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<ミャンマーで今、何が?> Vol.89
2014.04.09

http://www.fis-net.co.jp/Myanmar


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■ミャンマーの四月

・01:とにかく暑い、いや熱い!

・02:優秀なミャンマー人

・03:心頭滅却しても熱いときはどうする?

・04:今年の“水掛け祭り”の式次第

・05:日本でも“水掛け祭り”が?

・06:“水掛け祭り”に参加するか?脱出するか?

・07:パンドール(Pandal)をご存知ですか?

・08:最後にひと言

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ミャンマーで今、何が?の最新ニュースをお届けします。
近々ミャンマー入りを予定されている方には警戒警報となります。


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01:とにかく暑い、いや熱い!

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3月中旬に首都ネイピードの水銀柱が40℃を越えた。その後、気象庁の専門家は4月に入ると気温はさらに上がり、UV(紫外線)指数は13ポイントに達するとテレビを通じてたびたび警告を発してきた。UV指数は10-12ポイントですでに人体の皮膚には有害で、皮膚がん、白内障による失明、免疫不全による死亡を引起すと再三注意を喚起してきた。

そして4月3日の政府系日刊英字紙NLM第一面のトップ記事でも、専門家の意見として、ミャンマー最南端においては非常に危険な事態で同3日(木)には14.5ポイントに達し、ミャンマー最北端の町村でもこの数日間でこの指数はすべて11ポイントを超えたと伝えている。

そして南部の人は午前10時から午後4時の間は外出を控え屋内に篭り、北部の人でも同時間帯は直射日光を避け、日陰を歩き、常に帽子をかぶり、常時長袖シャツを着るようにと異例の警告を発している。

これらの情報からすると、成層圏でのオゾン層破壊が確実に進み、地球規模での環境破壊が現実のものとしてミャンマーに襲いかかってきたとしか思えない。

例年であれば、2月が‘ホット’、3月が比較級の‘ホッター’、4月が‘ホッテスト’と区分するところだが、特別に5月用に残されていた‘スーパー・ホッテスト’の灼熱地獄が今ミャンマーを焦がしている。ご苦労さんなことにこの炎天下、体中から汗を噴出しながら街中を駆け回るサイカーの運チャンも、今年は特別に熱いと木陰を探してはグッタリと眠り込んでいる。

ですから冗談ではなく、4月にミャンマー入りを予定されている皆さん、決してミャンマーを侮ることなく、<帽子・サングラス・長袖シャツ・長ズボン・日傘>の5点セットを必ずご用意ください。おっと忘れてはいけないのが、これにプラスして脱水症予防の飲物も!



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02:優秀なミャンマー人

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サイカーの運チャンのみならず、事務所で仕事をするホワイト・カラーもこの季節はグッタリしています。そして事務所内でもウトウトしたり、眠りこけるときがあります。それを昨日今日着任したばかりの外国人経営者は、ミャンマー人は仕事が遅いとか、暇さえあれば居眠りしていると文句を言います。あなたのスタッフが優秀であればあるほど、それがこの国では理にかなった正しい勤務態度なのです。

お気づきだと思いますが、優秀なミャンマー人は深夜から明け方にかけて仕事をします。この場合の仕事とは本業もありますが、アルバイトもありえます。

4月に入ってから頻繁に発生している停電に言及すると、賢明な政府は軍事政権の時代からそして現新政府も、大量に消費が予想される日中はなるべく電気を止め、消費が落ち込む皆が寝静まる深夜に配電するよう配慮しています。ですから、賢明な政府よりもさらに優秀なミャンマー人は朝方までの深夜に仕事を片付けます。

パソコンも使用できるし、電灯もOKです。そして電話の邪魔もほとんど入りません。それだけでなく気温も涼しくなります。ですから、深夜の時間帯は仕事がはかどるのです。その見返りとして、当然ながら日中はウトウトしたり、機会を捉えては居眠りします。それを昨日今日赴任したばかりの外国人ボスは停電だといっては、事務所前に備え付けた発電機に割高なジーゼル油を注ぎ、事務所の冷房をギンギンに効かせてくれます。これで優秀なミャンマー人スタッフは深夜の仕事に備えて体力温存に没頭するのです。

そのために、優秀なミャンマー人と賢明なミャンマー政府は外資導入に熱心で、躍起となっているのです。



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03:心頭滅却しても熱いときはどうする?

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いくらお熱いのがお好きと言っても、我慢できない猛暑はごめんだ。ちょうどその季節に合わせて優秀なビルマ人は、“ティンジャン”という名の“水掛け祭り”を暦に組み込んだ。そして賢明なミャンマー政府も10日間という大型連休を用意する。今年のカレンダーだと4月12日(土)から4月21日(月)まで赤印がずらりと並ぶ。

これを文化人類学的に解説すると、熱いときは仕事をするなということで、頭でも冷やせということになる。それが自然の摂理で、この国独特の地方性でもある。

それを無理矢理、外からのシステムをこの国に持ち込もうとして失敗したモデルケースはいくらもある。過去にも数多くの外国企業がチャレンジしたが、成功例はほとんどない。それがこの国の歴史であり、特異体質でもある。

もう少し素直に、この国の自然に学び、優秀なミャンマー人と賢明なミャンマー官僚に教えを乞うたらいかがなものだろう。

ところが、この国を訪れた外国の政治家、財界人、教育関係者、IT技術者、農林水産関係者、医療関係者、軍関係者、外交官、国連機関、とにかくありとあらゆる分野の人たちが、国情すら勉強せずに一方的に指導してあげるという見下した目線で話を持ち込んでいるような気がしてならない。本当にそれでよいのだろうか?



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04:今年の“水掛け祭り”の式次第

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4月13日(土)は前夜祭で、さまざまな宗教行事が行われるが、まだ水掛けはご法度である。人々は自宅の門を花で飾り、“ダジャーミン”をお迎えする準備に怠りない。
4月14日(日)午前10時18分39秒、“ダジャーミン”が天界よりこの地上に舞い降りてくる。正確にこの時間を持って“水掛け祭り”が開始される。

4月15日(月)“水掛け祭り”はこの日も継続して行われるが、この“ダジャーミン”こそインドのヒンドゥー教と土着精霊宗教がミックスした閻魔大王に匹敵する審判である。地上の人間の一人ひとりを訪ね歩き過去一年間の悪行を閻魔帳に記入していく。
ちょうど今、3月30日から4月10日まで、ミャンマー全国で施行されている人口統計の国勢調査と時季がオーバーラップするのでユーモラスな感じがしなくもないが、“ダジャーミン”は閻魔大王として、限られた時間内で自分の仕事をせっせとこなしていく。

それをビルマの人たちは、自分の髪を洗って、すなわち過去一年間の悪行を洗い流したつもりになって、どうぞ見逃してお許しください。新たな気持ちで新年を迎えさせてくださいと“ダジャーミン”にお願いするのが、“水掛け祭り”の起源と聞く。これはまだ朝シャンのない時代の話であるから、その当時の人々は薬草など匂い芳しい香水に葉っぱを浸しその小枝で通りがかりの人たちの肩を優しく叩いたという。だから、香水を掛ける方、掛けられる方、共にこれで良き新年が迎えられますようにという優雅で上品な仕草であった。カンドージ湖などの臭い水を消防ホースでぶっ掛ける昨今の水掛けとは雲泥の差である。

話が枝葉末節に迷い込んだようだ。式次第を続けよう。

4月16日(火)正確に午後2時23分20秒、“ダジャーミン”は地上での仕事を無事にやり終え、本来の天界へと昇天していく。この時間を持って本来の水掛けは終了することになっている。が、昨今の若者は本当の“水掛け祭り伝説”を知らない。だから、水掛け最後の日だと安っぽいプラスチックの水鉄砲でしつこくアナタを追い回すかもしれない。そこは大人の態度で対応いただければと思う。これまでは365日の内、この3日間だけしか若者の捌け口は無かったのだから。

4月17日(水)昨日までの喧騒とは打って変わってミャンマー中が静寂に包まれ、道路も掃き清められる。昨日までだらしなかった隣のお兄ちゃんも取って置きのロンジーにアイロンを当て、ビシッと正装し、家族そろってインレー湖やヤンゴン川を訪れ、ビニール袋一杯の活きた魚を放流する。

そうなんです。この日こそミャンマーの新年で、正月に当たる。そして一年の初めは活きた動物を野生に返してあげることで功徳を積んだことになる。ということがガイドブックには書いてある。しかし、東西南北研究所の有り余る英知を傾けても、どうしてもこの説明には納得いかない。自然に返すためにミャンマーの人たちはこれらの生物を野山から、あるいは河川から捕まえてきているのだ。これではゼロサム・ゲームではないかというのが当方の屁理屈である。



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05:日本でも“水掛け祭り”が?

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旧暦4月8日は花祭りとも称されるが、仏教行事の潅仏会(かんぶつえ)である。釈迦生誕と同時に七歩進んで、右手で天上を指し、左手で地を指し、天上天下唯我独尊と唱えたという釈迦立像に甘茶を注ぎ、甘露の雨に擬するのが日本の儀式である。

一部学者はこの日本の儀式とルーツを同じくするのがミャンマーの“水掛け祭り”であると解説する。



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06:“水掛け祭り”に参加するか?脱出するか?

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この“水掛け祭り”にわざわざツアーを組んで参加する外国人もいれば、喧騒を避けて海浜リゾートに逃げ出すミャンマー人も大勢いる。もっとリッチなミャンマー人は家族そろってシンガポールで過ごす。しかし、この時期のリゾートホテル・航空運賃はミャンマーのどこでも割増料金を設定しているのが普通だ。そして営業中のレストランも限られている。

さあ、アナタなら“水掛け祭り”に参加しますか、それともどこかへ脱出しますか? この国は民主主義を標榜しています。どちらを選択しても自由です。

ですが、もうひとつ別のオプションもあります。この期間中に僧院に篭り瞑想に耽る老若男女も大勢います。だから、休日明けになると頭を剃った若者に多数出会います。特に女性は腰まで垂らしていた長い黒髪をスパッと剃髪しているので、こちらのほうがドギマギしてしまいます。ですが、彼女らに聞くと自分を見つめ直す貴重な体験をした。来年はもう少し長く瞑想センターに篭りたいと目を輝かして語ります。



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07:パンドール(Pandal)をご存知ですか?

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どうもこれはビルマ製英語らしく普通の英和辞書には出ていない。だが、意味するところは“水掛け祭り”期間中に主要道路のあちこちに出現する特設舞台のことである。この舞台上で有名映画スターや歌手がひっきりなしに踊り歌いまくる。そして高額のチケットを購入すると舞台の最前列にずらりと設えたカラフルなホースで順番待ちしながら下にやってくる各種の車に強烈な水圧で放水できる仕掛けになっている。

今年はマンダレーで270のパンドール、そしてヤンゴンでは119のパンドールが人気スポットに設置される予定である。

これまではこのパンドールのスポンサーが前年度どれほど大もうけをし、どこの会社が軍事政権からうまみのある仕事を貰ったかを憶測するバロメータとなっていた。外国企業の参入もあって今年からその様相も大幅に変化しそうである。



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08:最後にひと言

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UV対策と脱水症にはくれぐれもご注意のほどを、そして飲み過ぎにも。




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