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<ミャンマーで今、何が?> Vol.450
2021.07.16
http://www.fis-net.co.jp/Myanmar

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━━【主な目次】━━━━━━━━━━━

■小バカが大馬鹿に!?!その14

 ・50: 壁に耳あり障子に目あり

 ・51: 危険が身近に...

 ・公式ツイッター(@magmyanmar1)

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・50:壁に耳あり障子に目あり

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英国の名門イートン校を卒業したジョージ・オーウェルは大学には進まず、ビルマで警察官となった。大いに参考となる『ビルマの日々』は1934年に発表された。

その名著『一九八四年』はビッグブラザーの全体主義監視世界を見事に活写している。

これは1949年の出版で、痛烈なスターリン批判だが、MAHの愚かなクーデター政策を偶然とはいえ見事に予測した内容でもある。

“平和省”が戦争を、“愛省”が思想統制を、“豊富省”が窮乏をもたらし、“真理省”が一切の情報・歴史を改鼠、抹消、捏造し、国民の行動はテレスクリーンに映し出され、ついには独裁者の思うままに国民は操られていく。

ミャンマーでは新聞ネタの犯人は通報によって逮捕されるのが常である。どうしてか?

国内には町村区内をバッチリと取り締まる監視網が二重三重にも仕組まれ、家族内のメンバーの移動すら遅滞なく届出る事になっている。この“お上”とは警察とは全くの別の監視組織である。

老爺心ながら、揉め事があってもこの国では“出るとこに出よう”と息巻いて警察を頼ってはヒドイ目に会う。下手するとパスポートを取り上げられ、出国出来なくなる。
更に泣きっ面に蜂なのが、弁護士を探してきて裁判沙汰に持ち込むことだ。自称外国馴れした外国人は非常に多い。何ら進展しないまま半年一年はアッという間だ。手持ちの資金を使い果たした頃、やっと蟻地獄に気付き、本物の外国慣れした外国人に目覚めていく。

この国では警察と弁護士を信用したら痛い目に遭う。それを事前に教えてくれる信頼できる将来の友人に出逢うのは運次第である。

話を戻そう。
上ビルマの田舎から両親が大都会ヤンゴンの息子のアパートに一二週間厄介になったとしよう。
ミャンマー方式では田舎とヤンゴン両方のお上に届けを出さねばならない。

これが貧困家族が多く住むヤンゴン郊外で問題となっている“ゲストリスト”である。監視の目は家庭内まで入り込んできた。

田舎の母親が泊りがけで親戚を訪ねる。息子が仕事が忙しくヤンゴン中心部の事務所に泊まり込む。この二人が不審者だと、親戚と事務所の双方が捜索対象となる。

反政府不服従の市民が一杯の今、彼らは友人宅、ゲストハウスを泊まり歩いて息を潜めている。もちろん当局の追手を逃れるためだ。

取って置きの話をすると、一流ホテルの宿泊客は全員リストに記載され、毎日お上に届け出る規則となっている。
各ホテルはその為だけに元陸海空軍の軍人を当局との連絡将校として雇用していた。

外国人はパスポートを預ける事になってるが、その詳細はコピー貼付でお上に届けられている。今ではオンライン処理で効率化されているかも知れない。


2016年誕生のスーチー政権以降は緩和された部分もあるかも知れない。だが基本的に外国人は公認のホテル・ゲストハウスしか宿泊できない。

小規模な個人企業は民間のコンド・アパートに事務所を構えている。
これも大家がオヒネリを包んで町区内の監視網に毎月届出て黙認されているのが実情だ。

飛行場で提出する入国カードには署名欄があり、当局はこれだけでアナタを逮捕する立派な口実を記載している。英文の裏面約款を参照。

海外に設置された大使館・領事館もネイピードの耳目として活躍してきた。

寒い北国を嫌い半年はヤンゴンで経営するゲストハウスで過ごすアイルランド人は故郷のBBCのインタビュウを受け、独裁政権の悪口を思う存分語った。
すべては在外大使館のモニターで検閲され、入国ビザが発給されなくなった。
ゲストハウスはオーナーが代わり由緒ある名前も変わったようだ。

最近日本政府に難民申請したこの国の著名サッカー選手がいる。本人は覚悟の上だから本名が報道されるのは仕方がないとしても、地方の何々町区何々村出身とかあまりにもプライバシーを詳細に伝える報道を見た。

現地大使館から入手する情報で、当局は容易に家族・友人たちを探し出し、他の外国派遣選手への見せしめ防止策として酷い拷問が頭にちらつき、ヒヤヒヤしてしまう。



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・51:危険が身近に...

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ノンポリはガサツな人間だが、繊細な問題は累を及ばさぬよう、そして人物・場所を特定されぬよう作文しているつもりだ。

数日前の朝の出来事だ。
ゴミ捨てを兼ね新聞を入手しに外に出た。途端に異様な雰囲気に出くわした。


全身をビニールの防御に包み、ゴーグルで顔を覆った大男3人が停めたばかりの救急車から降り、向い側のビル上階を指差し何か叫んでいる。
AMBULANCEの横腹は大きく開かれたまま。
コロナの急患が身近に発生かと緊張した。

外国人が巻き込まれると面倒になる。咎められないよう、駐車した車列の後ろを通り抜けかなり先で道路の中央に出た。早い時間帯で人影は疎らだ。振り返ると男たちは反対側の上階を指差していた。

ここは下街、そこそこリッチで気位の高いスノービッシュな家族が自家用車をビルの前に櫛の歯のように駐車させ住んでいる。
インド系、中国系、上ビルマ系、少数民族系、ミャンマー人と多種多様な人種のオンパレードである。

オレンジ色のゴミ箱に捨てると、戻って来て新聞販売のオヤジと身振り手振りで会話を楽しんだ。
気付くと救急車は走り去っていた。見届けたかったが、タイミングを逸した。どの家が急患か不明のままだった。

翌朝早い時間に電話で詳細が入った。美人で評判の奥さんがいる上階が火元だった。
家族全員が高熱を発症しコロナの疑いで国立病院へ運び込まれた。
例の不服従運動の為、医師看護師、特に酸素ボンベが不十分で、川向うの郊外にある高額で有名な民間病院への入院が許可された。だが突然その夜ご主人が亡くなり、コロナが原因と発表された。

快活で階段を2段ずつ駆け上がるほど壮健な人だった。年齢は40歳代前半だと
思われる。確か中華街にリッチな店を構え、経済的には申し分のない生活だと人伝に聞いた事がある。
自宅前に停めた洗車の時間と新聞時間が重なりほぼ毎朝簡単な挨拶を交わした。確か前日も彼の元気な姿を確認した筈だ。咳込んでいる様子など見たことが無い。それだけに突然の異変に耳を疑った。むしろ高校生の息子たちなど他の家族の間違いではと...

この事件は様々な事を考えさせられた。


MAHと絡めてお伝えする事が幾つもある。
緊急に手伝いをする羽目になったので今朝はここで中断します。
時間があれば、本日続きを執筆します。
来週19日は殉難の日がまた巡ってきます。

ヤンゴン時間7月16日月午前5時55分

東西南北研究所


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