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<ミャンマーで今、何が?> Vol.62
2013.9.18

http://www.fis-net.co.jp/Myanmar


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■ヤンゴンのネットカフェ事情

・01:時間限定の営業
・02:東西南北研究所のヤンゴン事務所は5店舗
・03:ホテルのインターネット
・04:ホテルのインターネット
・05:マハバンドゥーら大通りのネットカフェ
・06:イスラム教徒との出会い
・07:せみ時雨の夕方
・08:ネットカフェは万国博覧会

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01: 時間限定の営業

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ヤンゴンで24時間営業のネットカフェは存在しない。早くて朝9時ないしは10時からの営業開始で、遅くても10-11時が閉店時間だ。だから朝一番に発信・受信したいときにはネットカフェを探して汗だくとなる。定刻朝9時に駆けつけても、ドアがロックされ、中に人の気配さえしない。ドアにはしっかりとOPEN 9:00 am -9:00 pmの張り紙がしてある。

台風18号の日本の豪雨にはお見舞い申し上げますが、ミャンマーではモンスーンの4ヶ月間毎日が豪雨である。すると朝から回りが洪水ということもある。だから、この張り紙を信じるほうが悪いのである。そうは言っても、日本ではすでに11時30分である。だから、ヤンゴン発信をもたもたしているとすぐに日本時間でランチタイムに入ってしまう。

だが、なんとしても日本時間の午前中に発信を終わらせたい。ということはヤンゴン時間で午前9時30分が締め切り時間となる。


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02: 東西南北研究所のヤンゴン事務所は5店舗

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だから、下町にある東西南北研究所はこれまで徒歩5分圏内に5軒のインターネットカフェを確保し、そこのオーナー・スタッフとも友人となり、当社の事務所だと嘯いてきた。

事務所のパソコンを直接ネットにつながない理由は、特に豪雨のたびに頻繁に故障し、しかもプロバイダーサービスが迅速に対応しないことである。他クライアントの故障を修復した上で2-3日後にのんびりとサービスにやってくる事例をいくつも見て来たからだ。それだったら散歩をかねて外のネットカフェを利用したほうがコスト的にも安上がりである。イライラは生じない。

その判断は正しかった。

5軒の経営方針はバラバラだ。一軒は朝8時ころから店開きをしてくれる。日本との時差2時間30分を考慮すると、これは実にありがたい。そして面白いことに気づいた。ミャンマーには3つのプロバイダーがあるが、各ネットカフェがバラバラにそのプロバイダーを採用し、ハードのスクリーン画面も、ソフトもXPであったり、ウィンドウ07であったりとバラバラに採用している。これと関連するのかどうかわからないが、各ネットカフェーによって、同じ時間帯であっても、今朝は朝から接続がスローだとか、まったく繋がらないとか、順調だとか、毎朝のご機嫌もバラバラなのである。

そしてその店のオーナーまたは若いスタッフとの人間関係が実に重要である。若いお兄チャンは英語もろくにできないが、こっちがゆっくりと日本式発音で、クリックだとかデリートなどというと、ちゃんと理解してくれる。時にはこちらのカーソルと言う発音をカーサーと直してくれる。そして時間帯を見計らって昼飯に誘い出すとOKだという。聞いてみるとコンピュータ学校で何と何の授業を受け、免状も持っていると言う。コンピュータ・グラフィックのプロであったり、プログラミングのプロであったりで、びっくりする。その瞬間から彼らは東西南北研究所の立派な社員である。コンピュータ関係でまごつくことはいくらでもある。でも優秀な彼らを抱えている限り、何一つ問題はない。時には東西南北研究所の本店に出張して不具合を直してくれることもある。修理代金は支払わないが、ビールつきの晩飯を振舞う。

この世の中には人件費が安いと言って安い給料でコキ使う欧米の悪徳業者が今、ヤンゴンには溢れている。だが、東西南北研究所では安い給料などは絶対に支払わない。というよりも、給料は一銭も払わずに優秀な社員を抱えているのである。

だから、ガラッと引き戸を開けて店に入ると、鼻薬を効かせてある店員に、どう調子は?インターネットOK?G-メールOK?というのが毎朝の挨拶となっている。

だが、時には3店舗回っても、ノー・コネクションと言うのに、4軒目でコネクション・グッドと言われることもある。これこそミャンマー・マジックである。こんなときは一仕事終わったあとで、朝10時ころから近くのビア・ステーションに立ち寄り一杯600チャッ トのCビア(マグ入りの生ビール)で小原庄助に成りすましている。


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03: ホテルのインターネット

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ヤンゴンでは最近WiFiがかなり使い勝手が良くなってきたので、ホテル内はそれでほとんど用が足りるが、時折、ビジネス・センターを真夜中に使用したいときもある。建前はビジネス・センターは24時間営業となっている。だが、人っ気の無い真夜中のビジネス・センターには誰もいない。仕方なしにフロントに行って鍵を開けてもらうことになるが、ビジネス・センターの熟知者じゃないのでモタモタ30分ほども時間をかけてパソコンの開け方すら知らない。その挙句に担当者は朝8時に出社するなどと言われることもある。だから、ヤンゴンでは昼間の内に、担当者から真夜中のデスク・トップの使用法などを確認しておくのが無難だろう。


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04: ネットカフェの料金

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ま町のネットカフェでは一時間400チャットが常識である。洒落たショッピング・モールなどでは500-700チャット取られるかもしれない。だが、4つ星ホテルだと桁違いの値段となる。

下町で24時間営業で便利だっボー・アウンチョー街のニュー・エイヤーホテルは最近一時間2ドル(2,000チャット)に値上げしたので、東西南北研究所ご用達から外されてしまった。

パンソダン街のパノラマホテルはホテルのロビーでインターネットを無料で使用でき、ありがたいのだが、フロントのスタッフでパソコンを使用できるのが限られており、その担当者が不在だとまったく使用不可となる。

そして古くからお馴染みのもう一軒は新しいハード・ソフトに入れ替えると言いながら、4ヶ月も閉店となっている。

したがって、現在ご用達のネットカフェは3店舗になってしまった。


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05: マハバンドゥーら大通りのネットカフェ

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その名前は“KiKi”で、朝8時から開店してくれるのが嬉しい。親爺は目がギョロッとしたまん丸の中国系顔つきだ。神棚への供え物、そして四文字熟語の聯句からして、明らかに中国系のミャンマー人だが、中国語はまったくしゃべれない。頭が薄いので年齢不詳である。数年前に、これも中国系顔つきをした若い嫁さんを貰って、当初はこの世で一番幸せな男という顔つきをしていた。

中国語だけでなく、英語もからっきし駄目だが、どういうわけかパソコンには強い。その上、特に外国人に対しては親切だ。時にはダウンロードが遅くていらいらしていると、いつの間にか右後ろに立ち、そっとマウスを奪い取ると、あちこちクリックして、あっという間に作業を完了してくれる。だから私もこの親爺に頼りきっているし、欧米人たちも同様だ。

だから、この店は早朝時間を除いて四六時中混雑している。
パソコンのブースが20台もあるだろうか。そしてここでは、ミャンマーで今流行のSkypeやG-talkなどで海外との更新が賑やかだ。ここでは、会話内容を他人に聞かれて恥ずかしいなどと言うことは、まったく無い。日本人のように、人に聞かれないようにコソコソする人たちは一人もいない。


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06: イスラム教徒との出会い

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ここで一組の老夫婦と友人になった。いつも父君がパソコンを操作しながら画面の相手と喋っている。かなり長いこと喋った後で、細君にマイクつきヘッドフォンを装着させて、隣の私にひ話しかけてきた。縁なしの白い帽子、白いあごひげ、水色のロンジー。明らかにムスレム(イスラム教徒)である。画面に映っている息子はバンクーバー在住で、毎月生活費をきちんと送金してくれる最高の息子だという。そしてマイクに向かって新しい日本人の友達を紹介する。話しているのはウルドゥ語だそうだ。毎朝8時の開店と同時にやってきて、いつも夫婦仲良く孝行息子と一時間以上話しこんでいる。私がドアを開けると細君がにっこり笑って父君の袖を引っ張り私が入ってきたことを合図する。すると父君は息子にジャパンが来たと語っている。ここはパキスタンでも、アフガンでもない、今世界でもっとも平和なミャンマーだ。

ご愛嬌で「アリクム・サラーム」と挨拶すると、細君は実に優雅な笑顔でにっこり笑う。そして父君が「サラーム・アリクム」と返してくれる。

だが、ある時ぱったりとこの二人が現れなくなった。一ヶ月も会えなかっただろうか。そしてまた二人に笑顔に遭遇した。8月はラマダン月で来れなかったが、今日はラマダン明けのお祝い“イード・デイ”だ。この近くの自宅でご馳走したい。このようにミャンマーの交友は広がり、そして異なる文化を勉強するチャンスがあちこちに転がっている。


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07:せみ時雨の夕方

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一定の時間帯に来る男がいる。いつも早口の北京語でがなり立てている。台湾訛りでないところから、多分雲南省系のビジネスマンなのだろう。顔つきは間違いなく中国人だ。
日本製自動車の部品の引き合いを遣り合っている。これは流暢な英語だ。顔つきを盗み見るとひげもじゃのアラブ系だ。

子供の声も聞こえる。多分海外に出稼ぎに出ている父親と話をしているのだろう。色鮮やかなサリーを着たヒンドゥの母親からヘッドフォンを奪い取ることができた。

国内の友人同士で、長話を楽しんでいる若者もいる。

そして少し訛りのある日本語も聞こえる。流暢なものだ。

ミャンマー人でも英語の達者な人はいくらでもいる。その中でも、元船長や航海士で船員派遣会社を経営している人たちは達者だ。シンガポールや香港の海運会社とのやり取りも必死だ。声がだんだん高くなる。

これがこれまでのネットカフェ風景だった。だが、最近は欧米系のジャーナリストやレポーターと思しき人たちも増えてきた。

先日はイタリア語か、スペイン語かは不明だったが、ニュース原稿らしきものを滔滔とまくし立てている西洋人を見かける。

いろんな言語が飛び交う中で、後ろに座ったネットカフェの若い嫁さんが少し調子を外したパーリー語の念仏を唱え始める。

そして一番奥まったところにある台所から、親爺の煮込んだ豚シチューの美味そうなにおいが流れてくる。そしてトントントンと軽やかな俎板で野菜を刻む音が響いてくる。この親爺の肌理細やかさが若い嫁さんの決め手となったのだろうか、気になるが、言葉が通じない親爺と嫁さんでは確かめようが無い。

そして、もうひとつの疑問はこの店には多数のムスレムが利用している。そこでこの中国人の親爺がポークの匂いをプンプンさせて、商売上問題はないのだろうか。だが、客足が遠のかない以上、問題はないと解釈してよさそうだ。

この親爺から学んだことがもうひとつある。それは西洋人と会話をするときのボキャブラリーはOK・OKの一言だけなのである。お客はダウンロードが遅いと文句を言っている。だが、自信たっぷりの親爺はオーケー・オーケーの一言である。お客からマウスを奪うと二・三ヶ所クリックして、上目遣いに画面を見ろという。それだけで西洋人をすべて納得させてしまうのだから凄い語学の達人である。


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08:ネットカフェは万国博覧会

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ちょっと二・三年前までは閑散としていたネットカフェだったが、この一・二年、様相はすっかり変わってしまった。今では世界中の人間が集まり、聞きなれない世界の言葉が飛び交っている。

そして親爺の話すオーケー・オーケーが横柄な欧米人も屈服させている。この親爺こそ、真の国際人かもしれない。




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