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<ミャンマーで今、何が?> Vol.74
2013.12.11

http://www.fis-net.co.jp/Myanmar


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■ランドマークは政府の承認待ち

・01:ヤンゴンの新名所となるランドマーク・プロジェクト

・02:複雑な認可手続き

・03:さらに煩雑で深刻な手続き

・04:遠大な計画に向けて動き出す

・05:サージパンの手法から学べること

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ヤンゴンで銀座四丁目といったら東西に走るボージョー・アウンサン通りと南北に走るスーレー・パゴダ通りの交差点、すなわちトレーダーズ・ホテルとサクラタワーのツインタワーの建つ場所といってよいであろう。その北西の角にもうひとつヤンゴンのランドマーク、すなわち新名所となる新開発地区が予定されている。

反対方向から説明すれば、ボージョーアウンサン・マーケットの東隣に建つFMIセンター・ビル(パークソン百貨店+賃貸事務所)を含めて、グランド・ミヤタ(経営者向け高級住居)、そして歴史遺産として登録されている赤レンガ建ての豪壮な旧ビルマ鉄道省本庁舎までの広大な敷地である。合計すると10エーカーを上回る。その北側はヤンゴン環状線で仕切られ、東側は環状線を跨ぐ高架陸橋となっている。

この巨大開発事業を推進しているのが、日付週刊メルマガ9月11日第61号で特集したサージパンという男である。

今回のポイントはこのサージパンというミャンマー事業にネットワークを張り巡らし、専門家による顧問団を潤沢に揃え、ミャンマー事業に熟達した人物ですら、政府の許認可取得に苦慮しているという実態である。



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01:ヤンゴンの新名所となるランドマーク・プロジェクト

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香港のペニンシュラー・ホテルといえば、シンガポールのラッフルズ・ホテルと共に大英帝国植民地時代を髣髴させ、世界の漫遊家たちから愛されている超高級ホテルである。そのペニンシュラー・ホテルを運営するHK & Shanghai Hotels がミャンマーの変革を確認し、サージパンと提携してヤンゴンのこの一等地に進出し、この旧ビルマ鉄道省本庁舎を修復して新たにペニンシュラー・ホテル(ヤンゴン)として登場する。これが実現すれば、ダウンタウンの超一等地でもありヤンゴンの新名所となることは間違いないだろう。これとは別にサージパンは三菱商事および日本最大の不動産開発業者である三菱不動産とも提携して同敷地内にビジネスホテル、サービスアパートメント、超高級コンドミニアム、スーパーマーケット隣接の賃貸事務所など多目的利用の一大商業施設を開発することにしている。



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02:複雑な認可手続き

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このランドマーク計画はまず最初にヤンゴン市開発委員会(YCDC)の規定する新規開発地区計画案に合致していることと、歴史遺産保存委員会の反対がないことが絶対条件で、それを充たした上で鉄道省からのリース期間延長認可を受け、そしてミャンマー投資委員会(MIC)の認可が必要とされている。

サージパンは1995年に締結したリース契約を現行投資法で許される最長70年間、50年間プラス2回の10年間延長、まで延長するよう12月5日に鉄道省に対して申請したと12月9日付ミャンマー・タイムズ誌は報じている。これが認められれば当初のリース期間を20年間上回ることになり、サージパンがそれぞれの会長を務めるFirst Myanmar Investment(FMI)、Serge Pun & Associates(SPA)、そしてシンガポール証券取引所に上場されているYOMA Strategic Holdingsは合計約4億ドルのランドマーク計画のうち、過半数の株式を取得し、サージパンにとっては有利な取引となる。

2012年後半に成立した外国投資法で認められたリース期間延長に関する鉄道省との協定書が締結され次第、鉄道省が署名した協定書を添付してMICに申請書を提出し、同時に司法長官事務所にも提出することになっている。



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03:さらに煩雑で深刻な手続き

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ところが、過去2年間で鉄道省の大臣が2度変わり、問題をさらに深刻化させている。

つい最近では、この7月25日にウ・タンテイ新大臣が鉄道省のウ・ゼイヤアウン前大臣に取って代わり、これまで長いこと鉄道省副大臣を務めたウ・タウンルインも他のポストに移動した。当然ながら、新任大臣は新しいポストでの勉強期間が必要とされ、新規事業の過去の経緯を新たに見直す時間が必要となる。我々にとっては唯ひたすらに待つしかない、MICの認可なしにはいかなる建設工事も着工できないとサージパン会長は苛立ちを隠さずに語った。

11月22日にはFMIの年次株主総会が開催され、席上サージパンはこの計画は年末までには希望的観測だが認可されるだろうと強気の発言をしているが、実際問題その予想は厳しい状況となっている。

“私は何度も政府筋から問題はない、単に手続き上の問題だけだと言われており、数日前も大統領府事務局から本件には注目しており、できるだけ速やかに正しい方向で決着が付くようにすると念押しされた”とサージパンは語った。

このランドマーク計画にはもうひとつ問題があった。この新開発地区のリース契約の所有者であるミヤタ国際ホテル会社の元々の投資家で過半数の株式を所有していたタイのNawarat Patanakarn社との未解決問題を決着せずには計画が先に進まない状況になっていた。だが、少数株主のパートナーとなっていたSPAが肩代わりして同社の借金をすべて政府に返済して、2012年8月には同社との間で和解が成立した。



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04:遠大な計画に向けて動き出す

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それから3ヵ月後の2012年11月19日、バラック・オバマ大統領の専用機エア・フォース・ワンがヤンゴンに降り立った。

その同じ日に、YOMAはランドマーク計画を立ち上げると発表した。これには鉄道省本庁舎ビルを修復し、グランド・ミヤタ経営者向け高級住居とFMIセンターの解体作業と、新たなビル4棟を建設する計画が含まれている。

そして今年4月にはHK & Shanghai Hotelsとの間で元の鉄道省本庁舎ビルを修復し、ペニンシュラー・ホテル(ヤンゴン)に改造する共同事業協定書が合意に至り、同時に超高級ペニンシュラー住宅の管理契約も同社との間で締結され、さらに米国のStarwood Hotelsにビジネスホテルの管理を任る決定もなされた。

サージパンは外国投資法の実施が決定すると同時に今年1月ランドマークのリース契約延長を提出した。しかし、YOMAは売買契約の一部としての新しいリース契約取得の締切日を6月30日から12月31日に延期すると6月30日に発表した。

10月には、YOMAはランドマークの開発に三菱商事と三菱不動産の協力を得る覚書(MoU)に調印したと発表した。これによれば、三菱側は過半数に満たない株式を所有し、FMIとYOMAが過半数を所有することになっている。コストの50%はパートナー間で株式持分によって分担し、残りは他からの借金で賄うことになっている。しかし、リース契約延長に関するMICの承認が下りるまでにはHK & Shanghai Hotels、または三菱商事、あるいはStarwood Hotelsとの協定書を締結せねばならない。仮にYOMAが正式なパートナーに認定されず、計画が順調に進展せずとも、すでに数百万ドルに上るYOMAの初期コストをSPAとサージパンが負担することで話はついている。

関係者間での正式な協定書を締結し、一歩でも前進するために、とにかくMICの承認待ちというところだとサージパンは語っている。だが、MICのメンバーは先週、ランドマークに対する正式な申請書は受け取っていないと確認しており、多分同社は政府筋との打ち合わせを行っているのだろうと推測し、正式なチャネルを通して申請書が提出されればMICはこの案件を可及的速やかに検討すると語った。



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05:サージパンの手法から学べること

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ひとつにはこの大事業計画のベースとなる土地・建物の基本リース契約は、一部未解決部分があったにせよ、すでに1990年代に締結していること。したがって、サージパンの仕込んだコストは現在の天井知らずのヤンゴンの不動産価格から比較すると信じられないほどの割安であること。しかも銀座でいえば鳩居堂の前の路面価格のようなものでヤンゴンの超一等地である。20年間これを塩漬けにしていたとはいえ、これをこれから参入する外国人投資家に提供することで莫大な利益を享受することになる。しかも、パートナーに選ぼうとしているのは、世界でも屈指の企業体である。

サージパン王国はじっと忍耐することでその果実を確実なものにしようとしている。数ヶ月だろうが、半年だろうが、待つことをサージパンは知っている。




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