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<ミャンマーで今、何が?> Vol.46
2013.5.29

http://www.fis-net.co.jp/Myanmar


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・安倍首相のミャンマー訪問
  A:5月24日(金)
  B:5月25日(土)
  C:5月26日(日)
  D:海外報道

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今週は週刊メルマガ一周記念第3号として、ミャンマーが軍事的にも経済的にも米国と中国の間で争奪戦の様相を呈してきたという後半に入る予定でしたが、それは来週以降に延期し、今週は安倍総理大臣のミャンマー訪問3日間を追跡し速報でお伝えします。ミャンマー経済戦線での日本の姿勢が、ミャンマーで、そして海外のマスコミはどういう風に報道していたのか浮き彫りにしたいと思います。


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A:5月24日(金)

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まずは国営日刊英字新聞The New Light of Myanmar(以下NLMと略称)同日付第一面に安倍首相夫妻それぞれの略歴が写真入で掲載されました。

同新聞では、テインセイン大統領が米国ワシントンDCからの帰途、韓国のインチョン空港に立ち寄り、ヤンゴンには23日朝帰着。そしてネイピード空港に戻ったことを報じています。

テインセイン大統領夫妻に招待された安倍首相夫妻が24日夕方ヤンゴン空港に到着。空港では連邦ホテル観光大臣、ヤンゴン地区首席大臣、外務副大臣、ヤンゴン市長、駐日ミャンマー大使、駐緬日本大使ら多数が出迎えたが、お歴々全員が夫人同伴というこれまでにない歓迎風景となった。

なお、安倍首相は昨年1月にも訪緬しているが、今回は日本の現職首相としては36年ぶりのことで、祖父・岸信介元首相(1957年)、父親・安倍晋太郎元外務大 臣(1983年)、それに今回を加えると家族3代が訪緬したという事実はミャンマー とは個人的にも強い絆を感じると安倍首相は述べています。

今回50社を上回る財界トップを率いてきたので、今後ともミャンマーに対する日本国官民あげての協力を惜しまない。これを歴史の新しいページの礎にしたいというミャンマー国民へのメッセージを安倍首相は発表した。


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B:5月25日(土)

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安倍首相夫妻は早朝、ビルマ独立の6ヶ月前に志を遂げずに暗殺されたアウンサン将軍他閣僚を祀るシュエダゴン・パゴダ近くの殉難者廟を訪れ花輪を捧げた。

その後、北オカラッパのイエウェーにある日本人戦没者墓地を訪れ埋葬されている日本人物故者に花輪を捧げた。日本人随行団も蝋燭を灯し線香をあげ冥福を祈った。

続いて首相および一行はヤンゴン南部のタンリン地区にある日本の援助で建てられた鉄筋コンクリートの小学校を参観し、文房具を寄贈し、首相は子供たちとの綱引きゲームも楽しんだ。

なお、アキエ首相夫人は別行動を取り、日本人が寄贈建築した尼僧院や日本人医師夫妻が献身的に経営する青年開発センターなどを訪問し、孤児たちが受ける職業訓練の様子などを熱心に参観した。

そして一行は今回の初期の目的であるティラワ経済特区を訪れた。そしてこの経済特区は日緬両国政府および民間業界双方が恩恵を得る最初のプロジェクトであり、この投資によってミャンマーに仕事の機会を多数創出し、新たな技術をもたらすもので、このプロジェクトの社会的・環境上の影響審査は8月には完了し、JICAの支援で国際水準でのグランドデザインが描かれ、地元・市民・投資家の三 者に貢献すると説明がなされた。そしてミャンマー連邦商工会議所会長と三菱商 事会長の間でティラワ経済特区開発に関する覚書の調印式が行われた。このプロ ジェクトはミャンマー側9社と日本側3社(三菱・丸紅・住友)が主導するもので ある。

ティラワ国際ターミナル港を視察した後、安倍首相夫妻はヤンゴン地区首席大臣 夫妻が主催するカンドジーパレス・ホテルでの昼食会に出席した。

ミャンマー連邦商工会議所で午後2時から開催されたミャンマー・日本ビジネス・ フォーラムには150名の日本実業家が出席しミャンマー側財界人と両国間の貿易・ 投資の可能性について話合いが持たれた。

午後2時30分からミャンマー連邦商工会議所で開催されたミャンマー・日本財界セミナーで安倍首相は演説し、午後4時30分にはアウンサンスーチーNLD党首とチャトリアム・ホテルで会談した。

なお、地元の噂ネットワークでは安倍首相夫妻一行は総勢1,047名となり、ホテ ルはチャトリアムとパークロイヤルの2つのホテルに分宿し、乗用車・マイクロ バス・大型バスなどのリース代金が一時暴騰したとの裏づけの取れない情報も流 れている。


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C:5月26日(日)

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一行は8時30分にネイピード空港に到着。9時30分から大統領府庭園でテインセイ ン大統領夫妻による歓迎式典が行われた。国家吹奏楽団が演奏する両国国歌に続いて、テインセイン大統領と安倍首相は儀仗兵の閲兵を行った。安倍首相からテインセイン大統領に随行団全メンバーの紹介があり、その後両首脳は大統領府のクレデンシャル・ホールで両国間の多岐にわたる個々の問題を話し合い、両国間 の関係強化を確認しあった。

大統領夫人と首相夫人は午前中大統領府の控えの間で会談し、両国間の親密な関係があらゆる方面で進展していることを話し合い、アキエ首相夫人が今回を含めてこれまでに10回もミャンマーを訪問していることが明らかにされた。

午前11時30分から、大統領府にて両国首脳・高官を含めて財界代表団との実務に関する各種の意見交換が行われ、最後にテインセイン大統領と安倍首相の記者会見が行われた。

午後1時からはテインセイン大統領夫妻主催の盛大な昼食会がミャンマー国際会
議センター(MICC)で開催され、両国の国歌がおごそかに演奏され、両国間の関 係強化を祈念して両首脳の音頭で乾杯が行われた。お互いに交換された贈答品の 中には第27回SEAゲームでミャンマー選手が着用する日本のコシノジュンコがデザインした運動着も含まれていた。

一行はこれで3日間ののスケジュールをすべてこなしネイピード空港を後にした。


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D:海外報道

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26日付ロイター電によれば、ミャンマー政府の1761億円の借金を帳消しにすると日本政府は1年前に約束していたが、今回3日間の安倍首相の訪緬で一連の政治・ 経済改革が当初設定した条件をクリアしていることが確認できたとして正式に実 施され、さらなる510.5億円の追加支援も発表された。ティラワ計画では最大200 億円が40年間0.01%の低利で貸し付けることも決定された。一気に日本の支援が 強化されたのは欧米が科した経済制裁の間に中国の影響が強大となり、その巻き 返しを図るものと指摘するオブザーバーもいる。

24日付ウォールストリートジャーナル紙は、安倍首相はミャンマーの国防省高官 を日本に招待し国軍の訓練を含めた安全保障上の協力関係も強化したい意向であ ると伝えている。ミャンマーは完全な中国依存から西側への幅広いパートナー拡 大に移行しており、日本は電話通信、電力などのインフラ面での経済協力を推し 進めるものとしている。

21日付新華社電によれば、日本の首相の訪緬は1977年の福田赳夫首相以来36年ぶ りのことで、今回は多数の経済ミッションを引きいた両国の経済強化が目的であ るとしている。両国の新しい関係が開始したのは2012年4月に東京で開催された 第4回日本・メコンサミットにテインセイン大統領が歴史的な訪日を果たしたの がきっかけとなった。

日本のミャンマーへの投資は1988年に同国が投資を受け入れて以来、2012年末で259.86百万米ドルとなり、同国の海外投資のランクでは第12位となっている。両国間の貿易総額は、2010-11年の493.8百万米ドルに比し、2011-12年は822.5百万米ドルとほぼ倍増となった。一方、ミャンマーは1970年以来日本に借りた負債総額5024.57億円の内、残額1988.81億円を日本の3銀行からのブリッジローンに 付け替えることでこの借金をクリアにした。この3035.76億円の借金はミャンマー政府が推し進めている経済・社会改革と同時に民主化・国内和解に向けた努力を 支援する目的で日本政府は1年以内に棒引きにするとしている。

シンガポールのAsiaOneは28日発信電で、26日ヤンゴンから首脳会談が開かれる 同国首都であるネイピード国際空港へ向かう政府専用機の中央の席は首相に随行 する経済使節団のメンバーで満席となっており、これほどの大勢の財界人で専用 機が満たされるは尋常なことでないと安倍首相は語っている。

安倍首相は当初この時期にソウルで開催される日中韓・三者首脳会議に出席する 予定にしていたが、尖閣諸島問題で日中間に軋轢が生じ中国が出席を渋ったため に、安倍首相は戦略的重要性を考慮しミャンマー行きをゴールデンウィークの時 期に決定したとしている。そして3日間のミャンマー滞在中に安倍首相はミャン マーはアジアにおける最後の経済戦線だとして矢継ぎ早の経済協力強化の方針を 繰り出した。これらは中国に長いこと侵入され踏みにじられていたミャンマーに、 日本の影響力を増大するものと見られている。

アルジャジーラおよびAFP通信も24日付報道で大型経済使節団を引き連れた安倍 首相のスケジュールを伝え、日本の多岐にわたるミャンマーとの経済的協力強化 を報じている。

ミャンマーの民間ジャーナル誌として有力なELEVEN Mediaが26日付オンライン版 で、安倍首相とその大型経済使節団の行動を逐一好意的に伝え、中国へのカウンターバランスとなる日本の大型投資を期待を持って報道しているのが注目される。 そして細かいことだが、故ネーウィン将軍が1966年から1981年にかけて4回も日本を訪問したとの新しいデータも提供してくれた。






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