の民間人から成り立っている。

ゴタゴタの際だから計算が合わないのは見逃してやる。だが私が闘争好きな法廷弁護士なら、9+3=12は簡単な計算だ。MAHが小学校の基礎教育を受けていないことは明白だ。状況証拠として記録に残したい、と難癖をつけたい。

それよりも、民意を無視して突然国軍が非常事態宣言できるという2008年憲法の重大欠陥が現実問題として露呈した。スーチーと40数名の仲間たちが補欠選挙で当選し、初登院したその日に2008年憲法の欠陥を指摘し、憲法に従い宣誓するのを拒否したことは記憶に新しい。

当時日本のマスコミは、大統領になれない不満からスーチーは宣誓ボイコットしたと報じた。これこそ読者を誤らせる偏向報道である。今回のクーデターは軍の特権として2008年憲法で巧妙に許されている。

それだけではない。それに加えて国民選挙によらず国会議員の25%を軍人が占め、民主主義に反する多くの特権が与えられている。スーチーの宣誓拒否は、このことを全世界に知らしめたのである。

だが当時の米国務長官ヒラリーの説得から「政治は要求だけでは前進しない。ギブ&テイクの譲歩も必要だ」との政治手段をスーチーは学んだ。そこで2008年憲法は受け入れられないが、政権に就いたら遵守すると約束し、それをクーデター前日まで守ってきた。

だからスーチーが宣言拒否を頑なに主張していたら、1989年の再現でスーチーの総選挙結果はまたもや軍により無視されたかもしれない。スーチーは国軍側とは常にギリギリの線で対峙してきた。悪法でも法は法と、毒杯を仰いだ、ソクラテスの心境が思い出される。

今回の政変劇でも、クーデター直前の2日間、スーチーはMAHと激しく応酬してきたとウワサされている。その事実も時間が経過すれば明るみに出るだろう。スーチーの性格から憶測すると、スーチーは決してヤワなオンナではない。

だからこそ追い込まれたMAHはクーデターという非常手段しか取れなかった。
今回のクーデターは、計らずもミャンマーという国が軍人独裁国家であることを、ロイターやBBCなどを通じて、全世界に認めさせたことになる。

国軍を除外して見直すと、ミャンマーは民主主義が芽生えたばかりの脆弱な国家である。だが産業界、農林水産業界、マスコミ界、政界、教育界、宗教界と、その中身は民族、言語、文化、歴史の多種多様性に満ちている。

特に考えさせられるのが、自然発生的に出現した今回のCDM現象である。

歴史を知らないスマホ育ちのミャンマーの若者には、自由奔放な大きな可能性が潜んでいる。すなわち良質な若い人材が育っている。世界広しと云えども、このような国は滅多にない。だが世界の先進国は安い労働力しか評価せず、経済的植民地化を謀ってきた。

繰り返し熟考すると、“ソノコト”がスーチーとMAHというまったく異質の二人を焦燥のルツボに突き落とし、異なった行動に走らせたのではなかろうか?

クーデターをMAHひとりのせいにすることは簡単である。世界のマスコミも、駐緬欧米外交団も、欧米政治家も、そのような見方をしている。だがクーデターの遠因が自分たちにあることに気付いていない。

そしてミャンマーをならず者国家の北朝鮮と同一視する報道まである。これこそシュウキンペイが周到に用意したダーティー・トラップに追い込むものである。
先進国はそれほどまでに愚かなのだろうか? Shame on YOU!!

ミャンマーをアチラ側に追い払うのではなく、コチラ側に引き戻す練成した老獪学を身につけた賢者はいないのだろうか?

WISDOMな及川幸雄にも知恵を授けて欲しい。
オンラインサロンのメンバーでも、特別会費も払っていないメルマガである。知恵はお持ちでも、貧乏メルマガは門前払いで、多分相手にされないでしょうね。金持ち階層だけの知恵か試してみたい。



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・03:たしなめる参謀はいないか?

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クーデターを起こした申し開きを、自分たちの手で草案した2008年憲法を土台としている。このあたりからMAHの自己矛盾が多発する。それに気付いているのか、気付いていないのか、それが分からない。小人閑居して不善を為す。おお恐わ!おお怖わ!

話を先に進めよう。
2つ目の発表が、以下の声明である。

2;『2021年2月1日から一年間、非常事態宣言下の軍政を敷く。その一年後に公正な総選挙を実施し、正当に選出された政党が次期政権を担当する』

MAHはクーデターを起こした2月1日から一年間もミャンマーを戒厳令下に置くという。言い換えると現在の混乱状況が一年間もつづくという意味だ。日本語では『無理が通れば、道理が引っ込む』と言う。それじゃたまったもんじゃないというのが、市民から湧き起こったCDM運動である。

一年後ということは2022年2月1日以降である。国軍とその支持政党であるUSDPが一年後の総選挙で、憎っくき政党NLDに勝つ勝算がこれっぽちもあるのだろうか? 弊研究所の分析ではドミニオンのスマートマティックを採用しない限りUSDPの勝率はゼロである。

ドミニオンのスマートマティックとは世界中が認識する不正選挙の代名詞である。今回与党NLDに突きつけた不正選挙の言いがかりは、そのまま国軍および野党USDPへの糾弾としてブーメランしてくるのは火を見るよりも明らかである。

だが小学校を出ていないと、こういう道理は分からない。
○○に付ける薬はないので、そこがMAHの怖いところである。
二度考え直した。利口な小学生ならこんなことはとっくにご承知だ。

話を先に進める。2022年2月1日以降に総選挙を再度行うと仮定しよう。
MAHはソノ選挙で本当に勝てると思っているのだろうか?
NLDを相手に闘ったこれまでの総選挙はすべて惨敗だった。

勝算ゼロで踏み切った太平洋戦争を彷彿させる暴挙である。



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・04:スーチーと大統領が大罪を犯した?

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クーデターに踏み切った理由を検証してみたい。
よっぽど堪忍仕切れなかったのだろう。
MAHは国家相談役と大統領の二人を拘束した。スーチーとU Win Myintである。

余談を挟む。大統領の“Myint”は字面から“ミント”と発音したくなる。だがミャンマー人の発音を聴取すると“ミエン”が音声学的に正しい。“Aung San”もひと昔の日本人は字面から“オンサン”と記述していた。いまはミャンマー人の発音に従い“アウンサン”に訂正されている。

今回のクーデターで与党NLDから政権を暴力によって奪い去った。国軍がネイピードの裁判所に訴えた罪状は以下の通りである。3つ目の発表である。

3(1);『スーチーは9個の双方向ラジオセットおよび制限されている電子機器一台の入手において輸出入法違反を犯した』

3(2);『ウィンミエン大統領は9月のキャンペーン時に国家の自然災害管理法に違反し、COVID-19規則をないがしろにした』

知的なメルマガ読者は笑ってしまうだろう。これが国軍が用意した公式の罪状である。
双方向ラジオセットとは子供のオモチャにしかならないウォーキートーキーである。大統領の罪状に至っては何を言っているかまったく要領を得ない。

USDPとは基本的に元軍人の、しかも高級将校出身者で成り立っている。全員の自宅を調べてみるがよい。

スーチー宅から押収された通信機器など、USDPメンバーの家宅捜査でいくらでも発見されるだろう。しかもほとんどが無許可の筈だ。それにプラスして、ピストルはもちろん、重火器類も発見されるかもしれない。こんなことミャンマーでは常識である。



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・05:CDMが一枚も、二枚も上!!

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アホらしくなってくる話だが、この国軍に特定のグループが賛同しているのも事実だ。単にカネで雇われたのか、それとも本気で軍政を支持しているのか、今の時点では読めない。コレも時間が証明してくれる。

ミャンマーには、クリスチャンのYMCAにヒントを得た“YMBA”という非常に影響力のある宗教団体がある。Bは仏教徒を意味する。このYMBAがクーデターの翌日2月2日にヤンゴンの人民公園で開催された国軍支援の大集会で、国軍支援の立場を表明した。

だが大きな流れの中では、CDM勢力のほうが全国規模ではるかに優勢に見える。

アホらしい話と不愉快なので、マハ・バンドゥーラ大橋の後日談で今回の締めくくりとしたい。

CDMグループは故障車続出作戦を敢行した。翌朝だったか警察隊は首の長いクレーン車を出動させた。空中に吊り上げられてはたまらない。CDMはすかさずプランBに移行した。スマン!スマン!とボンネットを下ろし、多数の全車輌が時速5kmのスロー走行で、交通法規に従い、公道上を前進し始めた。警察隊は手の施しようがなかった。

生徒情報がオモシロイ。しかも動画つきで説明してくれるから納得せざるをえない。
それをメルマガ情報としてつまみ食いしている。ほとんどが英字新聞のAFP電とかBBC放送で後日確認した事実である。だが細かい差異はゴタゴタのせいで堪忍願いたい。

装甲車がヤンゴン中心部のレーダン地区に向かった。CDMの仲間内からスマホ連絡が入る。レーダン地区のデモ隊は装甲車の進路を避けて別の地区に移動を開始する。装甲車が到着しても、もぬけの殻である。CDMの若者はコンピュータゲームよりも今このゲームにハマッている。

いま銀行が閉鎖されている。理由はスタッフが勝手に出勤せずにCDMデモに参加したためだという。例えばスーレー通りにあるCBM(*ミャンマー中央銀行)の正面前で大勢のデモ参加者が座り込み気勢を上げている。

銀行スタッフが入ろうとするとハンドマイクが大きく叫ぶ。「出勤するのは国軍を支援することになる。CDMに参加しよう!」座り込んだデモ参加者が「CDMに参加しよう!」と唱和する。
ハンドマイクとデモ隊の往復シャウトは、指揮者と合唱団のように息が合っている。

ピケを張って物理的に入行を阻止するのではない。入口への道は充分に確保されている。
完全に順法闘争である。CDMは歴史上の闘争をすべてデータベース化して、国家権力が踏み込めないギリギリまで法律を遵守している。

警察は遠巻きに取り囲むが、何一つ手出しができない。CDMの作戦は周到に練った知能犯だと言えるし、頭がよいとも言える。同様の戦術が政府系銀行だけでなく、あちこちの大手民間銀行の正面玄関前で繰り広げられている。

だから銀行スタッフがその場でCDM運動に参加することもある。それだけではない。
CDMの若い女性が真っ赤なバラを一本取り囲む警官に捧げると、感極まった警官が一人、二人とCDM側に取り込まれるケースもある。

ウブなのは警察官で、この警官は間違いなく解雇処分になる。そして養うべき両親や妻子がいれば、明日から飯の食い上げとなる。今回のクーデターはこのような悲劇も生み出している。

ついでに悲喜劇の喜劇を紹介しよう。
バイクを車道に寝かせて交通妨害しているカップルがいた。警官に注意されるとオトコはブレーキが故障して動かせないと抗弁した。警官が法によってバイクを没収すると宣言した。
オリンピック委員長の口真似をさせてもらうと、オンナは口が達者である。

「法律の何条何項によって没収するのヨ!」と息巻いた。ウブな警官は一言も反論できず立ち尽くすだけだった。しかもその模様がすべてビデオに撮られアップロードされているのである。
私はラッキーである。ビルマ語はまったく解せないが、生徒が同時通訳してくれた。

スーレーとアノーラッタ大通りの交差点では交通を遮断してCDMの座り込みがあった。一般市民が自家用車のトランク一杯に飲料水やバナナ、またはお菓子と差し入れを満載してやってくる。そしてCDM運動を応援する。ミャンマーがドネーションの国だと再認識した。

道路脇に大きなタライを持ち込んで、ご飯の炊き出しをやっている。見るからに貧しい家庭の少女がスイカを細切りにして、デモ参加者に無料で配っている。飲料水のボトルを配布しているオジサンもいる。ノンポリ学部の不経済学科を卒業した私はミャンマーが最貧国だというウワサをどうしても信じられない。

CDMには必ず清掃部隊が配備されている。大きなずた袋を大量に用意し、片っ端から空き瓶や菓子袋を回収していく。スマホ世代である。多分ディズニーパークから近代的な清掃方法をパクッたのだろう。

生徒たちはこれら情報を英語で説明してくれる。しかもビデオ映像付である。
ガラパゴス世代の同胞よ、時代は確実に変わった。ビルマの竪琴でもインパールのビルマでもない。世界で最も画期的な反政府デモをヤンゴンの若者たちは、この瞬間開発中である。

繰り返すが、CDMは国軍政党もスーチー政党も支持しない。民主主義を破壊する独裁政権に反対の声を挙げている。

ただいまのヤンゴン時間2月20日午前6時20分。

 


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