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<ミャンマーで今、何が?> Vol.75
2013.12.18

http://www.fis-net.co.jp/Myanmar


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■第27回SEAゲーム

・01:グランド・オープニング

・02:これはデジャ・ビュではない、奇跡がここで起ころうとしている

・03:幾つかのエピソード

・04:ミャンマーがタイに抜かれる

・05:グエサウン・ビーチでヨット競技が開催

・06:サッカーのテレビ放映が人気

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第27回SEAゲームは12月11日から12月22日まで開催され連日、日刊新聞・テレビ・ラジオを通じて報道されているので、これを特集してお送りしたい。

SEAゲームといっても海のゲームではない。SEAは東南アジアの頭文字である。もともと東南アジア諸国間の協力、理解、友好を促進する目的で発足したスポーツ競技大会で、主催国は2年に一度アセアン諸国間で持ち回りで開催される。

今年はミャンマーが主催国だが、ビルマはすでに1961年の第2回大会、1969年の第5回大会でホストを務め、それから44年経った今年2013年はミャンマーにとって第3回目の主催国となる。参加国はアセアン10カ国プラス2002年にインドネシアから独立した東ティモールの合計11カ国となっている。



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01:グランド・オープニング

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SEAゲームの競技場は新首都ネイピード、最大商業都市のヤンゴン、ビルマ最後の王朝があった上部ミャンマーの主要都市マンダレー、そしてベンガル湾に面したイラワジ地区のグエサウン・ビーチの4ヶ所となっている。そしてグランド・オープニングの式典がこの日のためにMr. Zaw Zawの新興財閥マックス・グループが突貫工事で建設したネイピードのウンナテイディ・スタジアムで12月11日の夕方行われた。そして12月22日の閉会式もこのスタジアムで行われることになっている。

正式な開会式に先立っていろんな催しが行われたが、その中でも目立ったのが中国が惜しみなく330万ドルの資金援助して演出した大スクリーンで躍動する光のドラマだった。
そしてテインセイン大統領がスタジアムに入場すると同時に特大の花火が打ち上げられた。12.000人の学童たちとミャンマー国家管弦楽団によるパフォーマンスのあとで、国旗掲揚が行われ、テーマ音楽である“カラフル・ガーデン”が演奏された。

SEAゲーム組織委員長のスピーチに続き、この大会のパトロンであるニャントゥン副大統領が30,000人の大観衆の見守る中、厳かに第27回SEAゲームの開会を宣言するとスタジアムの夜空に色とりどりの花火が乱舞・炸裂した。そしてミャンマー全土を駆け巡ってきた聖火がミャンマー連邦の文化大臣に手渡され、ミャンマーのアーチェリーの名手ワイリントゥンにしっかりと手渡される。この夜のハイライトだ。火のともされた矢はこの名手によって弧を描きながらゆっくりと聖火台のなかに吸い込まれていく。



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02:これはデジャ・ビュではない、奇跡がここで起ころうとしている

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日本人で55歳以上の方ならば、この光景は1964年の第18回東京オリンピックを想起されることだろう。卓袱台の前のテレビに釘付けになり、日本選手の奮闘に日本全国が一喜一憂した。女子バレーボールチームが世界を制覇したときには人前ではじめて滂沱の涙を流した、あの光景である。あれからだった。日本人が自信を持ち戦後の経済復興を成し遂げていったのは。

東京オリンピックとは比較にならないマイナーなSEAゲームと思われるかもしれないが、過去半世紀も抑圧されていたミャンマーの人々にとっては、こんなにも晴れやかな祭典はないはずだ。その一人ひとりの気持ちは1964年の日本人よりも大きく膨らんでいるかもしれない。ミャンマーが主催する国際競技がこの自分たちの国で開催されているのだ。そして世界中の国からミャンマーを訪れるツーリストの数が急増している。二年半前には想像だにできなかったことだ。

ミャンマーの首都が、ヤンゴンを逃れて、ミャンマー中部のマラリアの蔓延するジャングルに遷都したとき、海外のマスコミは幅広い主幹道路で一日待っても、車は一台も通らずヒッチハイクには不向きで、唯一の救いはたまに通りかかる水牛の荷車で、ヒッチハイカーはそれを見逃してはならないと、親切な忠告で揶揄した。

だが、それからわずかな年月しか経っていない。ヒラリークリントン、オバマ大統領だけではない。世界中の首脳が、そして経済人たちが、単に話の種にではなく、是非とも訪れなければならない政治・経済の世界のハブとなってしまった。これはミャンマー・マジックなのだろうか、それともミャンマー・ミラクルなのだろうか。

だが、ミャンマーの奇跡はポスト・東京オリンピックをはるかに上回る速度で邁進しているように思われる。



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03:幾つかのエピソード

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今回は約35種目の競技が行われるとのことだが、主催国は自国が苦手な競技は省略して、得意な競技を追加することが認められている。ただし、SEAゲーム連盟の了解を得ることが条件だ。

これなどはメダルを取りやすくして主催国に花を持たせてあげようとする東洋の美徳の表れで、国際試合で観客の乱闘試合いにまで発展するフーリガン好きな西洋とはまったく逆の発想法だ。

スポーツ競技でアセアン諸国の友好関係を促進しようというのがこの大会の目的である

だから、今回は体力というよりも知的筋肉しか使用しないチェスゲームの競技が入っていたり、ポール・ニューマンのハスラーを思い出すビリヤードも入っている。日本でいうと平安宮廷の蹴鞠のようなチンロンはミャンマー人の得意中の得意だが、ミャンマー以外の国々ではほとんどプレーする人がいない。

チェスゲームには3タイプがあり、アセアン式チェス、国際式チェス、そしてミャンマー伝統式チェスの3種目があり、これも主催国の特権で、ミャンマーSEAゲーム委員会はこの種目を採用させることに成功している。

そして、ビーチ・バレーボールやダンス・スポーツ(エアロビクス?)は除外された。理由は着用するユニフォームがミャンマー女性に相応しくないというのだ。21世紀の今の時代になんとも上品で優雅な理由付けではないだろうか。

8年生(年齢約14歳)の生徒たち4名は学校に行くために自宅を出たが、学校からの問い合わせで学校に行っていないことが判明。4名はヤンゴン市内で行方不明となったと大騒ぎになった。しかし、翌日ネイピードから自宅に電話が掛かり、バスの乗車券を購入してネイピードに到着したものの小遣いがなくなりSEAゲームも見ることができず、自宅の兄に相談の電話を掛けたもの。子供たちの父親の一人が自家用車で4人を引き取りに行ったという人騒がせな事件も発生している。



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04:ミャンマーがタイに抜かれる

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初日から13日まではメダル数トップに立っていたミャンマーであるが、それと主催国有利な競技種目設定にもかかわらず、14日に隣国タイにトップの座を奪われ、さらに12月17日の時点では第1位タイ(金64、銀55、銅54)、ベトナム(金48、銀43、銅52)、インドネシア(金45、銀56、銅56)とメダル獲得数で抜かれ、現在ミャンマー(金42、銀39、銅46)は第4位に落ち込んでしまった。

主催国としてはこの順位には不満足と思われるが、チンロン競技やミャンマー伝統式チェスゲームでは金メダルと取得できたと大喜びしている。こういうところがアジア諸国の寛大さで、ミャンマーの魅力であると見ることはできないだろうか。



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05:グエサウン・ビーチでヨット競技が開催

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12月15日から、唯一ベンガル湾で行われるヨットレースが開始した。参加国はミャンマー、マレーシア、シンガポール、インドネシア、タイ、フィリピンの6ヶ国で、競技は全部で12種目となっている。過去のSEAゲームでもヨット競技はミャンマーが金メダルを取得できる有望視される競技である。



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06:サッカーのテレビ放映が人気

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ミャンマーは夜の娯楽が少ない、非常に健全な国である。したがってサッカーのテレビ放映があると、若者たちは町村の喫茶店、食堂、ビアホールに集まってくる。特に、欧州のプレミアムリーグの試合が始まると、贔屓のジャージーを着て、応援に駆けつける。そして最近は国内のプロチームの試合もテレビ前の観客動員数は半端ではない。そして喫茶店・食堂のテレビも商売上、次々に大型画面に切り替えている。それを最近はなんといってもSEAゲームのサッカー観戦である。

日本での力道山を思い起こすテレビ観戦ではないか。ミャンマーはどこかに日本の原風景を思い出させる何かがある。ヤンゴンは段々そうではなくなってきたが、チョット町の中心を外れると実に懐かしいデジャ・ビュの世界である。ミャンマービールと共に愛すべき国だ。21世紀はミャンマーの時代になるだろう。いや、そうなってほしい。




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