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<ミャンマーで今、何が?> Vol.424
2021.04.13
http://www.fis-net.co.jp/Myanmar

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━━【主な目次】━━━━━━━━━━━

■サイクロン・ナーギスの裏で!?!

 ・01: GNLM紙は3月1日以降コロナ統計数字を一切発表せず!

 ・02: 2008年5月2日

 ・03: テインセイン首相

 ・04: 本丸は超大物のストロングマン

 ・公式ツイッター(@magmyanmar1)

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・01:2021年03月02(火)午後8時発表(前回のまま)

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陽性感染者数合計:141,965名
新感染者数:49名
死者数合計:3,199名
退院者数合計:131,534名
現在検査中:名(*数字判明せず)
出典:ミャンマー連邦・保健スポーツ省
(GNLM紙は2月一杯は前日のコロナ数字を掲載していた。だが3月に入ってからはコロナの統計数字を一切発表せず。国民の健康無視どころか、国民の生命を大量虐殺しはじめた。自国民のジェノサイドを糾弾すべきである。ジェノサイドとは大量殺人のことである)



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・02:2008年5月2日

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朝昼夕Q ガーデンに出掛けては草花を相手に農耕作業に専念している。動物は移動しなければ喰っていけない。植物は種子を飛ばす以外に移動手段はなくその場で一生を過ごす。それだけに太陽光線、水分・空気の補給、土壌との親和性は巧妙で種の保存に活かされている。動かないが植物の知恵は測り知れない、そして裏切らない。

生物界はFlora and Fauna(*植物と動物)の二分法で捉えられてきた。それが西洋の進めた科学的分類だ。だが顕微鏡が発明され微小生物が知られるようになると菌類を加えて三分法、原核生物で五分法と、不思議なことにコロナ騒動の原点に近づいていく。Qガーデンというネコの額にはノンポリの理想郷がある。

我が世の春と言いたいところだが、ヤンゴンの春は一瞬にして過ぎ去った。
熱風にのぼせた行商人が木陰へ卒倒するトロピカルの真夏となり久しい。
2月・3月と月ごとに気温が上がり、我慢できない熱波の雨乞いがミャンマーの4月である。

陰暦陽暦を混濁した釈迦誕生の潅仏会(*4月8日)など別世界の話だ。
貯水池に残った名残の水で一年の悪事を洗い流す。そして厳粛な新年を迎える。
余所行き(*よそゆき)の晴れ着に着替え、小鳥を空に魚を池に放ち、新年最初の善行を積む。

4月初日は曇天だった。翌2日はパラパラと雨が降った。4月3日からは三日間連続で本降りとなった。ヤンゴン一円での話である。ヤンゴンっ子はウワサ話が大好きだ。天の神はティンジャン行事を狂わせMAHに鉄槌を振り下ろし、市民には優しい慈雨でのスタートとなった。

ミャンマー西岸のベンガル湾・インド洋にかけて、海水温度はこの時季火傷をするほど沸騰する。昇り竜のような積乱雲が多発してこの地方一帯で悪ふざけが始まる。2008年5月2日に大暴れをしたサイクロン・ナーギスはミャンマーに14万人以上の死者、240万人以上の被災者をもたらした。

大災害直後に軍事独裁政権は2008年憲法承認の国民投票を強行した。そして投票率98%、賛成率92%と発表した。米国とフランスは緊急救護班と救援物資常備の軍艦を被害甚大なイラワジ西海岸に待機させた。その対応にオタオタしたのが当時のテインセイン首相である。

米軍と仏軍のイラワジ上陸は危険と判断するのに数日間を要した。ミャンマー国防軍が海上から一気に制圧されると恐れたからである。そこで赤十字・赤新月社など海外からの救援物資はミンガラドン飛行場(*現ヤンゴン国際空港)のみで受理すると発表した。

スマホは登場してないがイラワジ一帯の大災害はウワサのネットワークで刻々とヤンゴンに伝えられた。小型トラックを仕立てて民間の救援物資がイラワジ西海岸を目指した。とりあえずイラワジ管区最大の行政中心地パテインへ向かい、それから被災地へと一本の幹線道路を急いだ。

海岸一帯に近づくにつれ悲惨な被災状況がビデオ撮影されヤンゴンに闇流れしていった。ここはデルタ特有のクリーク(*支流)・大河が四通八達し幹線道路が唯一の陸上交通となる。そのクリークを腐敗ガスでお腹をパンパンに膨らました死体が流れていく。うつ伏せの死体が淀みに溜まっていく。

それは衝撃の惨状であった。ヤンゴンへ向かうドライバーがこのBREAKING NEWSを伝えた。すでにパテイン近辺の惨状はダビングされた闇ビデオでヤンゴンに拡散された。陸揚げされたマグロが順番に何頭も土手に寝かされている。一瞬そう見えた。人間の死体だった。悲惨な状況を闇ビデオが無言だが切々と語る。

おさらいをすると被害を受けた村々は大河イラワジ下流にできたデルタ地帯である。天然自然の運河・支流が網の目のように四通八達している。普段は手漕ぎの小舟で村々を行き来する。
橋が架かっているのはほんの一部だ。

陸上の交通手段である車は幹線道路一本が頼りである。そこに善意のボランティアが小型トラックに飲料水・食用油・医薬品などを満載して押しかけた。ご承知のようにミャンマーの田舎道は、往復車両のすれ違いはお互いに片車輪を路肩に落すのが礼儀である。

台風一過の路肩はひどい泥濘(*ぬかるみ)で車輪を取られる。エンコ車輌が幹線道路のあちこちで往生し始めた。一本道がアリの行列で延々と続いた。それだけではない。荷を降ろした先行組みは空荷でヤンゴンへ戻る。

一車線の幹線道路が復路も渋滞でにっちもさっちも動かなくなった。日本も阪神・淡路大震災で経験したが、唯一の幹線道路がヤンゴンからパテインまで、そしてパテインから被災地までと、緊急物資満載のトラックで埋め尽くされ前へ進めなくなった。



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・03:テインセイン首相

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このとき軍事政権最高指揮官として陣頭指揮をとったのが、Bookishな(*現実に即していない机上の考えしかできない)当時のテインセイン首相であった。首相一行は国軍ヘリコプターを飛ばして形ばかりの被災地視察を行った。

国軍が誇る空軍ヘリが何機あるのか知らない。だがそれらを総動員して要所要所の前線基地を順次設営するとか、24時間態勢で救援物資をピストン空輸するとか、被災地情報をフィードバックして、生存・死者・行方不明者など統計数字の整備、14万人に上る腐敗死体の処置、そこから予想される疫病蔓延防止策などの緊急野戦作戦は何一つ実行されなかった。

テインセインをミャンマー民主化の旗手とする誤った見方がある。特に2021年のいま、叛乱軍が武力で政府を転覆したいま、その見解は誤りだったと訂正すべきである。それに加えて非常時におけるテインセイン首相の指導力欠如はいま思い返すにあまりにもお粗末であった。

こういう状況下で、当時のテインセイン首相は海外からの救援物資をミンガラドン飛行場でのみ受け入れると発表した。善意の救援物資が海外からヤンゴン飛行場に殺到した。被災地への幹線道路はすでに機能しなくなっていた。

救援物資が被災地へ届かないどころか、ヤンゴンでは異常な特需景気が発生していた。大々的な救援物資の横流し作戦が開始されたのである。救援物資が政府系関係敷地に続々と備蓄されていった。2005年11月ネイピードへの首都移転で、ヤンゴンには各省庁などの政府系敷地が幾らもあった。

モンスーン雨季直前でターポリンやキャンバスのロール地が屋根・天井の修理用として大いに重宝された。それから熱帯のリゾート海岸で見かける原色の大型パラソル。これらがヤンゴンの露店風景をガラリと変えてしまった。

まずは路上喫茶がこの大型パラソルに飛びついた。ヤンゴンの町並みが代官山のオープンカフェ並みに変身した。モヒンガー屋、豚の臓物主体のホルモン屋、シャン・ヌードル屋など路上の零細個人商店が、この大型パラソルを取り入れた。これらは身近かなひとつの例に過ぎない。

軍事政権はこのとき大災害はビジネスになると学んだ。
世界の善意が巨額の浄財としてもヤンゴンに届いたからだ。くどい様だが被災者に届いたのではない。軍事政権がその浄財を勝手気ままに処分することを学んだからだ。

名目は何とでもなる。浄財で米・飲料水を購入し、浄財でトラック輸送を手配したことにする。軍事政権はミャンマー・エコノミック・ホールディング会社とミャンマー・エコノミック・コーポレーション会社という巨大なコングロマリット企業を抱えている。

名目は退職した軍人家族の福利厚生事業としているが、海外の投資家がミャンマーで大規模な事業を仕掛けるにはどうしても彼らと手を組まざるを得ない。許認可を得るのも不思議なほど簡単に取得できる。こうやって軍人ビジネスのワナにはまっていく。

気がつくと製造技術のノウハウまで吸い取られお払い箱となったケースも枚挙にいとまがない。某調味料メーカーの例だが、工場団地における袋詰め工場の開所式まですべて順調に運んだ。ところが他省庁からこの製品は健康被害をもたらすとの横槍が入り撤退に追い込まれた。

ヤンゴンの一流ホテルで某一流化粧品メーカーの販売プロモーションが大々的に行われた。どういう経緯があったのか不明だが、その後、同社の名前はヤンゴンではまったく聞かれなくなった。

少なくともこのような情報は、ミャンマーにビジネス参入される方々なら、JETROなどで事前調査済みのはずだ。それに加えて2月1日のクーデター後の叛乱軍政府の方針は唯一の日刊英字紙GNLMで明確に読み取ることが出来る。

ミャンマーの2021年の暦は4月13日(火)から19日(月)までの7日間が水祭り連休として赤字印刷されている。この時点で他英文情報はすべて廃刊に追い込まれ、この日刊英字紙が唯一の情報源となっている。

その虚実織り交ぜての情報を見抜くには特別の訓練とコツが必要だ。それを農耕作業のかたわら学生たちと楽しんでいる。

そしてミャンマー劇場の登場人物としては、順不同でMAH、テインセイン、シュエマン、単主絵などだが、中でも超大物のキーパーソンは四番目に挙げたストロングマンである。4月早々に仕組まれたルビー・マートの午前2時の奇妙な火災事故を知らされ、その感をますます強くしている。

このストロングマンの前ではMAHもテインセインもまったくの小者だったということが読み取れる。だが国連も米国も、それから駐緬の外交団もすべて、事態を読み取れずに誤ったメッセージを送り、初動対応に失敗している。結局は彼ら全員が無力だったことを証明した。



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・04:本丸は超大物のストロングマン

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前章の表題“テインセイン首相”はあくまでも陽動作戦で、小者であるがゆえに目くらましとして名付けた。次回は本丸である単主絵に迫りたい。

ただいまのヤンゴン時間4月13日(火)午前9時15分。
これから発信トライ。




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