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マイワシ
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マイワシ
は、ニシン科、マイワシ属に属しており、日本では78の
呼名が知られている。
呼名と使われている地方(◎和名;○別名)| 呼 名 | 地 方 |
呼 名 | 地 方 |
| アオコ | |
カラガキ | 長崎 |
| イワシ | |
キンタルイワシ | 京都 |
| イパス | 長崎 |
キンタロウイワシ | 京都 |
| イワシコ | 茨城 |
ギンムシ | 高知 |
| イワシゴ | 佐賀 |
コチュウバ | 青森 |
| イワシザコ | 鹿児島 |
コバ | 福島、佐賀 |
| イワス | 長崎 |
コヒラ | 宮城 |
| ウワ | 島根城 |
コヒラゴ | 青森 |
| オイサザ | 新潟 |
コビラ | 三重 |
| オイワシ | 兵庫 |
コベラ | 高知 |
| オオイワシ | 神奈川、大阪、長崎、佐賀 |
サシアミイワシ | 富山 |
| オオチュウバ | |
シイラ | 沖縄 |
| オオバ | |
ショイワシ | 富山 |
| オオバイワシ | |
ショウイワシ | |
| オホイワシ | 神奈川、大阪、長崎、佐賀 |
シラサ | 高知 |
| オホバ | |
シラス | 高知 |
| オラシャ | 岡山、広島 |
タツノクチ | 茨城 |
| オラシヤ | 岡山、広島 |
チユウバ | 東北、福岡 |
| カエリ | |
チュウバ | 東北、福岡 |
| カカリメイワシ | 鳥取 |
チュウバイワシ | 山口 |
| カブダカ | 和歌山 |
チユバ | 大阪 |
| ガラ | 茨城 |
チリメン | |
| ガライワシ | 茨城 |
チリメンジャコ | 高知 |
| ドオコ | 新潟 |
ヒラユワシ | 青森、宮城 |
| ドコ | 新潟 |
◎マイワシ | |
| トレンゴオ | 三重、和歌山 |
マイヲ | |
| ナナツボシ | 大阪、兵庫 |
マシラス | |
| ナンマンヨ | 山口 |
マユワシ | 島根 |
| ニタリ | 福島 |
ミズン | 沖縄 |
| ネコモリ | 富山 |
モロクチ | 東北 |
| ヒミイワシ | 富山 |
モロクチイワシ | 佐賀 |
| ヒヨゴ | 三重 |
ヤシ | 福島 |
| ヒラ | 宮城 |
ヤスラ | 中国 |
| ヒライワシ | 宮城 |
ヤツメ | |
| ヒラゴ | 瀬戸内、高知、島根 |
ヤマトミズーン | 沖縄 |
| ヒラゴイワシ | 高知、鹿児島 |
ヤマトミヅーン | 沖縄 |
| ヒラデ | 瀬戸内、高知 |
ユウ | 島根 |
| ヒラレ | 愛知 |
ユワシ | |
| ヒラレイワシ | 静岡 |
リョオクチ | 鹿児島 |

- マイワシ(和名)
- 真鰯(マイワシ)説
マイワシという呼名は、本種がイワシ類の中で最も多獲され、また、最も大きく
なる種であることより、イワシ類の代表種という意味で呼ばれたものではなかろうか。
一般に、イワシという呼名は、ウルメイワシ、マイワシ、カタクチイワシの3種類を意味
しており、稀に、それらの近縁種も含めて呼ばれることがある。しかしながら、一般に
我々がイワシという名から連想するのはマイワシの場合が多い。
また、その他カライワシ、ハダカイワシ、トウゴロウイワシなど、和名にイワシがつくものも
多くいるが、それらは、イワシ類とは別種の魚で、イワシ類にその外観が似ていることから
呼ばれたものでなかろうか、この呼名は、古くから使われており、延喜式には、朝廷に
貢物として奉納されたイワシ干物の量が記載されており、イワシ汁や、イワシ鮨の名も
載っているが、その当時、イワシ類はあまり区別して使われていなかった。
なお、本種は、瀬戸内海沿岸で、ほとんど獲れないため、ここでマイワシと呼ばれるものは
、カタクチイワシの場合が多い。属名Sardinopsは、ラテン語のSarda(塩漬にするイワシ)に
由来し、英語sardine,仏語sardine,独語sardine,欄語sardienもこれに準じていると思われる。
外国ではイワシ類に相当する呼名がなく、その代用として、ニシン科とカタクチイワシ科
のものをHerring familyと呼ぶことがある。
また、マイワシとその近縁種に対してはSardineという産業上の呼名が多く使われており
、大型種は、Pilchard,小型種はAnchovyと呼ばれることがある。しかしながら、多くの
場合個々の魚は固有名で呼ばれている。

- アカイワシ
- 赤鰯(アカイワシ)説
本種は古くなり油焼けすると赤黒くなる。古いものが体色から呼ばれたもので
あろう。

- アカスジ
- 赤筋(アカスジ)説
シラスの主な餌料はプランクトンであるが、Copepodaの幼虫を多く補食すると
、腹部が赤黄色を帯びてくる。この状態のシラスが体色から呼ばれたものでは
なかろうか。

- アオコ、カエリ
- 青子(アオコ)、孵り(カエリ)説
アオコとカエリは、半透明なシラス期を経て、体色素が発達し、鰭も整ってきた
稚魚期の呼名で、この時期の青緑色の背面より呼名されたものではなかろうか。
各地で大きさは様々だが、だいたい全長3.5〜6.0cmのものが呼ばれている。

- アキイワシ
- 秋赤鰯(アキイワシ)説
本種は、だいたい秋に漁獲量が多くなるが、この時期のものは安価で美味なため
このように呼名されることがある。
この魚は、漁獲時期により体脂肪の含有量に差がでるが、旬は8〜10月で
秋になると脂がのって美味しくなる。
ちなみに、本種は鱗がギラギラとぎっしり付いているものが鮮度よく、更に
頭が小さく見えるものは太っており美味しい。ただ、イワシに不味いものなし
と言うとおり、鮮度さえ良ければどこの産でも旨い。

- アルワンノウチ、ナナツボシ
- 七星鰯(アルワンノウチ)、
七つ星(ナナツボシ)説
アルワンノウチは、七つの星がある魚を意味するアイヌ語である。この魚の
体側に黒色斑点が7個あることにより呼名されたものではなかろうか。

- イリコ、ガラ、タタミイワシ、チリメン、ニボシ
マルボシ、メザシ
- 乾製品名説
イリコは炒子、ガラは乾、タタミイワシは畳鰯、チリメンは縮緬、ニボシは
煮干し、マルボシは丸干し、メザシは目刺しの意味で、乾製品名が呼名となったもの
であろう。

- イワシ
- 弱し(ヨワシ)の転訛説
この魚は、食物連鎖の下位にあり、皮膚薄く鱗も禿げやすい。また、群れて泳いで
おり、水から離れるとすぐ死ぬ。呼名はこのように弱々しいことに由来している
であろう。
- 賤し(イヤシ)の転訛説
巷にありふれた賤しく、安価な大衆の魚だから、身分の賤しい者が食べるという
意味で呼名されたものではなかろうか。
平安時代の特権階級は、いくら本種が美味でも一般大衆が食う安価で下賎な魚
だとして食膳に載せなかった。かの有名な紫式部は、これが大好物で、夫が
「むげに賤しきものを好み給うものかな」とたしなめると、「日の本にはやらせ
給う岩清水、詣らぬ人はあらじと思う」と歌で反抗した。この歌は岩清水神社にイワシを
かけたもので、女史は「日本人なら岩清水八幡宮の詣でと同様、イワシが好きなのは
当たり前のこと、イワシは賤しい魚ではなく美味しい魚です」と本種を贔屓していた。

- イワシザコ
- 鰯雑魚(イワシザコ)説
雑魚とは、安価であまり利用価値のない小型魚のことで、大量にとれ安価な幼魚
がこのように呼名されたものと思われる。

- イワシシラス
- 鰯白子(イワシシラス)説
魚類では、後期仔魚期から稚魚初期のものをシラス期幼生とも呼ぶ。アユ、コノシロ
、ウナギ類の稚仔等も本種に似た形態や生態を示すものがあり、この魚のシラスは
厳密にはイワシシラスといって区別されている。

- オイサザ
- 大御細小(オホンサザ)の転訛説
オイは、オホンがオンと変化した語で親しいものを呼ぶ時の冠語、サザは細小物を
意味すると思われる。この魚が小さくて、多獲され親しみやすかったことからの
呼名であろう。

- オオバ、チュウバ、コバ
- 大羽(オオバ)、中羽(チュウバ)、
子羽(コバ)説
鳥類の羽毛が体を上から覆う物であるように、羽という語は、上から覆う物も
意味する。本種の主な餌は、表層付近のプランクトンであるため、プランクトン
がわけば水面近くは本種の大群で一杯になることがある。その様相があたかも
海面を覆う物のようであるため、このように呼名されたものではなかろうか。
オオバは、大型魚のことであろう。その定義する大きさは、各地で様々だが
全長15.0cm以上、チュウバは全長9.0〜16.0cm、コバは全長5.0
〜12.0cm位のものが多い。
- 大魚(オオバ)、中魚(チュウバ)、小魚(コバ)説
バは、魚を意味する語で、サバのように親しみ深い魚にはつけられることがある。
本種が、安価で親しみ深い魚であることより呼ばれたものであろう。

- オホソ
- 御細(オホソ)説
女房言葉の一つで、本種が親しみ深く美味で食卓によく上がっており、女房達の
目にもよくとまり、その外観が細長く小さいことから呼名されたものではなかろうか。
ちなみに、女房言葉とは、主に衣食に関し直接そのものを指示するのを禁忌として
できた語である。

- オムラサキ、シイラ
- 御紫(オムラサキ)、紫衣魚(シイナ)の転訛説
本種の背面が青緑色で、紫色にも見えるとことからの呼名ではなかろうか。

- カカリメイワシ、サシアミイワシ
- 掛り目鰯(カカリメイワシ)、刺し網鰯(サシアミイワシ)説
本種は、定置網などに入ると、逃げようとして網に突き刺さることがある。時には大群が
網に刺さったまま死んで網目を塞ぎ、潮流で破れ、漁師は多大な被害を被る。この呼名は
そのような習性から生まれたものではなかろうか。

- カブダカ
- 痘痕箍(カブタガ)の転化説
カブは痘痕、タガは桶の周りを巻く輪(箍)を意味する和歌山県の方言で、本種の
体側に黒点斑点があることからの呼名ではなかろうか。

- キンタロウイワシ
- 金太郎鰯(キンタロウイワシ)説
金太郎のように頭が大きく丸々と太ったものが、その外観より呼名されたと思われる。
本種は、幼魚期を内湾や沿岸近くで生活し、成長につれて通常は外洋へ出て北上、南下し、
再び産卵域にもどる生活史を送る。ところが若狭湾西部にある京都府の与謝内海にはこの
ように呼ばれる内海性のマイワシが生息している。この一群は5〜6月ごろに若狭湾から
進入して来て、一生をこの富栄養化した小さな入江で過ごす。これらは進入してから
1〜2ヶ月を経過すると体が変化し、湾外のものと区別出来るようになる。つまり頭が
大きく体高が高くて、一見してマアジのような体形を呈するようになる。

- ギンムシ
- 銀虫食(ギンムシクイ)の転化説
ギンムシクイとは、虫食いのような凹凸を作った漆器に銀箔をおき、数回漆を塗り重ね
て研ぎだした物で、銀白色の体に黒色斑点があることからの呼名ではなかろうか。

- コトノバラ、ゴマメ、タヅクリ
- 小殿腹(コトノバラ)、五万米(ゴマメ)、田作り(タヅクリ)説
これらの呼名は、子孫繁栄を意味する呼名とおもわれる。昔、本種が大量に漁獲されて、
田の肥料となり、そのおかげで米が四万俵も五万俵もとれたことよりの呼名であろう。

- タツノクチ、ホホフキ
- 龍口(タツノクチ)、頬吹き(ホホフキ)説
タツノクチは、口から水が出るようになっている銅や鉄製の龍頭形をしたものの意味で、本種が
鯉のぼりのように、口を筒型に大きく開けて泳ぎ、口内へ流れ込むプランクトンを鰓でこして
食べる様より呼名されたものではなかろうか。

- ドオコ
- 瞳孔(ドオコウ)の転訛説
ドオコウは、瞳孔の意味で、本種の目が丸く、体に比べ大きいことより呼名された
ものではなかろうか。

- トレンゴオ
- 捨水魚(ドレインゴオ)の転訛説
ドレインは、捨水を意味する隠語、ゴオは魚を意味すると思われる。三重県や和歌山県
では、本種を稚子仔魚と呼んでいるが、この時期のものは半透明で小さいため、シラス
漁以外でとれたものは、揚網事に排水とともに海へ流出してしまう。

- ナンマンヨ
- 何万魚(ナンマンヨ)説
何万匹と沢山漁れる魚という意味で呼名されたものではなかろうか。

- ネコモリ
- 猫守り(ネコモリ)説
本種を猫が好み、側から離れないことより呼名されたものと思われる。

- ヒヨゴ
- 菜魚(ヒヨゴ)説
ヒヨは菜(おかず)を意味する隠語で、ゴは幼稚魚を表わすと思われる。
本種が、庶民に安値で美味しいおかずとして親しまれたことより呼名された
ものであろう。

- ヒラ
- 平(ヒラ)説
他のイワシ類に比べ、腹部が平たいことから呼名されたものではなかろうか。

- モロクチ、リョオクチ
- 双口(モロクチ)両口(リョオクチ)説
カタクチイワシ(片口鰯)と区別するために呼名されたものであろう。
カタクチイワシは下顎が上顎より短いためにこのように呼ばれているが、マイワシは
下顎と上顎が同じか、下顎がわずかに突出ている。

- ヤスラ
- 安魚(ヤスラ)説
本種が安価で、親しみ深い魚であることより呼名されたものであろう。

- ヤツメ
- 八目(ヤツメ)説
体側にある7つの黒色班列点を目にみたて、それに本当の目を加えてヤツメと
呼名したものではなかろうか。

- ユウ
- 油(ユ)の転訛説
本種から大量の魚油がとれることからの呼名であろう。