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<ミャンマーで今、何が?> Vol.47
2013.6.5

http://www.fis-net.co.jp/Myanmar


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・テインセイン大統領が消えた
 01:テインセイン大統領が忽然と姿を消した。
 02:テインセイン大統領が姿を現す
 03:ヤンゴン空港の輸入貨物取扱いをHtoo Groupが獲得
 04:情報局の親玉キンニュン元首相が画廊開設で再出発
 05:シャン州北部の町ラシオ市で仏教徒の暴徒がムスレムを攻撃
 06:日本大使館より在留邦人へ安全注意が出される
 07:世界経済フォーラム東アジア会議が6月5-7日ネイピードで開催

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01:テインセイン大統領が忽然と姿を消した。

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というニュースがどこからも飛び込んでこない。

安倍首相がこのミャンマーに運んできた日本旋風のニュース。これはミャンマー国内で大々的に報じられ、好意的に期待を持って迎えられ、欧米・中国のマスコミからも驚異の目で報道された。

問題はその直後である。

東西南北研究所は今週号の準備に即座に取り掛かった。その目玉情報はテインセイン大統領の追跡である。

テインセイン大統領の近々の動きは今年4月5-8日に中国を訪問した。これは海南島で開催された南北米大陸・EU・アフリカ・アジア各国の首脳が集まるフォーラムで、テインセイン大統領は習近平国家主席と個別にレッパダウン同鉱山問題を含む最近の微妙な両国関係を討議したとされる。続いて話題を呼んだ米国・ワシントンDC訪問。5月20日のことだった。オバマ大統領は盛んにミャンマーという国名でテインセイン大統領を歓迎し、これまでに成し遂げた民主化へのペースの速い改革を絶賛した。これまで嫌味たっぷりに使用したバーマ(ビルマ)という表現が消えた。ミャンマーに対する米国の政策が大きく転換したことを世界に見せつけた。

そして、安倍旋風がミャンマーで吹き荒れたのが5月24-26日。その最終日の5月26日午後1時からはネイピードの国際会議センター(MICC)で大統領夫妻による盛大な歓迎昼食会が開催された。日緬両首脳夫妻の歓談風景など数多くの国内外メディアが写真つきで報道している。このあと、すべての日程を成功裏にこなした安倍首相一行は満足げにネイピード国際空港をあとにした。

問題が起こったのはその後である。いや、何も起こらなかったことを東西南北研究所は問題にしている。華々しい歓迎レセプションの写真は洪水の如くにネット上をにぎわした。今年12月にミャンマーで開催されるSEAゲーム用の軽くて湿気を逃がすコシノジュンコがデザインしたミャンマー選手用ユニホームをテインセイン大統領の目の前で安倍首相が試着して見せ、その後方でコシノジュンコ、そして首相夫人がにこやかに佇んでいる写真もある。

我が取材陣は必死に大統領を追跡するが、どこからもテインセイン大統領の情報は流れてこない。おかしい。グーグル検索でテインセイン大統領・北京・中国・国賓などのキーワードを入力するが反応はゼロである。欧米を初めとする主要メディアが安倍会談を最後にテインセイン大統領のニュースをストップしてしまった。かといってミャンマー関係のニュースは後に詳述する如く洪水の如くに刻々と流れてくる。念のために、街角のニューススタンドで数多くの国内ジャーナル紙をチェックするが安倍首相関連の写真がほとんどだ。

大統領府の公式広報も26日までの行事が最後で、その後の最新情報に入れ替えていない。おかしい・・・。

もう一度、国営日刊英字紙(NLM紙)を目を皿にして全ページ詮索する。27日・28日・29日・30日と調べるがテインセイン大統領はどこにも登場しない。おかしい・・・。

前にもお伝えしたが、5月26日は第4回目の中国訪問でテインセイン大統領が国賓として招かれるのは就任後初めてだとミャンマーの情報筋が匿名で漏らしていた。同情報筋によれば、今回は両国間の安全と戦略上の問題が話し合われ、特にベンガル湾に面するラカイン州チャオピュー深海港に中国の海軍所属艦隊が寄港する可能性が焦点になるとしていた。世界のパワーバランスに大きなインパクトを与える軍事上の大きな転換点だ。

ミャンマーだけでなく、インドが神経をとがらせ、米国のオバマ政権にとっても見逃せない重要戦略となる問題だ。

テインセイン大統領の海外訪問はNLM紙の第一面に大きな写真入で掲載されるのが慣例である。二人の副大統領を初めとして国軍の最高司令官、国会の上院・下院議長、最高裁判所長官、主要閣僚、両国の駐在大使などなどがネイピード国際空港に勢ぞろいする。そして過剰とも思われる同じ儀式が帰国時も繰り返される。そして、国事多忙な大統領の海外訪問はせいぜい2-3日が普通である。熱狂的に歓迎されたワシントン訪問も実質的に2日間だった。予定通り26日に中国に向かったら遅くとも30日までに帰国するのが普通だろう。だが、帰国時の報道もされていない。

ここまで来ると報道管制しか考えられない。念のために中国の新華社電をチェックするがテインセイン大統領に関しては何一つ報道されていない。ということは中国でも報道管制が引かれている。両国政府が口裏を合わせて極秘外交を行うことはありうる。米国をライバル視するまでに巨大化した中国。その中枢部のワシントンDCから帰国したばかりのテインセイン大統領を習近平国家主席が国賓として直々に迎える。北京国際空港ではレッドカーペットが用意・・・の予想は甘かった。どこからもそのニュースが流れてこないのだから。

おかしいとは思われませんか?

NLM紙の海外ニュース面では中国関係が占める割合が突出して多いのは公然の秘密となっている。暴風雨で街路樹が折れ通行人が怪我をした。中国の少数民族村で花祭りが行われた。エンジン故障で国内機が中国のどこそこに不時着。中国の何とか市で豚の品評会が開かれた。もう勘弁してくれと言いたくなる記事のオンパレード。すべてが中国国営の新華社電から転載。もし新華社が尖閣諸島で忙しく無ければ、テインセイン大統領の国賓としての中国訪問はトップ記事として扱ってもよいはずです。だが、どこにも掲載されていない。やはり、おかしい・・・。


5月30日付NLM紙の第3面海外ニュース欄に写真が掲載された。5月28日、中国の首都・北京でスリランカのマヒンドラ・ラージャパクセ大統領を歓迎する式典が行われたという説明で、レッドカーペット上を習近平国家主席が同大統領を先導して後方には捧げ銃の儀仗兵がずらり並んだ新華社提供の写真です。

スリランカには誠に申し訳ないが、いま世界でもっとも旬で注目されているミャンマーの大統領はどこにいったと新華社に文句を言いたくなる。おかしい。裏に何かある。

あれほど雄弁なスーチーNLD党首がロヒンジャー問題について沈黙して語らない。イライラした欧米のマスコミはマイクを突きつけ集中攻撃を彼女に浴びせかけた。スピークアウト。口に出して喋れと。ミャンマータイムズ紙も露骨に彼女を批難した。マダム・スー、あなたはいずこに?と、しかも社説でだ。それならばQuo vadis? 改めて問い返したい。どうしてテインセイン大統領の行き先を追及しないのだ。

昨年11月19日、オバマ大統領が歴史的ヤンゴン訪問を成し遂げた時、中国はミャンマーとの国境沿いに蟻一匹這い出せないほど大量の人民解放軍を配置した。米国に対しては脅迫のシグナルで、ミャンマー国防軍に対してはまさかの時にミャンマーの安全を保障できるのは中国だけだというメッセージだ。ミャンマー国防軍も米国の諜報機関も即座にそれを察知した。オバマ大統領の滞在はわずかに5時間55分。エアフォース・ワンは何事も無くヤンゴン空港を後にした。

そして今。お伝えしたとおり、ミャンマー国軍がコントロールし切れていないミャンマーのWa族が支配する国境地域に中国人民解放軍は大掛かりな空対空ミサイル装着のヘリコプター・装甲車など重兵器を大量に提供している。キューバのミサイル危機はケネディが勝負に出た。今回は、中国が勝負に出ている。ミャンマーは簡単には米国に引き渡さないと。


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02:テインセイン大統領が姿を現す

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そして5月31日付け国営新聞NLM紙上にテインセイン大統領が戻ってきた。大きな写真つきで第1面全部をカバーする記事だ。表題は「ティラワ経済特区が進行中:ミャンマー・タイ両国がダウェー経済特区の成功を約束」となっており、写真の方は会議を取仕切るテインセイン大統領と巨大な楕円形テーブル両側にずらりと着席した副大統領2名以下政府高官の写真2枚だ。

記事内容は、これまで資金繰りがつかず長いこと中断されていた両プロジェクトだが、日本政府・財界の後押しで両プロジェクトが動き始めたということをテインセイン大統領が経済特区中央委員会で発表したというものだが、我々が問題にしているのはそういうことではない。

5月26日夕方から29日夜までの大統領の行動が完全にミッシング・リンクとなっていることだ。ミャンマーの今の歴史から消されてしまった。

だが、何時までも隠し通せるものではないだろう。ウィキリークの時代でもある。どこからか2013年5月26-29日の謎が明らかになるはずだ。シンクタンク東西南北研究所は決してあきらめない。


今は手の出しようがない。同期間に起こった別の主要情報を短く紹介しよう。週間メルマガ一周年記念特集は又後回しになってしまった。お詫びしたい。


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03:ヤンゴン空港の輸入貨物取扱いをHtoo Groupが獲得

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現在Htoo Groupの子会社MCSはヤンゴン国際空港の輸出貨物を独占的に取扱っているが、輸入貨物の取り扱い資格も獲得した。なお、航空貨物は2017年に完成するハンタワディ新国際空港に移管されることになっている。Htoo Groupはテイザーの所有する巨大グループだ。


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04:情報局の親玉キンニュン元首相が画廊開設で再出発

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この元首相はかってミャンマーで最も恐れられた男である。2003年首相に指名されたが、1年後に不服従と汚職の罪で逮捕され、44年間の収監を宣告され、権力の座から蹴落とされた。そして2012年1月の大統領特赦で想定外だったが2人の息子と共に釈放された。ほとぼりが冷めたと見たのか、海外市場に進出する場のない若い芸術家たちにチャンスを提供したいとして自宅の庭園内に画廊を開設した。中には擦り寄る連中もいるが、冷酷な前歴があるだけに、巧妙に光のあたる場所に返り咲きを謀ると不信の目で見る向きも多い。


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05:シャン州北部の町ラシオ市で仏教徒の暴徒がムスレムを攻撃

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中国との国境の町ムセから南に190kmのシャン州ラシオ市で5月28日暴動が発生した。バイクに乗った何百人という仏教徒たちが山刀や金属の棒を振りかざしラシオの街を徘徊した。暴徒たちは手当たり次第に破壊し、ムスレム(イスラム教徒)たちは街から逃げ出し、映画館やムスレムの店が破壊されたと目撃者は語る。


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06:日本大使館より在留邦人へ安全注意が出される

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28日午後4時頃、シャン州ラショー市において、道路沿いでガソリンを販売していた女性(仏教徒)と口論となったイスラム教徒の男が、この女性にガソリンをかけ火をつける事件が発生した。警察はこの男の身柄を確保、連行したが、仏教徒の住民が警察署を取り囲み、この男の身柄を引き渡すよう要求、警察側がこれを拒否したため、一部住民が暴徒化し、警察署周辺に駐車されていたオートバイに火をかけ、市内のモスク及び商店等家屋を破壊するという行動に及んだ。現在、多数の警察官が配置され、治安は安定している模様。


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07:世界経済フォーラム東アジア会議が6月5-7日ネイピードで開催

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第22回WEFが今週ネイピードで開催されるが,最近のミャンマー・ブームを反映して50カ国以上から1000名以上の世界のリーダーが参加を希望し、記録的な数字となりそうである。

Prep.No.2 センチメンタル・ジャーニーザ・レディーでも取上げたが、長い自宅拘束の後、スーチー議員が最初の海外脱出先に選んだのが隣国タイのバンコクで、そこで開催された昨年のWEF東アジア会議で歴史的なスピーチを行っている。

今回の世界会議ではテインセイン大統領が開会の辞を宣言し、スーチーNLD党首がメイン・スピーカーとなっている。歴史が動かなければ想像すら出来なかった、千両役者二人の故郷の桧舞台での揃い踏みである。


08:スーチーNLD党首が堂々と政府批判・・・だが紙面が尽きた。これは次回にしよう。






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