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<ミャンマーで今、何が?> Vol.48
2013.6.12

http://www.fis-net.co.jp/Myanmar


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・AAA:(政治)
  A1:スーチーNLD議長が公然と政府批判
  A2:政府首脳がスーチー発言に反論
  A3:WEFでスーチーNLD議長が大統領選出馬を宣言
・BBB:(経済)
  B1:世界経済フォーラムは中国に対する西側の巻き返しか?

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<AAA:(政治)> 

○A1:スーチーNLD議長が公然と政府批判

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5月末に開催されたNLD中央執行委員会でスーチー議長は公然と政府批判をおこなった。

“我々は改革について過去3年間話し合ってきた。だが、これを徹底的に検証すると、国民に見える形での変化はほとんど起こっていない。もし変化が有効だったら、国民に益をもたらしたはずだ”とスーチー議長は語った。我が国は改革へ向けて動いているが、関係者ひとりひとりが自分自身を変革する必要がある。口先で唱えるだけでは改革は達成できないと述べた。

さらに社会問題化している麻薬を取上げ、麻薬使用がこの3年間で最高となっている。なぜ悪化したのか?政府当局はどうして撲滅しなかったのか?その対策は効果的でなかったのでは?と政府に対して疑問を投げかけた。

そして国際社会に対しても、麻薬取引の対応策をミャンマー政府に急迫しなかったのではと問いかけた。麻薬は若者たちを蝕んでおり、これは今日の問題だけでなく、若者たちの将来の問題でもある。この重要な問題を政府当局はなおざりにし、適切な対応策を講ぜずにきた。それどころか、一部地域では政府は麻薬業者に協力し助長すらしている。もしミャンマーが今後も国際的支援を得たいのであれば、政府はこの問題を看過してはいけない。NLDは重大な関心を抱いているとスーチー議長は語った。

もうひとつは、スーチー議長が発言を避けてきたと国際的に批難されたロヒンジャー問題である。

イスラム教徒のロヒンジャーに対する子供は二人までと制限する政府の政策は、実際に施行されているかどうかは不明だが、このような差別は良くない。人権問題に抵触すると強く政府を批難した。

この‘二人っ子政策’は仏教徒が多数を占める民族主義者の間で、4%を占めるイスラム教徒の人口増が続けば、自分たちの政府と文化は取って代られるとの恐れから1994年に制定された政策である。ロヒンジャーはバングラデッシュ国境近くの貧困に打ちのめされた西海岸に住み、多数の地元仏教徒には現実に存在する脅威となっている。政府当局は“ロヒンジャー”という言葉を否定し、これは大英帝国の植民地主義者が置き土産としたバングラデッシュあるいはベンガリ地方からの侵入者グループであるとしている。

スーチーは約800,000名にのぼるロヒンジャー、特に昨年殺された192名と、この地区から追い出された140,000名を明確な言葉で擁護しなかったとして国際的批難を受けていた。スーチー党首がこの問題に慎重すぎるほど慎重であったのは、人権擁護家の誘導に乗っかった発言をすれば、ミャンマーで大多数を占める仏教徒の怒りを買うことは必須だろう。すると次の総選挙での結果が見えてくる。当時のヒラリー国務長官からの忠告。あなたはもうアイドルではない、政治家はギブ・アンド・テイクが必要な時もあるという言葉がボティーブローのように思い起こされる。


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A2:政府首脳がスーチー発言に反論

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ミャンマーはたった今、外の世界に開放され、民主化への長旅に着手したばかりだ。だが、外国の諸政府・国際機関からは絶大な支持を得ている。確かに改革の進展は深刻な難問に遭遇しているのも事実だ。そして今後も改革の過程で欠陥も出てくるだろう。目前に迫った世界経済フォーラムは世界の投資家にミャンマーを売り込む絶好の機会でもあると、観光省大臣、国家計画経済発展省大臣、大統領顧問などの政府首脳はWEFを間近に控えてスーチー発言への反論を語った。


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A3:WEFでスーチーNLD議長が大統領選出馬を宣言

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世界のリーダーが集結した世界経済フォーラム(WEF)で、スーチー議長が2年後のミャンマー大統領選に出馬すると言明したことは世界中に大きな波紋を投げかけた。

その目標達成を可能とするためにも憲法改正を追い求めると宣言したことに会場では激震が走った。しかし、憲法改正はどこの国でも簡単なことではない。隣国のタイでも国外追放されたタキシン元首相を合法的に迎え入れるためにその妹の政権党が努力しているが決して容易な仕事ではない。インドのガンジー未亡人も首相候補になることを期待されたが、インド生まれでないという憲法制限に直面した。そこで党首のガンジー夫人が指示を出し、シン首相はそれを聞き忠実に実行しているだけとのジョークも流れている。日本でも憲法改正・改悪はそんなに容易なものではない。

国会下院議員議長で、政権党USDPのシュエマン議長も党の信任、国民の支持、議会の承認を得られればと慎重な発言で大統領職への意欲を表明してる。2015年の総選挙および大統領選挙ではこの二人が実質上のライバルになると見られている。


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BBB:(経済)

B1:世界経済フォーラムは中国に対する西側の巻き返しか?

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第22回WEF(世界経済フォーラム)はミャンマーがホスト国となり、6月5-7日に新首都ネイピードで開催された。当初1000人以上の出席申し込みとお伝えしたが、その後、参加国は55カ国以上、参加者は900名を越えたと主催者側が発表した。この数は政界・実業界・学術界を代表する世界のトップからなるVIPの数である。

突然、週刊メルマガ<ミャンマーで今、何が?>の宣伝に入るが、最近そのバックナンバーへのアプローチが便利となり、過去のすべてのメルマガが創刊ご案内版のPrep.No.1・Prep.No.2を含めて簡単に閲覧できるようになった。

そこでPrep.No.2の<センチメンタル・ジャーニーbyザ・レディー>へアプローチしていただきたい。そこにはWEF(世界経済フォーラム)とミャンマーとの関係が詳細に記述してある。というよりもWEFとスーチーさんとの因縁話だ。

ミャンマー・ブームは日本だけの現象ではない。今では、世界中でミャンマー旋風が吹き荒れている。自家用ジェット機でネイピードあるいはヤンゴンに降り立つ世界のVIPの間では「私はテインセイン大統領と、それからスーチーNLD議長と差しで会ったことがある。な〜んだ、君はまだかい」と言って、ジャケットの懐からツーショットの写真をそっと見せつけることが流行っているらしい。だからこのジェット機族が900名ネイピードに集結したと想像してほしい。毎晩五つ星ホテルでカクテルパーティを繰り広げる彼らにすれば、カラカイ半分かもしれない。だが、金儲けの種がどこにころがっているかその動物的な嗅覚で億万長者にのし上がった連中も多数いる。

政界からは、ベニグノ・アキノ三世フィリピン大統領、シンガポールのゴー・チョクトン元首相、NZのヘレン・クラーク元首相、スーチー女史の擁護者であった元米国務長官マドレーヌ・オールブライト、トニー・ブレア元英国首相、EUの各国首脳などなど。

実業界というか世界の大企業からはほとんどがトップのCEO、あるは社長・会長クラスがひしめくように参加している。たとえば、オランダ・イギリス合弁のユニリーバ社、マーガリン・紅茶・アイスクリームなどの食品・洗剤・石鹸・化粧品・洗面用品などを扱う多国籍巨大企業である。コカコーラ、ペプシコ、そしてバジェット航空会社のエアエイシア、ゼネラル・エレクトリック社、オランダを本拠地とする欧州最大の総合電機メーカーであるフィリップス社、クレジットカードのビザ社、ビールでお馴染みカールスバーグ醸造会社、日本の三菱商事会長もその一人だ。インドのタタ・グループも参加している。そして世界最大手の半導体メーカーであるインテル社など有名ブランドのオンパレードである。

国際的な機関としては、国連各機関をはじめとして世界銀行、アジア開発銀行、そして元駐ミャンマー大使などが所属する著名な世界各国のシンクタンク。アジア研究あるいはビルマ研究で名前の知られた大学教授など数えるに暇がない。

今回の第22回WEFネイピード大会の特徴は、西側諸国がビルマに科していた様々な制裁期間に漁夫の利をせしめてきた中国に対する西側の巻き返しと捉えられていたが、決してそんな生易しいものではなく、この地球上に最後に残された経済戦争の最前線であることが徐々に見えてきた。この戦場で超一流のグローバル企業がしのぎを削るのである。熾烈な経済戦争が始まるのである。そこを良く見ていただきたい。

ミャンマーに対する評価は、「まず見て・聞いて・学んで・そして立ち去るだけだ」、これは昔の話。今は違う。これまでのお愛想話がいまはドルを投資し、雇用を増やすという確実な約束事となってきた。

その一つがコカコーラ社である。ヤンゴンからそう遠くないモービー町に瓶詰め工場をオープンし、同社CEOがミャンマー政府高官とコーラのボトルで乾杯している写真がYNタイムズ紙のオンラインで流れた。同工場のオープニング式典である。CEOの横にはオールブライト米国元国務長官がやはりコーラのボトルを手にしている。米国の経済制裁が解除されてからまだ日は浅い。だが、その行動力は日本のお家芸の‘上司に相談してから’ではとても勝ち目がない。その短期間に工場開設にまでこぎつけ、WEFに合わせてCEO自らが開所パーティをやってのけた。しかも元国務長官という彩まで添えて。

それだけではない。
ミャンマーではクレジットカードはまだ実用化されていない。が、マスターカードとビザのトップが乗込んでカード戦争の幕は切って落とされた。コカコーラとペプシコのミャンマーを舞台とした競争はすでにお馴染みだ。世界の四大会計事務所、プライスウォーターハウス・クーパーズ、デロイテ、アーンスト・ヤング、KPMG、までもがヤンゴンに乗込んできた。時代の最先端を行く企業、すなわちグーグル、インテル、ヒューレットパッカード、マイクロソフト、シスコ・システムなどのトップも今年初めにジョイント使節団としてミャンマー政府を訪ねている。

広告業界では世界のトップと言われるWPP社のCEOが世界経済フォーラムに参加し「いまミャンマーはセクシーだ、ミャンマーは熱い」と語っている。気温のことを意味しているのでないことは、賢明な読者はお分かりの筈だ。




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