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<ミャンマーで今、何が?> Vol.72
2013.11.27

http://www.fis-net.co.jp/Myanmar


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■キャサリン、トニー、ビルの食事会

・01:キャサリン、トニー、ビルの食事会

・02:ロヒンジャー問題で国連・米国がミャンマー政府に圧力

・03:欧米の識者に果たして真の解決策が期待できるであろうか

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01:キャサリン、トニー、ビルの食事会

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東西南北研究所ヤンゴン事務所からゆっくり歩いて10分もかからないところに「モンスーン・レストラン&バー」という植民地スタイルの瀟洒なレストランがある。植民地時代を思わせる天井の高い建物でレトロでシックな店だ。ミャンマー・ラオス・カンボジアそれぞれの料理をフィーチャーしたメニューで欧米人に人気があり、ワイン類・洋酒類も豊富に揃え、当然それなりのお値段というところである。

このレストランで11月14日、キャサリン、トニー、ビルの三人が仕事を兼ねた食事会を開いた。

キャサリンとは労働者階級の家庭から英国議会のトップクラスに立身出世して、現在はEU議会の大物となったキャサリン・アシュトン女史、トニーとは1997年から2007年まで英国の首相を務めたトニー・ブレア、そしてビルとはヒラリー元米国国務長官のご主人で米国の第42代大統領も務めたことのあるビル・クリントンだ。

このパワー・ミールにおける話の内容は別にして、時代の脚光を浴びる軸足は今ロンドンでもニューヨークでもなく、このミャンマーに移ってきたと言えないだろうか。ミャンマーが今ナウいと言う表現は古臭いか。

そして今でも何がしかの影響力を持つこの三人は、それぞれのスケジュールでテインセイン大統領、シュエマン下院議長、スーチーNLD党首と個別に会談している。海外のVIPにとってこの三名はミャンマーを訪問するなら万難を排して面談すべき三点セットとなっている。小泉さんなら三位一体と呼ぶかもしれない。それは2015年の総選挙・大統領選挙を左右するキー・パーソンであるからに他ならない。



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02:ロヒンジャー問題で国連・米国がミャンマー政府に圧力

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東西南北研究所が独りよがりの意見を押し付けるのは問題だが、ロヒンジャー問題に関しては政府首脳およびジャーナリストを含めて欧米人の考えはあまりにも独善的であると言わねばなるまい。

テインセイン大統領が毅然と表明している。ロヒンジャーはミャンマー固有の人種ではなく、隣国バングラデッシュから経済難民として違法に越境してきた人々で、その遠因は植民地時代の労働力として英国がビルマに移入させたベンガル人である。ミャンマー政府が彼らを押し返すと隣国バングラデッシュは鉄条網を張り巡らし難民受入れ拒否という対策を取っている。歴史的・文化的・人種的・言語学的にもロヒンジャーはミャンマー固有の民族ではなく、ミャンマー政府は彼らをミャンマー市民として受入れるわけにはいかないという政府声明はまったく正しい。

しかし、国連が今回決議したミャンマーに定住したロヒンジャーに市民権を与えよという理屈は、繰り返すが歴史的・文化的・人種的・言語学的背景を無視した議論で、しかも、一国の政府に対して米国の圧力を掛けさせるという議論は欧米の傲慢さ以外の何ものでもない。

ラカイン州において仏教徒がイスラム教徒を迫害していることを国連が非難するのは筋が通っているし、14万人以上に上るイスラム教徒を強制移動させたことを国連の人権委員会が非難することもこれは理屈にあっている。しかし、ミャンマー政府がロヒンジャーをミャンマー市民として認知しろという議論はあまりにも安易な解決策で、現在もそうだが、将来に人種問題・宗教問題を再燃させる火種になるだけではないだろうか。

そのための国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)であり、もう少し高度な議論を揉まないとパレスチナやアフリカ諸国同様に根の深い新しい問題を作り出すだけのような気がする。

諸悪の根源を作り出した英国を蚊帳の外に置いて、同系のアングロサクソンから派生した米国に圧力を掛けさせるという姑息な手段は、21世紀の今の時代には相応しくないのではないだろうか。

特に最近の欧米系のマスコミのロヒンジャーを巡る取上げ方には一方的にミャンマー政府に圧力を掛け、ロヒンジャーを市民として認めろなど理不尽な横暴さであると思われる。これまでにかっての宗主国であるフランス・イギリスなどは、歴史的贖罪の意味からか、かっての植民地からイスラム教徒を自国内に受入れて、その結果文化的な摩擦が各方面で露呈している。

西洋社会と異なり、ミャンマーは歴史的贖罪を施してもらう立場であれ、彼らを受入れる必然性はどこにも無い。

むしろ、人口爆発に伴う地球環境の悪化、そして人口爆発に伴う経済的負担の増大という、新たな問題に対処して、宗教的観点とは別に(言うは簡単、実行は難物だが)、イスラム教徒の人口増加を、特にイスラム教徒と共に検討する時期に来ているのではないだろうか。

インド洋、ベンガル湾、南洋諸島には、昔からムスレム(アラビア)の船乗りが進出し、周りが気が付いたときにはイスラム教徒の子沢山、そしてモスク寺院があちこちに建てられている。それをスリランカの、そしてミャンマーの仏教徒・僧侶が21世紀の今になって大騒ぎしているのが今の現状ではないだろうか。

当然ながら、イスラム教徒の金持ちは4人まで妻帯できる。彼らの場合は、金持ちの子沢山である。しかし、貧乏人のイスラム教徒は細君は一人でも、貧乏人の子沢山を実践している。

この問題をイスラム教徒だけを非難するのではなく、宗教問題に引っ掛けて持ち出すのでもなく、我々が乗船している唯一のロンリー・プラネットの仲間として、あるいは運命共同体として取り組まないとこの地球は住みにくいところになりそうである。

それをミャンマーの仏教徒も、宗教戦争として、イスラム教徒に迫害を加えるのであれば、かなりレベルの低い話となり、本質の解決とはなりえない。

しかし、昨今のマスコミの取上げ方は、あまりにも表面的な対立を取上げるだけで、むしろ問題を煽っているだけのような感がある。

スーチーさんも、その当りの状況が読めているだけに、欧米のジャーナリズムからは非難されても、その核心に踏み込めないのであろう。

これはミャンマー政府の問題ではなく、スーチー党首の問題でもない。国連が安易に決議できる問題でもない。世界の宗教家が簡単に平和共存を呼びかける問題でもない。世界の有識者が知恵を持ち寄って協議すべき問題ではないだろうか。



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03:欧米の識者に果たして真の解決策が期待できるであろうか。

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ここでお尋ねしたい。昔の宗主国を代表するトニー・ブレアさんならばどういう解決策があるだろうか。第2次世界大戦後、大英帝国からバトンタッチし、超スーパー大国として君臨する米国の元大統領のビル・クリントンさんならば、どういう解決策を提案するだろうか。そして舵取りの難しいEU諸国が抱える問題を次から次に解決してきたキャサリン・アシュトンさんならば解決の糸口をどこに求めるだろうか。お伺いしたいものである。

今回は、欧米のマスコミがあまりにも一方的にミャンマー政府を非難する記事が溢れているので、少し憤慨して反論しました。




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