******************************

<ミャンマーで今、何が?> Vol.70
2013.11.13

http://www.fis-net.co.jp/Myanmar


******************************


━━━━ MENU ━━━━━━━━━━━━━━━

■忘れ去られた王家(ビルマ最後の王朝)

・01:AAA:(政治)
  -A1:憲法見直し委員会の結論が1ヶ月遅れる

・01:BBB:(経済)
  -B1:パンパシフィックホテルがミャンマーに進出

・01:CCC:(生活一般)
  -C1:忘れ去られた王家(ビルマ最後の王朝)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


今週は、憲法見直しの結論が1ヶ月遅れるという政治記事、高級ホテルのパンパシフィックがヤンゴンに進出するという経済記事、そして生活一般扱いとしたがビルマ最後の王朝の話、この3点を取上げた。


=================================

AAA:(政治)

A1:憲法見直し委員会の結論が1ヶ月遅れる

=================================


2008年憲法の修正案は当初11月15日が締切日であったが、今国会で12月31日まで認められることになったと11月7日発表された。これによって、6月に結成された109名のパネル委員会の最終レポート締切りは12月31日から1ヶ月遅れて1月31日となった。

議員の説明によれば、委員会はすでに何百という提案を受理しているが、最近、政府と平和交渉を行っている武装少数民族が広範囲に亘る自治権の拡大を要求しており、これらの提案も織り込むことが望ましいとしている。

スーチー党首の野党NLDから参加している委員は、この憲法改正は非常に重要なので国民の声を多数聞くためにも、見直し期間を延長する議会決定は歓迎だとしている。最大与党USDPの委員も全国民の和解という政府の目標を達成するためにも武装少数民族からの見直し提案をじっくりと検討する必要があると語っている。

政府代表と12を超える武装少数民族の各代表団とは今週はじめまでに全国的な停戦協定の細部を詰めることができず、討議は来月まで延期された。平和協定の調印には合意したが、その時間枠を設定することはできなかったと双方共にその声明文で語っている。時間枠が決定すれば、武装グループが要求する解決案を修正憲法に織り込むことができる。全モン地区民主党(AMDP)の議員は、政府がミャンマーの少数民族武装グループと和解するには憲法の修正は絶対に必要であると語っている。

これ以外にNLDにとってはもうひとつ大きな問題がある。スーチー党首の大統領出馬である。憲法の改正なしにはこれはクリアできず、しかも2015年というタイムリミットがある。
これと微妙に影響するのが選挙を経ずに割当てられる25%の軍人議席である。憲法の改正には議会で最低75%の賛成を必要とし、その後に国民投票での賛否を問わねばならない。しかし、現在は国防軍とUSDPで80%以上の議席を占めている。今年の9月、シュエマン下院議長は権力を民間政府にスムースに移管するために前軍事政権はミャンマー憲法を制定したと語り、将軍が実質上の権力を保持するために制定したという思惑を一蹴している。


=================================

BBB:(経済)

B1:パンパシフィックホテルがミャンマーに進出

=================================

ミャンマー初のパンパシフィックホテルを建設するために、同グループとデベロッパーのシュエタウングループが合弁事業の条件交渉に入った。

当局の承認が必要だが、ホテル名はパンパシフィック・ヤンゴンで、客室数は348室、パンパシフィックが運営を担当し、持株シェアはパンパシフィック20%、City Square Pte Ltd20%、シュエタウン60%となっている。

2016年のオープニングを目指すが、全体はサービス・アパート、事務所、小売店舗などとの複合施設となり、ホテルはその一部を形成する。

建設予定地はヤンゴン中心地のシュエダゴン・パゴダ道路とボージョー・アウンサン道路の角地でボージョー・アウンサン市場の向い側となる。ホテル内には水泳プール、スパ、ジム、宴会場、会議室、24時間営業のレストラン、高級レストランなども設けられる。目の前にはクラシックなアングリカン・トリニティ・チャーチが聳え立ち、ヤンゴン川や、ヤンゴンの下町を眺望することができる。

同グループは12年間パークロイヤルホテルを所有し運営しているが、この新しいパンパシフィックの登場でミャンマーにおける同グループの存在感はさらに強化されるだろう。



=================================

CCC:(生活一般)

C1:忘れ去られた王家(ビルマ最後の王朝)

=================================

ビルマ最後の王朝は正式にはコンバウン王朝と称し、1752年から1885年まで続いた。王都はシュエボからアバ・アマラプーラ・マンダレーと遷都し、その権勢は一時タイのアユタヤからインドのマニプールにまで及んだ。だが、豪壮な僧院に囲まれた、チーク材建築のマンダレー宮殿は3回目の英緬戦争で陥落し、最後は太平洋戦争ビルマ戦線における日本軍とイギリス軍の熾烈な戦いですべて焼け落ちてしまった。

1885年はビルマのラスト・キング、ティボウ、が大英帝国によってマンダレーの玉座から引きずり降ろされた年であり、大英帝国のビルマ植民地経営が本格的に開始した年でもある。

そのラスト・キングの孫娘であるテイク・スーパヤジー王女が質素なヤンゴンのアパートで貧しく、隣人にも知られずにひっそりと暮らしているというニュースが先週その写真とともにAFPから流された。

数多くの召使にかしずかれ、栄光と権力の日々に過ぎ去った子供時代は遠い記憶だとこの孫娘は語る。あまりにもかけ離れた今の境遇をこの90歳になる王女はどう受け止めていることだろう。

第三次英緬戦争の敗北でビルマの王朝・王家は廃絶され、大英帝国は微塵の敬意も払わずにキング・ティボウと王妃スパヤラトゥをインドの小さな海浜の町ラトゥナギリに移送した。同様の処置は、前にもお伝えしたが、インドにおけるムガール皇帝とその皇族に対しても行われ、ラングーンに幽閉してムガール王朝は完全に廃絶された。このラスト・キングとラスト・エンペラーの二つの物語は近松門左衛門にでも浄瑠璃で語ってほしいところである。過去の栄光を剥奪された王家の悲しみを平家琵琶の音色に乗せて。そして今、世界でもっとも権威のある、そして世界でもっとも資産を所有する英国王室は燦然と世界に君臨している。

1916年にティボウは56歳でこの異国の地で息を引き取り、王家の家族はその後離散し、筆舌に尽くせないほどの悲惨な生活を送り、一部はインドに残り乞食同然の生活をし、一部は大英帝国統治下のビルマへ戻った。王室歴史家で文化省副大臣のタンスエは“大半の人々はビルマ王のことを忘れている”として、ティボウ王の遺体をミャンマーへ取り戻すキャンペーンを行っている。

昨年12月、テインセイン大統領がラトゥナギリにあるティボウ王の墓を参拝したときにミャンマー王朝に対する関心が国民の間でわずかに再燃した。しかし、タンスエは2011年に軍事政権が終了し、全面的な改革が行われる中で、新政府は率先してこの問題を取り扱うべきだったと語る。王妃スパヤラトゥの墓はヤンゴンにあるが、それを明示するものはほとんど無い。家族が簡単な墓標を立てたが、前の軍事政権は即座にそれを撤去した。

AFPがインタビューしたテイク・スーパヤジー・プリンセスと89歳になるその弟君のトウパーヤー・プリンスの二人のみがキング・ティボウの生存している孫でコンバウン王朝唯一の継承者となる。この二人は英国が立ち去ったあと、わずかばかりの手当てを拒わり、生活の糧を自分たちで稼いだ。王女は子供時代、南部の都市モーラミンのカトリック系学校で学び、完璧な英語を話す。そしてオーストラリア大使館とアメリカ大使館での職を得たが、今でも英語を教えている。

この王女は現在、葬儀組合で働く娘と同居し、他に5人の子供、20人の孫、8人の曾孫がいるが、王家の血筋に関心を抱くものは一人もいない。テインセイン大統領がラトゥナギリを訪問してくれたことに深く感謝しているが、祖父の気持ちとしてはそのまま動かさずにそっとしてほしいというのがその心境ではないかと彼女は信じている。

1990年代初めにお金を工面してインドへ旅したが、これが追放された祖父の家を訪ねた唯一の機会であった。バルコニーに佇み、アラビア海を見つめて、故国を思って涙ぐむ王妃の話を母親から聴いたことを思い出した。私もその小さなベランダに立ち夕日が沈むのを目にしたとき、ああこれがお祖母様の抱いた気持ちだったのだと思った。私の目は涙で一杯になった。




━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ご意見、ご感想、ご要望をお待ちしております!
 magmyanmar@fis-net.co.jp 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


=================================
- ご注意 -
このメールマガジンは情報提供を目的としたものであります。
なお、内容につきましては正確であるよう最善を尽くしておりますが、その内容
の正確性を保証するものではなく、内容についての一切の責任を負うものではあ
りません。
=================================


▽このメールマガジンは等幅フォントでご覧ください
 表示がズレる場合はお使いのメールソフトのフォントの設定をご確認下さい
 ※MS Outlook Expressの場合
 「表示→文字のサイズ」を選択、「等幅」にチェック


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
※「ミャンマーは今?」の全文または一部の文章をホームページ、メーリングリ
スト、ニュースグループまたは他のメディア、社内メーリングリスト、社内掲示
板等への無断転載を禁止します。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
※登録解除については下記のページからおこなえます。
 ○購読をキャンセル: http://www.fis-net.co.jp/myanmar/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 発行元:ミャンマーメールマガジン事務局( magmyanmar@fis-net.co.jp )
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━