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<ミャンマーで今、何が?> Vol.43
2013.5.8

http://www.fis-net.co.jp/Myanmar


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・01:AAA:(政治)
  -A1:テインセイン大統領がワシントンを訪問
-A2:テインセイン大統領がUSDP党議長を降りる
-A3:ドー・スーがモンゴルより帰国

・02:BBB:(経済)
-B1:フォードがミャンマーにショールームを開店
-B2:パンソダン・ダラー間のフェリー代金が2倍に値上げ

・CCC:(生活一般)
-C1:続発するクローニー批判

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<AAA:(政治)> 

○A1:テインセイン大統領がワシントンを訪問

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米国は反イスラム教徒の暴力事件にもかかわらず、ミャンマー支持を鮮明にするため入国ビザ制限を緩和すると5月2日に発表し、テインセイン大統領の画期的なワシントン入りが今月実現すると明らかにした。

テインセイン大統領は5月20日または21日に米国の首都を訪問し、ホワイトハウスでオバマ大統領と首脳会談を行うと米国の一議員が匿名を条件にAFPに語った。

両国関係の改善修復のため、ジョン・ケリー国務長官は、軍事政権の過酷な民主主義阻害に講義し1996年に施行したミャンマー人入国禁止条例は終焉させると5月2日に発表した。

しかし、人権問題の対象とされるミャンマー人への入国ビザ制限は継続して行われる。国務省によれば、1996年の入国ビザ禁止条例は前の軍関係者、軍のビジネス協力者、それら近親者、引退した役人など広範囲にわたっている。しかし、この措置は入国ビザの免除を意味するものでなく、すべてのミャンマー人はビザの取得が必要で、かって禁止対象とされた人たちには厳重なチェックが行われる。米議会筋によれば、テインセイン大統領の訪米中に、その国名を国外追放グループが好んで使用するバーマ(ビルマ)ではなく、同国首脳が用いる“ミャンマー”に切り替えることも検討中と語った。

それだけでなく、米国はミャンマーに特恵関税を適用することも検討中で、これが実現すれば同国の5,000品目が無税で米国へ輸出可能となる。

しかし、テインセイン大統領の訪米はロヒンジャーをミャンマー市民として認定せず暴力で制圧したとして国内および国際的にも論議を呼ぶと思われる。

最近の人権問題監視グループは、ミャンマーは国家としてロヒンジャーの民族抹殺を図っており、2012年6月からすでに211名を殺戮し、何万人という人たちを強制的に移住させたと語っている。この重要な時期にテインセインを招待することは米国政府がミャンマー政府の行為を黙認したことになるとしている。

テインセイン大統領のワシントン訪問は1966年に当時のジョンソン大統領が国軍トップであったネーウィンを招待して以来の出来事となる。

テインセイン大統領は国連総会に出席するために昨年米国を訪問したが、それはニューヨークに限られていた。

オバマ大統領はミャンマーに対するほとんどの制裁を中断したが、もしミャンマーの改革に後退があれば米国はいつでも制裁を再実施するという法案に5月2日署名した。

EUは先週、武器禁輸を除いてミャンマーに対するすべての制裁を実質上解除した。アジア諸国はすでにミャンマーとのビジネスを行っており、西洋社会が制裁を行っている間に隣の中国はミャンマーとの緊密な関係を作り上げた。


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A2:テインセイン大統領がUSDP党議長を降りる

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現在ミャンマー政権を担っているUSDP党は5月2日、テインセイン大統領の同党議長退任を発表した。中国の新華社電によれば、後任としてシュエマン副議長がUSDPの新議長に就任したが、同氏は同時に国会の下院議長でもある。

テインセインは国軍将軍の地位を降り、2010年に政党USDPを立上げ、一連の政治改革を行い、軍の政治支配に終止符を打った。シュエマンは党議長就任の後、ミャンマーは多数党による政治の仕組みが必要であると強調した。

ミャンマーは2010年に着手した政治改革により国際社会の賞賛を勝ち取ったが、仏教徒と少数派イスラム教徒との間で暴力事件が広がり今後の改革発展に陰を投げかけている。

国連の人権問題担当官トーマス・キンターナはミャンマーで発生した暴力事件に懸念を表明し、“ラカイン州で少数のロヒンジャーとイスラム人口を標的とした人権無視の組織的暴力が政府権力によって行われている信頼すべき情報を得ている”と語った。


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A3:ドー・スーがモンゴルより帰国

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5月4日付ネイピード発として、下院議会法制委員会のドー・アウンサンスーチー議長が昨日午後10時15分モンゴルより当地に戻った。エルベグドルジ大統領の招待に応じドー・スーは4月27日モンゴルを訪問した。彼女は民主委員会の第7回大臣会議に出席し、Geremek賞を授与された。MNA(ミャンマー通信社)記事としてはこれが全文だが、ドー・スーが空港で報道陣のカメラに取り囲まれフラッシュを浴びている写真が国営英字新聞New Light of Myanmar紙の最終ページを飾り、「空港で歓迎される下院議会法制委員会のドー・アウンサンスーチー議長」とのキャプションが付いている。

これまでもカラー写真となった同国営紙の一部にドー・スーが写っていることはあったが、彼女の名前と正式な肩書きをこのように堂々と記述することはめったに無かった。スポーツ紙でも同じだが、第1面と最終ページは読者にアッピールする格好のページである。国営紙のドー・スーを取扱う方針に大きな変化が起こった、さらにもう一歩何かが明白に変わったと見るのがプロの読み方ではないだろうか。


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BBB:(経済)

B1:フォードがミャンマーにショールームを開店

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フォードモーター社はミャンマーに初の新車ショールームを8月までに開店する計画であると発表した。ミャンマーの自動車市場は国際的制裁によって停滞を強いられ、50年近く支配した軍政府は特定の財閥業者のみに輸入ライセンスを発行し厳格な輸入制限が敷かれていた。今日使用されている車の80%は車齢10年以上の日本の中古車である。

この国には新車の製造業は育っておらず、発展の余地は大きいと同社の地区責任者は語っている。

同社はヤンゴン地区で約50名の人材を採用し、ミャンマー全土に事業拡張の計画をもっている。しかし、直ぐにもアセンブリ工場や製造工場を建設する計画はない。

ミャンマーは東南アジアの最貧国で、大半の人々は中古車を購入し、フォード車は同国では最高級車となる。

ヤンゴンの中古車ディーラーは価格が安く燃費の良い日本車に打ち勝つにはフォードは苦労するだろうと予測する。

フォード社のミャンマーにおける物流業者はキャピタル・ダイアモンドスター・グループの一部門で、そのココジー社長は米国の経済制裁に抵触することなく貿易・物流・建設・不動産に至る複合企業を成功裏に築き上げた。

これは同社にとり2番目に大きな米社との契約である。関係会社であるダイアモンドスター社はペプシ社のペプシコーラ・7アップ・ミリンダ印の単独輸入・物流契約を昨年締結した。


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B2:パンソダン・ダラー間のフェリー代金が2倍に値上げ

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これまでのフェリー乗船代金50チャット(約5円)が4月28日から100チャット(約10円)に値上げされた。そして外国人は1ドルが2ドルとなった。このフェリーは午前5時半から午後9時半まで一日に46回航行し、ヤンゴン川向こう岸のダラーからヤンゴンへ通勤、物資輸送の主要手段となっている。


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CCC:(生活一般)

C1:続発するクローニー批判

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ミャンマーで新しい英語が採用され始めた。それは“crony”である。過去20年間、軍の支配者に擦り寄って莫大な富を蓄積したビジネス・エリートを意味するとワシントン・ポスト紙が報じている。

これらのエリートは武器・麻薬・密輸はもちろんのこと建設・ゴムプランテーション・材木などの事業でリッチになった。しかも、過去20年という短期間で達成している。その秘密は国有地や国営企業を特別の安値で払い下げてもらい自分の事業としたためである。

ところが、改革派のテインセイン大統領(元将軍)の下で開放化が進み、言論の自由が緩和され、サイカーの運転手から農民まで誰もがこのクローニーと政府癒着に関しての不平不満を口に出せるようになった。

農民政党の党首も“クローニーたちがどれほどあくどいことをしてきたか、我々はやっと気がつき始めたばかりだ”と語る。

最も大きな怒りはこのエリートたちが土地を騙し取ったことに集中している。軍独裁の暗黒時代に軍が土地を没収し、それをビジネス・エリートに与えていた。その補償金はゼロかほんの僅かだった。その当時、農民は脅しを恐れ、不平を言うものは一人もいなかった。

しかし今、時代は変わりつつある。土地の価格は高騰し、広大な土地を没収されたことが多くの人に理解され始めた。

この政党党首は土地没収のケースを分厚い書類に纏め上げ、没収された土地の農民による抗議返還運動を全国で繰り広げる手伝いをしている。変化が訪れる前は想像すらできないことであったと同党首は語る。つい最近まで、軍やその関係者を批難すれば逮捕され、拷問を受け、何年も投獄された。国のスパイはいたるところにいた。

怒った農民グループの一人はヤンゴン郊外の先祖の時代から住んでいた村の土地を再び占拠している。これは20年前に軍が没収しビジネス・エリートの一人であるキンシュエに工業団地建設のために与えた土地である。

同農民によれば、20ヘクタールの土地を15,000チャットで没収されたが、これは今の換算レートで$20にも満たない。これっぽちの金では子供の教育費も出ない。そこでもっと補償金を出すように要求している。当時、怒りを表に出すべきとは知らなかったと悲しそうに語る。結局、恐怖と無知が沈黙となった。

過去2年間で、軍が支持する政権は反体制派党首・アウンサンスーチーの地方選出馬を許し、そして彼女は国会議員になれた。米国は徐々に制裁を解除し、昨年22年ぶりに大使をこの国に送り込んだ。

実業家個人に対する米国の制裁は一部残っており、その一人はエリート中最も金持ちとされる48歳のテイザーである。米国商務省が武器商人でビルマ軍のクローニーと記述した男である。

しかし先月、ワシントンはミャンマーの大手銀行への制裁を緩和した。その中にはテイザーとゾーゾー(彼も同様のクローニー)が所有する銀行も含まれている。この発表は米国実業団ミャンマー訪問の数日前に行われ、商務省は銀行制裁緩和はミャンマーが引続き経済・社会改革を成し遂げるのを支援するためだと語った。

公の批判に直面し、クローニーたちは反撃に出始めた。一部はその批判を黙らすために法的脅しを仕掛けた。キンシュエは彼の土地を再占拠した農夫を脅している。だが、大半は報復と富を失うことを恐れ、新しいミャンマーにとり自分たちは好ましいパートナーであるとのイメージアップ作戦に出ている。

“批判はあまりにも厳しすぎる。夜も眠れないほどだ”と巨大複合企業マックス・ミャンマーのゾーゾー会長は先月ヤンゴンでのサッカー観戦中のインタビューで語っている。

46歳のゾーゾーはミャンマー最大の億万長者のひとりで、この10年間に軍事政権の新首都建設の甘い契約を引き受けて財を築き上げた。

2011年に国有財産が売却されて大々的な私有化が行われた時、ゾーゾーは銀行業務のライセンスとセメント工場を勝ち取り濡れ手に粟の利益を手に入れた。彼は現在、道路に沿った何軒ものガソリンスタンドを経営し、自動車輸入を自由に行え、ヒスイ鉱山とゴムのプランテーションを所有し、超高級リゾートホテルを展開している。

ゾーゾーは自分は税金を払い、職場を提供していると主張し、もし実業界全体がクローニーと悪者扱いされるのなら、ミャンマーの繁栄はありえないと反論した。そして今の時期、国を建設するために我々全員が協力すべきと語った。







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