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<ミャンマーで今、何が?> Vol.448
2021.07.11
http://www.fis-net.co.jp/Myanmar

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━━【主な目次】━━━━━━━━━━━

■小バカが大馬鹿に!?!その12

 ・42: 無駄話の前口上

 ・43: 市街戦も想定内

 ・44: 黄金のパゴダが植民地化の原因

 ・45: ヤンゴンはリトル・ロンドン

 ・46: このレストランで思う事

 ・公式ツイッター(@magmyanmar1)

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・42:無駄話の前口上

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ミャンマーにご縁のある方が、幸か不幸かこのメルマガに遭遇された。
今回ははぐらかすようだが無駄話特集と行きたい。

考える時間が必要なので、息抜きとカモフラージュを兼ねて、街の現状と得意の無駄話で座を持たせたい。

頼みの外国勢が初動対応で失敗した。そのため反乱分子を勢いづかせてしまった。
無責任にも打開策を打てぬまま膠着状態が現在まで続いている。
調子づいているのが国軍側である。市民に対する追跡・追及は更に厳しく陰険となっている。

ア将軍の言葉を借りて「ベストは期待するが、ワーストに備えよ」で、最悪のシナリオで我々は対策を検討すべきだ。



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・43:市街戦も想定内

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当局の重要な下部組織である警察署は下街の要所要所に設置され、郊外に通じる拠点には交番が数多く配置されている。
それらの周りは要塞化して警備が厳重となってきた。

赤白の目立つペンキで塗られた大人の背の高さ程の防御壁が設けられ、有刺鉄線で更に防御している。
その内側には土嚢を何重にも築き上げライフルや小型爆弾でも貫通出来ない厚さだろう。
市街戦も想定したと思われる塹壕で守られている。

それだけでない。
その前の大通りを同様の有刺鉄線と赤白ペンキで片道車線を交互に閉鎖し、通行車輌はS字状に徐行するシステムを作り上げた。
更には英国時代に採用された段差を道路に設け車輌が速度を落とさざるを得ないスピードブレーカーも完備している。

当然ながら警察署前は渋滞となる。不審車両の訊問と不審車両の逃亡を防ぐ目論見だろう。

それだけではない。
悪徳警官はこの渋滞地点で狙いを付けた車両に全員下車を命じ、難癖をつけては、日銭を稼ぐ絶好の場としている。
Curfewという名の戒厳令は朝令暮改の軍令で、市民には伝達されていない。下っ端警官が好き勝手にボッタクリをおこなっているとのウワサだ。



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・44:黄金のパゴダが植民地化の原因

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下街とは植民地時代の旧市街地で北からボジョー・アウンサン通り、アノウヤッタ通り、マハ・バンドゥーラ通り、マーチャント通り、ストランド通りと順番に南下して最南端のヤンゴン川にぶち当たる。
これらが東西に走る下街の大通りである。
それに織り成すように南北縦軸にナンバー・ストリートが一番から七十何番まで続き、最後は海軍の敷地内に吸い込まれていく。ここは部外者立入禁止の怖い場所だ。
その中にある最東端がお馴染みのモンキー・ポイントである。

ベンガル湾からヤンゴン川に入る船舶はイラワジ管区南西端のエレファント・ポイントを目印として針路を北に取る。このポイントがヤンゴン川の広大な河口域となっている。

船舶はヤンゴン川を北進する。途中でシュエダゴンの尖塔が北北西の方向はるか彼方に姿を現す。
鬱蒼としたジャングルの中に突然、黄金のパゴダが出現するので、船旅での訪問客はラドヤード・キプリング、ジョージ・オーウェル、サマーセット・モームをはじめ全員が息を呑み驚いた。
上流に近づくに従い、燦然と輝く巨大なパゴダが西洋人を圧倒した。

この醍醐味が味わえるのは船旅でのアプローチに限る。もう少し北進すると右手にティラワの工業団地が見えてくる。
ここに深海港が設けられ、現代の豪華客船が着岸できる。

チープな旅客は空からやって来る。リッチな旅客は客船でやって来る。

その背景をなすなだらかな丘陵地帯の頂きにも黄金のパゴダが輝いている。タンルインのパゴダである。

ここから目と鼻の先がヤンゴン川とバゴー川の合流点で、そこに航海の重要なランドマークとなるモンキー・ポイントがイギリス人の手で設置された。

ここを視認すると操舵手は針路を西に取りヤンゴン川を更に遡る。川幅はずっと狭くなり水深もぐっと浅くなる。

今は高層ビルに邪魔されるだろうが、当時は遮るものは何も無かった。巨大な構築物が緑に覆われたジャングルの上に唯我独尊を誇示していた。黄金のシュエダゴン・パゴダである。

驚いたことに、船舶の右手(*海図上は北岸)間近にはまたしても黄金のパゴダが輝いている。
西洋人が初めて眼にしたシュエダゴン、そしてタンルイン、それにこのボウタタウンとすべて黄金のパゴダである。
ジャングルの隙間にチラリと見えた小振りのパゴダも黄金だった。

最初は象だ猿だのジャングル・ブックの世界だったイギリス人も、間近に迫る黄金のパゴダ群に目が眩み夢中になった。

黄金の国ジパングどころではない、ビルマを本腰を入れてぶん取ろうと画策した。
本国から土木技師を呼び寄せ、本気になってラングーンの下街の設計図に取り掛かった。


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・45:ヤンゴンはリトル・ロンドン

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ラングーン川をテームズに見立てたのは間違いない。その証拠には、桟橋のレイアウトは両岸ともに櫛の歯状でロンドンの本場ものそっくりである。ストランド通りの名前までテームズの沿道をマネしている。

大河イラワジが上流から運んで来た肥沃な土砂が堆積して出来たのが下流のラングーンの街である。

マラリアが猖獗する湿地帯に、赤レンガ造りの下街をチェスボード・パターンにつくっていった。

その河口に堆積した肥沃で広大な土地は米作に適していた。それに加えてモンスーンの雨季をも水田作りに活用した。

イラワジ管区は有数の米どころとなり、その州都パテインはビルマ最大の米積出港として栄えた。

Rice bowlとは‘’ご飯茶碗‘’を意味する。これがビルマ米作地帯の代名詞となった。

ネルソン提督を持ち出すまでも無く、英国は海軍大国である。

海上ロジスティックスのノウハウを開拓し世界を征服していった。
ビルマのインディカ米が大英帝国を作り上げたと言っても過言ではない。
その創業期の話である。

蒸気船でラングーンを訪ねた船客は1901年に創業されたストランド・ホテルの真ん前のラングーン川中流域に錨を下ろし、サンパンという小舟でナンティダ桟橋に上陸した。

東洋の貴婦人と呼ばれたこのホテルから目の前の桟橋まで真っ直ぐレッドカーペットが敷かれ、ホテル客は軍楽隊で迎えられた。

身長2m近くある大柄のシーク(*正確にはシック)教徒が真っ赤な制服に威厳のある髭面で衛兵を務め、貴賓のみが選別され、地元の裸足の人間は恐れ一歩も近づけなかった。

今は知らぬが、シンガポールのラッフルズホテルが威厳たっぷりのこのシーク教徒を正面玄関に立たせていたのが懐かしい。
伝説のシンガポール・スリングを飲みたいが故に、出張の度にターバンを被ったこの大男の横をすり抜けた。

話はヤンゴンだった。
レッドカーペットの上陸地点に今はジュニア・ダック・レストランが建っている。
ある時から海上の旅が空の旅に取って代わった。
すると正にこの場所がストランドホテル経営の外付けリバーサイド・レストランとして賑わった。
更に時代は移り代わり、今の中華料理店がオーナーへと変身した。

気分が乗ると、親しい友人を誘って、あるいは独りで、ローストダックとビールを求めてここにやって来る。
そして英字紙を読み耽る。

潮の満ち引きで、川の流れは向きを変える。上流から下流にFresh waterが流れることもあれば、河口からSalt waterが逆流することもある。二つの水質が混じりあうBrackish waterという珍しい現象を観察出来る貴重な場所である。

船舶は塩水、ブラッキッシュ、清水で浮力が異なり、許容積み高に大きく影響する。昔の船乗りは計算尺で苦労したが、現代っ子の船乗りはパソコンで一発だ。

船員の卵が身につけるべき基本知識はこのヤンゴン川でほとんど修得出来る。


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・46:このレストランで思う事

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このレストランやヤンゴンだけではない。運送形態までがガラリと代わった。
平家物語のずっと以前から変遷は世の習いであった。
だが今はスピードが加速し、朝令暮改でヤンゴンは動いている。

猛威を振るうデルタ株で、アナタは生き残り、ノンポリはお陀仏かもしれない。
気を許してはいけない。失礼ながら、理論的には逆も成り立つ。

過剰な世界人口がコロナで自然淘汰されて何ヶ月後、あるいは何年後には世界が再稼働する時がやって来るかもしれない。
いや必ずやって来る。
その時生き残るのは新しい時代、新しい環境に適した能力と体力を身に着けた適者生存ではなかろうか?

そこの所を国軍に訴えていきたい。ロシア製ハイテク武器だけでは国力は強化出来ないし、ましてや国民の支持は得られまい。北鮮がそのモデルケースである。

このレストランは窓際の席に限る。冷えたビールで対岸のダラー造船所を眺め、日本が寄贈したフェリーの往復も見学できる。同時に両岸を結ぶ小舟や行き交う船舶の速さで川の流れの強さを感じ取る事が出来る。

時間帯にも寄るが、出船入船状況、喫水線から満船か空船か、コンテナ船の箱の会社名、などなどでこの国の輸出入の好不況、新聞報道のウソ・ホントが見えてくる。

ついでに無駄話をすると、日刊英字紙の片隅に港湾局名義で船名と航海番号を明記して「CLAIMS DAY NOTICE」が掲載される。

本船は何番埠頭に何月何日着岸する。該当受け荷主は何日以内に荷物検査を受け貨物を引き取る事という通告である。

世界中の港町で入手出来る英字新聞から読み解く楽しみがある。

MAHは無知無能で知らないだろうが、新聞からこの通告だけを追っかけてもクーデターの影響を読み取ることが出来る。

ストランドホテルのロビー裏のキオスクに植民地時代の見上げるほど大きなアドミラル・チャート(*英国版海図)が掛かっていた。
そこには重要なエレファントとモンキーの両ポイントが記載されていた。

この沿岸水域を測量したイギリスの航海者が繁茂するジャングルから半端で無い数の象と猿が姿を現したので印象深く、このように命名したと想像するのはノンポリの勝手だ。

話は道草したが、東西に長いボジョー・アウンサン通り以南の長方形がヤンゴンの下街を形成している。その東西の中心となるのがスーレーだ。これも黄金のパゴダである。


ノンポリの無駄話はまだ前口上の段階だ。死にたくなるほど時間がリッチな読者に適している。

只今のヤンゴン時間7月11日日午前4時50分。

東西南北研究所


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